ZWO ASI664MC vs ASI662MC vs ASI585MC 完全比較|Entry/Advanced/Flagship をどう選び分けるか【2026 年最新】

ZWO ASI664MC vs ASI662MC vs ASI585MC 完全比較|Entry/Advanced/Flagship をどう選び分けるか【2026 年最新】

ZWO の ASI662MC・ASI664MC・ASI585MC は、ピクセルサイズ 2.9μm・QE ピーク 91%・Sony STARVIS 2 世代という共通ベースを持ちながら、センサーサイズだけが 1/2.8″ → 1/1.8″ → 1/1.2″ と段階的に大きくなる「同じ系統の 3 兄弟」です。ZWO 公式マニュアルではそれぞれ Entry-level / Advanced / Flagship と位置付けられています。本記事では、3 機種の公式仕様を 1 枚の表に統合し、センサーサイズ・読出ノイズ・フレームレート・バックフォーカスの違いを「実際の撮影でどう効くか」という観点で整理します。結論:迷ったら焦点距離と撮影対象から逆算してください。 焦点距離が長く惑星・月面中心なら 662MC、惑星+拡大月+EAA を 1 台で兼ねるなら 664MC、月全景・短時間 DSO・電視観望まで広く狙うなら 585MC が公式仕様上の最適解です。

要点|3 行でわかる選び分け

  • ASI662MC(Entry-level): 1/2.8″ 2.07MP、最速 107.6fps、HCG 時 0.8e。長焦点(F10〜F25)の惑星・拡大月面に最適。最安・軽快に始めたい方向け。
  • ASI664MC(Advanced): 1/1.8″ 4.15MP、95fps、最低読出ノイズ 0.46e(3 機種で最小)。同じ筐体・バックフォーカスで 662MC より広い画角を確保。惑星 + 月面 + EAA の万能型。
  • ASI585MC(Flagship): 1/1.2″ 8.29MP、46.9fps、フルウェル 47Ke(3 機種で最大)。月全景・電視観望・短時間 DSO まで含めるならこれ 1 台。

① 結論早見表|用途別の最適機種

3 機種いずれもピクセルサイズ 2.9μm、QE ピーク 91%、12bit ADC、Zero Amp Glow という共通基盤を持ちます(出典: ZWO ASI664MC Product Manual §3.2ASI662 Manual §3ASI585 Manual §3。違いは「センサーサイズ・解像度・最大 fps・読出ノイズ・バックフォーカス・消費電力」の 6 軸です。用途から逆算した推奨は次の通り。

用途 第 1 推奨 第 2 推奨 理由(公式仕様準拠)
木星・土星・火星の惑星撮影(拡大撮影 F20〜F30 中心) ASI662MC ASI664MC 最大 107.6fps の高フレームレートで大気の揺らぎを多数フレームから合成しやすい。視野が惑星サイズと近く、スタッキング処理が軽い。
月面拡大撮影(クレーター単体・地形ディテール) ASI664MC ASI662MC(さらに長焦点) 2704×1536 で 662MC の約 2 倍の画素数、95fps を維持できるため、シーイングのよい瞬間を多数取り込める。
月全景撮影(モザイク不要・1 ショット) ASI585MC ASI664MC(モザイク化) 対角 12.84mm の大型センサーで満月(直径約 0.5°)を 1 ショットで広く収められる。
太陽(白色光・Hα)拡大撮影 ASI662MC ASI664MC 高フレームレートでシーイング選別。HCG モード 0.8e の低ノイズが Hα ナローバンドの暗部に効く。
電視観望(EAA)・Live Stacking ASI585MC ASI664MC 大型センサーで広視野を確保。フルウェル 47Ke で短時間 Live Stacking のダイナミックレンジに余裕。
短時間 DSO(彗星・散開星団・明るい星雲の数十秒露出) ASI585MC ASI664MC 非冷却モデルのため長時間露出には冷却機を推奨だが、585MC のフルウェルとセンサーサイズで短時間積算には有利。
惑星 + 月 + EAA を 1 台で兼ねる「万能型」 ASI664MC ASI585MC 惑星対応の 95fps を確保しつつ、4.15MP の解像度で月面拡大・狭い視野の EAA まで現実的にカバー。

② 3 機種スペック完全比較表(公式マニュアル準拠)

下表は ZWO ASI664MC 公式マニュアル §1 に記載されている公式比較表に、各機種の個別マニュアル(§3 仕様セクション)の数値を加えて統合したものです。一部の項目(消費電力・付属アダプター・保護窓寸法)は機種別マニュアルから補足しています。(出典: ASI664MC Manual §1, §3.2, §3.6ASI662 Manual §3, §6.3ASI585 Manual §3, §6.3

項目 ASI662MC
(Entry-level)
ASI664MC
(Advanced)
ASI585MC
(Flagship)
センサー型番 Sony IMX662AAQR-C Sony IMX664AAQR1-C Sony IMX585
センサー世代 STARVIS 2 STARVIS 2 STARVIS 2
センサーフォーマット 1/2.8″ 1/1.8″ 1/1.2″
対角寸法 6.45mm 9.02mm 12.84mm
解像度 2.07MP(1920×1080) 4.15MP(2704×1536) 8.29MP(3840×2160)
ピクセルサイズ 2.9μm 2.9μm 2.9μm
センサー寸法 5.568×3.132mm 7.841×4.454mm 11.2×6.3mm
最大フレームレート 107.6fps(10bit ADC) 95fps(10bit ADC) 46.9fps(10bit ADC)
シャッター ローリング ローリング ローリング
露光時間範囲 32μs〜2000s 32μs〜2000s 32μs〜2000s
読出ノイズ(最低〜最大) 0.8〜6.9e
(1.22e@19dB gain)
0.46〜5.8e
(3.2e@19dB gain)
0.8〜12e
(2.4e@15dB gain)
HCG モード時 読出ノイズ
(gain≧252 で自動 ON)
0.8e <1.0e 1.5e
QE ピーク 91% 91% 91%
フルウェル容量 38.2Ke 36.5Ke 47Ke
ADC 12bit / 10bit 12bit / 10bit 12bit / 10bit
アンプグロー Zero(HW 実装) Zero(HW 実装) Zero(HW 実装)
USB 規格 USB 3.0 / USB 2.0 Type-B USB 3.0 / USB 2.0 Type-B USB 3.0
バックフォーカス 12.5mm 12.5mm 6.5mm / 17.5mm(アダプター切替)
付属アダプター 1.25″ / 2″ / M42×0.75 M42×0.75 2″ / M42×0.75
保護窓 AR D21×1mm AR D21×1.1mm AR D32×2mm
最大消費電力(USB 給電) 1.36W 1.36W 2.86W
寸法 / 重量 62mm / 126g 62mm / 126g 62mm / 126g
対応 OS Win / Linux / macOS Win 7/8/10 / Linux / macOS Win / Linux / macOS
動作温度 -5℃〜50℃ -5℃〜50℃ -5℃〜50℃
ハードウェアビニング bin2 対応 マニュアル §未記載 bin2/3/4 対応
ZWO 公式ポジション Entry-level Advanced Flagship

この表は ZWO 公式マニュアル(ASI664MC Product Manual §1)に記載された 3 機種の比較表をベースにしています。ZWO 自身がこの 3 機種を 1 つのファミリーとして並列に位置付けている点が、選び分けを考えるうえでの出発点になります。(出典: ASI664MC Manual §1 公式比較表(ASI662MC=Entry-level / ASI664MC=Advanced / ASI585MC=Flagship)

③ 全機種の共通ベース:2.9μm × STARVIS 2 × QE 91%

ASI662MC・ASI664MC・ASI585MC の 3 機種を「同じ系統」として扱える根拠は、次の 5 つの仕様が完全に揃っている点にあります。

共通点 1|ピクセルサイズ 2.9μm(×横 2.9μm × 縦 2.9μm の正方画素)

3 機種ともユニットセルサイズは 2.9μm(H)× 2.9μm(V)の正方画素です。これは Sony 公式センサーフライヤー上でも 3 センサーすべてに共通で記載されています。(出典: Sony IMX664-AAMR1 Flyer Device Structure(Unit cell size 2.9μm × 2.9μm)IMX662-AAQR/AAQR1 FlyerIMX585-AAMJ1 Flyer

ピクセルサイズが揃っているということは、同じ望遠鏡・同じ焦点距離で使ったときの「1 ピクセルあたりの天空角度(ピクセルスケール)」が 3 機種で完全に同じになることを意味します。つまり「拡大率」「分解能」の感覚が揃い、機種を変えても「画素 1 個に映る対象の大きさ」は変わりません。違いは「全体として何ピクセル × 何ピクセルの面積を切り取るか(=視野の広さ)」だけになります。これは 3 機種を比較するときの重要な前提条件です。

共通点 2|Sony STARVIS 2 世代(後方照射型・高感度・広ダイナミックレンジ)

3 機種に搭載されるセンサーはいずれも Sony の STARVIS 2 世代に属します。STARVIS 2 は Sony 公式定義で「同じ画素サイズの STARVIS と比較して、12bit AD の単一露光ダイナミックレンジが 8dB 以上拡大」「可視光と近赤外領域の高画質を実現」とされる後方照射型 CMOS 技術です。(出典: Sony IMX664-AAMR1 Flyer 注釈(STARVIS 2 wide dynamic range AD 12 bit more than 8 dB compared to STARVIS)Sony Semiconductor Solutions STARVIS / STARVIS 2 / STARVIS 3 技術解説

共通点 3|QE ピーク 91%(量子効率)

ZWO 自社測定値で 3 機種すべて QE ピーク 91%です。低照度天体の電子取り込み効率がどれも同等であることを示します。(出典: ASI664MC Manual §3.2 (QE peak 91%)ASI662 Manual §3 (QE peak 91%)ASI585 Manual §3 (QE peak 91%)

共通点 4|12bit / 10bit ADC・Zero Amp Glow(ハードウェア実装)

3 機種とも 12bit ADC と 10bit ADC(高速モード)を切り替えできます。10bit を選ぶとフレームレートが向上し、12bit ではダイナミックレンジが優位です。アンプグロー除去はソフトウェア処理ではなくハードウェアレベルで実装されていると各マニュアルに明記されています。(出典: ASI664MC Manual §3.5 ADC + §1 Zero Amp Glow(implemented directly at the hardware level)ASI662 Manual §6.4 + §5 No amp glowASI585 Manual §6.5 + §5 No amp glow

共通点 5|HCG モード(gain ≥252 で自動 ON・ダイナミックレンジ約 11bit を維持)

3 機種とも内蔵 HCG(High Conversion Gain)モードを備え、ゲインを 252 以上に設定すると HCG が自動 ON になり、高ゲイン帯でも読出ノイズを大きく下げつつダイナミックレンジを約 11bit 近くに保つと各マニュアルに記載されています。(出典: ASI664MC Manual §3.3 (At gain 252 and above, HCG mode is automatically turned on; dynamic range is close to 11bit)ASI662 Manual §4 (gain at 252 → HCG mode automatically turned on)ASI585 Manual §4 (gain at 252 → HCG)

共通点 6|筐体サイズ・重量(62mm / 126g)

外形寸法 62mm、重量 126g という筐体仕様も 3 機種で揃っています。同じ望遠鏡・同じバランスで運用できるため、機種を入れ替えても重量バランス調整が不要です。(出典: ASI664MC Manual §3.2ASI662 Manual §3ASI585 Manual §3

④ センサーサイズと画角の差(最大の差別化ポイント)

3 機種で最も大きな違いは センサーサイズ・解像度です。ピクセルサイズが共通である以上、これは「切り取れる視野(画角)」と「1 枚に収まる画素数」の差として現れます。

3 機種センサー実寸サイズ比較(mm 単位・倍率は等倍) ASI585MC(1/1.2″)11.2 × 6.3 mm(8.29MP) ASI664MC(1/1.8″)7.84 × 4.45 mm(4.15MP) ASI662MC 5.57 × 3.13 mm 2.07MP 画素 2.9μm 対角 12.84mm
図 1:3 機種センサーサイズの実寸比較(縮尺は同一・等倍)。出典: ASI664MC Manual §3.2ASI662 Manual §3ASI585 Manual §3 各マニュアル記載のセンサー寸法

面積比でみると 1 : 2.0 : 4.0

各センサー面積を概算すると、ASI662MC = 17.4mm²、ASI664MC = 34.9mm²、ASI585MC = 70.6mm²です。664MC は 662MC の約 2 倍、585MC は 662MC の約 4 倍の集光面積となります。これは「同じ望遠鏡で同じ露光時間でも、585MC は 662MC の約 4 倍広い視野を 1 枚で取得できる」という意味に直結します。(出典: ASI664MC Manual §3.2ASI662 Manual §3ASI585 Manual §3 センサー寸法から弊社計算)

解像度(総画素数)の差

解像度は 2.07MP → 4.15MP → 8.29MP と段階的に倍々で増えます。これは「ピクセルサイズが共通で、センサー面積が倍々であるため」の必然です。「画素を細かくしている」のではなく、「同じ細かさのまま面積を広げている」という設計思想です。(出典: ASI664MC Manual §1 公式比較表

木星・土星はどこに収まるか(焦点距離 3000mm 想定)

焦点距離 3000mm(口径 200mm × F15 相当)で撮像すると、ピクセルスケールは 206.265 × 2.9 ÷ 3000 = 0.199 arcsec/pixel になります。木星の視直径(衝の前後で約 45 arcsec)は、いずれの機種でも約 226 ピクセル四方の領域に投影される計算になります。つまり「惑星本体だけを切り取る」用途では、3 機種いずれでも惑星像のサイズ感は同じです。違いは「惑星の周辺にどれくらい余白を取れるか」と「副産物として近接衛星まで写しこめるか」の差になります。(出典: ASI664MC Manual §3.2 ピクセルサイズ 2.9μm、ピクセルスケール公式 206.265 × 画素サイズ ÷ 焦点距離。木星の視直径は撮影時点の地球-木星距離により変動し、衝前後で最大約 49 arcsec、合付近で最小約 30 arcsec の範囲)

月・拡大月面はどこに収まるか

満月の視直径は約 0.52°(≒ 1860 arcsec)です。焦点距離 1500mm(ピクセルスケール 0.399 arcsec/pixel)で月全景を入れると、月の直径は約 4660 ピクセル必要となるため 3840×2160 の ASI585MC でようやくほぼ全景がワンショットで収まる計算です(縦方向は 2160 ピクセルなのでさらに余裕がある縦方向に月を配置するか、焦点距離を約 1300mm 以下に短縮する設計が必要)。ASI664MC・ASI662MC では焦点距離をさらに短くするか、モザイク合成が前提となります。(出典: ASI585 Manual §3 解像度 3840×2160、ピクセルスケール公式・月の平均視直径 0.5° は天文一般値)

⑤ 読出ノイズと HCG モードの差

読出ノイズは 3 機種で最も「設計コンセプトの違い」が出る項目です。各マニュアル §3 の表記をそのまま並べると次の通り。

機種 読出ノイズ最低 読出ノイズ最大 HCG ON 時(gain≧252) 公式記載のリファレンスゲイン
ASI662MC 0.8e 6.9e 0.8e 1.22e @19dB gain
ASI664MC 0.46e(3 機種で最小) 5.8e <1.0e 3.2e @19dB gain
ASI585MC 0.8e 12e 1.5e 2.4e @15dB gain

ASI664MC の最小読出ノイズ 0.46e は 3 機種で最小

ZWO 公式マニュアルが記載する最低読出ノイズは ASI664MC が 0.46e と 3 機種で最も低い値になります。これは「高速モード(10bit ADC)の最も読出ノイズが低くなるゲイン帯における値」を指します。一方で「19dB ゲインでの実用値」では 662MC(1.22e)が 664MC(3.2e)より低い数値が公式記載となっています。読出ノイズの「最低値カタログ値」と「実用ゲイン帯での値」は別物です。(出典: ASI664MC Manual §3.2 (Read noise 0.46-5.8e (3.2e@19db gain))ASI662 Manual §3 (Readout noise 0.8 ~ 6.9e (1.22e@19db gain))ASI585 Manual §3 (Readout noise 0.8 ~ 12e (2.4e@15db gain))

HCG モードの効きは 662MC が最強

HCG モード(High Conversion Gain)は「ゲインを 252 以上に設定すると自動 ON」となり、高ゲインで読出ノイズを下げつつダイナミックレンジを約 11bit 近くに保つ機能です。HCG ON 時の読出ノイズは 662MC: 0.8e < 664MC: <1.0e < 585MC: 1.5e という順になります。暗い対象を高ゲインで詰める用途(暗い惑星衛星・暗い太陽プロミネンス等)では 662MC が最も有利な数値です。(出典: ASI662 Manual §4 (Readout noise in this case can be as low as 0.8e while the dynamic range can still be close to 11bit)ASI664MC Manual §3.3 (read noise can be lower than 1.0e)ASI585 Manual §4 (Readout noise in this case can be as low as 1.5e)

フルウェルとダイナミックレンジ:585MC は 47Ke で最大

フルウェル容量(飽和電子数)は 662MC: 38.2Ke < 664MC: 36.5Ke < 585MC: 47Ke という順です。585MC のフルウェル 47Ke は 3 機種で最大で、明部の階調に余裕があります。月面の明縁・大粒の星雲輝部・短時間 DSO のハイライト保持に効きます。(出典: ASI585 Manual §3 (Full well 47ke)ASI664MC Manual §3.2 (36.5Ke)ASI662 Manual §3 (38.2ke)

⑥ フレームレート設計の差

3 機種ともに USB 3.0 接続・10bit ADC(高速モード)使用時のフルフレーム最大 fps は次の通りです。

機種・解像度 10bit ADC 最大 fps 12bit ADC 最大 fps(RAW16) 小型 ROI(640×480)10bit fps
ASI662MC(1920×1080) 107.6fps 76.3fps 227.4fps
ASI664MC(2704×1536) 94.8fps 47.4fps 301.2fps
ASI585MC(3840×2160) 46.9fps 23.7fps 192.9fps

出典: ASI662 Manual §6.4 ADC fps 表ASI664MC Manual §3.5 ADC fps 表ASI585 Manual §6.5 ADC fps 表

フルフレーム fps:662MC > 664MC > 585MC

フルフレーム最大 fps は 662MC(107.6)> 664MC(95)> 585MC(46.9)の順です。これは画素数が増えるほど 1 フレームあたりの読出データ量が増えるため、USB 3.0 の帯域内で許容されるフレームレートが下がる、という物理的な制約に由来します。(出典: ASI664MC Manual §3.5ASI662 Manual §6.4ASI585 Manual §6.5

ROI を切ると 664MC の高速性が際立つ

ROI(Region of Interest)を 640×480 まで小さくすると、664MC は 301.2fps と 3 機種で最高速になります。木星本体(焦点距離 3000mm で約 226 ピクセル四方)を含めるサイズに ROI を絞れば、664MC の方が 662MC のフルフレーム読出より速くなる、という現象が起きます。「惑星撮影だから 662MC 一択」というわけではなく、ROI 運用前提なら 664MC のほうが結果的にフレーム数を稼げる場面があります(出典: ASI664MC Manual §3.5 ADC fps 表(640×480 10bit ADC = 301.2fps)

シーイングを「数で押し切る」発想

惑星撮影では大気の揺らぎ(シーイング)の良い瞬間だけを抽出して合成する手法が一般的で、同じ撮影時間内により多くのフレーム数を確保できる機種ほど合成後のクオリティに有利になります。フルフレーム前提なら 662MC、ROI 前提なら 664MC、というのが公式 fps 表からの単純な結論です。(出典: ASI662 Manual §6.4 ADC fps 表ASI664MC Manual §3.5 ADC fps 表

⑦ バックフォーカス・光学設計の注意点

662MC・664MC は同じ 12.5mm でアクセサリ流用可

ASI662MC と ASI664MC のバックフォーカスは どちらも 12.5mm で完全に共通です。アダプター仕様も M42×0.75 がベース(662MC は 1.25″ ノーズピース、2″ アダプターも標準同梱)であり、662MC で構築した光学系をそのまま 664MC に差し替えても合焦位置・光路長が変わりません。これは「662MC を所有しているユーザーが追加で 664MC を導入する」「またはその逆」のときに大きな利点になります。(出典: ASI664MC Manual §3.2 (Back focus distance 12.5mm, Adapter M42x0.75)ASI662 Manual §3 (Back focus length 12.5 mm, Adapters 1.25"/2"/M42*0.75)

585MC は 6.5mm / 17.5mm の 2 通り

ASI585MC のバックフォーカスは 6.5mm または 17.5mm の 2 通りで、付属の 2″ ・M42×0.75 アダプターをどう組むかで決まります。これは保護窓が D32×2mm と大型化していること(662/664 は D21)、フィルターホイールや OAG・コマコレクタ等の周辺機材を組み合わせたときのレイアウト自由度を確保するための設計と読めます。585MC で同じ光路を組み直すときは、必ずバックフォーカスをマニュアルで確認してアダプターを選ぶ必要があります(出典: ASI585 Manual §3 (Back focus length 6.5mm/17.5mm, Adapters 2"/M42x0.75, Protect window AR D32*2mm)

保護窓寸法の差(D21 vs D32)と周辺イメージサークル

保護窓は 662/664MC: D21×1.1mm、585MC: D32×2mmと差があります。585MC の D32 は対角 12.84mm のセンサー全体を四隅まで覆うために必要なサイズで、使用するレデューサー・フラットナーのイメージサークルが小さい場合、585MC では四隅にケラレが生じる可能性があります。662MC・664MC は対角 9.02mm 以下に収まるため、小さなイメージサークルの光学系でも周辺減光が出にくい構造になります。(出典: ASI585 Manual §6.4 Protect window AR D32×2mmASI664MC Manual §3.4 (D21×1.1mm)ASI662 Manual §3 (AR D21×1mm)

585MC は USB 3.0 のみ・消費電力が約 2 倍

USB インターフェースは 662MC・664MC が USB 3.0 / USB 2.0 Type-B 両対応、585MC は USB 3.0 のみがマニュアル明記です。最大消費電力は 662MC・664MC が 1.36W、585MC が 2.86W と約 2 倍。585MC を ASIAIR や PoE ハブ・遠征時のモバイル電源で運用する際は、給電容量に余裕を見る必要があります。(出典: ASI585 Manual §3 USB 3.0, §6.3 max at 2.86W with USB power supplyASI664MC Manual §3.2 USB 3.0/USB 2.0 Type-B, §3.6 max power consumption is only 1.36WASI662 Manual §3 USB 3.0/USB 2.0 Type-B, §6.3 max at 1.36W

⑧ 用途別 選び方ガイド

用途 1|惑星撮影(木星・土星・火星)

第 1 推奨:ASI662MC。フルフレーム 107.6fps の高フレームレートと、HCG ON 時 0.8e の低読出ノイズが惑星撮影の「数で押し切る」運用に最適です。第 2 推奨:ASI664MC(ROI 運用前提)。ROI を 640×480 まで絞れば 301.2fps と 3 機種最高速、しかも惑星周辺の余白が広く取れます。585MC は 46.9fps と低く、惑星撮影では fps の優位がありません。(出典: ASI662 Manual §3 fps 107.6ASI664MC Manual §3.5 ROI fps 表(640×480 = 301.2fps)ASI585 Manual §3 fps 46.9

用途 2|月面拡大撮影(クレーター・地形ディテール)

第 1 推奨:ASI664MC。2704×1536 の 4.15MP で 1 ショットあたりの拡大ディテールが 662MC の 2 倍取れ、しかも 95fps を維持できます。第 2 推奨:ASI662MC(さらに長焦点で月の表面を細部まで拡大したい場合)。585MC は解像度では最大ですが、46.9fps とフレームレート優位がないため、月面ディテール撮影では 664MC が最適点です。(出典: ASI664MC Manual §3.2 解像度 2704×1536, fps 95

用途 3|月全景撮影(モザイク不要・1 ショット)

第 1 推奨:ASI585MC。対角 12.84mm × 解像度 3840×2160 で、1500mm 以下の焦点距離なら満月をワンショットでフレーミングできます。664MC・662MC では月全景に対しモザイク合成が必要となるため、撮影・処理工程が増えます。(出典: ASI585 Manual §3 解像度 3840×2160, 対角 12.84mm

用途 4|太陽(白色光・Hα)拡大撮影

第 1 推奨:ASI662MC。HCG モード ON 時の読出ノイズ 0.8e(3 機種で最低)が、Hα ナローバンドの暗部階調・プロミネンス輪郭の解像に効きます。107.6fps のフレームレートで大気揺らぎを統計的に抑え込めます。第 2 推奨:ASI664MC(より広い太陽面領域を 1 ショットで収めたい場合)。(出典: ASI662 Manual §3 (Readout noise 0.8 ~ 6.9e), §4 HCG 0.8e

用途 5|電視観望(EAA)・Live Stacking

第 1 推奨:ASI585MC。1/1.2″ 8.29MP で広い視野を確保し、フルウェル 47Ke のダイナミックレンジ余裕で短時間 Live Stacking のハイライト保持に有利です。585MC は software/hardware bin2/bin3/bin4 まで対応するため、ノイズリダクション目的のビニングがしやすいのも EAA 向きです。第 2 推奨:ASI664MC(中間焦点距離で運用したい場合・電力制約がある場合)。(出典: ASI585 Manual §3 解像度 3840×2160 / Full well 47ke、§6.6 software bin2/3/4 + hardware bin2/3/4

用途 6|短時間 DSO(彗星・散開星団・明るい星雲)

第 1 推奨:ASI585MC。非冷却モデルゆえ長時間露出には冷却機(ASI585MC Pro 等)の使用が現実的ですが、短時間(数秒〜数十秒の積算)であれば 47Ke のフルウェルと 8.29MP の解像度で彗星・散開星団・明るい星雲(M42・M31 中心部等)の構図に余裕があります。664MC・662MC は視野が狭いため、明るく広がる対象では構図が窮屈になります。(出典: ASI585 Manual §3 (Sensor size 11.2mm * 6.3mm, Full well 47ke)

用途 7|オートガイド用(PHD2 / ASIAIR)

3 機種ともガイドカメラとして使えますが、本来の用途ではありません。オートガイド専用なら、より小型・軽量の ASI120MM Mini や ASI220MM Mini(モノクロ・ガイド最適化モデル)を選ぶほうが、視野・感度・ピント許容範囲のいずれの面でも合理的です。(出典: 用途別の最適選定は弊社運用判断によるもの。3 機種の公式マニュアルにオートガイド専用モデルとしての記載はなし)

⑨ 関連商品(天体ショップ)

本記事で解説した 3 機種は、いずれも天体ショップでお取り扱いしています。在庫・価格・キャンペーン情報は商品ページで最新の状態を確認できます。

関連ナレッジ記事もあわせてご参照ください。

⑩ 機材選びに迷ったら|商品ページ・公式 LINE のご案内

本記事で扱った商品ページはこちら

ZWO ASI 664MC を商品ページで見る →

どこよりも安く買うなら公式 LINE

最安値をご案内します。ご購入前に公式 LINE で最新価格と在庫状況をご確認ください。「ASI664MC vs 662MC vs 585MC」とメッセージをお送りいただくだけで、すぐに個別でご案内します。

  • 所有している望遠鏡の焦点距離と F 値を教えていただければ、3 機種の中から最適な機種を即日回答
  • ASIAIR Plus / Mini との組み合わせ・遠征構成・撮影対象(惑星 / 月 / EAA / 短時間 DSO)に応じた構成相談も可能
  • LINE 登録で特別クーポン配布中

LINE で価格・在庫を確認する →

初めてのお客様へ

LINE 登録が難しい方向けに、メールで対応いたします。support@tenbundo.com までお気軽にご連絡ください。

最終更新: 2026-04-30/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル(ASI664MC / ASI662 / ASI585)と Sony 公式センサーフライヤー(IMX664 / IMX662 / IMX585)に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑪ よくあるご質問(FAQ)

Q1. 3 機種で「画質の違い」が一番出るのは何ですか?

センサーサイズに由来する 「同じ焦点距離での視野の広さ」です。ピクセルサイズ・QE ピーク・ADC 仕様が共通である以上、「画素 1 個に映る対象の大きさ」は 3 機種で変わりません。1/2.8″ → 1/1.8″ → 1/1.2″ と段階的に切り取れる視野が広がっていく、というのが本質的な違いです。(出典: ASI664MC Manual §1 公式比較表(Pixel size 全機種 2.9μm)

Q2. 既に ASI662MC を持っています。664MC を追加する意味はありますか?

あります。バックフォーカスもアダプター(M42×0.75)も完全に共通のため、光学系を組み直さずに「狭い視野(662MC)」と「広い視野(664MC)」の使い分けができます。月面拡大では 664MC、惑星では 662MC、というパラレル運用が可能です。(出典: ASI664MC Manual §3.2 (Back focus 12.5mm, Adapter M42x0.75)ASI662 Manual §3 (Back focus 12.5mm)

Q3. 585MC を持っています。664MC や 662MC を追加で買う必要はありますか?

585MC でも惑星撮影は可能ですが、フルフレーム 46.9fps は惑星撮影で「数を稼ぐ」用途では物足りない場面があります。惑星をメインに据えるなら 662MC・664MC が公式仕様上は有利です。一方で 585MC のほうがバックフォーカスが浅く(6.5mm or 17.5mm)、585MC で組んだ光学系をそのまま 664MC・662MC に流用するときはアダプター長を再計算する必要があります。(出典: ASI585 Manual §3 (fps 46.9, Back focus 6.5mm/17.5mm)ASI664MC Manual §3.2 (fps 95, Back focus 12.5mm)

Q4. ASI664MC は 4K カメラですか?

厳密には 4K UHD(3840×2160)ではありません。ASI664MC の解像度は 2704×1536(4.15MP)で、いわゆる QHD よりやや高い程度です。「4K カラー惑星カメラ」と表現されている場面は、Sony IMX664 が STARVIS 2 系の 4MP 級センサーであることに由来します。3840×2160 の 4K UHD 解像度は ASI585MC(8.29MP)側が該当します。(出典: ASI664MC Manual §3.2 (Resolution 4.15MP 2704x1536)ASI585 Manual §3 (Resolution 8.29 Mega Pixel, 3840*2160)

Q5. HCG モードは手動で切ることはできますか?

各マニュアルには「ゲイン 252 以上で自動 ON」とのみ記載があり、手動切替の仕様明記はありません。撮影アプリ(ASIStudio / FireCapture / SharpCap 等)の側でゲイン値を 252 未満に設定することで、HCG OFF の状態を選択することはできます。(出典: ASI664MC Manual §3.3 (At gain 252 and above, the HCG mode is automatically turned on)ASI662 Manual §4ASI585 Manual §4

Q6. 3 機種で USB 2.0 接続はサポートされていますか?

ASI662MC・ASI664MC は USB 3.0 / USB 2.0 Type-B 両対応とマニュアルに明記されています。一方で ASI585MC は USB 3.0 のみがマニュアル §3 に記載されています。585MC を ASIAIR で運用する場合、USB 3.0 ポートに接続する設計が前提となります。(出典: ASI585 Manual §3 (USB interface USB 3.0)ASI664MC Manual §3.2 (USB 3.0/USB 2.0 Type-B)ASI662 Manual §3 (USB 3.0/USB 2.0 Type-B)

Q7. ハードウェアビニングは 3 機種で同じですか?

ASI585MC は software bin2/bin3/bin4 と hardware bin2/bin3/bin4 を両方サポートと §6.6 に明記があります。ASI662MC は software bin2 と hardware bin2がマニュアル §6.5 で言及されています。ASI664MC のマニュアルにはビニング項の独立記載がありません(明記なしのため未確認)。撮影アプリ(ASIStudio 等)側のソフトビニングは利用可能です。(出典: ASI585 Manual §6.6 (software bin2, bin3, bin4 mode and hardware bin2, bin3, bin4 mode)ASI662 Manual §6.5 (software bin2 mode and hardware bin2 mode)、ZWO ASI664MC Manual はビニングの独立記載なし)

Q8. ASI224MC や ASI462MC からの買い替えで違いを実感できますか?

ASI224MC / ASI462MC からの買い替えでは、3 機種いずれも STARVIS 2 世代の高感度・低ノイズ特性とフルウェル容量増・ROI 高速性で違いを実感できる構成です。ZWO 自身が ASI662MC を「ASI462MC のアップグレード版」と位置付けており、ASI664MC は「ASI662MC のイテレーション」と公式説明があります。(出典: ASI662 Manual §1 (It is considered as the upgraded version of ASI462MC)ASI664MC Manual §1 (ASI664MC can be considered as an iteration of ASI662MC)

Q9. 冷却モデル(Pro)と非冷却モデルはどちらを選ぶべきですか?

本記事で扱う ASI662MC・ASI664MC・ASI585MC は すべて非冷却モデルです。長時間露光(数分〜数十分の DSO 撮影)を本格的に行うなら冷却版(ASI585MC Pro 等)が適します。惑星・月面・短時間 EAA は露光時間が短いため非冷却で実用的に運用できます。(出典: ASI664MC Manual §1 (Planetary Camera)ASI662 Manual §1 (color planetary cameras)ASI585 Manual §1 (color planetary cameras)

Q10. 弊社の保証はどうなりますか?

天体ショップでお買い上げいただいた ZWO カメラには、初期不良 60 日対応+弊社 3 年保証を付帯しています。詳細は商品ページをご確認ください。(出典: 天体ショップ ZWO ASI 664MC 商品ページ同 ASI 662MC 商品ページ同 ASI 585MC 商品ページ

参考にした一次情報

本記事で扱った商品ページはこちら

ZWO ASI 664MC を商品ページで見る →

どこよりも安く買うなら公式 LINE

最安値をご案内します。ご購入前に公式 LINE で最新価格と在庫状況をご確認ください。「ASI664MC vs 662MC vs 585MC」とメッセージをお送りいただくだけで、すぐに個別でご案内します。

  • 所有している望遠鏡の焦点距離と F 値を教えていただければ、3 機種の中から最適な機種を即日回答
  • ASIAIR Plus / Mini との組み合わせ・遠征構成・撮影対象(惑星 / 月 / EAA / 短時間 DSO)に応じた構成相談も可能
  • LINE 登録で特別クーポン配布中

LINE で価格・在庫を確認する →

初めてのお客様へ

LINE 登録が難しい方向けに、メールで対応いたします。support@tenbundo.com までお気軽にご連絡ください。

最終更新: 2026-04-30/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル(ASI664MC / ASI662 / ASI585)と Sony 公式センサーフライヤー(IMX664 / IMX662 / IMX585)に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。