ポタ赤から ZWO AM3N へ|ステラショットでオートガイドできない理由・AM5N 2台運用・FL280mm 鏡筒の選び方【2026年版】

ポタ赤から ZWO AM3N へ|ステラショットでオートガイドできない理由・AM5N 2台運用・FL280mm 鏡筒の選び方【2026年版】

「ポータブル赤道儀で短焦点は撮れるが、暗くて見えない天体を導入できない」「ステラショットをメインで使っているとオートガイドができなかった」「すでに持っている AM5N と、追加する AM3N を同じ夜に2台同時に動かせるのか」——この3つは、じつはすべて答えがはっきりしている質問です。結論から言うと、①見えない天体の導入はプレートソルビング(ステラショットの「導入補正」/ASIAIR の Solve)で解決します。②ステラショットでオートガイドできなかったのは設定の問題で、アストロアーツ公式が 2026年1月22日公開の 3.0o で「ZWO AM5に対応(ガイド端子は使用できません)」と明記しており、パルス出力を「望遠鏡の微動」に切り替えるのが正解です。③2台同時運用は物理的には可能ですが、ステラショットのライセンス条項が「同時使用しないこと」を条件にしているため、2セット目は ASIAIR に任せる構成が現実的です。以下、すべてメーカー公式マニュアルの記述に沿って解説します。

① なぜポタ赤では「見えない天体」が難しいのか

ポータブル赤道儀での撮影が行き詰まる場面は、たいてい「追尾」ではなく「導入」です。明るい星は見えるので構図は作れますが、系外銀河や分子雲のように眼視で確認できない対象は、ファインダーを覗いても導入できたかどうか分かりません。試写して星野を見比べて、少し動かして、また試写する——この繰り返しで一晩が終わってしまいます。

Q1|暗い天体を確実に導入するには何が必要か

状況:ポタ赤+短焦点で、明るい対象は撮れるが暗い対象に手が出せない。
原因:導入手段が「目視」と「勘」しかないため、フレームのどこに目的天体が来ているかを判定できない。
対処:プレートソルビング(写野の星の並びを星図と照合して、いま鏡筒がどこを向いているかを座標として確定する処理)を使います。ステラショットではこれを「導入補正」と呼び、撮影した画像を解析して導入ずれを自動的に補正します。ASIAIR では「Solve」で現在の指向座標を確定し、赤道儀に同期します。目的天体が写野に入っているかどうかを、目ではなく座標で判定できるようになります。

出典: アストロアーツ「ステラショット3」マニュアル §はじめに/§導入補正(「撮影画像から自動で導入補正」「導入補正は、プレートソルビングとも」)/ZWO ASIAIR Plus User Manual V1.3 §3.3.9.2 Solve("Analyze the current image to determine the true sky coordinates ... to which the current equatorial mount is pointing")

Q2|プレートソルビングを使うのに赤道儀の買い替えは必要か

状況:ソフトで解決するなら、ポタ赤のままでもいいのではないか。
原因:プレートソルビング自体はカメラとソフトの機能なので、原理的には架台を選びません。問題は「ずれを検出したあと、その分だけ架台を動かせるか」です。
対処:導入補正の結果を反映するには、赤道儀側が座標指定で動ける(GOTO 制御を受け付ける)必要があります。AM3N はスマートフォンアプリ「ASI Mount」から Tonight's Best(今夜の見ごろ天体)や目標天体の GOTO が使え、ASIAIR にも完全対応、PC からは ASIStudio・ASCOM・INDI で制御できます。ASIAIR では GoTo 実行後、既定の設定で自動センタリング(構図合わせ)まで完了します。つまり「天体名を選ぶ→勝手に真ん中に入る」という運用に切り替わります。

出典: ZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM3N §1 Features 6 / Other key points 4("Tonight's Best, target GOTO" / "computers support control by ASIStudio, ASCOM, and INDI")/ASIAIR Plus User Manual V1.3 §3.3.3 GoTo("GoTo will automatically complete the Centering Composition")

② AM3N は「軽いポタ赤の代わり」になるのか

AM3N はストレインウェーブギア(ハーモニックドライブ)を使った赤道儀で、ポータブル赤道儀と本格赤道儀の中間ではなく、ポータブル赤道儀の携行性で本格赤道儀の機能を持つという位置づけです。ウェイトなしで運用できるのが最大の違いで、三脚+赤道儀+鏡筒だけで完結します。

項目 ZWO AM3N ZWO AM5N(ご使用中)
積載重量(アーム長25cm) 8kg(ウェイトなし)/13kg(ウェイトあり) 15kg(ウェイトなし)/20kg(ウェイトあり)
本体重量 4.1kg 5.5kg
周期誤差(PE) <±15"(PE周期 288秒) <±10"(PE周期 288秒)
オートガイド端子 ST4 ST4
通信 USB/Wi-Fi/Bluetooth USB/Wi-Fi/Bluetooth
電源 DC5.5×2.1mm センタープラス/12V 3A 以上 DC5.5×2.1mm センタープラス/12V 3A 以上
アリミゾ Losmandy / Vixen 両対応 Losmandy / Vixen 両対応
動作温度 -20〜40°C -20〜40°C

出典: ZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM3N §2 Performance ParametersZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM5N §2 Performance Parameters

Q3|ポタ赤の代わりとして、実際に軽くなるのか

状況:AM3N 本体は 4.1kg。ポタ赤本体より重い。
原因:本体単体だけを比べると重く見えますが、ポータブル赤道儀運用では別に微動雲台・バランスウェイト・ガイド用の追加パーツが必要になることが多く、システム全体では差が縮まります。AM3N はウェイトなしで 8kg まで載るため、ウェイトとシャフトを持ち出さない選択ができます。
対処:「本体重量」ではなく「架台システム一式の重量」と「設営完了までの時間」で比較してください。AM3N は赤道儀モードと経緯台モードの両方を持ち、緯度目盛りは 0〜90° で、方位微動は ±6°。停電時には RA 軸にブレーキが働き、鏡筒の落下を防ぎます。遠征先で慌てて撤収する場面まで含めると、この安全機構の価値は小さくありません。

出典: ZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM3N §1 Features 2・4・5 / Other key points 3 / §2("payload up to 8 kg" / "Dual-mode" / "Power-off brake device ... RA axis has brake protection")

Q4|低温や電源まわりで気をつけることは

状況:冬の遠征で挙動が不安定になるのが心配。
原因:ハーモニックドライブは低温で粘性が上がり、必要トルクが増えます。また電圧降下は追尾・導入の失敗に直結します。
対処:AM3N の動作温度は -20〜40°C ですが、公式マニュアルは「周囲温度が 0°C を下回る場合は、上位ソフト側で低温時の高負荷設定(マニュアル表記:low-temperature high-load mode)を有効にすることを推奨」と明記しています。電源は 12V で 3A 以上(3〜5A 入力に対応)。入力電圧が 10.8V を下回ると本体内蔵ブザーが低電圧警告を鳴らします。消費電流は待機 0.65A・追尾 0.8A・GOTO 1.3A(高負荷時 1.8A)なので、モバイルバッテリー運用でも余裕をもった容量を選んでください。

出典: ZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM3N §2 Performance Parameters / §3.1 ⑬("-20°C to 40°C (It is recommended to enable the low-temperature high-load mode ...)" / "When the input voltage drops below 10.8V, the buzzer inside the AM3N mount will sound")

③ ステラショットでオートガイドできなかった理由と、正しい設定

ここが今回いちばん重要な部分です。ステラショットが悪いのでも、ZWO の赤道儀が悪いのでもありません。「どの経路でガイドパルスを送るか」の設定が合っていないだけです。

図1 ステラショット「パルス出力」2方式の信号経路 方式A:ガイド端子(マニュアル上の推奨) PC ステラショット オートガイダー (ガイドカメラ) ガイドケーブル 赤道儀のガイド端子 (ST4) → 補正 方式B:望遠鏡の微動(AM5 で使う方式) PC ステラショット オートガイダー (ずれを検出のみ) 望遠鏡の接続ケーブル経由で「微動コマンド」を送信 赤道儀本体 (制御系) → 補正
図1 出典: ステラショット3 マニュアル p.50「ガイドパルス出力の選択」の記述(「ガイド端子(推奨):オートガイドケーブルで補正(赤道儀のガイド端子へガイドパルスを送信)」「望遠鏡の微動:望遠鏡の接続ケーブルで補正(赤道儀へ微動コマンドを送信)」)に基づく概念図。端子の物理配置は表していません。

Q5|ステラショットは ZWO のハーモニック赤道儀に対応しているのか

状況:ステラショットをメインに使っていて、ZWO の赤道儀でオートガイドが動かなかった。
原因:ステラショット3 が ZWO AM5 の望遠鏡制御に対応したのは 2026年1月22日公開の 3.0o からです。それ以前のバージョンでは、そもそも赤道儀として接続できません。
対処:まず 3.0o 以降にアップデートしてください。公式のアップデータ履歴には「望遠鏡制御:ZWO AM5に対応(ガイド端子は使用できません)」と明記されています。同じ 3.0o の不具合修正欄には「ガイド端子を持たない望遠鏡に接続した場合には『ガイド端子』を無効にした」という項目もあり、ソフト側が自動的に無効化する挙動になっています。

出典: アストロアーツ「ステラショット3」アップデータ 3.0o(2026/01/22)(「ZWO AM5に対応(ガイド端子は使用できません)」「ガイド端子を持たない望遠鏡に接続した場合には「ガイド端子」を無効にした」)/アストロアーツ ニュース「3.0oアップデータ公開」

Q6|「ガイド端子は使用できません」なのに AM3N には ST4 端子がある。矛盾では?

状況:仕様表には ST4 と書いてあるのに、ソフトでは使えないと言われる。
原因:両社の説明が食い違っています。事実を並べると次のとおりです。ZWO 側——AM3N の公式マニュアルには仕様表に「Auto guide port:ST4」、端子解説にも「⑨ Auto guide: ST-4 compatible auto guide port.」と明記され、AM5N も同様に ST4 を備えます。アストロアーツ側——公式の接続ガイドは「AM5の仕様により、ガイド端子でのガイド制御ができません」と説明しています。
対処:この記事では、どちらの説明が正しいかを断定しません。実務上の結論だけを押さえてください。ステラショットで運用する限り、ST4 経路は使えず「望遠鏡の微動」で補正することになります。なお ASIAIR で運用する場合は、そもそも ST4 ケーブルを使わずに赤道儀本体への接続経由でガイドパルスを送るため、この論点自体が発生しません。ST4 端子そのものは、PHD2 など他のガイドソフトを ST4 構成で使う場合には物理的に存在します。

出典: ZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM3N §2 / §3.1 ⑨("Auto guide port ST4" / "⑨ Auto guide: ST-4 compatible auto guide port.")/ZWO-AM5N Manual §2("Auto Guide port ST4")/アストロアーツ「ステラショット3ガイド 望遠鏡:ZWO」(「AM5の仕様により、ガイド端子でのガイド制御ができません」)

Q7|具体的にどこを設定すればオートガイドが通るのか

状況:キャリブレーションが失敗する/補正が効かない。
原因:接続の機種選択が正しくない、またはパルス出力の状態を確認できていない。
対処:手順は2段階です。
(1) 望遠鏡を正しく接続する。アストロアーツ公式の接続ガイドによると、AM5 は付属マニュアルどおりに設置したうえで、USB ケーブルで赤道儀と PC をつなぎ、赤道儀の電源を入れます。ステラショットの「設定」パネル →「望遠鏡選択」ダイアログで、接続方法=PC直結メーカー/機種=ZWO AM5COMポート=該当の COMxx接続時に日時・場所を送信=ON を設定し、「接続チェック」で認識を確認してから「接続」します。COM 番号は同ダイアログの「確認」ボタンからデバイスマネージャーを開いて調べられます。
(2) パルス出力を確認する。ここが重要で、ユーザーが「微動」を選ぶのではなく、公式ガイドいわく「『パルス出力』では『望遠鏡の微動』のみ選択可能」——つまりソフト側で自動的に微動に固定されます。「ガイド端子」を選ぼうとして選べない場合、それは異常ではなく仕様どおりの挙動です。マニュアルはこの2択を「ガイド端子(推奨):オートガイドケーブルで補正(赤道儀のガイド端子へガイドパルスを送信)」「望遠鏡の微動:望遠鏡の接続ケーブルで補正(赤道儀へ微動コマンドを送信)」と説明しています。
その後は、手動でガイドパルスを送って赤道儀が実際に動くかを見る「ガイドパルス出力の確認」を行い、キャリブレーション → テストガイド → 本番の順に進めてください。いまどちらの方式で動いているかは望遠鏡ステータス上に「ガイド端子/微動」として表示されます(3.0f で追加された表示)。

出典: アストロアーツ「ステラショット3ガイド 望遠鏡:ZWO」(機材の準備・接続手順、および「ステラショット『オートガイド設定』の『パルス出力』では『望遠鏡の微動』のみ選択可能となっています」)/ステラショット3 マニュアル p.50「ガイドパルス出力の選択」「ガイドパルス出力の確認」同 アップデータ 3.0f(2024/04/26)

Q8|「赤緯パルスを反転」の設定はどうするのか

状況:ガイドを始めると赤緯方向にどんどんずれていく。
原因:赤緯パルスの向きが実機と逆になっている可能性があります。
対処:マニュアルには「赤緯パルス反転について」の解説があり、メーカー別の反転設定表が掲載されています。ただしその表は「パルス出力」が「ガイド端子」の場合のものであり、ZWO のハーモニック赤道儀は表に含まれていません。したがって微動方式で運用する場合は、表を当てはめるのではなく、キャリブレーション結果とテストガイドの挙動を見て判断してください。判断に迷う場合は、キャリブレーション結果を保存・読み込みできる機能があるので、うまくいった設定を名前を付けて残しておくと再現できます。

出典: ステラショット3 マニュアル p.50「●赤緯パルス反転について」(表の見出しに「主なメーカー別・赤緯パルスの反転(「パルス出力」が「ガイド端子」の場合)」と明記/掲載はセレストロン・ケンコートキナー・ミード・Sky-Watcher・タカハシ・ビクセン)/同 オートガイド設定「複数のキャリブレーション結果を保存/読み込みできます」

Q9|AM3N(AM3系)もステラショットで使えるのか

状況:AM5 は対応と書いてあるが、AM3N はどうなのか。
原因:アストロアーツの公式アップデータ履歴にも、公式の ZWO 接続ガイドにも、名前が挙がっているのは「ZWO AM5」のみで、AM3 および AM3N という記載はありません(2026年8月時点)。
対処:この記事では「動く」とも「動かない」とも書きません。ただし「機種リストに無い=道が無い」でもない、という点は押さえておいてください。事実として、次の2つが公式に確認できます。
① ステラショットは ASCOM 接続に対応している。アストロアーツ公式ガイドは、ステラショットが ASCOM の望遠鏡制御に対応しており、ASCOM ドライバを経由して制御できると説明しています(ASCOM のフォーカサー/カメラ/ドーム制御には非対応)。接続は「望遠鏡選択」で メーカー/機種=ASCOM を選び、「ASCOM Telescope Chooser」でドライバを指定する形です。
② ZWO は AM3 を含む ASCOM ドライバを公式提供している。ZWO 公式の ASCOM Driver ページには「ASI cameras, EAF, EFW, AM5, AM3, and other devices を ASCOM Platform 経由で制御できる」と明記されています。AM3N のマニュアルにも、USB で PC につなぎ ASCOM ドライバを入れて各種ソフトから制御する手順が掲載されています。
つまり「ネイティブの機種選択」ではなく「ASCOM 経由」という経路が制度上は存在します。ただしアストロアーツの「動作確認済み ASCOM 接続機器」一覧に ZWO は掲載されておらず、動作保証はありません。購入前にアストロアーツのサポートへ機種名を挙げて確認するのが確実です。確認が取れるまでのリスクを避けたい場合は、AM3N は ASIAIR で運用する前提にしておけば、この不確実性は購入判断から外せます(AM3N は ASIAIR に完全対応、と ZWO 公式マニュアルが明記しています)。弊社でも確認のお手伝いができますので、公式 LINE からお声がけください。

出典: アストロアーツ「ステラショット3」アップデータ履歴同「ステラショット3ガイド 望遠鏡:ZWO」(記載機種は AM5 のみ。AM3/AM3N の記載は 2026-08-27 時点で確認できず)/同「ステラショット3ガイド 望遠鏡:ASCOM接続」(「ステラショットはASCOMの望遠鏡制御に対応」「ASCOMのフォーカサー / カメラ / ドームの制御機能には対応していません」)/ZWO 公式 ASCOM Driver("you can control ASI cameras, EAF, EFW, AM5, AM3, and other devices through the ASCOM Platform")/ZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM3N Preface / §ASCOM

④ AM5N と AM3N の2台同時運用はできるのか

図2 2台同時運用の制御系統(推奨構成) セット1:PC 制御 PC+ステラショット3(1ライセンス) AM5N + 撮影鏡筒 + ガイド系 ガイド補正=「望遠鏡の微動」 導入=導入補正(プレートソルビング) セット2:ASIAIR 制御 スマホ/タブレット+ASIAIR AM3N + 短焦点鏡筒 + ガイド系 ガイド補正=ASIAIR が赤道儀へ直接送信 導入=GoTo + 自動センタリング ※ステラショットは「同時に使用しない」条件で複数PCにインストール可。2セット同時起動は 1 ライセンスでは不可。
図2 出典: ステラショット3 マニュアル 使用許諾 2-2)ASIAIR Plus User Manual V1.3ZWO-AM3N Manual の記述に基づく構成概念図。機器の外観・端子配置は表していません。

Q10|ステラショット1ライセンスで2台の赤道儀を同時に動かせるか

状況:PC を2台用意すれば、両方でステラショットを動かせるのではないか。
原因:インストールできるかどうかと、同時に使えるかどうかは別です。
対処:ステラショットの使用許諾条項は「ご購入いただいたソフトウェアを、同時に本ソフトウェアを使用しないという条件で、お客様が使用する複数のコンピュータにインストール(複製)して使用できます」と定めています。つまり複数 PC への導入は認められていますが、2台を同じ夜に同時起動して2セットを並行運用することは、この条件から外れます。2セットとも PC で回したい場合はライセンスをもう1本用意する必要があります。

出典: ステラショット3 マニュアル「ソフトウェア使用許諾契約書」2.使用許諾 2)(原文引用)

Q11|では現実的な2台同時運用の構成は

状況:AM5N と AM3N を同じ夜に並行して回したい。
原因:制御系を「1つの頭で2セット」にしようとすると、ライセンス・Wi-Fi・電源のすべてが競合します。
対処:制御系を分けます。セット1=PC+ステラショット+AM5Nセット2=ASIAIR+AM3Nという分担が最もトラブルが少ない構成です。ASIAIR は GoTo 後の自動センタリングまで行い、ガイドも自動マルチスターガイド(星の自動選択からキャリブレーション開始まで自動)に対応しているため、もう一方のセットに手をかけている間、放っておいても撮影が進みます。ASIAIR Plus の 256G 版は AM7・AM5N・AM3 とのBluetooth 接続にも対応しています。

出典: ASIAIR Plus User Manual V1.3 §Specifications 脚注・§3.3.3 GoTo・§3.3 Guiding("The ASIAIR Plus 256G version supports Bluetooth connection with Harmonic Drive Equatorial Mounts AM7, AM5N and AM3" / "automatic multi-star guiding")

Q12|ASIAIR を2台使う場合、スマホから両方見られるか

状況:将来的に ASIAIR を2台にしたい。
原因:AP モード(ASIAIR 自身が親機になるモード)で2台を運用すると、スマホの Wi-Fi 接続先を切り替えるたびに片方が見えなくなります。
対処:両方を Station モード(既存の Wi-Fi ルーターに参加させるモード)にします。ZWO 公式ガイドは「複数の ASIAIR を Station モードにしている場合、最初の手順に戻る必要はなく『Switch Device』をタップすれば切り替え用のリストが表示される」「リスト内のデバイス名は識別しやすいよう変更できる」と説明しています。また ASIAIR V3.0 では接続・切り替え・切断の操作がホーム画面に集約され、複数台の操作が1か所で完結するようになりました。なお Station モードは 2.4GHz のみ対応で、5GHz 帯には接続できません。

出典: ZWO 公式ガイド「Four ways to connect the ASIAIR to network」Station mode("there will be a list for you to switch different ASIAIR PROs" / "The device name in the list could also be renamed" / 2.4GHz のみ対応)/ZWO 公式「ASIAIR V3.0: New Features and User Guide」("Device connection, switching, and disconnection have been consolidated on the Home screen")

Q13|2台運用で電源はどれくらい必要か

状況:電源を1つにまとめたい。
原因:赤道儀2台+制御機器+冷却カメラをまとめると、ピーク電流が想定より大きくなります。
対処:公式値で見積もってください。AM3N・AM5N はいずれも 12V で 3A 以上の電源が必要です。AM3N の消費電流は待機 0.65A/追尾 0.8A/GOTO 1.3A(高負荷時 1.8A)。ASIAIR Plus は入力 12V@2A〜10A、出力は 12V@5A 最大を 4 ポートに配分する仕様です。2セットを1つの電源に集約するとケーブル取り回しも複雑になるため、セットごとに電源を分けるのが安全です。電圧が下がると AM3N は 10.8V 未満でブザー警告を出しますが、警告が出る前から追尾は不安定になります。

出典: ZWO-AM3N Manual §2 / §3.1 ⑬ZWO-AM5N Manual §2ASIAIR Plus User Manual V1.3 §Specifications("Input Power 12V@2A-10A" / "Output Power 12V@5A Max output, 4 output ports")

Q14|Bluetooth 接続で2台を取り違えないか

状況:同じ ZWO の赤道儀が2台並ぶと、アプリが別の個体につながってしまいそう。
原因:同一メーカー・同系統の製品が近接している状況では、ペアリング先の取り違えが起こり得ます。
対処:AM3N には対策が用意されています。本体の BT ボタンは「Bluetooth ペアリングの過程で正しい ASI Mount への接続を確定・固定し、他のデバイスへの誤接続を防ぐ」ためのものだと公式マニュアルに明記されています。ペアリング時は接続したい側の BT ボタンを押して確定してください。

出典: ZWO ASI Mount User Manual ZWO-AM3N §3.1 ⑪("The BT button is used during the Bluetooth pairing process to confirm and lock the connection to the correct ASI Mount, preventing accidental connection to other devices.")

⑤ FL280mm クラスの短焦点鏡筒をどう選ぶか

焦点距離 250〜340mm のクラスは、ここ数年で選択肢が一気に増えました。とくに Askar SQA60 pro は焦点距離 276mm・f/4.6という、まさに「FL280mm 付近」の新顔です(公式マニュアルの公開は 2026年5月25日付)。フルサイズ(44mm)対応の6枚玉ペッツバールで、SD ガラスを2枚使っています。

機種 口径/焦点距離/F値 イメージサークル 重量
Askar SQA55 55mm/264mm/f/4.8 フルサイズ(44mm) 鏡筒 1.84kg
Askar SQA60 pro 60mm/276mm/f/4.6 フルサイズ(44mm) 鏡筒 2.79kg/バンド・プレート込 3.54kg
Askar FRA300 Pro —/300mm/f/5 公式仕様表を参照 公式仕様表を参照
Askar SQA70 70mm/336mm/f/4.8 フルサイズ(44mm) 鏡筒 2.68kg/バンド・プレート込 3.5kg

出典: Askar 公式 SQA55 SpecificationsAskar 公式 SQA60 pro Specifications(Aperture 60mm/Focal length 276mm/f/4.6/Sextuplet petzval APO/Full frame(44mm)/OTA 2.79kg/Gross 3.54kg/M48/Rear-end 41-66mm 推奨55mm/User's Manual 2026-05-25)/Askar 公式 FRA300 ProAskar 公式 SQA70 Specifications

Q15|AM3N にこのクラスの鏡筒を載せて余裕はあるか

状況:ウェイトなしで運用したい。
原因:積載可否は「鏡筒単体の重量」ではなく、カメラ・フィルターホイール・電動フォーカサー・ガイド系・アリガタまで含めた総重量で判断する必要があります。
対処:AM3N のウェイトなし積載は 8kg(アーム長 25cm 条件)です。SQA60 pro は鏡筒バンドとアリガタを含めて 3.54kg、SQA70 は 3.5kg、SQA55 は鏡筒 1.84kg。つまりこのクラスであれば、カメラ・ガイド系・アクセサリを足してもウェイトなしのまま余裕を持って収まるのが普通です。逆に、いま AM5N に載せている構成をそのまま AM3N に移す場合は、総重量を実測してから判断してください。ウェイトを使う場合は 5kg 以下が推奨で、5kg のときのアーム長は 20〜30cm の範囲とされています。

出典: ZWO-AM3N Manual §2("8 kg (without counterweight) / 13 kg (with counterweight) @25 cm")/ZWO 公式 AM3N 製品ページ("recommended to use a counterweight of ≤5 kg. When using a 5 kg counterweight, the lever arm should be installed within the range of 20 cm to 30 cm")/各鏡筒重量は Askar 公式仕様表

Q16|FL280mm クラスにすると何が撮れるようになるのか

状況:いま使っている短焦点から乗り換える意味があるのか。
原因:焦点距離が伸びると写野は狭くなりますが、対象の写る大きさは比例して大きくなります。同時に、要求されるガイド精度と極軸精度も上がります。
対処:「導入」と「ガイド」の2つを自動化してから焦点距離を伸ばす、という順番が失敗しません。プレートソルビングで導入が確実になり、オートガイドが安定してはじめて、270〜340mm クラスの解像を活かせます。この記事の①〜③を先に片付けてから鏡筒を選ぶことをおすすめします。なお SQA60 pro のバックフォーカスは 41〜66mm の範囲に対応し、推奨接続長は 55mm。M48 アダプター(M48×0.75 のフィルターねじ付き)が標準です。カメラ側の合計光路長を先に計算しておくと、届いた日に撮り始められます。

出典: Askar 公式 SQA60 pro Specifications("Rear-end connection distance: Support 41-66mm range (Recommended connection length is 55mm)" / "Rear-end thread type: M48 adapter (with M48×0.75 filter thread)")

⑥ ご相談内容に対する現実的な3プラン

プラン 構成 向いている方
A:まず制御だけ変える 現有機材のまま、ステラショットを 3.0o 以降に更新し、パルス出力を「望遠鏡の微動」に設定。導入補正を常用する 追加投資ゼロで「見えない天体が導入できない」を先に解消したい方
B:AM3N をポタ赤の置き換えに AM3N+三脚。制御は ASIAIR に任せ、AM5N はステラショット担当のまま据え置き ライセンスの制約を回避しつつ、2セット並行運用に踏み出したい方
C:焦点距離も一段伸ばす B に加えて FL270〜340mm クラスの鏡筒を追加。AM3N のウェイトなし積載 8kg の範囲で完結させる 導入とガイドの自動化が済んでいて、写る対象の大きさを上げたい方

出典: 本表は本記事 ①〜⑤ で引用した各一次情報(アストロアーツ アップデータ履歴・ステラショット3 マニュアル・ZWO AM3N/AM5N マニュアル・ASIAIR Plus マニュアル・Askar 公式仕様表)から構成した運用提案です。弊社の販売実績や統計値は含みません。

⑦ 関連商品

本記事で扱った機材のうち、弊社「天体ショップ」で取り扱いのあるものはこちらです。ZWO AM3N はウェイトなし 8kg 積載のハーモニックドライブ赤道儀、ZWO AM5N はその上位機です。三脚は ZWO TC40 カーボン三脚が AM3N/AM5N 用として組み合わせられます。制御機器は ASIAIR Plus 256G、ガイドカメラは ZWO ASI220MM Mini。短焦点鏡筒は Askar SQA55(264mm)Askar SQA70(336mm)Askar FMA180 Pro を掲載しています。Askar SQA60 pro(276mm)は現時点でショップに掲載がありませんので、お取り扱いの可否は公式 LINE でお問い合わせください。

⑧ 商品ページ・公式 LINE のご案内

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  • ステラショット・ASIAIR それぞれでの運用構成のご相談に個別回答します
  • AM5N との2台同時運用、電源・三脚・鏡筒の組み合わせもまとめてご提案します
  • ショップ未掲載の Askar SQA60 pro など、お取り寄せの可否もこちらでご確認ください
  • LINE 登録で特別クーポン配布中

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最終更新: 2026-08-28/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル(AM3N・AM5N・ASIAIR Plus)、アストロアーツ公式(ステラショット3 マニュアル・アップデータ履歴)、Askar 公式仕様表 に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑨ よくあるご質問

Q. ステラショットで ZWO AM5 のオートガイドができません。故障ですか?

故障ではありません。アストロアーツ公式のアップデータ履歴には、3.0o(2026年1月22日公開)の望遠鏡制御項目として「ZWO AM5に対応(ガイド端子は使用できません)」と明記されています。オートガイド設定ダイアログの「パルス出力」を「望遠鏡の微動」に変更してください。ステラショットのバージョンが 3.0o より前の場合は、まずアップデートが必要です。

Q. AM3N に ST4 端子はありますか?

あります。ZWO 公式マニュアルの仕様表に「Auto guide port:ST4」、端子解説にも「⑨ Auto guide: ST-4 compatible auto guide port.」と記載されています。AM5N も同じく ST4 を備えます。一方でアストロアーツの公式ガイドは「AM5の仕様により、ガイド端子でのガイド制御ができません」と説明しており、両社の説明は食い違っています。実務上は、ステラショットで運用する限り ST4 経路は使えず「望遠鏡の微動」で補正する、と理解しておけば足ります。

Q. ステラショット3 は AM3N に対応していますか?

2026年8月時点で、アストロアーツ公式のアップデータ履歴にも ZWO 接続ガイドにも、記載があるのは「ZWO AM5」のみで、AM3 および AM3N の記載は確認できません。ただしステラショットは ASCOM 接続に対応しており、ZWO 公式 ASCOM Driver は AM5・AM3 を対象と明記しているため、ASCOM 経由という経路自体は存在します(動作保証はありません)。確実を期すならアストロアーツのサポートへ機種名を挙げてご確認ください。AM3N を ASIAIR で運用する前提であれば、この点は購入判断から外せます。

Q. AM5N と AM3N を同じ夜に2台同時に動かせますか?

機材としては可能です。ただしステラショットの使用許諾は「同時に本ソフトウェアを使用しないという条件で、複数のコンピュータにインストール(複製)して使用できます」と定めているため、1ライセンスで2セットを同時に PC 制御することはできません。片方を ASIAIR に任せる、またはライセンスをもう1本用意する、のいずれかになります。

Q. ASIAIR を2台使うとき、スマホから両方操作できますか?

できます。両方を Station モードで同じ Wi-Fi に参加させ、アプリの「Switch Device」から切り替えます。デバイス名は識別しやすい名前に変更できます。ASIAIR V3.0 では接続・切り替え・切断がホーム画面に集約されました。なお Station モードは 2.4GHz のみ対応です。

Q. AM3N の積載 8kg に、FL280mm クラスの鏡筒とカメラ一式は収まりますか?

このクラスであれば通常は収まります。Askar SQA60 pro は鏡筒バンド・アリガタ込みで 3.54kg、SQA70 は 3.5kg、SQA55 は鏡筒 1.84kg です。ただし積載可否は総重量で決まりますので、実際に載せる構成の合計を実測してください。ウェイトを使う場合は 5kg 以下が推奨、5kg 時のアーム長は 20〜30cm の範囲です。

Q. 冬の遠征で気をつけることはありますか?

AM3N の動作温度は -20〜40°C ですが、公式マニュアルは周囲温度が 0°C を下回る場合、上位ソフト側で低温時の高負荷設定を有効にすることを推奨しています。電源は 12V/3A 以上が必要で、入力電圧が 10.8V を下回ると本体ブザーが低電圧警告を鳴らします。

Q. 「見えない天体が導入できない」を一番安く解決する方法は?

いまお使いの機材のままプレートソルビング(ステラショットの「導入補正」)を常用することです。撮影画像を解析して導入ずれを自動補正するため、目視で確認できない対象でも座標で追い込めます。赤道儀の買い替えは、その次の段階で検討して問題ありません。

参考にした一次情報

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最終更新: 2026-08-28/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル(AM3N・AM5N・ASIAIR Plus)、アストロアーツ公式(ステラショット3 マニュアル・アップデータ履歴)、Askar 公式仕様表 に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。