アスカー Askar 80ED 用 1x フラットナー(Flattener)|使い方・撮影設定 完全ガイド

アスカー Askar 80ED 用 1x フラットナー(Flattener)|使い方・撮影設定 完全ガイド

アスカー(Askar)80ED 用の 1x フラットナーは、80ED の焦点距離 560mm/f/7 を変えずに、APS-C 受光面の隅まで星像を点像に近づけるための光学アクセサリーです。本記事では、公式の仕様(後端 M54×0.75 + M48×0.75・必要バックフォーカス 55mm・トリプレット光学設計・重量 0.42kg)を起点に、80ED に取り付けるまでの接続チェーン、ZWO ASI2600 系などの冷却カメラでの 55mm 構成例、撮影時の F 値・露光・ゲインの目安、そして「隅の星が伸びた/歪んだ」ときの原因切り分けまで、一次情報のみを根拠に整理します。

図1. 接続チェーン模式図(M48 経路・最小構成) Askar 80ED (後端 2"アダプタを外す) 1x フラットナー M54×0.75 雄 M48×0.75 雄(後端) 延長筒 (カメラ依存) カメラ(センサ) フランジ→センサ距離は 機種ごとに異なる バックフォーカス=55mm(M48 雄ねじ後端基準) 許容差は数 mm のため正確に合わせる
出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」§Specifications(バックフォーカス 55mm/M48 雄ねじ基準・後端ねじ M54×0.75 と M48×0.75)と Sharpstar Optics 公式「80ED」§Specifications(後端 2"アダプタ)を元に作図

① 1x フラットナーは何のための装置か(像面湾曲補正の原理)

屈折鏡筒は、本来「球面に近いカーブを描く焦点面」を持つ光学系です。フラットナー(field flattener)を入れずに撮影すると、中心の星像は点像でも、隅の星像が「コマ収差」「像面湾曲」によって伸びて見えます。フラットナーはこの像面湾曲を補正し、平面センサーの隅までほぼ点像に近づける働きをします。

Askar 80ED 用 1x フラットナーは、その名前のとおり 焦点距離・F 値を変えずに(×1) 像面だけを平らにします。0.85x/0.7x レデューサーが焦点距離を縮めて F 値を明るくする(その代わり構図が広くなる)のと役割が異なるため、まずこの違いを押さえます。

出典: Stellarvue 公式「Using Photographic Field Flatteners」(「stars that are not in the center will appear distorted」「spacing is critical」)/Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」(1x Flattener: focal length 560mm / focal ratio f/7)

② Askar 80ED 1x フラットナーの基本仕様

公式の仕様表を以下に示します。本記事に登場する数値は、特に注記のない限りこの表に基づきます。

項目
装着後の焦点距離 560mm(80ED 単体と同じ)
装着後の F 値 f/7(80ED 単体と同じ)
光学設計 トリプレット(うち 1 枚 ED ガラス)
補正イメージサークル APS-C 最適化
必要バックフォーカス 55mm(後端 M48 雄ねじ基準)
重量 0.42 kg
後端ねじ M54×0.75 と M48×0.75(内側に M48×0.75 フィルターねじ)
回転機構 360° カメラローテーター内蔵

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」§1x Flattener Specifications(焦点距離・F 値・トリプレット・APS-C・55mm・0.42kg・M54×0.75/M48×0.75)/All-Star Telescope(Askar 取扱店)製品ページ(回転機構・フィルターねじ)

③ バックフォーカス 55mm — 業界標準と理由

Askar 80ED 用 1x フラットナーの必要バックフォーカスは 55mm です。この「55mm」という数値は Askar 固有のものではなく、フィルム時代の一眼レフ・T リング系寸法に由来する業界標準の値で、現在も多くの M48 系フラットナー・レデューサーがこの値を共通仕様にしています。

大切なのは、55mm を「フラットナー後端の M48 雄ねじ表面 → カメラセンサー面まで」の距離として測ることです。フラットナーから先(カメラ側)に取り付けたあらゆる部材(延長筒、フィルターホイール、オフアキシスガイダー、カメラ前面アダプタ、カメラ本体のフランジ→センサ距離)すべての厚みを足して 55mm にします。

バックフォーカスの許容差は光学設計に依存しますが、一般に「数 mm(多くの場合 ±1〜2mm 程度)」の精度で合わせる必要があり、外れると隅の星像が伸び始めます。後述の「⑦ 計算式」と「⑨ 星像歪み」のセクションで具体的な合わせ方と確認方法を扱います。

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」(Back focus: 55mm from the base of M48 male thread)/Stellarvue 公式「Using Photographic Field Flatteners」(「Standard DSLR cameras with t-rings have a back focus of 55 mm」「spacing is critical」「Do not attempt to measure this yourself. Check with the camera manufacturer.」)

④ 接続チェーン徹底解説(M48 経路 / EFW 介在 / フィルターねじ直結)

接続には大きく分けて 3 つのパターンがあります。撮影スタイルに合わせて選びます。

パターン A:最も簡潔(フィルター・EFW なし)

構成:80ED → 1x フラットナー → 延長筒 → カメラ

用途:ワンショットカラー(OSC)系の冷却カメラやミラーレスを単体で使う場合。光路にフィルターを入れない、または後述の「内側 M48 フィルターねじ」に薄型フィルター 1 枚だけ入れる場合に最短で組めます。

パターン B:内側 M48 フィルターねじ直結(薄型フィルター 1 枚)

構成:80ED → 1x フラットナー(後端 M48 内側に 2 インチ フィルターをねじ込み)→ 延長筒 → カメラ

1x フラットナーの後端 M48×0.75 のさらに 内側 に M48×0.75 のフィルターねじが切られているため、UV/IR カット、デュアルナローバンド、ブロードバンド用などの薄型 2 インチフィルター(M48 ねじ)を フィルターボックスや EFW なしで 1 枚だけ直結できます。光路をできるだけ短くしたいときに有効です。

パターン C:EFW(電子フィルターホイール)を挟む

構成:80ED → 1x フラットナー → 延長筒 → EFW → 延長筒(短)→ カメラ

ナローバンド多色撮影(SHO・HOO 等)のためにフィルターを電動で切り替えたい場合は、ZWO EFW のような電子フィルターホイールを光路に挟みます。EFW を入れると 55mm 構成の余裕がほぼ無くなる(あるいは 56mm 構成になる場合もある)ため、各部材の厚みを正確に積算する必要があります。ZWO の公式ガイドでは ASI2600 と EFW を組み合わせた構成例で「back focus distance in this case is 56mm」と明記されているケースもあります。

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」(後端 M48×0.75 とその内側のフィルターねじ)/ZWO 公式「ASI2600: 4 Connection methods to get 55mm back focus length」(EFW を介在させた構成での 55〜56mm 例)

⑤ 装着前チェックリスト(鏡筒側準備)

80ED 本体側の準備として、以下を確認します。

  • 鏡筒後端の 2 インチアダプタを外す:80ED は工場出荷時、後端に 2 インチアダプタが取り付けられています。1x フラットナーを直接ねじ込むためには、まずこの 2 インチアダプタを外して、フラットナーの M54×0.75 雄ねじが直接 80ED 後端のメスねじに噛むようにします。
  • フォーカサーのロックねじ位置を確認:80ED のフォーカサーは 2.5 インチ デュアルスピード ラック&ピニオン、トラベル約 7cm、3 点ロック方式です。フラットナー+カメラ+(場合により)EFW の重さでフォーカサーが沈み込まないよう、合焦後にロックねじを締めます。
  • フード(フードシールド)の伸縮状態:80ED の鏡筒全長はフード収納時 404mm、伸長時 505mm です。観測中はフード伸長で迷光・夜露対策が向上します。
  • 鏡筒バンド・アリガタの締結:OTA 単体 1.7kg にフラットナー 0.42kg+カメラが加わるため、赤道儀側の積載重量・アリガタの締結を確認します。

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED」§Specifications(後端 2"アダプタ・OTA 1.7kg・全長 404/505mm)/Astromaniac Magazine「Askar 80ED」レビュー(2.5" dual-speed rack & pinion focuser、3 点ロック、約 2.75 インチ=約 7cm のトラベル)

⑥ ステップバイステップ:フラットナー取付手順

  1. 80ED を屋内の安定した作業台に置く:鏡筒バンドのまま、フォーカサーを軽く下向きにして作業すると、内部にホコリが入りにくくなります。
  2. 80ED 後端の 2 インチアダプタを反時計回りに回して外す:固い場合は、鏡筒側ではなくアダプタ側をゴム手袋で保持して緩めます。
  3. フラットナー両端の防塵キャップを外す:1x フラットナーは前後両端にキャップが付いています。光学面に触れないよう、ねじ部だけを持って外します。
  4. フラットナーの前端(M54 雄ねじ)を 80ED 後端にねじ込む:斜めにかじらないよう、ゆっくり手で回し、最後まで軽く突き当てます。
  5. カメラ側の必要部材(延長筒・EFW・カメラ)を、合計 55mm になるよう順番に取り付ける:後述の「⑦ 計算式」を使ってカメラ側の各部材の厚みを積算します。
  6. 360° ローテーターで構図を回す:1x フラットナーには 360° カメラローテーターが内蔵されています。カメラ接続後にローテーターのロックねじを緩め、構図に合わせて回転させ、ロックねじを締めます。
  7. 合焦後にフォーカサーロックを締める:フォーカサー側 3 点ロックの順序を守って、焦点位置がずれないように固定します。

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」(取付指示・360° rotator・両端キャップ)/Sharpstar Optics 公式「80ED」(後端 2"アダプタを外す前提)/Scopetrader レビュー(all of them include a built-in rotator)

⑦ バックフォーカス計算式(実例 3 パターン)

図2. バックフォーカス計算式 55mm = 延長筒の合計厚み + EFW 等の挟み込み厚み + カメラ側フランジ→センサ距離 (フラットナー後端 M48 雄ねじ表面 → センサー面 までの直線距離) 許容差は数 mm(一般に ±1〜2mm)
出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」(Back focus: 55mm from the base of M48 male thread)/Stellarvue 公式「Using Photographic Field Flatteners」(spacing is critical)

実例 1:ZWO ASI2600MC Pro 単体(フィルターなし)

ZWO の公式情報によると、ASI2600 系のカメラはフランジ(カメラ前面のメスねじ面)からセンサ面までの距離が 17.5mm で、標準パッケージに 21mm 延長筒16.5mm T2-M48 変換アダプタ が同梱されています。

部材 厚み
21mm 延長筒(ZWO 同梱) 21.0 mm
16.5mm T2-M48 変換アダプタ(ZWO 同梱) 16.5 mm
ASI2600 フランジ→センサ距離 17.5 mm
合計 55.0 mm

出典: ZWO 公式「ASI2600: 4 Connection methods to get 55mm back focus length」(Method 1: T2-M48 16.5mm/21mm 延長筒同梱/フランジ→センサ 17.5mm)/ZWO ASI2600 公式マニュアル PDF

実例 2:1x フラットナーの内側 M48 フィルターねじに薄型フィルターを 1 枚入れる場合

フラットナーの後端内側 M48×0.75 のフィルターねじに、UV/IR カットまたはデュアルナローバンドの 2 インチ薄型フィルター(厚 2mm 前後)を直接ねじ込みます。この場合、フィルター厚は フラットナーより前 ではなく 後ろ の光路に追加されるため、合計バックフォーカスにフィルター厚の一部が影響します。光学一般の概算則として「光路に挿入したガラス(屈折率 n≈1.5)の見かけ光路は実厚みより約 1/3 短くなる」ことが知られていますが、Askar 公式マニュアルにはこの補正値の明記がないため、実撮影でテスト → 数 mm 単位で合わせ込みが確実です。

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」(フラットナー後端内側の M48×0.75 フィルターねじ)。フィルター厚による光路補正の一般則は Askar 公式マニュアルには明記なし — 本記事は光学一般則として記載

実例 3:ZWO EFW(2 インチ・36mm 等)を挟む構成

ZWO EFW 系の電子フィルターホイールはおおむね 厚み 20mm 前後 です。ZWO 公式は ASI2600+EFW+OAG 接続で「back focus distance in this case is 56mm」の構成例を示しており、こちらに合わせ込むケースもあります。EFW を挟んで 55mm を厳守する場合、ASI2600 同梱の 21mm 延長筒は使わず、より短い延長筒の組み合わせに置き換えるなど、構成全体の再計算が必要です。

出典: ZWO 公式「ASI2600: 4 Connection methods to get 55mm back focus length」(Method 2/3: EFW を介在させた構成、back focus 56mm 例)

微調整したい場合:M54/M48 Backfocus Adjuster(BFA)

「あと 1mm だけ足したい/引きたい」というときに、Askar 純正の M54/M48 Backfocus Adjuster(BFA)が使えます。公式仕様によると、調整域 16-20mm、厚み 18mm、±2mm の微調機能(目盛精度 0.05mm)です。本格的なミリ単位の追い込みに有効です。

出典: Sharpstar Optics 公式「M54/M48 Backfocus Adjuster」§Specifications(adjustment range 16-20mm/±2mm 調整/0.05mm 精度/18mm 厚/CNC machined)

⑧ 撮影設定の基本(F 値・露光・ゲイン・冷却)

1x フラットナー装着時の Askar 80ED は 焦点距離 560mm/f/7 です。F 値は変化しないため、80ED 単体時と同じ露光戦略が使えます。以下は経験則として一般的な目安です(カメラ・ガイド精度・空の明るさ・対象によって最適値は変わります)。

項目 目安(経験則)
ブロードバンド(OSC、UV/IR カット) 1 サブ 60〜180 秒、総露光 60〜180 分
デュアルナローバンド(光害地) 1 サブ 180〜300 秒、総露光 2〜4 時間
ナローバンド(SHO・HOO) 1 サブ 180〜600 秒、総露光 4〜10 時間
冷却カメラ センサ温度 外気温に対し −10℃ 程度(ダーク再利用の観点で固定温度推奨)
ゲイン(ZWO ASI 系の例) 推奨ユニティゲインまたは HCG モード境界値(カメラのマニュアルに従う)

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」(1x Flattener: f/7・560mm)。上記露光・ゲインの数値は Askar 公式マニュアルには明記なし — 本記事は経験則として記載しています(光害地・ガイド精度・対象により実値は変化)

⑨ 隅の星が伸びた・歪んだ — 原因切り分け

図3. 星像歪みパターン(向きから原因を判定) センサーが遠すぎ(>55mm) 隅の星が中心方向に伸びる センサーが近すぎ(<55mm) 隅の星が放射状(外向き)に伸びる センサーが傾いている 一部の隅だけ歪む
出典: Stellarvue 公式「Using Photographic Field Flatteners」(「stars around the edge will appear distorted」「spacing is critical」)。星像方向と原因の対応は屈折光学一般の知見として記載

隅の星が乱れたときは、まず「歪みのパターン」を見て原因を切り分けます。

  • 四隅すべての星が「中心方向」へ伸びている:センサーがフラットナーから 遠すぎ。延長筒を短くする、または BFA で 1-2mm 引きます。
  • 四隅すべての星が「放射状(外向き)」へ伸びている:センサーがフラットナーに 近すぎ。延長筒を長くする、または BFA で 1-2mm 足します。
  • 四隅のうち 1〜2 隅だけ歪んでいる:センサーチルト(傾き)の可能性。フラットナー〜カメラ間のねじ込みが斜めにかじっていないか、カメラ側のフランジが均一に接触しているかをまず確認します。改善しない場合は ZWO M54 Tilter のようなチルト調整プレートで光軸とセンサー面を直交させる方法があります。
  • 中心の星まで甘い:フラットナーの問題ではなく 合焦不足。Bahtinov マスク等を使って中央でピントを追い込みます。

出典: Stellarvue 公式「Using Photographic Field Flatteners」(隅の星像歪み)/ZWO 公式 M54 Tilter 製品ページ(M3 ねじ 3 点でセンサー面を傾き調整)

⑩ 1x フラットナー vs 0.85x/0.7x レデューサー — どう選ぶ?

Askar は 80ED 用に 3 種類のイメージング補正アクセサリを用意しています。役割と画角・F 値の違いを以下にまとめます。

アクセサリ 合成焦点距離 合成 F 値 重量 想定用途
1x フラットナー 560mm f/7 0.42kg 中サイズ星雲・系外銀河/構図を狭めたいとき/月(高分解能優先)
0.85x レデューサー 476mm f/5.9 0.44kg 中〜広視野の散光星雲/バランス重視の標準セットアップ
0.7x レデューサー 392mm f/4.9 0.32kg 広い散光星雲・天の川領域/短時間で総露光を稼ぎたいとき

すべて 後端ねじ M54×0.75 と M48×0.75・必要バックフォーカス 55mm・APS-C イメージサークルで共通しているため、カメラ側のスペーサ構成は流用できます。撮影対象(星雲のサイズ)や、ガイド精度・空の明るさ・露光時間の制約に応じて使い分けます。

出典: Sharpstar Optics 公式「80ED Imaging Accessories」§Specifications(3 種それぞれの focal length / focal ratio / weight / back focus / 後端ねじ)

本記事のテーマである 1x フラットナー本体、そして同じ 80ED ファミリーの関連商品です。

⑬ 商品ページ・公式 LINE のご案内

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最終更新: 2026-06-29/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sharpstar Optics(Askar)公式サイト・公式マニュアル、ZWO 公式ガイド・公式マニュアル、Stellarvue 公式技術解説に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑭ よくあるご質問(FAQ)

Q1. 1x フラットナーを付けると焦点距離・F 値は変わりますか?

変わりません。1x(×1)の名のとおり、Askar 80ED に取り付けた状態で 焦点距離 560mm/f/7 です。0.85x/0.7x レデューサーは焦点距離を縮めて F 値を明るくしますが、1x フラットナーは像面の湾曲を補正するだけで画角・露光時間の戦略は 80ED 単体と同じです。

Q2. APS-C より大きいフルフレームセンサでも使えますか?

1x フラットナーの公式の補正イメージサークルは APS-C 最適化です。フルフレームでも中央〜中央寄りは使えますが、隅の星像は APS-C 範囲外で評価対象外となるため、フルフレームをフルに使った撮影は推奨されません。フルフレーム志向の方は、より大きなイメージサークルの撮影鏡(Askar の上位機など)の検討をおすすめします。

Q3. ZWO ASI2600MC Pro と組み合わせる場合、追加部材は必要ですか?

基本的に追加部材は不要です。ZWO 公式の構成例(4 Connection Methods)のうち最も簡潔な Method 1 は、ASI2600 標準同梱の 21mm 延長筒+16.5mm T2-M48 変換アダプタ+カメラ本体(フランジ→センサ 17.5mm)の合計 55mm で完結します。EFW を挟む場合はその厚みぶん延長筒を見直してください。

Q4. フィルターはどこに入れればよいですか?

3 通りあります。① フラットナー後端内側の M48×0.75 フィルターねじに薄型 2 インチフィルター 1 枚を直結する(最短)、② 電子フィルターホイール(EFW)を光路に挟んで複数フィルターを電動で切り替える、③ カメラ本体内部のフィルタードロワーを使う。①は最も省スペースですが、撮影中のフィルター差し替えはできません。多色ナローバンドなら②、ブロードバンド単発なら①が向きます。

Q5. 隅の星が伸びたら、どう判断すればよいですか?

歪みの「向き」を見ます。中心に向かって伸びる=センサーが遠すぎ(延長筒を短くする/BFA で引く)、放射状(外向き)に伸びる=センサーが近すぎ(延長筒を長くする/BFA で足す)、四隅のうち一部だけ歪む=センサーチルト(接続ねじが斜めかじりしていないか確認、必要に応じてチルトプレートを導入)。中心まで甘い場合はバックフォーカスではなく合焦の問題です。

Q6. 360° ローテーターはどのタイミングで回せばいいですか?

合焦の前後どちらでも構いません。ローテーターのロックねじを緩めてからカメラを回し、構図を決めてから締め直します。締めるときは均等に少しずつトルクをかけ、片締めしないようにします。回転中にバックフォーカスが変わることはありません。

Q7. 1x フラットナーと 0.85x レデューサーはどう使い分けますか?

撮影対象の 視直径で選びます。M31(アンドロメダ大星雲)や北アメリカ星雲のような広い散光星雲は 0.85x/0.7x、M27(亜鈴状)や M57(リング)、外銀河、月の高解像度ショットなどは 1x が向きます。F 値は 1x が f/7、0.85x が f/5.9 なので、空が明るい・短時間で総露光を稼ぎたい場合は 0.85x/0.7x のメリットが大きくなります。

Q8. 80ED のフォーカサーはこの構成の重さに耐えますか?

80ED のフォーカサーは 2.5 インチ デュアルスピード ラック&ピニオン、3 点ロック方式です。フラットナー(0.42kg)+ EFW(およそ 0.5kg 前後)+ ASI2600 系冷却カメラ(およそ 0.7kg 前後)で合計 1.6〜1.8kg 程度になります。合焦後は 3 点ロックのねじを必ず締めて、自重で沈み込まないようにします。長時間撮影の途中で焦点位置がずれていないか、Bahtinov マスクや FWHM の推移で適宜チェックします。

⑮ 参考にした一次情報

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最終更新: 2026-06-29/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sharpstar Optics(Askar)公式サイト・公式マニュアル、ZWO 公式ガイド・公式マニュアル、Stellarvue 公式技術解説に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。