ZWO FD-M42-II フィルタードロワーの困りごと解決ガイド|ネジ規格・光漏れ・保持不足・バックフォーカスずれ・ケラレを一次情報で切り分ける
ZWO FD-M42-II フィルタードロワーの困りごと解決ガイド|ネジ規格・光漏れ・保持不足・バックフォーカスずれ・ケラレを一次情報で切り分ける
ZWO の 2 インチ用フィルタードロワー FD-M42-II(Gen 2 / 新型)は、シンプルに見えて実は「M42・M48・M54 が混ざる」「21mm という半端な光学長が back focus 計算を狂わせる」「二重磁石+グラブネジという 2 種類の保持機構が同居する」といった、初見でつまずきやすいポイントが集中する製品です。この記事では、公式マニュアル・公式ストアページ・ZWO 純正の 55mm バックフォーカスガイドという一次情報だけを根拠に、FD-M42-II の困りごとを「症状 → 原因 → 対処 → 出典」の順で 26 項目に分解して解決していきます。
① 製品仕様の基礎|まずここに戻れば大半は解決する
困りごとの多くは「そもそもの寸法・ネジ規格を勘違いしていた」ことに起因します。ZWO 公式の仕様値をここでまとめておきます。以降の全ての章で、この表の数値を基準に議論します。
| 項目 | FD-M42-II | FD-M54-II(参考) |
|---|---|---|
| 外径 | 70mm | 70mm |
| 光学長(厚み) | 21mm | 20mm |
| カメラ側ネジ | M42 × 0.75 male(オス) | M54 × 0.75 male(オス) |
| フィルター受け | M48 × 0.75 female(メス) | M48 × 0.75 female(メス) |
| 望遠鏡側ネジ | M48 × 0.75 female(メス) | M54 × 0.75 female(メス) |
| 同梱アダプター | M48-M42F 変換リング × 1 | M54-M48F-2mm アダプター × 1 |
| 推奨カメラ帯 | APS-C まで(ASI2600MC/MM Pro など M42 マウント機) | フルフレーム(ASI6200 / ASI2400 / ASI2600MC Duo など) |
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M42/M54 Filter Drawer Specifications、ZWO ASTRO USA §Specifications、ZWO 公式「M54 adapter for filter drawer」
② 接続・ネジ規格の困りごと|M42 と M48 と M54 が混ざる
原因 1|「カメラ側 M42 オス」を「M42 メス」と勘違いしてアダプターを買い足す
症状:手元にある M42-M42 変換リングやスペーサが余り、逆に必要な部品が判明しない。
原因:FD-M42-II のカメラ側は「M42×0.75 の オス ネジ」。ZWO の冷却カメラ(ASI2600 系など)のカメラ側は M42×0.75 のメスネジで、そのまま無変換で締結できます。
対処:カメラ直付けであればアダプター不要です。「そのまま回して締める」で完結します。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M42 Filter Drawer Specifications("M42 × 0.75 male (external) thread")
原因 2|「望遠鏡側 M48 メス」を「M42 メス」と誤解して M42 系スペーサを直付けする
症状:フラットナー/レデューサ側と噛み合わない、あるいはガタつく。
原因:望遠鏡側は M48×0.75 メスです。M42 系アクセサリと直結する場合は、同梱の M48-M42F 変換リング(=M48 オス / M42 メス)を望遠鏡側にねじ込んでから、M42 スペーサ・アダプターと接続します。
対処:同梱アダプターを紛失している場合は市販の M48-M42 変換リングでも代用可能ですが、光路長がわずかに変わる製品もあるため、可能なら純正同梱品を使ってください。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Box Contents("M48-M42F adapter" 同梱)
原因 3|同梱の M48-M42 変換リングをカメラ側に付けてしまい、M42 オスが二重になる
症状:カメラと接続できない、あるいは既存の M42 メススペーサに二段締結してしまう。
原因:同梱リングは「望遠鏡側の M48 メスを M42 メスに降段する」用途です。カメラ側は元から M42 オスなので、リングを重ねる必要はありません。
対処:リングは望遠鏡側にしか付けないというルールで統一します。困ったら §① の表を見て、カメラ側/望遠鏡側どちらのネジが必要かを確認してください。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M42 Filter Drawer Specifications / §Box Contents
原因 4|「フィルター受けが M48 メス」=「M42 フィルターは入らない」と気づかない
症状:手持ちの 1.25 インチ/31.7mm フィルターや M42 フィルターがそのまま入らない。
原因:フィルター受けは M48×0.75 メスで、これは 2 インチ(50.8mm)マウントフィルターの規格ネジです。1.25 インチや M42 フィルターはそのままでは装着できません。
対処:2 インチ(M48 ネジ付き)マウントフィルターを使用してください。1.25 インチフィルターを使いたい場合は、フィルターホルダー側で M48→1.25 インチのステップダウンリングが必要ですが、この場合ケラレのリスクが上がるので、APS-C 以上のセンサーではおすすめしません。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M42 Filter Drawer Specifications("M48 × 0.75 female (internal) thread")
原因 5|FD-M42-II の望遠鏡側(M48 メス)に M54 系アクセサリを付けようとする
症状:フルフレーム機用に用意した M54 スペーサ・レデューサと物理的に噛み合わない。
原因:M42 版の望遠鏡側は M48 メスです。ここに M54 系は入りません。M54 系接続が必要なフルフレーム機(ASI6200 / ASI2400 / ASI2600MC Duo)ではそもそも FD-M54-II(M54 版)を使うのが公式推奨です。
対処:フルフレーム機は M54 版に買い替えるか、M54 アダプターを使って APS-C 用構成に留めるかを設計段階で決めてください。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M54 Filter Drawer Specifications("Compatibility: ... ASI2600MC Duo, ASI6200, ASI2400 series")、ZWO 公式「M54 adapter for filter drawer」(M54 アダプターの適用先明記)
③ バックフォーカス・スペーシングの困りごと|21mm と 55mm の関係
原因 6|FD-M42-II の 21mm を計算に入れず 55mm 超過
症状:星像が中心以外で伸びる、周辺で放射状に流れる(バックフォーカスが 55mm を超えた場合の典型サイン)。
原因:FD-M42-II は光学長 21mm。これは ZWO APS-C 冷却機に同梱される M42-M42 21mm スペーサとまったく同じ厚みです。ドロワーを追加した際に元々あった 21mm スペーサを外し忘れると、実質 42mm ぶんが増えて 55mm を大きく超えます。
対処:「21mm スペーサ ↔ FD-M42-II」を 置き換える のが基本です。ZWO 公式ガイド「ASI2600 で 55mm を実現する接続方法」でも、ドロワーはスペーサとして機能する前提で描かれています。
出典: ZWO 公式「ASI2600 Guide: 4 Connection methods to get 55mm back focus length」、ZWO 公式「The Best Solution Of 55mm Back Focal Length」(M42 ドロワーを含めた組合せ例)
原因 7|FD-M42-II(21mm)と FD-M54-II(20mm)の 1mm 差を混同
症状:M54 版と読み間違えて設計し、1mm ぶんスペーサが余る/足りない。
原因:公式仕様で M42 版は 21mm、M54 版は 20mm と 1mm の差があります。ZWO は M54 版のパスに M54-M48F-2mm アダプターを同梱しており、これで差分を吸収する設計になっています。
対処:使用するドロワーが M42 版なのか M54 版なのかを最初に確定させ、それに応じた ZWO 公式のバックフォーカス早見図を参照してください(後述 §⑨ 図 2 も参照)。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M42 / M54 Filter Drawer Specifications、ZWO 公式「The Best Solution Of 55mm Back Focal Length」
原因 8|フィルター厚み(ガラス厚)ぶんの焦点シフトを補正していない
症状:フィルター無し(Bahtinov などで合わせた)で合焦した位置から、フィルター装着後にわずかに焦点がずれる。
原因:フィルターガラスを光路に挿入すると、焦点位置は「ガラス厚 × (n−1)/n(n はガラスの屈折率)」ぶん後方にシフトします。実用的な経験則としてよく使われる「フィルター厚みの約 1/3」も、この式で n=1.5 のときに近い値になります(1/3 ルール)。
対処:厚みぶんのオフセットを NINA・ASIAIR のフィルターオフセット機能で登録するか、フィルター装着後に再オートフォーカスを走らせます。ZWO 公式マニュアル自体にはこの補正ルールの明記はありませんが、光学の一般的な経験則としてどの光路設計でも通用します。
出典: 幾何光学の一般的経験則("1/3 rule")。ZWO 公式マニュアルには明記なし。本項目は経験則として記載。参考: ZWO「The Best Solution Of 55mm Back Focal Length」(フィルターを含む光路がバックフォーカスに影響する前提の解説)
原因 9|パルフォーカルでないフィルター(LRGB とナローバンドで厚みが違う)を混在させる
症状:フィルターを差し替えるたびに焦点位置がずれ、その都度合焦し直しになる。
原因:フィルターの焦点シフトは §原因 8 のとおりガラス厚に比例します。LRGB とナローバンドで厚みが異なるセットや、メーカーの違うフィルターを混ぜると、シフト量がフィルターごとに変わります。
対処:可能なら同一メーカーの「パルフォーカル(parfocal)」を謳うセットで揃えてください。混在する場合はフィルター交換後にオートフォーカスを 1 回走らせて再合焦させるのが最も確実です。
出典: 幾何光学の一般的経験則。ZWO 公式マニュアルには明記なし(本項目は経験則として記載)
原因 10|M48-M42 リングを噛ませたぶんの光路長を計算し忘れる
症状:21mm ぶんだけスペーサを置き換えたのに、実測でわずかに 55mm を超えている。
原因:同梱の M48-M42F リング自体もわずかに光路長を持ちます。ZWO 公式ページ側では「M48-M42 アダプターの厚みは M42-M42 21mm スペーサと同等」とし、ドロワー+リング一式で 21mm 相当として扱っていますが、他社製の変換リングを使うと厚みが変わる場合があります。
対処:ドロワー+リング一式を「21mm ブロック」として扱うのが公式のルールです。他社リングを使う場合はノギスで実測して、その差分をスペーサで吸収してください。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」、ZWO 公式「ASI2600 Guide: 4 Connection methods to get 55mm back focus length」(M42 ドロワー+同梱リングを 21mm ブロックとして扱う構成図)
④ 光漏れ・迷光・遮光の困りごと
原因 11|Gen1(旧型)で長時間露光時にドロワースリットから迷光が入る
症状:15 分〜30 分の長時間露光で、フレーム端に不自然な明帯や斜め光条が写り込む。
原因:初代 FD-M42 は、ドロワーを差し込むスリット周辺の遮光が甘く、外部光の入り込みが起きうる構造でした。ZWO 自身がこの問題を Gen2 リニューアルの主動機として公式ページで明言しています。
対処:光漏れが疑わしい場合は、Gen2(FD-M42-II)への買い替えが最も確実です。急ぎで対処するなら、ドロワースリット周囲を植毛紙や遮光テープで塞ぐ応急処置もありますが、根本解決ではありません。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Product Overview("anti-light-leaking design that can effectively solve the light leaking issue under long exposure")
原因 12|Gen2(FD-M42-II)でもロックネジを締めていないと隙間が残る
症状:Gen2 を使っているのに、まだ迷光を疑うようなカブりが残る。
原因:Gen2 の遮光は「二重磁石+サイドロックネジ(グラブネジ)」の 2 段構成です。ロックネジ側は、磁石だけでは埋まらない微小な隙間を潰す役割を持ちます。締めていないと、遮光性能は磁石のみに依存します。
対処:ドロワーを閉じたあと、側面のロックネジを軽く回して「ホルダーの遊びが消えた」と感じる位置で止めます。締めすぎるとネジ山を痛めるので、ガタが消えた時点で停止します。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Key Features("Lock screw on the side for you to adjust the tension of the holder to eliminate gap")、First Light Optics §Key Features("Two strong magnets and a locking screw hold the filter drawer in place")
原因 13|フィルターホルダーを外した状態(フィルター無し)で保管して埃・光が入る
症状:次回撮影時に、センサー面や光路内に埃の影が写る。
原因:フィルター無しでスリットを開けたまま放置すると、開口部から埃や湿気、明るい室内光が入ります。ドロワースリットは元々「差し込み時だけ動く可動部」なので、常時開口部ではありません。
対処:フィルターを取り外した状態で保管するときは、フィルター無しでもホルダーごとドロワーに差し込んで閉じた状態にしておきます。撮影しない期間はカメラ側・望遠鏡側のネジ穴にも純正の防塵キャップをかぶせておくとより安全です。
出典: First Light Optics「ZWO 2" Filter Drawer (M42/M48) v2」§Key Features("Reduces dust ingress when changing filters")
⑤ ドロワー保持・磁石・ロックネジの困りごと
原因 14|急角度(天頂近傍・EQ マウントの一部姿勢)でドロワーがガタつく
症状:天頂に近い姿勢で運用しているときに、ドロワーが差込方向にわずかに動く/振動でカタカタする。
原因:保持機構は「二重磁石」+「サイドのグラブネジ(スプリングインデントピン式)」の 2 種類です。磁石だけで支えていると、姿勢によっては保持力が不十分に感じることがあります。
対処:サイドロックネジをホルダーの遊びが消える位置まで軽く締めます。これで姿勢による保持力ばらつきが緩和されます。締めすぎるとホルダー抜き差し時に磨耗するので、ガタが消えた時点で止めるのがコツです。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Key Features("Double strong magnets adopted for stronger adsorption ... Lock screw on the side ... to eliminate gap")、First Light Optics §Key Features("Spring indent pin (v2 improvement) ensures secure drawer fit")
原因 15|サイドロックネジ(グラブネジ)がホルダー抜き差しで少しずつ緩む
症状:使い始めは効いていたロックネジが、数回抜き差ししたあとに緩んで効かなくなる。
原因:サイドロックネジは、ホルダーを差し込む/抜くたびに内部でボールが押し込まれる構造です。頻繁な抜き差しで少しずつ位置がずれることがあります。
対処:撮影セッションの前に、ロックネジの位置が意図した張り具合になっているかを目視で確認してから運用開始する習慣をつけると事故を減らせます。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Key Features("Lock screw on the side for you to adjust the tension of the holder to eliminate gap")
原因 16|ドロワーの上下方向(開く向き)を意識せずに機材を組んでいる
症状:撮影中は問題なくても、機材を降ろす/収納するときにドロワーが自重で滑り出す。
原因:ドロワーは磁石+グラブネジで保持されており、上下方向・向きに関わらず動作する設計ですが、鏡筒の姿勢によって重力方向が変わります。組み方によっては、収納時にドロワーが下向きになり自重が保持力に対して不利に働きます。
対処:収納・移動の直前は、ロックネジを追加で少し締めるか、ドロワーが「重力に対して側面〜上向き」になる姿勢を意識して機材を扱います。長距離の遠征では、ドロワーごと外して別途保管袋に入れておくのも確実です。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Key Features("Double strong magnets" と "Lock screw on the side" の 2 段保持設計)
⑥ フィルター規格・厚み・パルフォーカルの困りごと
原因 17|2 インチマウントフィルターのセル厚が 7mm を超えて入らない
症状:手持ちの厚めの 2 インチマウントフィルターがフィルターホルダーに収まらない。
原因:Teleskop-Express 公式代理店ページの記載では、収容可能な 2 インチマウントフィルターのセル高さ上限は約 7mm(フィルター本体の外ネジぶんを除く)です。厚い枠のカスタムマウントや、市販の中間リング付きフィルターは入らないことがあります。
対処:標準的な 2 インチ(M48×0.75 ネジ付き)マウントフィルターを使うか、そもそもホルダー側のセルサイズに収まる薄型フィルターを選定してください。
出典: Teleskop-Express「ZWO Filter Drawer for 2" filters」§Technical Specifications("Maximum filter height 7mm (without external thread on filter)")
原因 18|ノンマウント(アンマウント)50mm 生ガラス円板を入れようとする
症状:ネジの切っていないφ50mm の生フィルターが物理的にホルダーに固定できない。
原因:フィルターホルダーは M48×0.75 の内ネジでフィルターを固定する設計です。M48 ネジ付きの mounted 2 インチフィルター前提で作られており、ネジの無いアンマウント板は保持できません。
対処:アンマウント 50.4mm ガラス円板を使いたい場合は、電動フィルターホイール(EFW 系)などアンマウント対応の機器を選んでください。ドロワーで使うなら M48 ネジ付き mounted 品を購入してください。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M42 Filter Drawer Specifications(フィルター受け "M48 × 0.75 female (internal) thread")
原因 19|フィルターの向き(コーティング面/反射面)が逆になっている
症状:ゴースト像・反射リング・迷光ハローがフレームに出る。
原因:ナローバンドやデュアルバンドフィルターは、コーティング面の向きが「望遠鏡側/カメラ側どちらに向けるか」がメーカーごとに指定されている場合があります。ドロワーは 2 方向どちらでもホルダーにはめられるため、向きを逆に入れると反射光が返ります。
対処:各フィルターメーカーの公式マニュアルで指定された取り付け方向を必ず確認してください。ZWO 純正フィルターの場合は文字印字面や刻印面の向きが説明書に明記されています。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Key Features(フィルター保持方式の明示)。フィルター向きの指定は各フィルターメーカーの製品仕様に依存し、ドロワー側の仕様書には記載なし。
原因 20|フィルター交換のたびに焦点が微妙にずれる(パルフォーカル問題)
症状:L フィルター → Hα フィルターの切替後、AF なしだと星像が微妙にぼやける。
原因:§原因 8・9 で述べたとおり、ガラス厚差がある異メーカー混在のフィルターセットではパルフォーカル性が損なわれます。
対処:フィルターオフセットを設定するか、フィルター切替後にオートフォーカスを走らせてください。手動撮影ならバーティノフマスクで再合焦するのが最も確実です。
出典: 幾何光学の一般的経験則(1/3 ルール)。ZWO 公式マニュアルには明記なし。
⑦ フルフレーム機との組合せの困りごと
原因 21|FD-M42-II を ASI6200 / ASI2400 に付けてケラレが出る
症状:周辺光量落ちが単純な鏡筒起因では説明できないほど大きい/円形の暗い縁が出る。
原因:フルフレームセンサーの対角は約 43mm あり、M42×0.75(クリアアパーチャ 約 39–41mm 前後)の光路では有効経が不足します。ZWO は「フルフレーム機は M54 経路」を公式に推奨しており、M54 版フィルタードロワー(FD-M54-II)や M54 アダプター経由の構成を明示しています。
対処:フルフレーム機(ASI6200 / ASI2400 / ASI2600MC Duo)を運用しているなら、FD-M54-II を選ぶか、M42 版のカメラ側に別売の M54 変換アダプターを付けて M54 経路を確保してください。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M54 Filter Drawer Specifications("M54 version suitable for full frame cameras (ASI2600MC Duo, ASI6200, ASI2400 series)")、ZWO 公式「M54 adapter for filter drawer」(対応カメラ明示: "ASI6200, ASI2400, ASI2600 Air, ASI2600 Duo")
原因 22|ASI2600MC Duo の内蔵ガイドセンサー領域を意識せずに 2 インチ経路で組む
症状:Duo 版でガイド視野がケラれる/片側に暗い帯が出る。
原因:Duo モデルはメインセンサー横に別のガイドセンサーを内蔵しており、実質的にフルフレーム相当の光路径が必要になります。M42/2 インチ経路では光束が不足しがちです。
対処:Duo 版では M54 経路(FD-M54-II もしくは M54 アダプター付き構成)を選択してください。Duo 版は ZWO 公式が M54 経路の対応リストに含めています。
出典: ZWO 公式「M54 adapter for filter drawer」(適用先に "ASI2600 Duo" 明記)、ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§M54 Filter Drawer Specifications
⑧ Gen1/Gen2 互換の困りごと
原因 23|Gen1 用の予備フィルターホルダーが Gen2 ドロワーに入らない
症状:旧ドロワー時代に予備で買ってあったホルダーが、新しい FD-M42-II にはめられない。
原因:Gen2 と Gen1 は機械寸法が変更されており、Gen1 の予備ホルダー(ZW-FL-HLDR-M42)は Gen2 の FD-M42-II とは互換がありません。ZWO 公式および各代理店ページで明示されています。
対処:Gen2 用の予備ホルダー(F-HLDR 系 / Z504-FL-HLDR 系)を選んでください。Nikon/EOS 用の Gen2 ドロワーとも共通です。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Additional Information("Not backward compatible with older filter drawer models")、Teleskop-Express §Compatibility Notes("Only the linked filter holder fits, older versions are not compatible")
原因 24|Gen1 か Gen2 かを外観で見分けられない
症状:中古で入手したドロワーが Gen1 なのか Gen2 なのかわからず、予備ホルダーの選定を誤る。
原因:両世代とも外見が似ています。判別は品番(Gen2 は "FD-M42-II"、Gen1 は "FD-M42")と保持機構(Gen2 は磁石+グラブネジ、Gen1 は磁石中心)で行います。
対処:製品ケースや納品書に記載された品番を確認するのが最も確実です。品番が確認できない場合、判別に迷ったらまずは購入元代理店へ問合せしてください。
出典: Ontario Telescope「ZWO 2" Filter Drawer (M42) Gen II」§Gen I vs. Gen II Differences、365Astronomy「Z509-FD-M42-II」§Product Overview
原因 25|Nikon/EOS レンズ用ドロワーの予備ホルダーを別に買ってしまう
症状:M42 用と Nikon/EOS 用でホルダーを別々に用意してコストが上がっている。
原因:Gen2 世代からは、Nikon/EOS レンズ用ドロワー(FD-EOS / FD-NIKON)と M42/M54 用ドロワーで F-HLDR(ホルダー)が共通化されています。
対処:Gen2 用の F-HLDR は 1 種類で済ませられます。予備ホルダーをまとめて 1 種で買っておけば、機材構成が変わっても使い回せます。
出典: 365Astronomy「Z509-FD-M42-II」§Compatibility("Compatible with FD-EOS and FD-NIKON filter drawer models")
原因 26|「電動フィルターホイール(EFW)に買い替えた方が良いのでは」と迷う
症状:撮影の都度ドロワーを開け閉めするのが面倒で、EFW との使い分けが判然としない。
原因:ドロワーは 1 枚固定+手動交換、EFW は 5〜7 枚を電動で切替の設計思想の違いです。単一フィルター運用(デュオバンド 1 枚固定など)ならドロワーで十分ですが、LRGB+ナローバンド 5〜7 種を自動で切り替える運用なら EFW の方が向いています。
対処:「フィルター 1 枚 or 2 枚を手動で切り替える運用」なら FD-M42-II、「LRGB+ナローバンドを自動運用」なら EFW と、運用スタイルで選び分けてください。
出典: ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」§Product Overview(用途と設計思想)
⑨ 図解|光学経路と 55mm back focus の位置づけ
関連商品|この記事で扱った商品
本記事で解説した FD-M42-II 本体と、フルフレーム機で使う姉妹モデル FD-M54-II の商品ページです。仕様表の実寸・同梱物・保証条件は商品ページで最新の内容を確認してください。
⑩ FD-M42-II|商品ページ・公式 LINE のご案内
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最終更新: 2026-07-20/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式バックフォーカスガイド・公式代理店ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. FD-M42-II は ASI2600MC Pro でそのまま使えますか?
A. はい。ASI2600MC/MM Pro などのカメラ側 M42 メスに、FD-M42-II のカメラ側 M42 オスを直接ねじ込めます。55mm バックフォーカスは、同梱 M48-M42 リングを望遠鏡側に付けて 21mm ブロックとして扱い、既存の M42-M42 21mm スペーサと相互置換する運用が基本です。
Q2. フルフレーム機(ASI6200 / ASI2400 / ASI2600MC Duo)でも使えますか?
A. 公式には推奨されません。フルフレーム機は M54 経路(FD-M54-II もしくは M54 アダプター経由の構成)が公式推奨です。M42 版を無理に使うとケラレが出やすくなります。
Q3. 1.25 インチ/31.7mm フィルターは使えますか?
A. フィルターホルダーは M48×0.75 メスなので、そのままでは 1.25 インチフィルターは入りません。別途 M48→1.25 インチのステップダウンリングでホルダー側を減径すれば物理的には可能ですが、センサーサイズによってはケラレるため APS-C 以上ではおすすめしません。
Q4. アンマウント(生ガラス)の 50.4mm フィルターは使えますか?
A. 使えません。ホルダーは M48 ネジ付き mounted フィルター前提です。アンマウント運用が必要なら EFW など別機器を検討してください。
Q5. フィルターを交換すると焦点が動くのは仕様ですか?
A. 光学の一般則です。フィルターを光路に挿入するとガラス厚 × (n−1)/n(n はガラスの屈折率)ぶん焦点が後方にシフトします。同じ厚み・同じメーカーのパルフォーカルセットで揃えるか、フィルター交換ごとにオートフォーカスを走らせるのが実践的です。
Q6. ドロワー装着時にわずかにガタつきます。故障ですか?
A. 故障とは限りません。ドロワーの保持は「二重磁石+サイドロックネジ」の 2 段設計です。ロックネジ側を締めていないと磁石だけで支えることになり、姿勢によっては微振動が出ます。サイドロックネジをホルダーの遊びが消える程度まで軽く締めてみてください。
Q7. Gen1 の予備ホルダーを Gen2 で使い回せますか?
A. 使い回せません。Gen1/Gen2 でホルダーの機械寸法が変わっています。ZWO 公式ページで "Not backward compatible with older filter drawer models" と明記されています。Gen2 用の F-HLDR 系を購入してください。
Q8. FD-M42-II の光学長 21mm はカタログ通り正確ですか?
A. ZWO 公式ページおよび主要代理店(First Light Optics、Ontario Telescope、365Astronomy)はいずれも「厚み 21mm」で統一されています。姉妹モデルの FD-M54-II のみ 20mm と 1mm 薄い設計です。
参考にした一次情報
- ZWO 公式「New 2″ Filter Drawer」製品ページ
- ZWO ASTRO USA「New 2″ Filter Drawer」製品ページ
- ZWO 公式「M54 adapter for filter drawer」製品ページ
- ZWO 公式ガイド「The Best Solution Of 55mm Back Focal Length」
- ZWO 公式ガイド「ASI2600 Guide: 4 Connection methods to get 55mm back focus length」
- First Light Optics 公式代理店「ZWO 2" Filter Drawer (M42/M48) v2」
- Teleskop-Express 公式代理店「ZWO Filter Drawer for 2" filters – M48 and T2 connection – length 21mm」
- Ontario Telescope 公式代理店「ZWO 2" Filter Drawer (M42) Gen II」
- 365Astronomy 公式代理店「New ZWO 2" Filter Drawer with M42 male / M48 female Connections – Mark II(Z509-FD-M42-II)」
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最終更新: 2026-07-20/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式バックフォーカスガイド・公式代理店ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。