ZWO EAF 用 温度センサー完全ガイド|使い方・接続・ASIAIR 設定・撮影中のフォーカス制御まで

ZWO EAF 用 温度センサー完全ガイド|使い方・接続・ASIAIR 設定・撮影中のフォーカス制御まで

ZWO EAF 用の温度センサー(EAF-Sensor)は、EAF 本体の 3.5mm ジャックに挿すだけで環境温度を撮影ソフトへ渡し、気温変化に応じたオートフォーカスを可能にするアクセサリーです。本記事は ZWO 公式マニュアル V1.0(現行 EAF/EAF Pro 用)および V2.6(旧 EAF 用)、公式製品ページ、ZWO 公式ナレッジベース(ASIAIR Focus)を一次情報として、温度センサーの仕組み・接続手順・ASIAIR/ASIStudio/ASCOM 各ソフトでの設定・撮影セッション別の推奨設定・トラブルシューティングまで、想像を交えずに整理したものです。

① そもそも温度センサーは何のためのアクセサリーか

ZWO EAF は、標準搭載の内部温度センサーに加えて、外部温度センサー(EAF-Sensor)を接続できます。公式マニュアルには、外部センサーを接続すると「収集した温度データを撮影ソフトウェアに提供し、オートフォーカス制御に利用する」と明記されています。

温度センサーの直接的な役割は 3 つです:

  • 撮影中の環境温度をリアルタイムに表示する(ASIAIR / ASIStudio / ASCOM ドライバの Temp 欄)
  • 温度変化をトリガーとしたオートフォーカスの自動発動(例:2℃ 変化するたびに AF を実行)
  • 撮影セッション全体を通した温度ログの取得(トリガー判定と後追い解析の材料)

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.1「5.TEMP/HBX: 3.5mm audio port, which can connect to the dedicated external temperature sensor to collect temperature data and provide it to the shooting software for controlling auto-focus.」

② EAF 内部センサーと外部センサー(EAF-Sensor)の違い

公式マニュアル V2.6(ASIAIR 章 p14)には、Focuser 画面「Info Display」の Temp 欄の挙動が次のように定義されています:

「Temp shows the environmental temperature in Celsius format with an extra Temperature Sensor (comes with the ZWO-EAF-A kit), or the EAF inner temperature without one.」(外部センサー接続時は環境温度を℃で表示、未接続時は EAF 内部温度を表示)

つまり Temp 欄の値は、外部センサーの有無で参照する熱源が切り替わります。両者はハードウェア設計上、次のように性質が違います。

項目 EAF 内部温度センサー 外部温度センサー(EAF-Sensor)
計測対象 EAF 本体内部の温度 ケーブル先端プローブが触れている空間の温度
接続要否 追加接続不要(本体内蔵) EAF の 3.5mm 端子(TEMP/HBX)に接続
ソフトでの表示切替 外部センサー未接続時に自動選択 接続を検知すると自動で外部センサー値を表示
ケーブル長 なし 100cm(公式仕様)

出典: ZWO EAF Manual V2.6 §8 ASIAIR - Info Display(p14) / ZWO 公式 EAFN/EAF Pro Dedicated Accessories ページ(EAF-Sensor: 3.5mm connector, 100cm cable length)

③ 製品仕様と同梱物・対応機種

ZWO 公式製品ページ・公式マニュアルで確認できる EAF-Sensor の仕様は以下の通りです。

項目 仕様
品番 ZWO-EAF-Sensor
コネクタ 3.5mm(Connector Diameter: 3.5mm)
ケーブル長 100cm
対応本体 EAFN(現行 Type-C)/ EAF Pro(Type-C + Bluetooth)。ZWO 公式では EAFN / EAF Pro 用アクセサリーとして掲載。旧 EAF(USB Type-B)も同じ 3.5mm ポートを備えますが、旧 EAF での動作は公式に明記なし
対応ソフト ASIAIR / ASIStudio(ASICap・ASIImg)/ ASCOM Focuser Driver 経由の第三者ソフト(SharpCap / FireCapture / SGP / MaxIm DL Pro / The SkyX / FocusMax など)/ INDI(EAF 本体の対応。温度データの扱いはソフトごとに異なる)

EAF 本体側の端子(マニュアル表記「TEMP/HBX」)は温度センサーと外部ハンドコントローラー(EAF-HC)で共有されるため、両方を同時装着することはできません。両方を使い分けたい場合は撮影前に接続を差し替えます。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.1「5.TEMP/HBX: 3.5mm audio port…dedicated external temperature sensor…dedicated hand controller for manual focus and speed control.」 / ZWO 公式 EAFN/EAF Pro Dedicated Accessories(EAF-HC: 1.5m cable, EAF-Sensor: 100cm cable)

④ 物理接続手順|EAF/EAFN/EAF Pro への挿し込み

接続は極めて単純です。マニュアル V1.0 §6.2.3「Depending on your needs, you can connect an external Temperature Sensor or Hand Controller via the 3.5mm audio jack.」の通り、EAF 本体の 3.5mm オーディオジャック(TEMP/HBX と表記されている端子)に、EAF-Sensor のプラグを挿すだけです。

推奨する物理配置:

  • センサープローブ先端は「鏡筒の外気温を代表できる位置」に固定する:鏡筒本体の外側など、外気に触れる場所に留めます。プローブがカメラのファンや ASIAIR 本体の排熱に触れると、環境温度ではなくその機器の温度を拾います。
  • ケーブル 100cm を EAF から鏡筒後方または前方へ這わせる:赤緯・赤経の回転範囲内でケーブルが張り詰めないように配線し、コネクタ抜けや配線抜きの巻き込み事故を防ぎます。
  • ケーブルの熱橋渡しに注意:カメラのペルチェクーラー放熱面や、電源ケーブルの熱源に沿わせて這わせると、そちらの熱を伝導で拾う恐れがあります。ケーブルは他の熱源から離して固定します。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.2.3 Power/Data「Depending on your needs, you can connect an external Temperature Sensor or Hand Controller via the 3.5mm audio jack.」(センサーの取り付け位置に関する詳細は ZWO 公式マニュアルには明記なし。本項目のうち「センサープローブの配置」については一般的な運用上の注意として記載。ZWO 公式は EAF-Sensor を "accurately monitors subtle changes in ambient temperature"(周囲温度の変化を測る)と説明)

⑤ ASIAIR での温度表示|Focuser 画面「Info Display」の見方

ASIAIR アプリでは、上部ナビゲーションバーの Focuser アイコンから Focuser 設定ページに入ります。旧 EAF 用マニュアル V2.6(p14)の記述に基づき、画面上の温度関連の要素を整理すると次の通りです(現行アプリでは画面構成が変わっている場合があります)。

Info Display(情報表示)

  • Temp:外部センサー接続時は環境温度(摂氏)、未接続時は EAF 内部温度
  • Position Info > Current:ゼロポジション基準での現在ステップ数(GoTo 目標にも使用)

接続の確認方法

  1. EAF を USB Type-C で ASIAIR に接続(EAF Pro は Bluetooth 接続も可)
  2. EAF-Sensor のプラグを EAF の 3.5mm 端子に挿す
  3. ASIAIR で Focuser 画面を開き、Info Display の Temp 欄の値が外気温相当まで下がる(または上がる)ことを確認

Temp 欄の値が体感の外気温より明らかに高いままの場合は、外部センサーが認識されず内部温度が表示されているか、プローブが暖かい機器に接触している可能性があります。差し直しと配置見直しを試します。

出典: ZWO EAF Manual V2.6「8. Connecting EAF to your Astronomy Software - ASIAIR - Manual Focus Settings - Info Display」(p14)

⑥ ASIAIR オートフォーカスの温度トリガー設定

ASIAIR の Focuser 画面から「Next」アイコン(>)で Auto Focus Settings に入ります(マニュアル V2.6 p16)。ここでは AF の露光時間・ステップ幅と、Autorun 中に AF を再実行する条件(時間・温度・フィルター変更)を設定します。手動フォーカス用の項目(Max Step Limit・Backlash・Beep など)は前の画面の Parameters で設定します。

項目 意味
AF EXP AF 実行時の露光時間。EFW(電動フィルターホイール)接続時はフィルタごとに個別設定可能。
Step Size AF で V カーブを描くときのステップ幅(EAF Step Size)。ZWO 公式ナレッジベースの例では既定 30 ステップ。光学系に合わせて調整。
温度トリガー(Every X°C change) Autorun 中、温度が指定した℃以上変化したら AF を再実行。1℃ 単位の整数で判定(例:1℃ 設定で 12.67℃ なら基準 12℃、10.99℃ 以下で発動)。
時間・フィルター変更トリガー 一定時間ごと、またはフィルター変更時に AF を再実行。

Auto Focus は手動起動(Focus Control Pad の AF ボタン)と、Autorun 中のトリガー条件による自動起動の 2 通り。トリガー条件のいずれかを有効化すると、Autorun 進行中に条件成立で AF が起動します(マニュアル V2.6 p17「AF has two trigger ways, manually or automatically. AF runs automatically in the Autorun progress if any of the options are enabled in the above settings.」)。

温度トリガーの注意点

ZWO 公式ナレッジベースによると、手動フォーカス用に設定した Backlash の値は AF ルーチンでは使われません。また温度トリガーは 1℃ 単位の整数値で判定されるため、設定した変化量ちょうどではなく、整数の境界を下回った時点で発動します。

出典: ZWO EAF Manual V2.6「ASIAIR - Auto Focus」(p16-17) / ZWO 公式ナレッジベース ASIAIR Focus(Auto Focus 設定・温度トリガー・"user defined backlash is not used by AF routines")

⑦ 気温変化とフォーカスずれ|温度センサーが必要な理由

ここまでの機能説明は「温度センサーが何を計るか」でしたが、そもそも「なぜ温度で AF を発動する必要があるのか」を、公式マニュアルの範囲で整理します。

ZWO 公式マニュアル V1.0 §1 Preface および §4 Product Introduction では、EAF の役割を「the automatic and precise adjustment of the optical tube assembly (OTA)'s focal length」(鏡筒アセンブリの焦点距離を自動かつ正確に調整すること)と定義しています。撮影中に合焦位置が動く主な原因は、気温変化による鏡筒の伸縮や光学素子の変化です。

温度センサーはこの「気温変化」を検出値として撮影ソフトに供給し、閾値を超えた時点で AF を再実行することで、気温変化に伴うピントのずれに追従できるようにします。温度トリガーは「どれだけ変化したか」で判定する仕組みです。

出典: ZWO EAF Manual V1.0「1 Preface」「4 Product Introduction」(フォーカス変化と温度の関係についての一般解説は光学望遠鏡運用における一般的知見として記載。ZWO 公式マニュアルには焦点変化率の具体数値は明記なし)

⑧ 撮影セッション別の推奨設定

ZWO 公式マニュアル・ナレッジベース(V2.6 p16-17、V1.0 §6.3.3、SGP 章 §6.3.1.2、ASIAIR Focus)で確認できる機能をもとに、設定の考え方を整理します(数値の推奨値は公式に記載がないため示しません)。

ディープスカイ撮影(露光時間長め・複数フィルタ)

  • Auto Focus Settings で温度トリガーを有効化(変化量は撮影地・鏡筒の熱時定数に合わせる)
  • EFW 接続時はフィルター変更トリガーも併用可能。フィルターごとの AF EXP は EFW 設定ページで個別設定(マニュアル V2.6 p16)

惑星撮影(短時間・単一フィルタ)

  • 惑星撮影は 1 セッションが短いため、温度トリガーより手動 AF(Focus Control Pad の AF ボタン)で十分なケースが多い
  • 温度センサーは主に撮影セッションの気温ログ取得目的として活用

時間・フィルター変更トリガーとの併用

SGP のオートフォーカス設定では「一定枚数撮影後」「温度変化」「時間間隔」「フィルタ変更」「シーケンス開始前」がトリガー条件として並列に用意されており、ASIAIR でも時間・温度・フィルター変更のトリガーを設定でき、いずれかの条件が有効なら Autorun 中に AF が自動実行されます。条件を増やしすぎると AF の回数が増えるため、まずは温度トリガーを中心に組み、必要に応じて他の条件を足すとシンプルです。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.3.1.2 SGP Autofocusing「Set autofocus trigger conditions, such as after capturing a certain number of images, temperature changes, time intervals, filter changes, or before starting a planned imaging session.」 / ZWO 公式ナレッジベース ASIAIR Focus / ZWO EAF Manual V2.6「ASIAIR - Auto Focus」(p16-17)

⑨ サードパーティソフトでの利用|SGP / MaxIm / SharpCap / ASCOM / INDI

EAF は ASCOM および INDI プロトコルに対応し、ZWO 公式マニュアル V1.0 §4 で「Supports ASCOM and various ASCOM-compatible third-party software」「Supports INDI」と明記されています。ASCOM 対応ソフトからは「ZWO Focuser」ドライバ経由で EAF を操作します。温度データの表示や温度に連動する機能があるかどうかはソフトごとに異なります。

SGP(Sequence Generator Pro)

Focuser セクションで ZWO Focuser を選択し、Focus Control パネル → 設定アイコンで詳細画面へ。Auto Focus パラメータで温度変化・時間間隔・フィルタ変更・シーケンス開始前などのトリガーを設定します。マニュアル V1.0 §6.3.1.2 は「9 データポイント」「AF ステップサイズ 5〜20」を目安として推奨しています。バックラッシュ補正は SGP 側で行う場合、EAF ASCOM ドライバのバックラッシュ値は 0 に設定(二重補正防止)。

SharpCap / FireCapture / MaxIm DL Pro / The SkyX / FocusMax

いずれも共通の流れで、各ソフトの Focuser 設定から ASCOM 経由で「ZWO Focuser」を選択 → プロパティで EAF の基本パラメータを設定 という手順です(V1.0 §6.3.1.1〜§6.3.1.6、V2.6 §8)。温度に連動する機能の有無は各ソフトの説明書で確認してください。

INDI(Linux/Kstars/Ekos 系)

ZWO 公式マニュアル V1.0 §4「Supports INDI」の記載通り、INDI 経由の Ekos/Kstars でも EAF が利用可能です。温度データの扱いや温度に連動する機能は ZWO 公式マニュアルの範囲外のため、INDI / Ekos の公式ドキュメントで確認してください。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §4 / §6.3.1(各ASCOMサードパーティソフトの設定手順) / ZWO EAF Manual V2.6 §8 Connecting EAF to your Astronomy Software

⑩ トラブルシューティング|温度が変・出ない・大きくズレる

症例 1|Temp 欄が反応しない・0 のまま

症状:ASIAIR や ASCOM ドライバの Temp 欄に温度が表示されない、または起動時から 0 のまま。
原因:センサーのプラグが 3.5mm 端子に半挿しになっている/プラグの汚れなどによる接触不良。
対処:プラグをしっかり奥まで挿し込み直す。EAF/EAF Pro 本体の TEMP/HBX 端子に挿さっているか確認する。改善しない場合は公式 LINE からご相談ください。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.1「5.TEMP/HBX」(3.5mm audio port)(接触不良の詳細対処は ZWO 公式マニュアルには明記なし)

症例 2|Temp が体感の外気温より明らかに高い

症状:体感の外気温より Temp の値が明らかに高い。
原因:外部センサーが未接続で EAF 内部温度が表示されている/外部センサーは接続されているがプローブがカメラ本体・電源ボックス・ASIAIR 筐体などの発熱体に接触している/ケーブルが電源ケーブルや放熱面に沿って配線され熱伝導している。
対処:まず ASIAIR Focuser 画面で外部センサー接続を確認(Temp 欄の値が接続前後で下がるかを見る)。プローブを鏡筒の外側や外気に晒された場所に固定し直す。ケーブルを発熱体から離す。

出典: ZWO EAF Manual V2.6 p14「Temp shows…the EAF inner temperature without one.」(センサー未接続時は EAF 内部温度が表示される)

症例 3|温度は表示されるが AF が発動しない

症状:Temp 欄は正しく変動しているが、Autorun 中に温度変化 AF が起動しない。
原因:Auto Focus Settings で温度トリガーが有効化されていない/トリガー閾値が実際の温度変化量より大きく設定されている/Autorun ではなく単発撮影で動かしており、トリガーは Autorun 中のみ発動する仕様。
対処:ASIAIR の Auto Focus Settings で温度トリガーを ON にし、閾値を撮影地の気温変化幅に合わせる。ZWO 公式マニュアル V2.6 p17 の通り「AF runs automatically in the Autorun progress if any of the options are enabled」を確認し、Autorun を使う。

出典: ZWO EAF Manual V2.6「AF has two trigger ways, manually or automatically. AF runs automatically in the Autorun progress if any of the options are enabled in the above settings.」(p17)

症例 4|AF は発動するが常に外している

症状:AF 曲線(V カーブ)が乱れて最適点を外す。
原因:Step Size が光学系に対して大きすぎる/小さすぎる/バックラッシュが未測定または補正値が不適切(ソフト側の補正を使う場合)/AF EXP が短すぎて星が十分に写っていない。
対処:Step Size を V カーブの形を見ながら調整する(SGP の場合、ZWO 公式マニュアル V1.0 §6.3.1.2 は「The autofocus step size is recommended to be between 5 and 20 steps.」としています。ASIAIR の既定値は例として 30 ステップ)。バックラッシュは V2.6「Measuring the Focuser Backlash」(p36)の手順で実測する(ASIAIR の AF ルーチンでは手動フォーカス用の Backlash 値は使われません)。AF EXP は星が確実に検出できる露光時間まで伸ばす。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.3.1.2「The autofocus step size is recommended to be between 5 and 20 steps.」 / ZWO EAF Manual V2.6 「Measuring the Focuser Backlash」(p36) / ZWO 公式ナレッジベース ASIAIR Focus

症例 5|温度センサーとハンドコントローラーを両方使いたい

症状:撮影当日、温度センサーとハンドコントローラー(EAF-HC)を同時に使いたい。
原因:EAF/EAF Pro 本体の 3.5mm 端子は「TEMP/HBX」の共有端子で、公式マニュアル V1.0 §6.1「5.TEMP/HBX: 3.5mm audio port…can connect to the dedicated external temperature sensor…It can also connect to a dedicated hand controller」の通り、どちらか一方のみ挿せる仕様。
対処:設営時に手動フォーカスで初期位置を出したい場合は EAF-HC → 設置完了後に EAF-Sensor に差し替える運用が現実的。EAF Pro は本体側面に IN/OUT の物理ボタンを備えるため、そちらを手動フォーカスに使い、3.5mm 端子は温度センサー専用で常時挿す運用も可能。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.1「5.TEMP/HBX」/ §6.1「2.IN/OUT: Focus direction switch button」

症例 6|EAF 本体が動作温度範囲外

症状:冬の遠征地で気温が -20℃ を下回る/夏の日中や高温倉庫で 40℃ を超える環境で使用する。
原因:現行 EAF(EAFN)の動作温度は -20℃〜40℃、EAF Pro は -10℃〜40℃(バッテリー放電温度と同じ)。
対処:公式仕様範囲を超える環境での使用は避ける(EAF Pro はバッテリーの充放電温度範囲外で使うと、充放電が正常に行えなかったり電池寿命が縮んだりするとマニュアルに記載があります)。保管温度は両モデルとも -20℃〜60℃。EAF Pro は長期保管の推奨温度 15°C ± 10°C、3 ヶ月を超える保管は避け満充電で保管するよう記載があります(V1.0 §6.1.1-4)。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §5 Specification Parameters(Operating Temperature: EAF -20℃-40℃ / EAF Pro -10℃-40℃、EAF Pro の長期保管推奨 15°C±10°C)

症例 7|プローブ位置による温度差でトリガーが空振り

症状:実際の外気は下がっているのに、プローブ位置の温度がなかなか下がらず AF が発動しない。
原因:プローブが鏡筒内部やドーム内部など、外気平衡が遅い場所に設置されている。
対処:プローブは鏡筒フード外側や外気に直接触れる位置に固定する。(この配置ノウハウ自体は ZWO 公式マニュアルには明記なし)。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.1「5.TEMP/HBX」(プローブ配置ノウハウは公式マニュアルに明記なし。運用上の一般的知見として記載)

症例 8|数値がフラつく・大きく飛ぶ

症状:短時間で温度が 1〜2℃ 単位で上下する。
原因:プローブが風や近くの熱源の影響を受けている/ケーブル・プラグ部の接触不良/プラグと端子の間に湿気が入り込んでいる。
対処:プローブを風の当たらない位置(鏡筒陰など)へ移す。プラグを一旦抜いて挿し直す。夜露が付きやすい環境ではプラグ根本をタオル等で軽く保護する。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §2 Important Tips 3「Precautions for Specific Usage Scenarios - Outdoor Use: ensure its waterproof rating meets the requirements…use a protective waterproof cover.」(プラグ養生に関する具体手順は公式マニュアルには明記なし。一般的な機材運用ノウハウとして記載)

⑪ EAF 本体との初期設定(0 ポジション・最大ステップ・バックラッシュ)

温度センサーを活かすには、まず EAF 本体側のパラメータが正しく設定されている必要があります。マニュアル V1.0 §6.3.1「The EAF Parameter Settings」で明記されている 3 項目は次の通り。

0 ポジション設定

標準ブラケット装着の場合は「focuser is fully retracted」(フォーカサーを完全に引き込んだ位置)を 0 に設定。カーブドサドル装着の場合は焦点近くを 0 に設定します。

最大ステップ数(Upper Limit)

フォーカサーのストローク限界を超えないステップ数を上限に設定します。旧 EAF 用マニュアル V2.6 の ASIAIR 設定では Max Step Limit の上限は 60,000 です。現行マニュアル V1.0 は「It is recommended to set the maximum step count at or below the travel limit of the focuser.」としているため、フォーカサーのストローク以下に設定します。

バックラッシュ測定

マニュアル V1.0 §6.3.1「Backlash Measurement」に手順が明記されています:ASICAP で coarse=1000, fine=10 に設定 → coarse を 1 回押して 1000 ステップ外向きに移動 → fine で内向きに 1 ステップずつ動かし、反対側のフォーカスノブが動き始めた回数 × 10 がバックラッシュ ステップ数。より高精度が必要なら fine を 5 にして繰り返す。測定値を Backlash 設定に入力。

SGP を使う場合の注意:マニュアル V1.0 §6.3.1.2「When using SGP to compensate for backlash, set the backlash value in the EAF ASCOM settings to 0 to prevent double compensation」(SGP でバックラッシュ補正する場合、EAF ASCOM 側は 0 にする)。二重補正を避けるための重要事項です。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §6.3.1「The EAF Parameter Settings」「Backlash Measurement」「6.3.1.2 SGP Focusing」 / ZWO EAF Manual V2.6「Max Step Limit…upper limit of 60,000」「Measuring the Focuser Backlash」

⑫ EAF ラインナップと温度センサー対応表

ZWO EAF 系ラインナップは、記事執筆時点で以下のバリエーションがあります。EAFN・EAF Pro はいずれも 3.5mm の温度センサー/ハンドコントローラー用端子を備えます。

機種 通信 電源 動作温度 重量 EAF-Sensor 対応
EAF(旧型) USB 2.0(Type-B) USB 2.0 バスパワー(V2.6。さらに古い 12V 版もあり) 旧マニュアルに記載なし 旧マニュアルに記載なし 3.5mm ポートあり(現行 EAF-Sensor の動作は公式に明記なし)
EAFN(現行 Type-C) Type-C Type-C(5V/500mA) -20℃〜40℃ 215g 対応
EAF Pro Type-C / Bluetooth 5.0 Type-C / 内蔵バッテリー 5V 2.5AH -10℃〜40℃ 258g 対応

EAF Pro のバッテリー動作温度は放電で -10℃〜40℃、充電で 0℃〜45℃。バッテリー寿命維持のため、この範囲外での使用は避けるようマニュアルに明記されています(V1.0 §6.1.1-6)。

出典: ZWO EAF Manual V1.0 §5 Specification Parameters / §6.1.1-6 Battery Operating Temperature / ZWO 公式製品ページ EAFN/EAF Pro

⑬ 関連商品

本記事で扱った温度センサーは、以下の商品ページから購入できます。EAF 本体・別売アクセサリと合わせてご検討ください。

関連する EAF 本体・アクセサリは弊社「天体ショップ」の EAF カテゴリからご確認いただけます。ハンドコントローラー(EAF-HC)は同じ 3.5mm 端子を使うため、温度センサーとの併用可否は運用面での差し替えが必要になります。

⑭ よくある質問(FAQ)

Q1. EAF-Sensor は EAF Pro でも使えますか?

使えます。ZWO 公式マニュアル V1.0 §6.2.3 に「Depending on your needs, you can connect an external Temperature Sensor or Hand Controller via the 3.5mm audio jack.」と記載されており、EAFN・EAF Pro とも 3.5mm 端子に接続します。

Q2. 温度センサーに電源は必要ですか?

EAF-Sensor に別途電源をつなぐ必要はありません。ケーブルを EAF 本体の 3.5mm 端子に挿して使います。

Q3. 内部温度センサーだけでも温度トリガー AF は使えますか?

ZWO 公式のソフト設定ページには「If you do not have EAF temperature sensor, you can use the inner temperature sensor to detect.」とあり、外部センサーが無くても内部センサーで温度を検出できます。ただし内部センサーは EAF 内部の温度で外気温ではありません。また、内部センサーの値で各ソフトの温度トリガーが動作するかは公式資料では確認できていないため、鏡筒まわりの気温で判定したい場合は EAF-Sensor の利用をおすすめします。

Q4. 温度トリガーは何℃ 単位で設定すべきですか?

ZWO 公式マニュアルは具体的な推奨値を明記していません。鏡筒や撮影条件によってピントのずれ方は異なるため、実際の撮影ログを見ながら段階的に調整してください。

Q5. EAF-Sensor と EAF-HC は同時装着できますか?

同時装着はできません。EAF 本体の 3.5mm 端子は温度センサーとハンドコントローラーで共有される端子(TEMP/HBX)で、公式仕様上、片方ずつのみ挿せます。EAF Pro を使えば本体側の IN/OUT ボタンで手動フォーカスできるため、3.5mm 端子を温度センサー専用にする運用が可能です。

Q6. サードパーティのオートフォーカスソフトから温度センサーの値は取れますか?

ASCOM Focuser Driver(ZWO Focuser)経由で SGP・MaxIm DL Pro・SharpCap・FireCapture・The SkyX・FocusMax などから EAF を操作できます。温度データの表示や温度に連動する機能はソフトごとに異なり、温度変化での再オートフォーカスは SGP・N.I.N.A. などで設定できます。

Q7. 温度が急に大きく飛ぶことがあります。故障ですか?

まずプラグの半挿し・接触不良・ケーブルの熱源接触を疑ってください。プラグを挿し直しても改善せず、明らかに実温と異なる値が出続ける場合は、公式 LINE または保証ポリシーのページからご相談ください。天体ショップでご購入の場合は、初期不良60日対応+3年保証の対象です。

Q8. 撮影中に温度センサーのケーブルが赤経・赤緯回転で絡まないか心配です。

ケーブル長は 100cm あります。設営時に回転範囲を実際に動かし、ケーブルが張り詰めない配線ルートを確保してください。抜けを防ぐためにマジックテープ等での軽い固定も有効です。

⑮ 温度センサーで安定オートフォーカスを|商品ページ・公式 LINE のご案内

本記事で扱った商品ページはこちら

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最終更新: 2026-10-26/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル(現行 EAF・EAF Pro 用 V1.0/旧 EAF 用 V2.6・V2.5)および ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式ナレッジベース・公式ソフトウェア設定ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑯ 参考にした一次情報

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最終更新: 2026-10-26/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル(現行 EAF・EAF Pro 用 V1.0/旧 EAF 用 V2.6・V2.5)および ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式ナレッジベース・公式ソフトウェア設定ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。