Askar SQA55 × Nikon ミラーレス(Z6 II など Z マウント)で天体撮影を始める|必要機材チェックリスト完全ガイド

Askar SQA55 × Nikon ミラーレス(Z6 II など Z マウント)で天体撮影を始める|必要機材チェックリスト完全ガイド

「SQA55 本体」と「Nikon Z マウント用カメラアダプター」の 2 点をご用意いただいた段階では、まだ星の写真は撮れません。天体写真は地球の自転を追いかける追尾用の赤道儀(スタートラッカー)と、それを載せる三脚・電源、そして長秒露出を制御する仕組みが揃って初めて成立します。本ガイドでは、Nikon Z6 II をはじめとする Z マウント機を SQA55 に付けて撮影を始めるために「あと何が必要か」を、必須・推奨・発展の 3 段階に整理してチェックリスト化します。

① なぜ「鏡筒+アダプター」だけでは撮れないのか

星は地球の自転により、数十秒の露出でも点ではなく線(日周運動の軌跡)として写ります。これを止めて点像で撮るには、地球の自転と逆方向に鏡筒を回し続ける赤道儀(追尾マウント)が必要です。焦点距離が長いほど追尾のわずかなズレが目立つため、264mm の SQA55 では固定三脚での長秒露出は成立しません。まずこの「追尾」を用意することが、鏡筒とカメラアダプターの次に来る最優先事項です。

幸い SQA55 は OTA 重量 1.84kg(ハンドル・アリガタ込み 2.18kg)と軽量で、小型のスタートラッカー/ストレインウェーブ赤道儀に載せられる設計です。大型の赤道儀を用意しなくても始められるのが、このクラスの鏡筒の利点です。

出典: Sharpstar 公式 SQA55 仕様表(OTA 1.84kg / 総重量 2.18kg)/AstroBackyard SQA55 レビュー(小型トラッカーでの運用に言及)

② カメラの付け方:Nikon Z マウントアダプターとバックフォーカス 55mm

SQA55 のカメラ側は M48×0.75 のねじ(M48×0.75 のフィルターねじも内蔵)で、推奨バックフォーカス(センサー面までの距離)は 55mm(対応範囲 50〜60mm)です。この 55mm を正確に作ることが、四隅までシャープな星像を得る条件になります。

出典: Sharpstar 公式 SQA55 仕様表(後端 M48×0.75 / バックフォーカス 50-60mm・推奨 55mm)/Agena Astro 製品ページ

Nikon Z マウントのフランジバックは 16mmで、一眼レフ(F マウント)より大幅に短いのが特徴です。フランジバックが短いぶん、鏡筒の M48 面からカメラまでを埋める「Nikon Z マウント用アダプター」は厚めに作られており、これ 1 つで 55mm のバックフォーカスが成立するよう設計されています。代表的な製品が Askar M54/M48 Camera Adapter for Nikon Z(厚み 39mm・型番 DA54NI)で、テレスコープ側に M48×0.75 メスねじ(外すと M54×0.75 メス)を備えます。

出典: 各マウント フランジバック比較(Nikon Z は 16mm)Askar 54/48mm Wide T-Ring for Nikon Z(DA54NI・厚み 39mm・BF 55mm)High Point Scientific

SQA55 鏡筒 後端 M48×0.75 絞り f4.8〜f22 Nikon Z 用 アダプター 39mm M48 ⇔ Z バヨネット Z6 II など Z マウント機 フルサイズ Z センサー面までのバックフォーカス 55mm(対応 50〜60mm)
図 1:接続チェーン。出典 — SQA55 後端 M48×0.75・バックフォーカス 55mm は Sharpstar 公式、Nikon Z アダプター厚み 39mm は Askar DA54NI、Nikon Z フランジ 16mm は マウント比較 に基づく模式図。

なお SQA55 のイメージサークルは 44mm で、フルサイズ(対角約 43mm)の Z6/Z7 シリーズのセンサー全体を四隅までカバーします。APS-C(DX)の Z マウント機でも同じアダプターで接続できます。

出典: Sharpstar 公式 SQA55 仕様表(イメージサークル 44mm・フルサイズ対応)

③ 必須機材チェックリスト

SQA55 本体と Nikon Z マウント用アダプターに加えて、実際に撮影するために必要な機材を下表にまとめます。「必須」は無いと撮影が成立しないもの、「推奨」は成功率・仕上がりを大きく左右するものです。

区分 機材 役割・ポイント
必須 追尾用の赤道儀(スタートラッカー) 地球の自転を追尾して星を点像にする最重要機材。SQA55+カメラ約 3kg 弱を安定して載せられる搭載可能重量のものを選ぶ。
必須 頑丈な三脚 赤道儀を載せる土台。ぐらつくと追尾が乱れる。赤道儀の指定に合う脚径・耐荷重を確認する。
必須 12V 電源(ポータブル電源等) 赤道儀のモーター駆動用。多くのストレインウェーブ赤道儀は DC12V 給電。カメラ用の予備バッテリーも別途用意。
必須 Nikon Z マウント用カメラアダプター M48⇔Z を橋渡しし、バックフォーカス 55mm を成立させる部品。Askar M54/M48 Camera Adapter for Nikon Z(39mm)等。
必須級 ピント合わせ補助(バーティノフマスク) SQA55 は手動フォーカス。マスクの光条パターンで正確なピントを出せる。安価だが効果大。
推奨 外部インターバルタイマー(リモートレリーズ) 30 秒超の長秒露出を自動で連続撮影するために使用。Nikon Z 機はバルブタイマーが無いため、30 秒超では実質必須。
推奨 結露防止ヒーター(デューヒーター) 対物レンズの曇りを防ぐ。夜露の多い時期・場所では実質必須。コントローラまたはモバイルバッテリーで給電。
推奨 光害カットフィルター 市街地での撮影に有効。SQA55 は前部 M67・後端 M48×0.75 のフィルターねじに対応。
推奨 大容量 SD カード・予備バッテリー RAW を多数枚撮るため容量と電源に余裕を。冬場はバッテリー消耗が早い。

出典: SQA55 の重量・M48×0.75・前部 M67 は Sharpstar 公式/手動フォーカスは Agena Astro/結露ヒーター・バーティノフマスクの推奨は AstroBackyard SQA55 レビュー。搭載可能重量・三脚耐荷重の一般的な考え方は各架台メーカーの仕様に従ってください。

④ Nikon Z6 II の長秒露出とインターバル

天体撮影では 30 秒〜数分の露出を何十枚も撮って重ね合わせます。ここで問題になるのが「30 秒を超える露出をどう自動化するか」です。

内蔵インターバルタイマー(30 秒までのコマ)

ポイント:Z6 II はメニューにインターバルタイマー撮影を内蔵し、間隔・コマ数(最大 9999 コマ)を設定して自動連写できます。ただし 1 コマの露出は30 秒までで、シャッター速度を Bulb にした状態ではインターバルタイマーは使えません。
使い方:まずは M モードで 30 秒以内の露出を、内蔵インターバルタイマーで枚数指定して撮るのが基本です。

出典: Nikon 公式 Z6 II/Z7 II オンラインマニュアル「インターバルタイマー撮影」(最大 9999 コマ・Bulb では使用不可)

30 秒超は外部インターバルタイマーが必須

症状:2 分露出などをしたいが、30 秒を超える露出を自動で連続撮影したい。
原因:Nikon Z シリーズには Canon のようなバルブタイマーがありません。バルブ(B)では長秒露出そのものは可能ですが、内蔵インターバルタイマーとバルブは併用できません。
対処:Nikon Z 機に対応した外部インターバルタイマー(リモートレリーズ)を使い、露出時間・枚数・間隔を設定して 30 秒超の自動連続撮影を行います。

出典: Nikon 公式オンラインマニュアル(Bulb ではインターバルタイマー使用不可)

⑤ ピント合わせ(手動フォーカス+バーティノフマスク)

SQA55 は手動フォーカスの鏡筒です。天体撮影ではピントの許容範囲が非常に狭いため、明るい星を画面に入れてバーティノフマスクを対物前に装着し、光条(回折パターン)が中心で交差する位置に合わせます。カメラのライブビューを最大倍率に拡大して追い込むと確実です。撮影中に気温が下がるとわずかにピントがずれるため、途中で再確認するのがおすすめです。

出典: 手動フォーカス仕様は Sharpstar 公式/バーティノフマスクの推奨は AstroBackyard SQA55 レビュー

⑥ あると成功率が上がる機材

結露防止ヒーター:放射冷却で対物レンズが曇ると撮影が中断します。レンズ先端にヒーターバンドを巻き、コントローラやモバイルバッテリーで温めます。
極軸合わせ:赤道儀の追尾精度は極軸合わせの正確さで決まります。極軸望遠鏡付きのトラッカーや、極軸合わせ支援機能を活用してください。
光害カットフィルター:市街地では効果的です。SQA55 は前部 M67・後端 M48×0.75 のねじに対応します。
電源計画:赤道儀・カメラ・ヒーターをまとめて動かすと消費が大きいため、容量に余裕のあるポータブル電源が安心です。

出典: 結露ヒーターの推奨は AstroBackyard SQA55 レビュー/フィルターねじ径は Sharpstar 公式

⑦ ステップアップ(自動化)

撮影に慣れてきたら、次の機材で歩留まりと快適さが上がります。

電動フォーカサー(SQA55 AF Kit + ZWO EAF 等):手動フォーカスを電動化し、温度変化に追従した自動ピント合わせが可能になります。
オートガイド:ガイド鏡+ガイドカメラで追尾誤差を補正すると、より長い露出が安定します。264mm は比較的ガイドの要求が緩めですが、露出を伸ばすなら有効です。
撮影コントローラ(ASIAIR 等):導入・追尾・撮影シーケンス・ピントを一括管理でき、屋外での操作が楽になります(対応カメラの範囲は各機器の仕様をご確認ください)。

出典: 電動フォーカサー・ガイド運用の適性は AstroBackyard SQA55 レビュー(オートフォーカスキット・ガイドに言及)。

⑧ 関連商品

本記事で扱った SQA55 と、追加で必要になる代表的な機材の商品ページです。追尾用の赤道儀は SQA55 の軽さを活かせる小型ストレインウェーブ機から選べます。

  • Askar SQA55 鏡筒 — 焦点距離 264mm・F4.8・イメージサークル 44mm のフルサイズ対応クインテット Petzval APO。
  • ZWO AM3N 赤道儀 — 軽量な SQA55 に好適な小型ストレインウェーブ(ハーモニックドライブ)赤道儀。
  • Sky-Watcher WAVE 100i 赤道儀 — もう一段の搭載余裕がほしい方向けのストレインウェーブ赤道儀。
  • Askar SQA55 AF Kit — SQA55 を電動フォーカス化し自動ピント合わせを実現する専用キット。

⑨ 商品ページ・公式 LINE のご案内

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最終更新: 2026-07-19/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sharpstar/Askar 公式仕様・Nikon 公式マニュアル等の一次情報に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

よくある質問(FAQ)

Q. SQA55 と Nikon Z マウント用アダプターがあれば、あとカメラだけで撮れますか?

A. いいえ。星を点像で撮るには地球の自転を追う追尾用の赤道儀(スタートラッカー)が必須です。加えて三脚・12V 電源・ピント合わせ用のバーティノフマスクが実質必須になります。

Q. どの Nikon Z マウント用アダプターを選べばよいですか?

A. バックフォーカス 55mm が成立する専用設計のものを選びます。代表例が Askar M54/M48 Camera Adapter for Nikon Z(厚み 39mm・型番 DA54NI)で、テレスコープ側は M48×0.75 メスねじ(外すと M54×0.75 メス)です。SQA55 の後端 M48 に直結できます。

Q. Z6 II は本体だけで長秒露出の連続撮影ができますか?

A. 内蔵インターバルタイマーで自動連写できますが、1 コマは 30 秒までです。Nikon Z にはバルブタイマーが無く、バルブとインターバルタイマーは併用できないため、30 秒を超える露出を自動連写するには外部インターバルタイマー(リモートレリーズ)が必要です。

Q. SQA55 はフルサイズの Z6/Z7 で四隅までシャープに写りますか?

A. SQA55 のイメージサークルは 44mm で、フルサイズ(対角約 43mm)をカバーします。バックフォーカスを 55mm に正しく合わせることが、四隅の星像を保つ条件です。DX(APS-C)の Z マウント機も同じアダプターで接続できます。

Q. 手動フォーカスでピントが不安です。自動化できますか?

A. SQA55 専用の AF Kit と電動フォーカサー(ZWO EAF 等)を組み合わせると、自動ピント合わせが可能になります。まずはバーティノフマスクで手動に慣れ、必要に応じて電動化するのがおすすめです。

参考にした一次情報

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最終更新: 2026-07-19/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sharpstar/Askar 公式仕様・Nikon 公式マニュアル等の一次情報に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。