ZWO ASI585MC Air CMOSカメラ|使い方・撮影設定 完全ガイド

ZWO ASI585MC Air CMOSカメラ|使い方・撮影設定 完全ガイド

ZWO ASI585MC Air は、Sony IMX585 メインセンサー・SC2210 ガイドセンサー・スマート撮影コントローラの 3 機能を 1 台に統合したワイヤレススマートカメラです。オートガイダーや外付け ASIAIR を別途用意する必要がなく、電源を入れて ASIAIR App から Wi-Fi でつなぐだけで、フォーカス→極軸合わせ→GoTo→ガイド→Autorun という DSO(ディープスカイ)撮影の一連の流れをスマホやタブレットで完結できます。本記事は ZWO 公式マニュアル V1.0(2025 年 5 月版)と Sony 公式 IMX585 フライヤーを一次情報とし、ZWO 公式サイト掲載のユーザーレビューも参考に、初回セットアップから撮影パラメータの目安、Autorun / Plan Mode の使い分けまでを整理した「使い方・撮影設定」の完全版ガイドです。

① ASI585MC Air は「何を統合した」カメラなのか

ASI585MC Air は、これまで別々のハードだった「メイン CMOS カメラ」「ガイドカメラ」「ASIAIR(Wi-Fi スマート撮影コントローラ)」を一体のボディに収めたワイヤレススマートカメラです。CNC 加工の航空機用アルミボディに、IMX585 メインセンサーと SC2210 ガイドセンサー、2 段 TEC 冷却器、防露ヒーター、Wi-Fi コントローラ、USB HUB、DC 給電回路、eMMC ストレージを詰め込んでおり、DSO 撮影に必要な「機材の塊」をひとつのハウジングに置き換えた設計です。

出典: ZWO Wireless Smart Camera ASI585MC Air User Manual V1.0 §1 Product Overview / §3.1 External View

ASI585MC Air 機能ブロック配置概念図 フロント側(センサー面) M42×0.75 アダプタリング UV/IR Cut 保護窓 (D48×2mm) メインセンサー: IMX585 ガイドセンサー: SC2210 傾き調整プレート ガイド用フォーカスノブ 防露ヒーター (2.4W) BF: 12.5mm または 17.5mm リア側(I/O 面) DC 12V ×3 (入力兼出力) USB 2.0 ×4 (HUB) USB Type-C (PC 転送) RESET ボタン Wi-Fi アンテナポート 電源 LED (赤: 正常通電) 超静音マグネット浮上ファン 放熱フィン (Heat sink) 2GB DDR4 + eMMC 256GB Wi-Fi 2.4GHz/5GHz コントローラ
出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.1 External View(No.1〜14 機能項目テーブル)/位置関係は機能ブロックの関連を示す概念図で、実物寸法・端子座標を表すものではありません。

「3-in-1」であることの実効は、①ケーブル本数が減る(メインカメラと ASIAIR を USB でつなぐケーブルが不要)、②光路が短く済む(OAG=オフアキシスガイダーを挟まずガイド星を確保できる)、③フィールドセットアップが速い、の 3 点に集約されます。マニュアルには「OAG・ガイドカメラ・ASIAIR を別に用意する必要はない」「1 本の USB ケーブルで制御できる」と明記されています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §1 Three-in-one design

② 仕様の全体像

まず「センサーとして何ができる機体か」を仕様表で押さえます。IMX585 は Sony STARVIS 2 世代の裏面照射型 CMOS で、対角 12.84mm(Type 1/1.2)/画素ピッチ 2.9μm /推奨記録画素 3840×2160(約 8.29M ピクセル)です。ADC はセンサー側で 10/12bit を切替できます。カメラ側の ASI585MC Air は 12bit ネイティブとして駆動されます。

項目 メインカメラ (IMX585) ガイドカメラ (SC2210)
センサー SONY IMX585(STARVIS 2・裏面照射型 BSI CMOS) SC2210_BW(モノクロ)
カラー カラー モノクロ
センサーサイズ 1/1.2"(対角 13.2mm ※ZWO 表記。Sony 公称は 12.84mm) 1/1.8"(対角 8.81mm)
画素ピッチ 2.9μm 4μm
解像度 3840×2160(約 8.29 メガピクセル) 1920×1080(約 2.07 メガピクセル)
ADC 12bit 12bit
Read Noise(最小) 0.7e(マニュアル記載範囲 0.7〜6.67e) 0.6e(マニュアル記載範囲 0.6〜3.2e)
Full Well Capacity 40Ke 8.78Ke
ピーク QE 91% 92%(500nm)
露光時間 32μs 〜 2000s 32μs 〜 10s
Unity Gain / HCG Gain Unity 198 / HCG 252(マニュアル V1.0 記載値) Unity 68 / HCG 106
保護窓 UV/IR Cut コーティング付き D48×2mm ガラス -

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Specifications(Main sensor / Guide sensor テーブル)/Sony IMX585-AAQJ1 Flyer(Diagonal 12.84mm, unit cell 2.9μm, 推奨記録画素 3840×2160)

本体の物理仕様と電源・冷却まわりは以下のとおりです。特に「DC 12V ポート 3 本のうちどれか 1 本を入力に、残りを出力に使える」点、「メインセンサー前面には UV/IR Cut 保護窓が最初から付いている」点、「防露ヒーター(2.4W)が内蔵されている」点は、フィールドでの取り回しに直結します。

項目 値
本体寸法 Ø78mm × 高さ 108mm(アンテナ 94mm)
重量 635g(マニュアル値。公式製品ページは 620g)
アダプタリング M42×0.75
バックフォーカス 12.5mm または 17.5mm
DC 電源 12V @ 3A〜10A(D5.5×2.1mm・センタープラス)/DC ポート ×3(入出力共通)
最大消費電力 24.6W
冷却(Delta-T) 2 段 TEC、環境温度比 30〜35℃(30℃ 環境でのテスト値)
防露ヒーター 保護窓ヒーター内蔵、2.4W、アプリから ON/OFF
動作温度/保存温度 -20℃ 〜 50℃ / -20℃ 〜 60℃
動作湿度/保存湿度 20% 〜 90% / 30% 〜 70%
RAM / ストレージ 2GB DDR4 バッファ / eMMC 256GB(内蔵)+ USB 2.0 外付け 1TB まで拡張可
Wi-Fi 802.11 b/g/n/ac 2.4GHz/5GHz、外付けデュアルバンドアンテナ、開放環境で見通し 20m 程度
USB USB 2.0 HUB ×4(EAF・EFW・マウント接続用)、USB Type-C ×1(PC へのデータ転送用)
OS 対応(PC 制御時) Windows / Linux / macOS(ASIStudio・Alpaca)

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Specifications / §3.5 Cooling System / §3.6 Anti Dew / §3.7 Power Consumption / §3.10 Antenna / §2 Notice for Use/ZWO ASTRO USA 公式製品ページ(256GB eMMC / USB 2.0 で 1TB まで拡張可)

③ 撮影前の準備

電源要件と接続

電源はまず 12V @ 3A〜10A の AC アダプタ、あるいは 11〜14V のリチウムバッテリーが使えます。コネクタは D5.5×2.1mm のセンタープラスです。マニュアルは「この範囲外の電源を使うとカメラを不可逆的に破損させる可能性がある」と明記しています。DC ポートは 3 本あり、任意の 1 本を入力に、残りを結露防止ヒーターや赤道儀への出力に使えます。ただし「入力に使えるのは 1 本だけ」で、複数ポートに同時に給電することは禁止です。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §2 Notice for Use §1〜§2 / §6.2 Power Supply Connection

Wi-Fi ホットスポット接続

電源投入後、スマホ/タブレットの Wi-Fi 設定画面から「585AIR_(シリアル番号)」という名前のホットスポットに接続します。初期パスワードは 12345678 です。ASIAIR App を起動して指示に従うと、初回のみオンラインでのアクティベーション(インターネット接続が必要)が走ります。iPad などモバイル通信を持たないタブレットの場合は、①インターネット側の Wi-Fi に切替→App でオンライン認証コードを取得→②カメラのホットスポットに戻して「Activate」する、という 2 段階の切替が必要です。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §6.3 Network Connection / §2 Notice for Use §8

55mm バックフォーカスの構成

ASI585MC Air のネイティブバックフォーカスは 12.5mm または 17.5mm で、望遠鏡側のフラットナー/レデューサ/補正光学系が要求する標準の 55mm バックフォーカスに合わせるには、M42/M48/T2 の中間スペーサ(延長リング)で残りを埋めます。55mm という数字は「DSLR を標準 T リング経由で接続したときのバックフォーカスに合わせた業界標準」であり、補正光学系はこの距離を前提に「隅々まで丸い星像」が得られるよう設計されているため、55mm を大きく外すと像面周辺の星像が崩れます。

55mm バックフォーカス達成のスペーサ列(概念図) 望遠鏡側 M48 or T2 M48/T2 スペーサ (延長リング) 合計約 37.5 or 42.5mm M42×0.75 アダプタリング ASI585MC Air 本体 ネイティブ BF 12.5 or 17.5mm 合計 55mm
出典: ZWO 公式 "ASI Camera 55mm Back Focus Solution-2025 Updated Version"/ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Back Focus 12.5mm or 17.5mm / §6.6 Telescope Connection 55mm 要件。図はスペーサ順序を示す概念図で、実測寸法・厚みは望遠鏡側の要求 BF に合わせて選定してください。

ASIAIR App のインストールと動作要件

ASIAIR App は iOS 12 以上、Android 8.0 以上、または Apple Silicon 世代の Mac に対応します。推奨環境は iOS 15 以上、Android 12 以上(RAM 6GB 以上)、Apple Silicon Mac です。マニュアルは「初回のアクティベーション時はオンライン接続が必要」「アクティベーション中に App を裏に回したり電源を切ったりしない」ことを注意事項として明記しています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 Tips for Reading(推奨環境表)/§2 Notice §7〜§8

④ 撮影ワークフローの全体像

ASIAIR App が公式に推奨する DSO 撮影ワークフローは、以下の 7 ステップです。手順の順序と目的をあらかじめ理解しておくと、はじめての夜でも迷わず設営から撮影まで進めます。

ステップ 目的 主なアプリ画面
1. 望遠鏡のピント合わせ(メイン→ガイド) 星像の HFD 値を最小化する Focus モード
2. 極軸合わせ 追尾誤差の主因を減らす Polar Alignment モード
3. 対象選択と GoTo 目的天体を視野に導入 Mount Control Panel(MCP)
4. プレビューと構図 短時間露光で画角を確認 Preview モード
5. オートガイドの開始 キャリブレーション後、追尾誤差を補正 Guiding モード
6. 撮影プランの実行(Plan/Autorun) Light/Dark/Flat/Bias を計画実行 Autorun モード
7. マルチターゲット撮影 複数対象を順次撮影 Plan Mode

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.3 Imaging Guide(1〜7 の順序記載)

⑤ フォーカス合わせ(メインセンサー → ガイドセンサー)

ASI585MC Air はメインカメラの光路とガイドセンサーの光路が別に設けられているため、それぞれ別々にフォーカス合わせをします。マニュアル §7.3.1 の順序は次のとおりです。

  1. ASIAIR App のトップ機器設定エリアで「Main Camera」を選び、メインカメラと EAF を接続する。
  2. 右側のモードから「Focus」に切替、「Start」で実写プレビューを見ながら、まずは手動で粗ピントを合わせる。
  3. 星像が見えたら、緑枠で明るい星を選択→「Zoom」でズームし、Bin4 から Bin1 に段階を落としながら HFD(Half Flux Diameter)値を最小化する。ある程度追い込んだら「AF」ボタンで自動精ピントに移る。
  4. 次に「Main Camera」の設定で「ガイドセンサー」をメインカメラに一時的に切替。同じ「Focus」モードで、カメラ本体のガイドセンサー用フォーカスノブを回してピントを合わせる。
  5. ガイドセンサーのピントが合ったら、メインカメラを元の IMX585 に戻す。

マニュアルは「昼間のうちに遠景でガイドセンサーを無限遠に合わせておく」ことを推奨しています。夜間の暗い状況でガイドセンサーのピント調整を初めてやると、時間を大きく消費するためです。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.3.1 Telescope Focusing(Steps 1〜5)

⑥ 極軸合わせ(60 度回転 2 画像プレートソルブ方式)

マニュアル §7.3.2 の極軸合わせ手順は、次の 3 段構えです。

  1. 準備: 赤道儀を「ゼロ位置(Home Position)」にして、望遠鏡を真北または真南に向け、赤道儀の緯度目盛を観測地の緯度に合わせる。プレビュー画面でプレートソルブが成功する状態にしておく。
  2. 極軸ずれの計算: 極軸合わせボタンを押すと、現在位置で 1 枚撮影→プレートソルブ→赤道儀が約 60 度回転→もう 1 枚撮影→プレートソルブ、と自動進行し、2 点のずれから極軸のずれ量が計算される。
  3. マウント微調整: 「Let's Go」で調整画面に入り、緑色の数値と矢印に従って高度・方位ネジをゆるめ/締めしながら追い込む。左矢印なら「左の方位ネジをゆるめて右の方位ネジを締める」、上矢印なら「高度ネジを時計回りに回す」というように、矢印と操作が 1 対 1 で示される。合計誤差 5' 以内なら合格、より小さいほど良い。

マニュアルは「Auto Refresh をチェックしておくと、調整中に極軸ずれの数字がリアルタイム更新される」こと、「極軸合わせが終わったら赤道儀のゼロ位置に戻してから GoTo に進むと、鏡筒の尾部が三脚に干渉するのを防げる」ことを推奨しています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.3.2 Polar Alignment

⑦ 対象選択・GoTo・構図合わせ

「Preview」モードに切り替え、Mount Control Panel(MCP)上部の検索ボックスから対象を選ぶと「Tonight's Best」など高度が適切な候補が並びます。マニュアルは 14,000 以上の DSO・太陽系天体をライブラリしていると記載しており、Messier / NGC / IC / SH2 / Caldwell / LDN などのカタログに対応します。「GoTo」ボタンを押せば赤道儀が対象へ導入され、GoTo Auto-Center がオンなら自動で中央に寄せてくれます。中央寄せに使うプレートソルブの露光時間は「Center EXP Time」で調整でき、デフォルトは 2 秒です。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.2.5 Mount / §7.3.3 GoTo / §7.3.9.1 Mount Control Panel

⑧ オートガイド設定

ASI585MC Air は SC2210 ガイドセンサーが同じボディに入っているため、別途ガイドスコープや OAG が不要です。マニュアル §7.2.4 と §7.3.5 に沿ってガイド設定を進めます。

  • ゲイン: マニュアルはガイドセンサー側のゲインを「High」推奨と記載。星が十分に写らない場合は手動でさらに上げる。
  • 焦点距離: ASI585MC Air ではガイドカメラの焦点距離=メインカメラの焦点距離(同じ光学系を通っているため)。「Fill in Main Scope FL」で自動入力可。
  • 露光時間: 0.001〜5 秒の範囲で選択。推奨は 1〜2 秒。
  • キャリブレーション: Calibration Step のデフォルトは 2000ms。Max DEC duration・Max RA duration はデフォルト、あるいはガイド露光時間より小さい値を推奨。
  • 星の選択: 手動で選ぶ場合は「一番明るい星ではなく中程度の明るさの星」がマニュアル推奨。自動選択にすると多星ガイド(Multi-star)で始まる。
  • ガイドパラメータ: ZWO ASIMount 向けの初期値として RA Aggr 70% / DEC Aggr 100% / DEC Mode Auto。ガイドグラフが暴れる場合は Aggr を下げる。
  • グラフの読み方: 青が RA、赤が DEC。開始直後 10〜20 フレームは統計が不安定なので、Clear ボタンを押して待つ。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.2.4 Guiding / §7.3.5 Start Guiding

⑨ Live Stack / Autorun / Plan Mode の使い分け

ASIAIR App には 3 種類の撮影モードがあり、それぞれ役割が違います。

モード 用途 向き先
Live Stack 撮影中にリアルタイムでライトフレームを重ね、SN を上げていく。ダーク・フラット・バイアスを事前に取り込んでおくと高品質。 その場で結果を見たい EAA(電視観望)/短時間セッション
Autorun 1 対象に対して Light / Dark / Flat / Bias を計画立てて連続撮影。ダーク・フラット・バイアスも撮影計画に組み込める。 1 対象を長時間積む DSO 撮影
Plan Mode 複数の対象を追加し、順に GoTo→撮影→次の対象、を無人で実行。 1 晩で複数対象を狙う遠征、南中前後のリレー撮影

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.3.6 Live Stack / §7.3.7 Autorun / §7.3.8 Plan Mode

マニュアルは Autorun について「開始前に必ずガイドを確立しておくこと」「撮影中にプランを変更する場合は現在の進捗をリセットする必要があること」、Live Stack について「スタック途中で画像サイズを変えないこと(変えると積算がリセットされる)」を注意事項として挙げています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.3.6〜§7.3.8(注意書き)

⑩ 撮影パラメータの基準(Gain・冷却・露光・Bin)

ゲイン設定の考え方

マニュアル V1.0 の仕様表には、メインセンサー(IMX585)の Unity Gain = 198、HCG Gain = 252 と記載されています。Unity Gain は電子 1 個 = ADU 1 になるゲインで、Full Well を活かすなら Unity 以下、Read Noise を抑えて淡い信号を拾うなら HCG 領域に入れる、というのが基本の考え方です。なお ZWO 公式サイト掲載のユーザーレビュー(Bill Brown 氏)では、ゲイン 252 で 5 分露光した撮影例が紹介されています(同レビューは 252 を「unity gain」と表記していますが、公式仕様では Unity Gain は 198、252 は HCG Gain です)。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Specifications(Unity 198 / HCG 252)/ZWO 公式サイト掲載 ユーザーレビュー「ASI585MC Air Full Review」(Bill Brown 氏)(ゲイン 252・5 分露光の撮影例)

冷却温度

2 段 TEC は 30℃ 環境で −30 〜 −35℃ の Delta-T が仕様値ですが、マニュアルは「環境温度が下がるほど Delta-T は減少する」と注記しています。夏の遠征で外気 25〜30℃ なら 0℃ 前後、冬の低温環境なら「無理をせず環境温度から一定量下げる」設定が現実的です。ZWO 公式サイト掲載のユーザーレビュー(Bill Brown 氏)も「0℃ 目標で熱ノイズがほぼ気にならないレベル」を運用例として紹介しています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.5 Cooling System/ZWO 公式サイト掲載 ユーザーレビュー「ASI585MC Air Full Review」(Bill Brown 氏)(0℃ 目標の運用例)

露光時間

ハードウェアの露光レンジは 32μs 〜 2000s ですが、実運用の DSO 撮影ではメインカメラの露光を「ヒストグラムの左肩が黒潰れせず、明るい星が飽和しない」レンジに合わせるのが基本です。ZWO 公式サイト掲載のユーザーレビュー(Bill Brown 氏)では暗い DSO で 300 秒(5 分)露光を運用例として提示しています。ダークフレームは、ZWO レビュー記事が「熱ノイズがほぼ消える運用温度」であれば必要度が下がると述べていますが、マニュアル自体はダーク・フラット・バイアスを Autorun のキャリブレーションフレームとして「事前に撮っておくと Live Stack の質が上がる」と推奨しています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Exposure Time / §7.3.6 Live Stack(キャリブレーション推奨)/ZWO 公式サイト掲載 ユーザーレビュー「ASI585MC Air Full Review」(Bill Brown 氏)(露光と暗フレーム運用の言及)

Bin(ビニング)

ソフトウェア Bin は Bin1 / Bin2 / Bin3 / Bin4 まで対応。ピント合わせでは「粗ピントは高い Bin(Bin4)から、精ピント時に Bin1 まで下げて HFD の最小値を追い込む」のが公式手順です。撮影本番は原則 Bin1、電視観望など SN を先に稼ぎたい場面では Bin2 で解像を犠牲にして輝度を稼ぐ、という使い分けになります。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Software Bin / §7.3.1 Telescope Focusing / §7.3.9.2 Bin

⑪ よくある落とし穴と対処

  • 電源の範囲外投入: 12V @ 3〜10A のレンジ外や、複数 DC ポートへ同時給電すると不可逆的な故障につながる、とマニュアルが明記しています。バッテリー運用時は 11〜14V を厳守。
  • 電源ケーブルの取り回し: マニュアルは「赤道儀の回転で USB や DC ケーブルが絡まないよう長さと引き回しを確認する」ことを繰り返し注意しています。
  • 電源 LED が点かない: 電源投入時に赤 LED が消灯していれば給電異常のサイン。DC アダプタ/バッテリー・ケーブル・極性を先に見直します。
  • Wi-Fi ホットスポットが見えない: RESET ボタンを 5 秒長押しし、音声ガイドが「デバイスがリセットされました」と告げたらリリース。ホットスポット名・パスワード・ブリッジ設定が初期化されます。
  • 撮影中の Type-C 抜き差し: 画像出力/転送中に USB ドライブや Type-C を抜くとデータが破損する可能性がある、とマニュアル注意事項に記載。
  • 初回のオンライン認証: 初回起動時のみインターネット接続が必要です。認証中は App を裏に回したり電源を切ったりしないよう明記されています。
  • 長時間の高温環境: 高温環境で連続動作させると本体温度が上がり、電源を切った直後の筐体は不快なほど熱くなる場合があるため、直接触れないよう注意。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §2 Notice for Use §1〜§12 / §6.2 Power Supply Connection / §9.2 Wi-Fi Reset

ASI585MC Air と組み合わせることで撮影ワークフロー全体が完結する ZWO/Askar 系の関連機材を整理します。

  • ZWO ASI585MC Air 本体: 本記事の主対象機材。ワイヤレススマートカメラ(3-in-1)。
  • ZWO EAF(電動フォーカサー): ASI585MC Air の USB 2.0 ポートに直接接続でき、ASIAIR App から AF ボタンで自動フォーカスまで走らせられます。
  • ZWO AM5N ハーモニックドライブ赤道儀: ASIAIR App のマウント一覧から ZWO 赤道儀として選択し、付属の USB ケーブルでカメラの USB 2.0 ポートに接続して制御できます。
  • ZWO Duo Band Filter(Hα+OIII)2": 光害地・月夜でも輝線星雲を狙う際の定番デュオバンドフィルタ。ASI585MC Air との組み合わせで「都市部からの DSO」が現実的な選択肢になります。
  • Askar FMA180 Pro: 口径 40mm・焦点距離 180mm・F4.5、ED 2 枚を含む 6 枚玉(エアスペース)の屈折。ASI585MC Air と組み合わせると 約 3.5°×2.0° の広い視野で天の川領域や大型星雲を効率よく狙えます。

⑬ 商品ページ・公式 LINE のご案内

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最終更新: 2026-10-23/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル V1.0・ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式サイト掲載ユーザーレビュー・Sony 公式 IMX585 フライヤーに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑭ よくある質問(FAQ)

Q1. ASI585MC Air は「Air なし」の ASI585MC や ASI585MC Pro と何が違うのですか?

センサー(Sony IMX585)自体は共通ですが、Air は 3-in-1(メイン CMOS + ガイドセンサー SC2210 + ASIAIR 相当のスマート撮影コントローラ)をひとつのボディに統合しており、Wi-Fi 2.4/5GHz、eMMC 256GB、2GB DDR4 バッファ、2 段 TEC 冷却、防露ヒーターまで内蔵しています。ケーブル本数と機材点数を減らして、スマホから直接運用したい方向けの設計です。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §1 Product Overview / §3.2 Specifications

Q2. パソコンなしでも撮影できますか?

はい。ASIAIR App をインストールした iOS 12 以上/Android 8.0 以上のスマホ・タブレットがあれば、フォーカス・極軸合わせ・GoTo・ガイド・Autorun・Live Stack までパソコンなしで完結します。撮影後の画像は eMMC 256GB に保存され、必要に応じて USB Type-C 経由で PC へ転送するか、外付け USB ドライブへエクスポートできます。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 Tips for Reading(推奨環境)/§6.1 Data Cable Connection /§7.2.8 Storage

Q3. パソコンから ASCOM / Alpaca で使えますか?

使えます。マニュアル §8.3 の通り、ASCOM Platform 6.6 以上をインストールした上で、MaxIm DL・NINA・PHD2 などが Alpaca 経由で ASI585MC Air(Main / Guide の 2 台構成)を認識します。ZWO 純正の ASIStudio(Windows/Mac/Linux 対応)でも Wi-Fi 経由で直接接続できます。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §8.1〜§8.3 ASIStudio / Additional Software

Q4. ゲインはいくつに設定すればいいですか?

マニュアル V1.0 は Unity Gain 198・HCG Gain 252 と記載しています。淡い DSO で読み出しノイズを抑えたい場合は HCG しきい値(Gain 252 以上)、明るい対象で Full Well を活かしたい場合は Unity 以下から選ぶのが基本です。ZWO 公式サイト掲載のユーザーレビューでは、ゲイン 252 で 5 分露光した撮影例が紹介されています。対象の明るさと空の条件に合わせて調整してください。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Specifications(Unity 198 / HCG 252)/ZWO 公式サイト掲載 ユーザーレビュー「ASI585MC Air Full Review」(Bill Brown 氏)(ゲイン 252・5 分露光の撮影例)

Q5. 冷却は何度に設定するのが目安ですか?

2 段 TEC の Delta-T は「30℃ 環境で −30 〜 −35℃」がマニュアル記載の仕様値です。環境温度が下がると Delta-T も減少するので、夏の遠征なら 0℃ 目標、冬の低温環境では外気 −10〜−20℃ から「TEC が余裕を持って追従できる範囲」で下げるのが安全です。ZWO 公式サイト掲載のユーザーレビュー(Bill Brown 氏)も 0℃ 目標を運用例として紹介しています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.5 Cooling System/ZWO 公式サイト掲載 ユーザーレビュー「ASI585MC Air Full Review」(Bill Brown 氏)

Q6. バックフォーカスは 55mm でよいですか?

ASI585MC Air のネイティブバックフォーカスは 12.5mm または 17.5mm、アダプタリングは M42×0.75 です。フルサイズ/APS-C 系の補正光学系は 55mm を前提に設計されているものが多いため、望遠鏡側の要求 BF に合わせて M42/M48/T2 のスペーサで残りを埋めます。指定の BF から大きく外れると像面周辺の星像が崩れるため、望遠鏡の仕様書に記載された数値を厳密に合わせるのが基本です。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §3.2 Back Focus / §6.6 Telescope Connection/ZWO 公式「55mm Back Focus Solution」

Q7. ガイドセンサーだけの光学ピントはどうやって合わせますか?

ASIAIR App の Main Camera 設定でガイドセンサーを「Main Camera」として一時的に選択し、Focus モードでプレビューしながらカメラ本体のガイド用フォーカスノブを回します。マニュアルは「夜間に初めて合わせると時間がかかるので、日中に遠景で無限遠に合わせておく」ことを推奨しています。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.3.1 Telescope Focusing / §7.2.4 Guiding

Q8. 撮影が終わったら、電源を抜く前にやることはありますか?

マニュアルは「安全のため、ASIAIR App からスライドで再起動/シャットダウンし、5〜10 秒待ってから電源を抜く」ことを推奨しています。またイメージが完全に USB ドライブへエクスポートされる/PC へ Type-C 転送される前に、USB や Type-C ケーブルを抜かないよう明記されています。撮影セッション終盤には赤道儀のホームポジションに戻すのも推奨です。

出典: ZWO ASI585MC Air User Manual V1.0 §7.2.2 Restart/Shutdown / §2 Notice for Use §6 / §7.2.5 Go Home

Q9. 保証はどうなっていますか?

天体ショップでは、初期不良60日対応+3年保証をお付けしてお届けしています。詳細は商品ページの保証欄または保証ポリシーをご確認のうえ、ご相談は公式 LINE までご連絡ください。

出典: 天体ショップ 保証ポリシー

⑮ 参考にした一次情報

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最終更新: 2026-10-23/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル V1.0・ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式サイト掲載ユーザーレビュー・Sony 公式 IMX585 フライヤーに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。