ZWO 惑星カメラ 選び方完全版|ASI715MC vs ASI662MC vs ASI585MC|ピクセルサイズと焦点距離から逆算【2026年最新】
ZWO 惑星カメラ 選び方完全版|ASI715MC vs ASI662MC vs ASI585MC|ピクセルサイズと焦点距離から逆算【2026 年最新】
ZWO の惑星・月向けカラーカメラである ASI715MC / ASI662MC / ASI585MC の 3 機種は、いずれも 62mm 径の非冷却ボディで外見は似ていますが、中身のセンサーは ピクセルサイズ・解像度・センサー世代が完全に異なります。どれが自分の機材に最適かは、望遠鏡の焦点距離と撮影対象(木星/月/DSO/電視観望)から「ピクセルスケール公式」で逆算すれば一意に決まります。本記事では、ZWO 公式マニュアル・Sony 公式センサーフライヤー・Diffraction Limited(MaxIm DL 製造元)公式ドキュメントの一次情報だけを使い、3 機種を数値で比較し、焦点距離別・用途別に最適な 1 台を選ぶ手順をまとめました。
要点(5行で押さえる)
- ASI715MC(Sony IMX715 / 1.45µm / 4K 8.46MP / QE 80%): ZWO ラインナップ中最小ピクセル。短〜中焦点の鏡筒(口径 100〜200mm クラスの F5〜F8 級)でバローなしでも惑星・月の高精細撮影に向く。
- ASI662MC(Sony IMX662 / 2.9µm / 2.07MP / QE 91% / STARVIS 2): 高感度・最大 107.6fps の高速転送。バロー併用の中〜長焦点(F10〜F30 級)で木星・土星の本命。NIR 感度が高く電視観望兼用にも。
- ASI585MC(Sony IMX585 / 2.9µm / 4K 8.29MP / 1/1.2" / QE 91% / STARVIS 2): センサー面積は他 2 機の 3 倍以上。月面全景・電視観望・DSO まで守備範囲が広い万能型。短焦点鏡向け。
-
選び方の基準は「ピクセルスケール 0.25"/px 近傍(Diffraction Limited 推奨の惑星撮影開始値)を狙える焦点距離」。自分の望遠鏡焦点距離を
206 × ピクセルサイズ(µm) ÷ 焦点距離(mm)に入れて 0.25 に近いものを選ぶのが最短です。 - 迷ったら 公式 LINE でお手持ちの鏡筒スペックをお送りください。焦点距離・F 値・撮影対象から最適な 1 台をご案内します。天体ショップでは 初期不良 60 日対応+3 年保証 にて長期サポートしています。
① 結論早見表|焦点距離別・用途別の最適機種
まず結論を一覧にします。望遠鏡の焦点距離と主な撮影対象の 2 軸で最適機種が決まります。各セルの数値は「ピクセルスケール(arcsec/pixel)」で、Diffraction Limited が惑星撮影の開始値として推奨する 0.25"/px に近いセルがその機材での最適機種です。
| 焦点距離 | 代表的な鏡筒例 | 715MC (1.45µm) |
662MC (2.9µm) |
585MC (2.9µm) |
推奨機種(惑星) |
|---|---|---|---|---|---|
| 500mm | 小型鏡筒(APO 80mm F6 等) | 0.60" | 1.19" | 1.19" | 715MC(バロー併用推奨) |
| 800mm | APO 120mm F6.5、8cm F10 屈折 | 0.37" | 0.75" | 0.75" | 715MC(そのまま) |
| 1200mm | 15cm F8 ニュートン、20cm F6 | 0.25" | 0.50" | 0.50" | 715MC(バローなしで最適) |
| 1500mm | 12.7cm F12 マクストフ、20cm F7.5 | 0.20" | 0.40" | 0.40" | 715MC / 662MC(2× バロー) |
| 2000mm | 20cm F10 SCT | 0.15" | 0.30" | 0.30" | 662MC(1.5× バローで 0.25" 近傍) |
| 2400mm | 25cm F9.6、20cm F10 + 1.2× バロー | 0.12" | 0.25" | 0.25" | 662MC(高 fps が効く) |
| 2800mm | 28cm F10 SCT、20cm F10 + 1.5× バロー | 0.11" | 0.21" | 0.21" | 662MC |
| 4000mm | 20cm F10 + 2× バロー、35cm F10 SCT | 0.075" | 0.149" | 0.149" | 662MC(長焦点の本命) |
※ ピクセルスケールは 206 × ピクセルサイズ(µm) ÷ 焦点距離(mm) で算出(Diffraction Limited / MaxIm DL Help: Image Scale)。緑色セル(0.25" 近傍)が惑星撮影の推奨値に最も近い組み合わせです。
出典: Diffraction Limited — Image Scale("start with an image scale of 0.25 arc seconds per pixel" と惑星撮影の開始値を明示)/ピクセルサイズは各 ZWO 公式マニュアル(715MC §3.2、662 Manual §3、585 Manual §3)。
② 3 機種スペック完全比較表(公式マニュアル準拠)
以下は ZWO 公式マニュアル・Sony 公式センサーフライヤーの一次情報のみで作成した完全比較表です。
| 項目 | ASI715MC | ASI662MC | ASI585MC |
|---|---|---|---|
| センサー | Sony IMX715 | Sony IMX662 | Sony IMX585 |
| センサー世代 | STARVIS(第 1 世代) | STARVIS 2 | STARVIS 2 |
| フォーマット | 1/2.8" (対角 6.43mm) | 1/2.8" (対角 6.45mm) | 1/1.2" (対角 12.84mm) |
| センサー実寸 | 5.602 × 3.178 mm | 5.568 × 3.132 mm | 11.2 × 6.3 mm |
| 解像度 | 8.46MP (3864×2192) | 2.07MP (1920×1080) | 8.29MP (3840×2160) |
| ピクセルサイズ | 1.45µm | 2.9µm | 2.9µm |
| 最大フレームレート(フル解像度・10bit) | 45.1 fps | 107.6 fps | 46.9 fps |
| シャッター | ローリングシャッター | ローリングシャッター | ローリングシャッター |
| 露光範囲 | 32μs ~ 2000s | 32µs ~ 2000s | 32µs ~ 2000s |
| 読み出しノイズ | 0.72 ~ 2.1 e- (1.8e @ 3.5dB gain) |
0.8 ~ 6.9 e- (1.22e @ 19dB gain) |
0.8 ~ 12 e- (2.4e @ 15dB gain) |
| 量子効率 (QE) ピーク | 80% | 91% | 91% |
| フルウェル容量 | 6.03 ke- | 38.2 ke- | 47 ke- |
| ADC | 12 bit | 12 bit | 12 bit |
| HCG モード | (公式マニュアル記載なし) | gain 252 で自動 ON / 0.8e | gain 252 で自動 ON / 1.5e |
| Zero amp glow | 記載あり | 記載あり(ハードウェアレベル) | 記載あり(ハードウェアレベル) |
| USB インターフェース | USB 3.0 / USB 2.0 Type-B | USB 3.0 / USB 2.0 Type-B | USB 3.0(USB 2.0 入力あり) |
| DDR バッファ | 256MB | (マニュアル記載なし) | (マニュアル記載なし) |
| ST4 ガイドポート | あり | あり | あり |
| アダプタ付属 | 1.25" / 2" / M42×0.75 | 1.25" / 2" / M42×0.75 | 2" / M42×0.75(1.25" なし) |
| 保護窓 | φ21 × 1.1 mm AR | φ21 × 1.0 mm AR | φ32 × 2.0 mm AR |
| ボディ径 | 62 mm | 62 mm | 62 mm |
| 重量 | 126 g | 126 g | 126 g |
| バックフォーカス | 12.5 mm | 12.5 mm | 6.5 / 17.5 mm |
| 消費電力(USB 給電) | 最大 1.36 W | 最大 1.36 W | 最大 2.86 W |
| 冷却機構 | なし(非冷却) | なし(非冷却) | なし(非冷却 / 冷却 Pro 版は別機種) |
出典: ZWO ASI715MC Product Manual §3.2 Camera Specifications / §3.5 Power consumption、ZWO ASI662 Manual Revision 1.1 §3 Camera technical specifications、ZWO ASI585 Manual Revision 1.0 §3 Camera technical specifications。センサー世代(STARVIS / STARVIS 2)は Sony IMX715-AAQR1 Flyer 脚注(STARVIS)、Sony IMX662-AAQR/AAQR1 Flyer 脚注(STARVIS 2)、Sony IMX585-AAQJ1 Flyer 脚注(STARVIS 2)。
出典: センサー寸法は各 ZWO 公式マニュアル記載値(715MC Manual §3.2: 5.602×3.178mm、662 Manual §3: 5.568×3.132mm、585 Manual §3: 11.2×6.3mm)。Sony 公式フライヤーの対角寸法(IMX715: 6.4mm、IMX662: 6.45mm、IMX585: 12.84mm)と整合。
③ 「最適サンプリング」を決める 3 つの公式
惑星・月撮影で最高の解像感を引き出すには、望遠鏡の「分解能」とカメラの「ピクセルサイズ」をきちんとマッチさせる必要があります。ここで使う公式は 3 つだけです。
公式 1|ピクセルスケール(arcsec/pixel)
ピクセルスケール(arcsec/px) = 206 × ピクセルサイズ(µm) ÷ 焦点距離(mm)
カメラの 1 ピクセルが空の何秒角に対応するかを示す基本公式です。この値が0.25 arcsec/pixel 近傍のとき、惑星撮影のサンプリングとしてちょうどよい開始点になります(Diffraction Limited 公式)。
出典: Diffraction Limited — Image Scale「pixel size (arc seconds) = 206 * pixel size (microns) / focal length (mm)」「start with an image scale of 0.25 arc seconds per pixel」(惑星撮影の推奨開始値)
公式 2|エアリーディスク(望遠鏡の分解能)
エアリーディスク直径(µm) = 1.22 × 波長(µm) × F値
望遠鏡の光学系が作る「点像の大きさ」です。緑光(λ = 0.55µm)で計算すると、F/5 では約 3.4µm、F/10 では約 6.7µm、F/20 では約 13.4µm、F/30 では約 20.1µm となります。カメラのピクセルが、このスポット径の半分以下であれば「Nyquist 的に光学系の分解能を余さず記録できる」と言えます。
出典: Diffraction Limited — Matching Your Camera to Your Optics「Spot size (um) = 1.22 * wavelength (um) * f/ratio」
公式 3|Nyquist サンプリング(最低 2 ピクセル / FWHM)
Diffraction Limited は、恒星の FWHM(半値幅)に対して以下のサンプリング目安を示しています。
- 最低ライン: FWHM あたり 2 ピクセル
- 最適: FWHM あたり 2.5 〜 3 ピクセル
- 許容上限: FWHM あたり 4 〜 5 ピクセル
- 避けるべき: 5 ピクセル超(オーバーサンプリングで SNR が低下)
一般的な「ピクセルサイズ × 3 〜 5 = 望遠鏡の F 値」という経験則は、この Nyquist サンプリングをざっくり当てはめた近似です。ピクセル 1.45µm なら F/4.4 〜 F/7.3、ピクセル 2.9µm なら F/8.7 〜 F/14.5 が「適正サンプリングの鏡筒 F 値」になります。
出典: Diffraction Limited — Matching Your Camera to Your Optics「2 pixels across the FWHM of the star」「2.5 to 2.8 pixels is generally considered optimal」「Avoid: Exceeding 5 pixels (oversampling reduces signal-to-noise ratio)」
④ F 値 × カメラ「適合表」
先ほどの公式 2・3 から、各カメラに対して光学系の F 値を合わせるべき目安を算出すると次のようになります。
| カメラ | ピクセル | 推奨 F 値 (3〜5× 則) |
スポット径 @推奨 F 下限 |
スポット径 @推奨 F 上限 |
想定シーン |
|---|---|---|---|---|---|
| ASI715MC | 1.45µm | F/4.4 〜 F/7.3 | 2.95µm | 4.90µm | F5〜F8 屈折/短焦点ニュートンにバローなしで直結 |
| ASI662MC | 2.9µm | F/8.7 〜 F/14.5 | 5.84µm | 9.73µm | F10 SCT/マクストフにそのまま、長焦点鏡にはバロー併用 |
| ASI585MC | 2.9µm | F/8.7 〜 F/14.5 | 5.84µm | 9.73µm | 同上。ただし 大型センサーにより短焦点で広視野も取れる |
※ スポット径は緑光 λ = 0.55µm で計算(1.22 × 0.55 × F)。「3〜5× 則」は Nyquist サンプリング(FWHM あたり 2.5〜3 ピクセル)を簡略化した経験則です。
重要: シーイング(大気揺らぎ)が良くない場合は、上記計算より低い F 値(=広めのサンプリング)で十分です。惑星撮影では Lucky Imaging(多数ショットから良いフレームだけを合成)が前提のため、多少のオーバーサンプリングは許容されます。
出典: Diffraction Limited — Matching Your Camera to Your Optics(スポット径公式・Nyquist 目安)、ピクセルサイズ各 ZWO マニュアル §3 / §3.2
⑤ 機種別 詳細プロファイル
ASI715MC の強みと弱み|小ピクセル × 4K 高解像度
最大の特徴は ZWO ラインナップ中最小の 1.45µm ピクセルと、約 4K(3864×2192)の高解像度です。短〜中焦点の鏡筒でもバロー等倍で十分なサンプリングが取れ、短焦点+ASI715MC の組み合わせは軽量・コンパクトな遠征機材として有利です。
- 強み: 超小ピクセルにより F/5〜F/8 の屈折・短焦点ニュートンでも惑星・月を高精細に記録。4K 解像度により月面モザイクが大幅に効率化。
- 強み: Sony STARVIS の特徴として NIR(近赤外)感度が良好(センサーフライヤー脚注記載)。
- 弱み: フルウェル容量 6.03ke-(3 機種中最小)とダイナミックレンジは控えめ。明るい月・太陽面でハイライト飛びしやすい。
- 弱み: QE ピーク 80% で、662MC / 585MC の 91% より 10% 程度低い。暗いターゲット(衛星・暗い星雲の短秒露光)では不利。
- 弱み: Sony フライヤー脚注が「STARVIS」と表記されており、662MC / 585MC の「STARVIS 2」と比べて 1 世代前のセンサー技術。
- 弱み: 1/2.8" の小型センサーのため、電視観望・DSO には視野が狭い。
出典: ZWO ASI715MC Manual §1 Product Introduction「this camera offers very sharp object details in use even without a Barlow lens」、Sony IMX715-AAQR1 Flyer 脚注(STARVIS)
ASI662MC の強みと弱み|高感度 × 超高速フレームレート
2.9µm のやや大きめピクセルと、全画素で 107.6fps の高速読み出しが最大の武器です。F/10 前後の SCT・マクストフと相性が良く、惑星像を「Lucky Imaging」で大量に積む運用で最も力を発揮します。
- 強み: ピーク QE 91% と高感度(STARVIS 2 世代)。読み出しノイズも 0.8e まで下がる HCG モード搭載(gain 252 で自動 ON)。
- 強み: 全画素 107.6fps の高速転送。シーイング変動を「凍結」する Lucky Imaging の成功率を高める。
- 強み: フルウェル容量 38.2ke- で、月・太陽の明るい部分もハイライト飛びしにくい。
- 強み: NIR 感度も高く、電視観望や IR-Pass を使った撮影にも対応。
- 弱み: 解像度 2.07MP (1920×1080) で、同じ視野角でピクセル数が少ないため、月面全景モザイクは分割撮影枚数が増える。
- 弱み: センサー実寸は 5.57 × 3.13mm と小さく、広視野 DSO には向かない。
出典: ZWO ASI662 Manual Revision 1.1 §1 Instruction(one of the latest color planetary cameras)/§3 specs/§4 HCG mode / §5 No amp glow、Sony IMX662-AAQR/AAQR1 Flyer 脚注(STARVIS 2, 8dB wider dynamic range than STARVIS)
ASI585MC の強みと弱み|大型 1/1.2" × 4K 万能型
3 機種で唯一 1/1.2"(対角 12.84mm)の大型センサーを搭載。面積にして他 2 機の約 4 倍あり、月面全景・電視観望・DSO ショートエクスポージャーまでカバーできる万能型です。ZWO 公式は「DSO 兼用可」と位置づけています。
- 強み: センサー実寸 11.2 × 6.3mm と広く、短焦点鏡筒で月面全体を 1 ショットに収めるのが容易。電視観望でも視野が稼げる。
- 強み: ピーク QE 91%、フルウェル容量 47ke-(3 機種中最大)で、ダイナミックレンジが広い。HCG モードで読み出しノイズ 1.5e まで低下。
- 強み: 4K (3840×2160) 解像度で高精細。STARVIS 2 世代。
- 強み: Zero amp glow により長秒露光でも背景が澄み、短時間 DSO や電視観望でも安定。
- 弱み: 読み出しノイズの上限値が 12e(3 機種中最大)。低 gain で使うと他機より読み出しノイズが目立つ場面あり。
- 弱み: 付属アダプタは 2" / M42 のみ(1.25" なし)。ガイド鏡用途には追加アダプタが必要。
- 弱み: 消費電力 2.86W は 715MC / 662MC の 2 倍以上。モバイル運用では USB ハブの電源事情に注意。
出典: ZWO ASI585 Manual Revision 1.0 §1 / §3 specs / §4 HCG / §5 No amp glow / §6.3 Power consumption、Sony IMX585-AAQJ1 Flyer 脚注(STARVIS 2)
⑥ 用途別 選び方ガイド
木星・土星の高解像度撮影が最優先
焦点距離 2000mm〜3000mm(口径 20cm SCT + バロー等の組み合わせ)が王道。この領域では ASI662MC が最もバランスが良い選択です。高 fps(107.6)は Lucky Imaging の歩留まりに直結し、QE 91% は暗い縁の濃淡を拾います。もっと短い焦点距離(1200〜1500mm)で挑戦するなら ASI715MC を直結で使う手も有効で、4K 解像度でドット by ドットの精細感が得られます。
月面全景・モザイク撮影
月全体を少ないショット数で収めたいなら ASI585MC の 1/1.2" 大型センサーが圧倒的に有利。8.29MP 解像度と広い画角で、満月を 2〜4 枚のモザイクで収める運用が現実的になります。逆に「月面のクレーターをドアップで」なら長焦点+ASI662MC(高 fps でシーイング凍結)か、中焦点+ASI715MC(4K で精細)が選択肢です。
電視観望(EAA)
視野を稼ぎたい電視観望では ASI585MC が第一候補。短焦点鏡筒と組み合わせて散開星団・明るい星雲をリアルタイム表示できます。高 NIR 感度を活かして IR パスフィルタを併用する用途では ASI662MC も有力です。ASI715MC は視野が狭めなので、EAA ではターゲットが限定されます。
ガイドカメラ兼用
3 機種とも ST4 ポートがあるのでガイドカメラとして使えます。ただし ASI585MC は付属アダプタが 2"/M42 のみ(1.25" 非付属)のため、一般的な 1.25" ガイド鏡には変換アダプタが別途必要です。ガイド兼用なら付属アダプタの揃っている ASI662MC / ASI715MC のほうが導入が楽です。
DSO(ディープスカイ)も兼ねたい
非冷却での DSO は長秒露光のダーク熱ノイズが課題になりますが、ASI585MC は ZWO 公式が「DSO 兼用可」と位置づけており(583MC 系の上位互換的位置付け)、明るい星雲・散開星団であれば短秒露光を多数スタックするショートエクスポージャー運用で十分使えます。本格的な長秒露光 DSO を想定する場合は、本記事の 3 機種(いずれも非冷却)ではなく、冷却モデル(例: ASI585MC Pro)の選定が前提になります。
短焦点鏡筒(APO 80mm F6 / ED 76mm 等)
焦点距離 500mm 前後では、ASI715MC が最もマッチします。1.45µm ピクセルのおかげでバローなしでもサンプリングが足りやすく、小型遠征機材としての総重量も軽く抑えられます。ただし惑星像が小さくなるので、惑星狙いではバロー 2〜3× 併用が前提です。
長焦点鏡筒(20cm F10 SCT / マクストフ等)
焦点距離 2000mm 超では、ASI662MC が第一選択です。2.9µm × F/10 でほぼ適正サンプリングが取れ、107.6fps でシーイング変動を補います。もっと細部を追うなら 1.5× バロー併用で 0.25"/px 近傍まで攻められます。
⑦ よくある誤解
誤解 1: 「ピクセルが小さい = 高解像度」
解像度は光学系(F 値)× ピクセルサイズ × シーイングの合算で決まります。ピクセルだけ小さくしても、望遠鏡の F 値が低すぎれば「スポット径 < ピクセル 2 個分」となり、Nyquist を満たせずオーバーサンプリングになって SNR だけ悪化します。1.45µm の ASI715MC も F/3 以下では本領を発揮できません。
出典: Diffraction Limited — Matching Your Camera to Your Optics「Avoid: Exceeding 5 pixels (oversampling reduces signal-to-noise ratio)」
誤解 2: 「高 fps = 良いカメラ」
fps の価値は「シーイング変動を凍結できる時間分解能」であり、月・惑星の Lucky Imaging では効きます。ただし DSO 長秒露光には fps は無関係で、その場合は QE・読み出しノイズ・冷却の方がはるかに重要です。ASI662MC の 107.6fps は惑星本命だからこそ価値があります。
誤解 3: 「大型センサー = 上位互換」
ASI585MC の 1/1.2" センサーは視野面で強力ですが、惑星のように中央の狭い領域しか使わないターゲットでは意味がありません。小型センサーのほうが読み出しが早く、ROI(関心領域)設定時の実効 fps も有利です。「用途が惑星のみ」なら 585MC の広い視野は持て余します。
誤解 4: 「STARVIS 2 だから 715MC は旧世代」
Sony 公式フライヤーを確認すると、IMX715 は STARVIS(第 1 世代)、IMX662 / IMX585 は STARVIS 2です。STARVIS 2 は同ピクセルサイズで 8dB 以上ワイドなダイナミックレンジを持つ後継世代。ただし 715MC の価値は「1.45µm という超小ピクセル+ 4K 解像度」にあり、センサー世代とは別軸の強みです。用途が合致すれば 715MC が依然として最適解になります。
出典: Sony IMX715 Flyer 脚注 (STARVIS)、Sony IMX662 Flyer 脚注 (STARVIS 2)、Sony IMX585 Flyer 脚注 (STARVIS 2)
⑧ 関連商品(天体ショップ)
本記事で比較した 3 機種は、いずれも天体ショップ(telescopeshop.net)にて取扱中です。各商品ページにて詳細仕様・最新在庫・付属品・即納可否をご確認いただけます。
- ZWO ASI715MC|Sony IMX715 / 1.45µm / 4K 8.46MP / QE 80%(小ピクセル高精細タイプ)
- ZWO ASI662MC|Sony IMX662 / 2.9µm / 2.07MP / QE 91% / STARVIS 2(高感度高速タイプ)
- ZWO ASI585MC|Sony IMX585 / 2.9µm / 1/1.2" / 4K 8.29MP / QE 91% / STARVIS 2(大型センサー万能タイプ)
- ZWO ASI585MC Pro|上記 585MC に冷却機構を追加した DSO 本格派向け上位モデル
⑨ 機材選びに迷ったら|商品ページ・公式 LINE のご案内
お手持ちの望遠鏡の焦点距離・F 値・主な撮影対象をお送りいただければ、本記事のピクセルスケール公式に基づいて最適な 1 台をご案内します。各商品ページ・公式 LINE のいずれからでも気軽にご相談いただけます。
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最終更新: 2026-04-29/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル・Sony 公式センサーフライヤー・Diffraction Limited(MaxIm DL 製造元)公式ドキュメント に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。
⑩ よくあるご質問(FAQ)
Q1. 715MC と 662MC ならどちらが先に買うべき?
A. 焦点距離で決まります。鏡筒の焦点距離が 1500mm 以下(小口径屈折・短焦点ニュートンなど)なら ASI715MC、2000mm 以上(20cm SCT 以上)なら ASI662MC。中間帯(1500〜2000mm)ではシーイングの良し悪しで決まります。
Q2. ASI585MC は惑星には向かないの?
A. 向かないわけではありません。ピクセルサイズ 2.9µm は 662MC と同じなので、同じ焦点距離での惑星撮影ではピクセルスケールは同等です。ただし解像度 8.29MP のため読み出しが 46.9fps に下がり、Lucky Imaging では 662MC の 107.6fps に劣ります。「惑星メイン + DSO 兼用」なら 585MC、「惑星最優先」なら 662MC が基準です。
Q3. 冷却なしでも使えますか?
A. 本記事の 3 機種はすべて非冷却仕様です。惑星・月の短秒露光ではセンサーが熱くなる前に撮影が終わるため、非冷却で問題ありません。DSO など長秒露光では熱ノイズが課題になるため、冷却モデル(ASI585MC Pro など)を選ぶのが前提です。
Q4. HCG モードとは?
A. High Conversion Gain の略で、高 gain 側で読み出しノイズを下げるモードです。662MC / 585MC は gain 252 以上で自動 ON になり、662MC は 0.8e、585MC は 1.5e まで読み出しノイズが下がります(いずれも公式マニュアル記載)。715MC のマニュアルには HCG モードの記載はありません。
Q5. ST4 ポートは本当に使えますか?
A. 3 機種とも ST4 ガイドポートを搭載しており、対応赤道儀のオートガイド入力に直結できます。撮影用とガイド用の兼用が可能です。
Q6. USB 3.0 ケーブルが長いと fps が落ちますか?
A. USB 3.0 規格の一般論としてケーブル長が伸びると信号品質が落ちやすく、実効転送速度が低下する場合があります。ZWO 公式マニュアルには記載がないため、運用時は同梱の 2m ケーブル相当で運用するのが無難です(715MC Manual §4 に「Equipped with a 2m USB cable」と記載)。
Q7. Mac / Linux でも使えますか?
A. 3 機種とも公式マニュアルに「Windows, Linux & Mac OSX」対応が明記されています。
Q8. アンプグロー(amp glow)は本当に出ませんか?
A. 662MC と 585MC は「zero amp glow」を ZWO 公式マニュアル §5 に明記しています(ハードウェアレベルで実装)。715MC も公式マニュアル §1 に「amazing feature of zero amp glow」と記載があります。
Q9. どのくらいの F 値の鏡筒が必要ですか?
A.「ピクセルサイズ × 3〜5 = 推奨 F 値」の経験則を目安にすると、715MC は F/4.4〜F/7.3、662MC / 585MC は F/8.7〜F/14.5 が適正です。それ以下の F 値(明るい鏡筒)ではオーバーサンプリング、それ以上の F 値(暗い鏡筒)ではアンダーサンプリングになります。ただし惑星撮影では Lucky Imaging の前提で多少のオーバーサンプリングは許容されます。
Q10. 購入後に質問したい場合は?
A. 天体ショップでは 公式 LINE にて機材選び・運用のご相談を承っています。ご購入後も初期不良 60 日対応+3 年保証にて長期サポートします。
参考にした一次情報
本記事で引用したすべての事実・数値・公式は以下の一次情報から引いています。
- ZWO ASI715MC Planetary Camera Product Manual(ZWO 公式 / 2024 年 1 月公開版 / 14 ページ)
- ZWO ASI662 Manual Revision 1.1(ZWO 公式 / 2022 年 9 月)
- ZWO ASI585 Manual Revision 1.0(ZWO 公式 / 2022 年 8 月)
- Sony IMX715-AAQR1 Flyer Ver.1.0(Sony Semiconductor Solutions 公式 / 2021)
- Sony IMX662-AAQR/AAQR1 Flyer Ver.1.0(Sony Semiconductor Solutions 公式 / 2022)
- Sony IMX585-AAQJ1 Flyer Ver.1.0(Sony Semiconductor Solutions 公式 / 2021, 2022)
- Diffraction Limited — Matching Your Camera to Your Optics(MaxIm DL 製造元 / 業界標準ソフトのドキュメント)
- Diffraction Limited — Image Scale(MaxIm DL Help / ピクセルスケール公式・惑星撮影推奨開始値の原典)
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最終更新: 2026-04-29/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル・Sony 公式センサーフライヤー・Diffraction Limited(MaxIm DL 製造元)公式ドキュメント に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。