ZWO PE200 の使い方・撮影設定完全ガイド|AM5N 新型ハーモニックドライブ赤道儀と組む 200mm ハーフピラー活用術【2026 年最新】

ZWO PE200 の使い方・撮影設定完全ガイド|AM5N 新型ハーモニックドライブ赤道儀と組む 200mm ハーフピラー活用術【2026 年最新】

ZWO PE200 は、AM3N / AM5N / AM7 ハーモニックドライブ赤道儀の直下に差し込んで、鏡筒と三脚のクリアランスを 200mm 押し上げる「ハーフピラー(ピアエクステンション)」です。長い鏡筒での天頂付近撮影時の脚部干渉、低緯度でカウンターウェイトを付けた際のバー干渉、そして AM5N の新設計 saddle(USB-C・DC 出力・アジマススプリング)を最大限に活かすための「たった一つの高さ稼ぎ」を担う縁の下のアクセサリーで、天体撮影ワークフローの完成度を大きく引き上げます。本記事では、PE200 単体の仕様、AM5N をはじめとする対応マウント/三脚、組み立て手順(AM5 公式マニュアル §3.2.3 準拠)、極軸合わせから GOTO・撮影までのワークフロー、そして撮影設定と物理挙動(重心・振動・回転範囲)への影響を、ZWO 公式マニュアルおよび公式製品ページの一次情報のみに基づいて整理します。

① ZWO PE200 とは何か|200mm ハーフピラーの役割

ZWO PE200 は、ZWO 社のハーモニックドライブ赤道儀(AM3N・AM5N・AM7)と三脚の間に挿入して、鏡筒の設置高さを 200mm(約 8 インチ)持ち上げるためのアルミ製ピアエクステンションです。天体撮影の現場で発生しがちな「鏡筒が長すぎて三脚と接触する」「低緯度でカウンターウェイトを追加したらバーがマウント本体に衝突しそう」「配線が DEC 軸に巻き付いてしまう」といった物理的な干渉問題を、機材構成を大きく変えずに解消できる縁の下のアクセサリーです。

PE200 本体の仕様は、正規代理店 Astronomics の商品ページに以下のように記載されています。

項目
高さ(延長量) 約 200mm(7.9 インチ)
重量 3.5 ポンド(約 1.6kg)
耐荷重 110 ポンド(約 50kg)
素材 航空機グレードアルミ(aircraft grade aluminum)
加工方法 CNC マシニング加工
同梱アダプタープレート Sky-Watcher アダプタープレート(First Light Optics 記載)

出典: Astronomics - ZWO PE200 Pier Extension for the AM5 Mount (Specifications / Description)First Light Optics - ZWO PE200 Pier Extension for AM3, AM5 & AM7 Mounts (Product info)

本体は「筒」ではなく、上端と下端に精密加工されたフランジを持つ短い柱状の部品です。上端のフランジは AM3N / AM5N / AM7 のベースフランジと同じインターフェースを備え、マウント本体をそのまま乗せ替えできる設計になっています。下端のフランジは ZWO TC40 三脚の頭部プレートと直結できるほか、シルバーヘッドプレートを外すと現れる二次マウント穴に別売/同梱のアダプタープレートを装着することで、Sky-Watcher・iOptron の 1.75 インチ規格三脚、および 2 インチ Celestron 三脚に取り付けられます。

出典: Astronomics 商品説明("200mm of height for improved tripod clearance")ZWO 公式 AM5 FAQ(PE200 は PE70 より取り付けが簡単で、PE160 より安定性が高い)

② PE200 を導入すべきユーザー|3 つの典型シーン

用途 1|長い鏡筒での天頂付近撮影時の脚部干渉を防ぐ

AM3N / AM5N は本体が非常にコンパクトなハーモニックドライブ赤道儀で、鏡筒を直接取り付けると、天頂近くを狙った際に鏡筒の対物側や接眼側が三脚脚部(TC40 のトライアングルスプレッダー付近)と接触する構図が発生することがあります。特に大口径・長焦点の屈折鏡筒(例: 100mm 前後の APO 屈折や、Celestron C11 のような SCT)を載せる際に顕著です。ZWO 公式 AM5 FAQ でも、「長い OTA を使用する場合は衝突回避のためピア延長が必要な可能性がある」と明記されています。

出典: ZWO AM5 FAQ(PE200 は「the length of your optical tube assembly to avoid collisions」目的で使用)

用途 2|低緯度でカウンターウェイトを装着したいとき

AM5 系はカウンターウェイトなしで 13kg(AM5N は 15kg)まで搭載できる高トルク設計ですが、総重量 10kg を超える構成では公式マニュアル §3.2.4 が対重を「安定性確保のため推奨」しています。ここで問題になるのが、低緯度(赤道に近い地域や、南天低空を狙う構図)では極軸方向が水平に近づき、カウンターウェイトバーとマウント本体・三脚の間隔が極端に狭くなる点です。PE200 で 200mm 底上げすれば、対重バーの回転円がマウントベースを避けられるようになり、GOTO 中の意図しない接触リスクを大幅に減らせます。

出典: ZWO AM5 FAQ("in low latitudes, ... adding a counterweight, ... may need to add pier extensions to prevent the bar and the counterweight from hitting the mount")ZWO AM5 User Manual V1.0 §3.2.4 Optional Counterweight Installation("in order to ensure the stability of the equipment, it is recommended to use a counterweight when the total weight of the telescope reaches 10kg")

用途 3|AM5N の DEC 側 saddle 端子とケーブルを 360° 自由に回したいとき

AM5N(新型)は AM5(旧型)に対して DEC 側 saddle 上に USB-C 端子と 12V DC 出力端子(5.5×2.1mm)を新設し、「ケーブルが DEC 軸を跨がない構成」を実現しています。これにより、鏡筒側のカメラ・EAF・フィルタホイール等の配線を saddle 上に集約して DEC 軸を 360° 回しても引っ掛からない、というのが AM5N の大きなセールスポイントです。しかし鏡筒が長い場合や、鏡筒側にファインダー・ガイドスコープが並列するとき、DEC 軸を回し切った瞬間に鏡筒下部や配線が三脚頭に触れることがあります。PE200 の 200mm 底上げは、この 360° 回転の物理クリアランスを確保するうえでも合理的です。

出典: ZWO 公式 "My experience with ZWO AM5 and AM5N mounts"("USB port on the saddle" / 12V DC 出力を saddle に追加)

③ 対応マウント・対応三脚一覧

対応マウント(3 機種)

マウント 耐荷重(対重なし/あり) 代表的な PE(周期誤差) 主な特徴
AM3N 8kg/13kg ±15 秒角 本体 4.1kg・入門機・USB-C + 12V DC ポート付き
AM5N 15kg/20kg(対重 5kg 以下) ±10 秒角(288 秒周期) USB-C・DC 出力・Bluetooth・アジマススプリング
AM7 (公式製品ページ確認時点で当該仕様表は非取得) (同上) 大型鏡筒向け上位機・PE200 対応マウントとして名称のみ確認

出典: ZWO 公式 AM3N 商品ページ(本体 4.1kg/耐荷重 8-13kg/PE ±15"/300:1 減速)ZWO 公式 AM5N 商品ページ(推奨 12V・低電圧 10.8V アラーム・対重 5kg 以下・レバーアーム 20-30cm・トルク 10-15 N·m)ZWO 公式 experience 記事(AM5N: 15kg/20kg・PE ±10"・288 秒)First Light Optics - PE200(対応マウント AM3, AM5, AM7 と明記)

対応三脚(4 系統)

三脚 接続方法
ZWO TC40 カーボン三脚 PE200 の下端フランジをそのまま TC40 頭部に載せ、専用シルバープレート/ロックノブで固定(純正組合せ)
Sky-Watcher 三脚(1.75 インチ規格) PE200 下端のシルバーヘッドプレートを外し、同梱の Sky-Watcher アダプタープレートを装着
iOptron 三脚(1.75 インチ規格) 同様にシルバーヘッドプレートを外し、iOptron 用アダプタープレートに交換して接続
Celestron AVX 系(2 インチ規格) 2 インチ規格の対応アダプタープレートを介して接続

出典: ZWO 公式 AM5 FAQ(TC40 直結手順「insert the PE200 into the TC40 → tighten the locking knobs → attach the AM5 to the pier extension → secure by tightening the locking knobs on top of the PE200」)Astronomics 商品説明(1.75" iOptron/Sky-Watcher, 2" Celestron 対応の記述)

④ 標準組み合わせ|ZWO TC40 + PE200 + AM5N の全高目安

AM5N の純正三脚である ZWO TC40 カーボン三脚(2 段カーボン脚・耐荷重 50kg クラス)と PE200 の組合せは、以下の高さプロファイルになります。

構成 高さ(サドル面まで、目安) 主な使いどころ
TC40 最低高 + AM5N(PE200 なし) 約 47cm + AM5N 本体高 短鏡筒・ローアングル運用・積載重視
TC40 最高高 + AM5N(PE200 なし) 約 80cm + AM5N 本体高 標準構成・撮影・電視観望両対応
TC40 最高高 + PE200 + AM5N 約 80cm + 200mm + AM5N 本体高 長鏡筒・低緯度カウンターウェイト運用・DEC 360° 回転構成

出典: ZWO TC40 の高さ諸元(最大 31.5"/約 80cm、最小 18.5"/約 47cm、収納 19.7"/約 50cm、重量 2.3kg、耐荷重 50kg)は us.zwoastro.com/products/zwo-tc40 の検索スニペット記載値。AM5N 本体高そのものは公式製品ページに未掲載のため、上表は「+ AM5N 本体高」と表現するに留めています。

⑤ PE200 の組み立て手順|AM5 公式マニュアル §3.2.3 準拠

ZWO AM5 User Manual V1.0 の §3.2.3「Connection to ZWO AM5」に記載されたピア延長の取り付け手順は、非常にシンプルな 3 ステップです。AM5N でも同じ手順が使えます(マウントベースの物理インターフェースは AM5 と共通のため)。

  1. ステップ 1:三脚(例:TC40)を通常どおり展開し、水平を確認する。TC40 の場合は付属のトライアングルスプレッダーをロックし、脚の水平を出す。
  2. ステップ 2:PE200 の下端フランジを三脚頭部に差し込み、専用ロックノブ(TC40 の場合はシルバープレートに付属)で締結する。他社三脚を使う場合はここで対応アダプタープレートを介する。
  3. ステップ 3:AM5N(もしくは AM3N・AM7)本体を PE200 の上端フランジに載せ、上端のロックノブで締め込む。ホームポジションになっていることを確認して電源投入。

出典: ZWO AM5 User Manual V1.0 §3.2.3 Connection to ZWO AM5("1. Attach the pier extension to the tripod; 2. Attach the AM5 mount to the pier; 3. Installation completed")、ZWO AM5 FAQ - TC40 接続手順

他社三脚を使う場合の追加手順として、Astronomics の商品説明には次の記述があります:「For users with iOptron or Sky-Watcher tripods, simply remove the silver head plate from the bottom of the pier extension to reveal the secondary mounting holes. Then attach the appropriate adapter plate to the ZWO PE200 pier and tripod, and secure it using the M10 locking knob or two screws for iOptron tripods.」— つまり PE200 下端のシルバーヘッドプレートを一度外し、対応アダプタープレートを介して他社三脚に接続する形になります。

出典: Astronomics - PE200 商品説明(他社三脚接続手順)

⑥ AM5N + PE200 の標準撮影ワークフロー

PE200 は「電気的な機能」を持たない機械的なアクセサリーなので、ソフトウェア/ASIAIR 側の設定は AM5N の通常運用と全く同じです。ここでは AM5 User Manual と AM5 FAQ に基づく標準ワークフローに、PE200 が入った場合の物理的注意点を上乗せする形で整理します。

  1. ホームポジション確認と電源投入:AM5/AM5N は電源投入時にホームポジション(RA・DEC ともに機械ゼロ位置)から起動する前提です。もしホーム位置になければ、公式マニュアル Tips §3 が明記するとおり「電源投入直後、いかなる GOTO コマンドの前にも」ホームへ戻します。ハンドコントローラの Cancel ボタンを 3 秒長押しでゼロ復帰します。前回撮影終了時にホームへ戻さず電源を落としていた場合、この復帰動作でズレが出るので、PE200 導入の有無に関わらず「撮影終了時は必ずホームへ戻して電源を切る」を徹底します。
    出典: ZWO AM5 User Manual V1.0 Tips §3 / §3.1 ハンドコントローラ Cancel 長押し 3 秒でホームへ
  2. ハンドコントローラ/ASIAIR/PC の接続:AM5/AM5N は ASIAIR(無線 or 有線 USB)、ASCOM ドライバ経由の PC 制御(Maxim DL・NINA・SGP など)、INDI プラットフォーム経由の Linux 制御に対応。ハンドコントローラの WiFi ホットスポットは AMH_***** の名称で、デフォルトパスワードは 12345678。忘れた場合は Tracking + Cancel を 5 秒長押しでリセットできます。
    出典: ZWO AM5 User Manual V1.0 §3.4 Computer Connection / §3.1 ハンドコントローラ WiFi パスワード / §Preface(ASIAIR/ASCOM/INDI 対応)
  3. 電子極軸合わせ(ASIAIR Polar Alignment):AM5N には光学極軸望遠鏡は組み込まれておらず、ASIAIR の電子極軸合わせ機能を使うのが標準です。ASIAIR がプレートソルビングでガイド/メイン鏡筒の写野を解析し、RA を約 60° 回転してもう 1 枚撮影、その差分から高度・方位のズレ量を計算して表示します。ユーザは AM5N ベースの高度微動ノブ・方位微動ノブを回して指示された量だけ追い込みます。
    出典: ZWO 公式 AM5 FAQ(ASIAIR の polar align:プレートソルブ → RA 60° 回転 → 2 枚目撮影 → 高度・方位差表示)AM5 User Manual §3.1 の高度/方位微動ノブ操作
  4. 初回同期(Sync)と GOTO:極軸合わせ後、ASIAIR で任意の明るい既知天体(例:Vega、Altair 等)に GOTO し、プレートソルブによる同期を実行。同期完了後、目標天体に GOTO する。ASIAIR APP の Equatorial 画面(設定:Tracking/EQ or AZ Mode/GOTO Home[Zero])から一連の操作を実行できます。
    出典: ZWO AM5 User Manual V1.0 §3.3 App 画面説明(Equatorial screen: Tracking / EQ or AZ Mode / GOTO Zero)
  5. 子午線越え(Meridian Flip)の扱い:ハーモニックドライブ赤道儀の AM5N は、機械的にはフリップなしで子午線を跨いで追尾を継続できる構造ですが、AM5 FAQ に「At meridian flip the mount will stop. You can use ASIAIR or a 3rd party acquisition program to meridian flip, otherwise the mount will stop at meridian line」とあるように、実運用ではソフトウェア側の設定次第で「そのまま追尾させる」「フリップさせる」のいずれかを選べます。PE200 で高さが上がったぶん、フリップ時の鏡筒の回転円が三脚脚部に近づくケースがあるので、事前にドライラン(電源投入前の手動回転チェック)で干渉がないことを確認します。
    出典: ZWO AM5 FAQ(子午線フリップの停止/継続動作)
  6. ガイドとオートラン:AM5N は ST4 ハードウェアガイド端子を持ち、ASIAIR 経由でパルスガイド(USB 経由のソフトウェアガイド)も可能。追尾精度は Peter Zelinka 実測で AM5N の PE 実測 Max 9.9" / Min 2.9"、guiding RMSE 0.35"-0.44" が報告されており、公式 PE 公称値 ±10" と整合します。
    出典: Peter Zelinka - ZWO AM5N Review(AM5N PE 実測 Max 9.9"/Min 2.9")ZWO 公式 experience 記事(AM5N guiding RMSE 0.35"-0.44")AM5 User Manual §2(ガイド端子 ST4)
  7. 撮影終了時のホーム復帰:セッション終了時は必ずハンドコントローラの Cancel 長押しまたは ASIAIR の Home 動作でホーム位置に戻し、電源を切ります。これを怠ると次回起動時のホーム位置精度が低下し、GOTO の初期段階でズレる原因になります。

⑦ AM5N の新機能を PE200 と組み合わせて活かす

USB-C on saddle と 12V DC 出力(5.5×2.1mm)を DEC 上に集約

AM5N は AM5 に対して、DEC 側 saddle 上に USB-C 端子と 12V DC 出力(5.5×2.1mm)を配置し、鏡筒側の機材(カメラ・EAF・フィルタホイール・ASIAIR)にケーブルを DEC 軸を跨がずに供給できる構造になりました。PE200 で全高が 200mm 上がると、鏡筒から下に垂れるケーブルにゆとりが生まれ、saddle → 鏡筒側機材の配線が DEC 軸回転時に張らずに済みます。

出典: ZWO 公式 experience 記事(USB port on the saddle / 12V DC 出力ポート追加)

Bluetooth モバイル制御と WiFi ハンドコントローラの併存

AM5N は AM5 に追加で Bluetooth 制御機能を持ち、モバイルデバイスから直接接続できます。従来通り AM5 APP/ASIAIR APP の WiFi ホットスポット経由の制御と併存する形で、ハンドコントローラを常時接続しなくても運用可能です。PE200 で高さが増えたときにハンドコントローラの取り回しが気になる場合、Bluetooth 経由のスマホ制御に切り替えるとケーブル 1 本ぶんの取り回しが減ります。

出典: ZWO experience 記事(Bluetooth 追加)AM5 User Manual §3.1 ハンドコントローラ WiFi ホットスポット

アジマススプリング化(AM5N)による方位微動の追い込み

AM5N は AM5 のアジマスロックノブを廃止し、スプリング方式で常時テンションを掛ける構造に変更されました。AM5 では「アジマス微動ノブを締めた瞬間に若干バウンス(跳ね返り)してアライメントがずれる」挙動が報告されていましたが、AM5N ではスプリングテンションのおかげでこの跳ね返りが軽減しています。PE200 導入時は方位微動が三脚頭より 200mm 上の位置で行われるため、締結時の跳ね返りが少ないほど極軸追い込みが楽になり、ASIAIR での 2 パス目・3 パス目の残差が減ります。

出典: ZWO experience 記事(AM5N: "azimuth adjustment locks are gone, and springs keep the tension")

⑧ PE200 導入時の撮影設定と物理的注意点

三脚の広げ方と安定性

PE200 で重心が 200mm 上がると、同じ荷重でも三脚のトルク負荷(脚を広げる方向の力)が大きくなります。ZWO 公式 AM5 FAQ でも「砂やバッテリーを入れた重り袋で安定性を向上できる」と記載されており、PE200 併用時は特に重要です。TC40 の場合は付属のウェイトフックを最大限に活用し、機材ケース/バッテリーを吊り下げる、あるいは砂袋を追加することで見かけの慣性が増え、風や操作振動への耐性が改善します。

出典: ZWO 公式 AM5 FAQ("weight bag with sand or battery for stability")

カウンターウェイト規格と締結トルク

AM5 / AM5N のカウンターウェイトシャフトは M12 × 1.75 粗ネジ規格で、AM5N 公式ページには推奨カウンターウェイト 5kg 以下、レバーアーム設置範囲 20-30cm、締結トルク 10-15 N·m が明記されています。PE200 の耐荷重(50kg 級)は AM5N の総ペイロード(20kg)を大きく上回るため、PE200 側が構造的なボトルネックになることはまずありません。ただし、対重バーをフルスパンで使う低緯度構成では、AM5N 側の推奨レバーアーム上限を超えないよう注意します。

出典: ZWO AM5N 公式ページ(対重 ≤5kg、レバーアーム 20-30cm、トルク 10-15 N·m)AM5 User Manual §2(Counterweight Thread: M12 × 1.75)Astronomics - PE200(耐荷重 110 ポンド ≒ 50kg)

ピッチ(緯度)調整範囲と 2 段階切替

AM5 / AM5N のピッチ調整は 0°〜90° に対応し、機構的には 2 段階(0-60° と 45-90°)に分かれています。60° を超える緯度で使う場合、本体側面の 2 本の六角ネジを緩めてから、より高いレンジに切り替える必要があります(AM5 User Manual §3.3.1)。PE200 の底上げによって高緯度でもマウント本体の位置は高くなりますが、この 2 段階切替の物理的な必要性は変わりません。国内(北緯 30-45° 帯)で運用する場合は第 1 レンジ(0-60°)に収まるため通常は切替不要です。

出典: ZWO AM5 User Manual V1.0 §3.3.1 How to Adjust the Pitch Angle Range

電源仕様と消費電力

AM5 / AM5N は 12V DC 電源(コネクタ 5.5-2.1mm)、3A 以上のアダプタが推奨、電源電圧が 10V を下回ると本体ブザーで低電圧警告が鳴ります。消費電流は待機 0.4A、追尾 0.6A、GOTO 1.7A。AM5N 公式ページの低電圧アラーム閾値は 10.8V です。PE200 導入で消費電力は増えませんが、遠征では PE200 のぶんケーブルの取り回し余裕が生まれるため、バッテリーを三脚脚元に置いてから DC ケーブルを長めに這わせても引っ張られにくくなります。

出典: AM5 User Manual V1.0 §2(12V ≥3A、消費電流、DC 5.5-2.1)AM5N 公式ページ(推奨 12V、低電圧アラーム 10.8V)

動作温度範囲

AM5 の動作温度範囲は -15°C〜40°C とマニュアル Tips §9 に明記されています。PE200 は機械部品でありモーターや電子部品を含まないため、実用上は「アルミの熱膨張の範囲で撮像中のフォーカスドリフトに影響しうる」程度で、天体撮影の一晩の温度変化(10°C 級)では気になるレベルではありません。氷点下運用時は AM5 本体側の動作範囲を優先します。

出典: ZWO AM5 User Manual V1.0 Tips §9(Operating temperature: -15°C to 40°C)

⑨ 導入判断チェックリスト|PE200 が必要か / 不要か

状況 判定 理由
短焦点鏡筒(例:50-70mm APO・ASIAIR 一体型カメラ)+ TC40 で運用 不要 DEC 回転円が三脚に届かない構成。PE200 なしで問題なし。
100mm 前後の APO 屈折・C8/C11 級 SCT・大型 CDK 反射 推奨〜必須 天頂近くの DEC 回転や子午線越え時に三脚脚部と接触する可能性。
総重量 10kg 以上・カウンターウェイト併用の構成 推奨 対重バーの回転円がマウント本体・三脚頭を避けやすくなる。
低緯度撮影(南九州・沖縄・赤道近傍遠征)でカウンターウェイト使用 ほぼ必須 低緯度でバー端とピア間隔が狭くなる公式指摘あり。
AM5N の DEC 側 saddle 端子(USB-C・DC)を積極活用したい 推奨 DEC 360° 回転時の物理クリアランス確保。
目線高さで接眼鏡や電視観望モニタを見たい(背の高いユーザ) 好みで TC40 最高高 80cm + 200mm で観望姿勢が楽になる。

出典: ZWO AM5 FAQ(低緯度カウンターウェイト+ピア延長の必要性・長い OTA での衝突回避)AM5 User Manual §3.2.4(総重量 10kg 到達で対重推奨)

⑫ ZWO PE200 の商品ページ・公式 LINE のご案内

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最終更新: 2026-08-12/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル・公式製品ページ・公式 FAQ・公式 experience 記事、および正規代理店(Astronomics・First Light Optics)の商品情報に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑬ よくあるご質問(FAQ)

Q1. PE200 は AM5(旧型)にも取り付けられますか?

取り付けできます。PE200 は「AM5 用ピアエクステンション」として発売され、公式マニュアル §3.2.3 に AM5 での取り付け手順が記載されています。First Light Optics 等の正規代理店では AM3 / AM5 / AM7 対応と明記されており、AM5N も含めた ZWO ハーモニックドライブシリーズ共通のインターフェースで使えます。

出典: AM5 User Manual §3.2.3First Light Optics

Q2. PE200 を 2 段スタックして 400mm 稼ぐことはできますか?

公式製品ページ・公式マニュアル・正規代理店の商品説明には、PE200 の 2 段スタック運用に関する動作保証・推奨は記載されていません。物理的なフランジ互換の有無は本記事執筆時点の公式一次情報では確認できないため、実施を検討する場合は ZWO サポートまたは弊社 LINE までご相談ください。ハーフピラー高さを稼ぎたい場合は、PE200 に加えて別モデル(例: PE160)との組合せ検討や、そもそも三脚を高くする方向をおすすめします。

Q3. PE200 を入れると PE(周期誤差)や guiding RMS は悪化しますか?

PE200 は AM5N のモーター・ハーモニックギアの内部特性に影響を与える部品ではなく、機械的な高さ延長のみを行うアルミ製ピアです。ただし全高が 200mm 上がることで、風や操作振動の減衰が変化しうるため、三脚のフットプリントを最大に広げ、ウェイトフックで底面荷重を追加する運用が推奨です。公式・正規代理店の PE 数値は AM5N 単体で PE ±10 秒角、288 秒周期。実測レビュー(Peter Zelinka)では guiding RMSE 0.35"-0.44" が報告されています。

出典: ZWO experience 記事Peter Zelinka - AM5N Review

Q4. Sky-Watcher EQ6 の鋼三脚に PE200 を取り付けたいのですが、アダプターは付属しますか?

PE200 には Sky-Watcher アダプタープレートが同梱される旨、First Light Optics の商品情報に記載があります。Sky-Watcher 系鋼三脚(1.75 インチ規格)にはこのアダプタで対応可能です。iOptron 1.75 インチ・Celestron 2 インチ規格の三脚を使う場合は、対応アダプタープレートを介してシルバーヘッドプレートを差し替える形で接続します(Astronomics 商品説明参照)。

出典: First Light OpticsAstronomics

Q5. AM5N のホームポジションを PE200 導入後にも設定し直す必要はありますか?

PE200 導入は「ホームポジション(マウント本体の RA・DEC 機械ゼロ位置)」の物理座標を変えるものではなく、AM5N の内部ホームセンサ位置に影響しません。したがって取扱説明書の記述どおり、通常運用における「毎回のセッション終了時にホームへ戻す」だけを守れば、PE200 導入後に特別なキャリブレーションは不要です。

出典: AM5 User Manual V1.0 Tips §3

Q6. 電視観望(EAA)や視覚観測でも PE200 は役立ちますか?

役立ちます。電視観望では PC・タブレット・モバイルバッテリー等の周辺機材を鏡筒周りに配置しがちで、DEC 軸を大きく回すシーンでケーブルや機材の物理干渉が問題になりやすいです。PE200 で高さを稼ぐと三脚頭部・スプレッダー周辺の空間が広がり、配線と機材配置に余裕が生まれます。長焦点鏡筒での視覚観望では接眼位置が上がり、姿勢の負担も軽減します。

Q7. 保証について教えてください。

PE200 の保証は Astronomics の商品ページ記載で「2 年保証」となっています。弊社(株式会社天文堂)でご購入いただいた ZWO 製品には、ZWO 社の製品保証に加えて弊社独自の「初期不良 60 日+3 年保証」を無償でお付けしています。詳細は商品ページ下部の保証案内をご確認いただくか、公式 LINE までお問い合わせください。

出典: Astronomics - PE200 商品説明(2 year warranty)

⑭ 参考にした一次情報リスト

  1. [SRC-1] ZWO 公式 - Pier Extension for Mount(PE200 直販ページ)
  2. [SRC-2] ZWO 公式 - New AM5N Harmonic Equatorial Mount
  3. [SRC-3] ZWO 公式 blog - My experience with ZWO AM5 and AM5N mounts(2024-08-01)
  4. [SRC-4] ZWO 公式 - AM5 FAQ: 33 things you might want to know(2022-01-13)
  5. [SRC-5] ZWO 公式 - AM5 User Manual V1.0(PDF)
  6. [SRC-6] ZWO 公式 - AM3N Harmonic Equatorial Mount
  7. [SRC-7] ZWO 公式 blog - Small and Lightweight, Embrace the Easy Life(ASI Mount series 紹介)
  8. [SRC-8] Astronomics - ZWO PE200 Pier Extension for the AM5 Mount
  9. [SRC-9] First Light Optics - ZWO PE200 Pier Extension for AM3, AM5 & AM7 Mounts
  10. [SRC-10] Peter Zelinka - ZWO AM5N Review(2024-08)

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最終更新: 2026-08-12/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル・公式製品ページ・公式 FAQ・公式 experience 記事、および正規代理店(Astronomics・First Light Optics)の商品情報に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。