ZWO EOS-T2 Ⅱ が使えない・付かない・絞りが動かない|Canon EF レンズ×ASI カメラ トラブル切り分け完全ガイド

ZWO EOS-T2 Ⅱ が使えない・付かない・絞りが動かない|Canon EF レンズ×ASI カメラ トラブル切り分け完全ガイド

ZWO EOS-T2 Ⅱ(第 2 世代 EOS-T2 アダプター)は、Canon EF レンズを ZWO の ASI 天体カメラに繋ぐための機械式アダプターです。「装着したのに絞りが動かない」「無限遠が出ない」「レンズが外れなくなった」「ASI6200 に付けたら使えなかった」——こうした困りごとは、大半が本製品の設計仕様(電子接点を持たない機械アダプター/2 パーツ構成/17.5mm と 12.5mm でエクステンダーの有無が変わる)を理解すると解決します。本稿ではメーカー公式仕様と Canon EF マウント規格を根拠に、30 の切り分けポイントを症状 → 原因 → 対処の順で整理します。

① EOS-T2 Ⅱ とは何か(構成・対応カメラ・寸法思想)

EOS-T2 Ⅱ は、ZWO が販売する Canon EF 用レンズアダプターの第 2 世代(Mark II / Version II)です。Canon EF レンズ側は EOS バヨネット(メス)、ASI カメラ側は T2 ネジ(M42×0.75 オス)の変換アダプターで、次の 2 パーツで 1 セットです。

  • EOS-T2 アダプター本体:Canon EF バヨネット ↔ T2 メスネジの短胴アダプター。単体で使うと ZWO 側バックフォーカス 17.5mm のカメラに合う光路長になります。
  • 5mm 長 T2 エクステンダー:T2 オス ↔ T2 メスの中継リング。本体に足すことで、ZWO 側バックフォーカス 12.5mm のカメラに合う光路長になります。

Canon EF マウントのフランジバック(FFD)は 44.00mm、T2 マウントのフランジバックは 55.00mm と規格で定まっており、EF から T2 への変換は「11mm 差 + カメラ側の要求バックフォーカス」をアダプタで正確に埋めれば無限遠が出ます。EOS-T2 Ⅱ はこの計算に沿って 17.5mm 群と 12.5mm 群の 2 通りを 1 セットで賄う設計です。

出典: ZWO 公式 §New EOS-T2 Adapter(2 パーツ構成と対応バックフォーカス)/Wikipedia Canon EF lens mount §Specifications(EF FFD=44mm)/Wikipedia T-mount(T=T2、M42×0.75、FFD=55mm)

対応カメラ(ZWO 公式仕様)

構成 バックフォーカス 対応 ASI カメラ
本体のみ(5mm エクステンダー無し) 17.5mm ZWO 冷却カメラ全般、ASI174、ASI294、ASI183、ASI1600、ASI533、ASI2600
(ASI6200 と ASI2400 は除外
本体 + 5mm T2 エクステンダー 12.5mm ASI120、ASI224、ASI290、ASI178、ASI385、ASI462

出典: ZWO 公式 §Backfocus CompatibilityStarizona 販売ページ(同仕様の再掲)

② 電子接点・絞り・オートフォーカスに関する困りごと

原因 1|EF レンズを付けたのに絞りが F 開放(または最小)のまま動かない

症状:絞りリングも見当たらないし、ソフトから絞り値も変えられない。
原因:EOS-T2 Ⅱ は電子接点を持たない機械アダプターです。一方 Canon EF マウントは「カメラ⇄レンズ間の全通信を 8 ピンの電子接点で行い、機械的なレバーやプランジャーは持たない」規格です。したがってアダプター経由では絞り駆動信号がレンズに届かず、レンズは自身の初期状態(多くは開放)を保持します。
対処:絞りを任意の値にしたい場合は、まず一度 Canon EOS ボディ(デジタル一眼レフ・ミラーレスの EOS R + EF-EOS R マウントアダプター等)にレンズを装着し、任意の絞り値に設定した状態でシャッター半押し + 絞り込みプレビューボタン("depth-of-field preview button")を押しながらレンズをロック解除して外す、という「絞り込み固定」の手順で機械的に絞りを固定してから、EOS-T2 Ⅱ に付け替えます。

出典: Wikipedia Canon EF lens mount §Design("all communication between camera and lens takes place through electronic contacts, with no mechanical levers or plungers")/ZWO 公式製品ページ(電子接点の記載なし=機械アダプターの構造)

原因 2|EXIF に絞り値・焦点距離・レンズ名が記録されない

症状:撮影データを見ても F 値やレンズ情報が空欄。
原因:原因 1 と同じく、電子接点が無いためレンズ側の EXIF 情報はカメラに伝わりません。ASI カメラのメタデータには「絞り」「焦点距離」「レンズ名」を書き込む欄自体が存在しない場合もあります。
対処:撮影ノート(別テキスト)・ASIAIR のプランノート・スプレッドシート等に「レンズ名 / 焦点距離 / 実効絞り」を手動で記録します。EXIF から自動抽出できないため、後日ライブラリを整理するときに困らないよう撮影中に記録しておくのが確実です。

出典: Wikipedia Canon EF lens mount §Design(電子接点経由でのみ通信)

原因 3|レンズの手ぶれ補正(IS)が効かない・ON/OFF できない

症状:IS 付きレンズを付けても IS の駆動音がしない。
原因:IS も電子接点経由の給電・制御で動きます。アダプター経由では電力も制御信号も届きません。
対処:赤道儀・ポータブル赤道儀の追尾に任せる運用に切り替えます。星野撮影では通常 IS は使いません。

出典: Wikipedia Canon EF lens mount §Design(電子制御のみ)

原因 4|AF レンズだが AF が全く動かない

症状:USM/STM モーター搭載レンズなのにピント環が電子的に動かない。
原因:原因 3 と同じ理由でモーターへの電力・信号が届きません。
対処:フォーカスは(1)レンズ本体のフォーカスリングを手動で回す、または(2)ZWO EAF(電動フォーカサー)にベルト駆動キット等でフォーカスリングを機械的に繋いで駆動する、のいずれかになります。

出典: Wikipedia Canon EF lens mount §Design(AF モーター駆動も電子接点経由)

原因 5|「絞り込み固定」手順が分からず F 値を変更できない

症状:常に開放のままで、絞り込みたいのに方法が不明。
原因:電子絞り制御を前提とした EF レンズの絞りを機械的に保持する手順を、Canon 純正ボディ側で行う必要があります。
対処:手順は次の通り:(1) Canon EOS ボディにレンズを装着、(2) M モードなどで任意の絞り値に設定、(3) レンズ前面キャップを外した状態でシャッター半押し(露出計を作動させる)、(4) 絞り込みプレビューボタンを押しながらレンズロック解除ボタンを押し、押したままレンズを反時計方向に回して外す(絞り込まれたまま羽根が保持される)、(5) その状態のまま EOS-T2 Ⅱ に装着。以後、絞りを変えるまで F 値は固定されます。

出典: Canon EF マウントの電子絞り制御仕様(Wikipedia §Design)から導ける機械保持手順。ZWO 公式マニュアルには本手順の明示掲載なし。

③ レンズの物理装着に関する困りごと

原因 6|Canon RF レンズが物理的に付かない

症状:RF 24-70 F2.8 等を付けようとしたが、爪の形が違って刺さらない。
原因:Canon RF マウントはミラーレス用の別マウント規格(FFD=20mm、外径・爪配置とも EF と異なる)です。EOS-T2 Ⅱ は EF/EF-S 専用です。
対処:RF レンズを本アダプターに装着する変換規格は存在しません。EF レンズを別途手配してください。RF レンズ資産を活用したい場合は、RF → EF 逆向きアダプターは光路上成立しないため、他社の M42 / T2 変換系レンズや別種のアダプター運用を検討します。

出典: Wikipedia Flange focal distance(Canon RF=20mm、Canon EF=44mm)/All-Star Telescope 販売ページ(Canon EF/EF-S サポート)

原因 7|EF-M(旧 EOS M シリーズ)のレンズが付かない

症状:EF-M 22mm F2 STM 等を付けようとしたが刺さらない。
原因:EF-M は EF とは別マウント規格(EOS M シリーズ用ミラーレスマウント、FFD が短い)です。
対処:EF-M レンズは本アダプターの対応外です。EF レンズを使うか、別のマウント系アダプターを検討します。

出典: EF-M マウントは EF とは物理的に非互換な独立マウント規格(Wikipedia Canon EF lens mount 関連項)。

原因 8|EF-S レンズは付いた(が使ってよいか不安)

症状:EF-S 17-55 等を付けたら装着はできた。
原因:EF-S は EF と同一マウント形状(EF 準拠のバヨネット)で、APS-C 用に光学設計されたレンズです。物理装着は可能で、ZWO 販売店の説明でも Canon EF/EF-S 双方が対象と記載されています。
対処:装着可。ただし EF-S はイメージサークルが APS-C 相当のため、フルサイズ相当センサー(ASI6200 等はそもそも本アダプター非対応)でなくても、大きなセンサーでは四隅がケラれることがあります。使用するセンサーサイズに合わせて EF-S の像円が足りるかを確認してください。

出典: All-Star Telescope 販売ページ(EF/EF-S 対応)

原因 9|サードパーティ(Sigma / Tamron / Samyang)の EF マウントレンズは付くのか

症状:Sigma Art 40mm F1.4 EF マウント版を持っているが、本製品で使えるか不明。
原因:EF マウント互換で製造されたレンズは、物理的な爪・ロック位置が EF 準拠なので装着自体は可能なのが一般的です。ただし電子絞り・AF はやはり動作しません(原因 1〜4 と同じ理由)。
対処:装着後の使い方は Canon 純正 EF レンズと同じ。絞りは Canon EOS ボディ経由の「絞り込み固定」手順で固定します(原因 5 参照)。相性による装着不良が起きた場合は当該レンズメーカーサポートへ。

出典: EF 互換レンズは EF マウント規格(Wikipedia §Design)に従って設計されている前提。ZWO 公式マニュアルには互換レンズ動作保証の記載なし。

④ カメラ側の互換性・組み合わせに関する困りごと

原因 10|ASI6200 に付けたが正常に使えない

症状:装着はできても仕様書と挙動が違う、または最初から装着に違和感がある。
原因:ZWO 公式仕様表で ASI6200 は本アダプターの対応外として明示的に除外されています(17.5mm 群の例外扱い)。
対処:ASI6200 で Canon EF レンズを使う運用は、本アダプターでは推奨されません。別途 ZWO の EFW2-EOS(2" EFW にレンズを取り付ける専用アダプター)など、ASI6200 のフォーマットに合う光路構成を持つ製品を検討してください。

出典: ZWO 公式 §Backfocus Compatibility("except ASI6200 and ASI2400")

原因 11|ASI2400 に付けたが正常に使えない

症状:ASI2400MC-Pro などフルサイズ機で使えない。
原因:ASI2400 も ZWO 公式仕様表で除外対象です。
対処:原因 10 と同様、別系統のアダプタ・光路構成を検討してください。

出典: ZWO 公式 §Backfocus Compatibility("except ASI6200 and ASI2400")

原因 12|ASI224MC / ASI290 / ASI385 / ASI462 で無限遠が出ない

症状:フォーカスリングをどんなに回してもピントが手前寄りで、星に合わない。
原因:これらは 12.5mm バックフォーカスのカメラ群です。EOS-T2 Ⅱ 本体だけだと 17.5mm 群向けの光路長で組まれているため、5mm 分ピントが「奥」に寄って(=レンズを近距離側に寄せた状態と等価に)、無限遠が出ません。
対処:付属の 5mm T2 エクステンダーを本体とカメラの間に挟んで、合計光路長を 12.5mm 群に合わせてください。

出典: ZWO 公式 §Backfocus Compatibility(17.5mm 群と 12.5mm 群の使い分け)

原因 13|冷却カメラで無限遠を大きく通り越してピントが出ない

症状:ピントリングを無限側の端まで回しても像がにじむ・二重星が分離できない。
原因:ASI294MC Pro などの 17.5mm 群カメラに 5mm T2 エクステンダーを付けたまま使うと、光路長が長すぎて無限遠を超えます。
対処:5mm エクステンダーを外し、本体のみでカメラに直結してください。

出典: ZWO 公式 §Backfocus Compatibility(本体のみ=17.5mm 群、+ エクステンダー=12.5mm 群)

原因 14|どちらのカメラ群か判別できない

症状:手元のカメラが 17.5mm 群と 12.5mm 群のどちらか分からない。
原因:ZWO の各カメラ仕様表には「Back Focus Distance」項があり、そこに 17.5mm または 12.5mm が明記されています。
対処:ZWO 公式サイトの該当カメラページの Spec 表で Back Focus Distance を確認してください。目安として、冷却仕様(Pro / MM / MC Pro)+大型センサー機(IMX178/183/294/533/571/1600/2600 系)は 17.5mm、非冷却の惑星・ガイド系(IMX178/224/290/385/462 系の非冷却)は 12.5mm です。

出典: ZWO 公式 §Backfocus Compatibility(両群の型番リスト)

⑤ バックフォーカス・光路長に関する困りごと

原因 15|フランジバック 44mm と 55mm、17.5mm、12.5mm の関係が理解できない

症状:「なぜアダプターの厚みがこの長さなのか」が納得できない。
原因:Canon EF のフランジバック(マウント面 → センサー面の設計距離)は 44mm、T2 マウントのフランジバックは 55mm と規格で決まっています。EOS-T2 Ⅱ は「EF レンズ後端がセンサーから正確に 44mm の位置に来る」ように光路を構成する必要があります。ここに ZWO カメラ側のマウント面 → センサー面距離(バックフォーカス、17.5mm または 12.5mm)を差し引いた残り=「アダプター全体で確保すべき厚み」が決まります。
対処:17.5mm 群であれば 44 − 17.5 = 26.5mm 相当の厚み、12.5mm 群であれば 44 − 12.5 = 31.5mm 相当の厚みが必要で、EOS-T2 Ⅱ の本体 + エクステンダー構成はこれを埋める設計になっています。他社製 EF-T2 アダプターに交換すると厚みが変わり無限遠が出なくなるので、他社品との混用時は光路長の再計算が必須です。

出典: Wikipedia Canon EF lens mount §Specifications(EF FFD=44mm)/Wikipedia T-mount §Specifications(T2 FFD=55mm)/Wikipedia Flange focal distance(無限遠成立の条件)

原因 16|スリムな他社製 EF アダプターと組み合わせたら合わなくなった

症状:他社の「薄型」EF-T2 リングに交換したら、ピントが手前しか出ない/逆にオーバーする。
原因:ZWO 側のバックフォーカス(17.5mm / 12.5mm)は「EOS-T2 Ⅱ の全長を前提とした光路長」に合わせて公式仕様が組まれています。他社品は厚みが異なるため、そのままでは 44mm ジャストにならず無限遠がずれます。
対処:他社アダプターに変える場合は、EOS-T2 Ⅱ 全長(本体単体 or 本体 + 5mm)と同じ光路長になるようにエクステンダー・スペーサーで足し引きして 44mm 到達を維持してください。無限遠は「+方向」より「−方向」(アダプター厚みが足りない)のズレの方が救えないので、寸法確認は事前に行います。

出典: Wikipedia Flange focal distance §Adapters(光学素子なしアダプターで無限遠を成立させる条件)

原因 17|2" IR-CUT フィルターを追加したら合焦位置が変わった

症状:IR-CUT を組み込んだら、それまで出ていたピントが少しずれた。
原因:光路にガラス(フィルター)を挿入すると、光学的な等価距離が変化します(一般に厚み × 1/3 ほど焦点位置が奥にずれる、というのがガラス挿入時の空気換算則)。
対処:EOS-T2 Ⅱ は「2" IR-CUT を組み込んで使うことを想定した設計」(ZWO 公式)で、後端のカメラ側 T2 ネジ部を分解して 2" フィルターを組み込む構造になっています。したがってフィルターを付けたり外したりすると当然合焦位置が動くため、フィルタは常時挿入する(または常に外す)どちらかで運用を統一します。

出典: ZWO 公式製品ページ("You can use 2″ IR-CUT filter with the adapter.")/All-Star Telescope 販売ページ(後端を回して 2" フィルターねじ部が現れる構造)

⑥ 2" IR-CUT フィルター・フィルター系の困りごと

原因 18|2" IR-CUT フィルターがネジ込めない・緩む

症状:フィルターを組み込もうとしたが、ネジ山を切っている場所が分からない/組み込んだ後に落ちてしまう。
原因:EOS-T2 Ⅱ は「後端(カメラ側 T2 ネジ部)」を回すとネジ切りが露出し、そこに 2" フィルターがねじ込める構造です。手前から見て単純にネジ切りが見えないため、後端の分解手順が必要です。
対処:後端の T2 ネジリングを反時計方向に外し、露出したフィルター用ネジ座(M48×0.75)に 2" フィルターを最後まで確実に締め込みます。フィルターセル外周のローレット(ギザギザ)部を持って回してください。締め込みが緩いと撮影中に脱落し、センサーを傷つける恐れがあります。

出典: All-Star Telescope 販売ページ(後端を分解して 2" フィルターを装着)/ZWO 公式製品ページ(2" IR-CUT 対応)

原因 19|IR-CUT の代わりにナローバンド(Hα / OIII 等)を入れたい

症状:2" 枠の Hα フィルタを入れて撮りたい。
原因:本アダプターの内蔵フィルター座は 2" 規格(M48×0.75)ですので、同規格の 2" セル入りフィルタであれば物理的に装着できます。ただし本アダプターの想定は「IR-CUT の常設」であり、フィルターホイールの代替ではありません。
対処:ナローバンド運用を頻繁に切り替えたい場合は、ZWO FD-EOS(EOS レンズ用フィルタードロワー)等のフィルタ切替が可能なアダプタを検討してください。

出典: ZWO 公式 §Filter Compatibility(2" IR-CUT の記述のみ)

原因 20|IR-CUT フィルターの向き(コート面)が分からない

症状:入射側とセンサー側、どちらの面をコート面にするか迷う。
原因:一般に IR-CUT のコート面は「入射側(レンズ側)」で運用されることが多いですが、フィルタ本体に矢印刻印がある場合はそれに従います。
対処:ZWO 2" IR-CUT のようにセル刻印がある場合は矢印方向に従います。刻印がない場合は入射側にコート面(反射が強く見える面)を向けます。

出典: 一般光学品の向き規則(ZWO 公式マニュアルには本アダプターとフィルタ向きの明示なし。本記事は経験則として記載)

⑦ ロック・機械強度・ガタつきに関する困りごと

原因 21|レンズをロックしたのに回転方向にわずかに動く

症状:爪はカチッと入ったが、指で軽く回すとカタッと遊びがある。
原因:EOS-T2 Ⅱ は「調整不可(unadjustable)」設計で、レンズ側マウントの回転補正機構(テーパ調整・スプリング調整)は搭載していません。第 1 世代からロック機構は改良されていますが、EF レンズ本体側の個体差やアダプタ側のバヨネットクリアランスは残ります。
対処:星像に対する影響が実写で許容範囲か(コーナー星像・チルト像として現れるか)を、実際にテスト撮影して評価します。像に影響が出るほどの回転ガタが常時あるようであれば、購入店(当店の場合は初期不良判定 60 日以内)へご相談ください。

出典: ZWO 公式製品ページ("unadjustable")/OPT 販売ページ("nonadjustable")/All-Star Telescope 販売ページ("the locking mechanism as improved since the first generation")

原因 22|レンズがロックボタンで外れない

症状:Canon EF レンズを外そうとしたが、リリースピンが固くて外れない。
原因:ロックピンの位置がレンズ側ロック溝に食い込んだ状態のまま無理に引き抜こうとすると、ピンが引っ掛かって解放されません。
対処:装着方向(時計回り)にほんのわずかレンズを回して力を抜き、その状態でリリースピンを押すとピンが解放されます。それでも外れない場合は、レンズをカメラごと明るい所へ移し、無理な力で引き抜かず販売店へ相談してください。

出典: All-Star Telescope 販売ページ(第 1 世代からロック機構が改良されている旨)/バヨネットマウント一般のロック解放手順(ZWO 公式マニュアルには本手順の明示掲載なし)

原因 23|チルトが出て星像が一辺だけ流れる

症状:四隅のうち片側 2 隅だけ星が伸びる。
原因:本アダプターは調整不可設計のため、アダプタ内でのセンサー傾き補正はできません。原因はアダプタの取付面、レンズ側マウント、カメラ側マウントの累積誤差、または EF レンズ自体の個体差など複合的です。
対処:チルト補正を行いたい場合は ZWO T2-Tilter-II 等の T2 ネジ対応チルターを EOS-T2 Ⅱ とカメラの間に挿入し、光路長がバックフォーカス仕様(17.5mm / 12.5mm)に一致するようにトータルで再設計します。チルターを入れると光路長が変わるので、必ずスペーサーで元の合計厚みに合わせ直します。

出典: ZWO 公式 §Design Feature("unadjustable")

原因 24|到着したアダプターのネジが緩んでいる・パーツが分解した状態で届いた

症状:開梱時にすでにネジが緩んでいる、または本体と 5mm エクステンダーが分離した状態で梱包されていた。
原因:5mm T2 エクステンダーは着脱前提のパーツで、標準梱包でも分離状態で入っている場合があります。ネジ緩みは輸送振動の可能性もあります。
対処:組立てて手締めで最後まで確実に締めます。ロック機構部(バヨネット側の 4 本ネジ等)は工具無しで緩まない設計ですが、明らかにガタが残る・ネジ頭が破損しているなど不良を疑う場合は購入店へ連絡してください。

出典: ZWO 公式製品ページ(2 パーツ構成が標準)

⑧ 撮影ソフト・ASIAIR・PC 制御に関する困りごと

原因 25|ASIAIR のプレビューに何も映らない・画面が真っ黒

症状:接続はできているが、露出しても真っ黒。
原因:絞りが最小(絞り込み固定手順で最小絞りのまま固定してしまった)/レンズキャップが付いたまま/フォーカスが極端にズレていて像が広がっている、のいずれかがほとんどです。
対処:(1) レンズキャップとカメラ側キャップを外す、(2) レンズを一度 Canon EOS ボディに戻して開放付近(F2.8〜F5.6)にセットし直す、(3) 昼間の景色に向けてピントを合わせてから夜間運用に入る、の順で切り分けます。

出典: 露出・キャップに関する一般知識(ZWO 公式マニュアルには本手順の明示掲載なし。本記事は一次情報からの構成手順として記載)

原因 26|ASIAIR のオートフォーカスが動かない

症状:ASIAIR のオートフォーカス機能を使いたいが、レンズが動かない。
原因:ASIAIR のオートフォーカスは ZWO EAF(電動フォーカサー)を前提とした機能です。EOS-T2 Ⅱ 自体には駆動系が無く、EF レンズの USM モーターも電子接点無しでは動きません。
対処:EF レンズを電動でフォーカス駆動したい場合は、ZWO EAF をレンズのフォーカスリングにベルト(タイミングベルト + プーリー)等で機械的に連結する必要があります。専用ブラケットまたは自作機構が別途必要です。

出典: Wikipedia Canon EF lens mount §Design(EF レンズの駆動は電子接点経由のみ)/ZWO 公式製品ページ(本アダプタに駆動系の記載無し)

原因 27|露出設定はどうすればいいか分からない(絞りが変えられないため)

症状:Gain と Exposure だけで露出を組む必要があるが手順が分からない。
原因:絞りは Canon 純正ボディで固定してからアダプターに移す運用のため、撮影中はカメラ側の Gain(アナログゲイン)と Exposure(露光時間)のみで露出を調整します。
対処:星野撮影の一般的な出発点は「絞りは開放から 1〜2 段絞った値(例:F2.8 レンズなら F4)で固定 → Gain 100〜300、Exposure 30〜180 秒 → ヒストグラムのピークが左から 1/4〜1/3 に来るように調整」です。絞り込み固定の値を後から変えるには再度 Canon 純正ボディへ戻す必要があります。

出典: 露出の一般則(ZWO 公式マニュアルには本アダプタ運用時の推奨露出値の明示掲載なし)

原因 28|撮影データにレンズ名・焦点距離が入らないため後から整理できない

症状:ライブラリで「50mm レンズで撮った写真」を検索したいが EXIF に情報が無い。
原因:原因 2 と同じく電子接点が無いため EXIF に書き込まれません。
対処:撮影セッションの ASIAIR プラン名・フォルダ名に「50mm-f4-M42」等の情報を含めて命名する運用にします。ライブラリ整理ツール(PixInsight のバッチ処理、Adobe Bridge のメタデータ書き込み等)で後付けする方法もあります。

出典: Wikipedia Canon EF lens mount §Design(電子接点経由の情報伝達のみ)

⑨ その他の困りごと

原因 29|冷却カメラで結露が発生する

症状:撮影を続けるとレンズ後玉やアダプター内部にうっすら曇りが出る。
原因:冷却運用中はセンサー周りが露点を下回り、密閉が甘い箇所から湿気が侵入して結露します。EOS-T2 Ⅱ 自体は密閉パッキンを持ちません。
対処:(1) 冷却温度を下げすぎない(外気 −10℃ を目安に露点から離す)、(2) レンズ〜アダプター〜カメラ間のネジ・バヨネットを最後まで確実に締める、(3) 冬季はドライヤー等でアダプター内を軽く暖めてから接続、(4) 内蔵ヒーターは本アダプターにはないため、外付けの結露防止ヒーター(対物側に巻く)で対物側の結露を先に抑えます。

出典: ZWO 公式製品ページ(ヒーター・パッキン等の記載無し=これらの機能を持たない構造)

原因 30|Canon EF ⇄ Nikon F ⇄ Sony E ⇄ MFT の使い分けが分からない

症状:どのマウントアダプターを買えばいいか迷う。
原因:ZWO は Canon EF 用(EOS-T2 Ⅱ)、Nikon F 用(Nikon-T2 Ⅱ)、Sony E/NEX 用(Sony-NEX)、Micro Four Thirds 用(T2-M43)の 4 マウント用アダプターを別々に販売しており、レンズ資産のマウントに合わせて選ぶ必要があります。
対処:手持ちのレンズが Canon EF なら本製品、Nikon F なら Nikon-T2 Ⅱ、Sony E/NEX なら Sony-NEX、MFT なら T2-M43 を選びます。各マウントのフランジバックが異なるため、他マウント用アダプターに EF レンズを付けることはできません。

出典: Wikipedia Flange focal distance(EF=44mm、Nikon F=46.5mm、Sony E=18mm 等の一覧)/ZWO 公式ラインナップ

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最終更新: 2026-08-23/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・Canon EF マウント / T-mount / Flange focal distance の各規格文献に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. Canon RF レンズは装着できますか?

装着できません。EOS-T2 Ⅱ は Canon EF / EF-S 用で、Canon RF はマウント形状・フランジバック(44mm と 20mm)ともに異なる別規格です。

Q2. 装着したのに絞りが変わりません。故障ですか?

故障ではありません。EOS-T2 Ⅱ は電子接点を持たない機械アダプターで、Canon EF レンズの絞りは電子制御のため信号が届きません。一度 Canon 純正 EOS ボディで任意の絞り値に絞り込みプレビュー状態でロックしてから外し、その状態のまま本アダプターに移す「絞り込み固定」の手順で使ってください。

Q3. ASI2600MC Pro に付けたいのですが、5mm エクステンダーは要りますか?

不要です。ASI2600 は 17.5mm バックフォーカス群のため、EOS-T2 Ⅱ 本体のみでカメラに直結します。5mm エクステンダーは 12.5mm 群カメラ(ASI224、ASI290、ASI385、ASI462 等)のときだけ挟みます。

Q4. ASI6200 で使えますか?

使えません。ZWO 公式仕様表で ASI6200 と ASI2400 は本アダプター対応外として明示的に除外されています。別系統のアダプター・光路構成を検討してください。

Q5. 2" IR-CUT フィルターは付けたほうがいいですか?

Canon EF レンズは基本的に赤外域を含んで結像するため、天体像の色再現・シャープネスの観点で通常は 2" IR-CUT を組み込むことを推奨します。EOS-T2 Ⅱ は 2" IR-CUT を組み込んで運用する設計(ZWO 公式)です。付けたり外したりすると合焦位置が動くので、常時挿入か常時外すかを統一します。

Q6. 星像の端が流れます。アダプターで直せますか?

本アダプターは「調整不可設計」でチルト調整機能は持ちません。像流れがコマ(レンズ光学起因)か、チルト(センサー傾き起因)かをまず見極めてください。コマならレンズを 1〜2 段絞る、チルトなら T2 チルターを EOS-T2 Ⅱ とカメラの間に挿入し、その分の光路長を再計算して合算厚みが仕様値と一致するように組み直します。

Q7. 他社製の EF-T2 アダプターと交換して光路長が合わなくなりました。どうしたら?

ZWO の 17.5mm / 12.5mm というバックフォーカス仕様は「EOS-T2 Ⅱ 全長を前提」に組まれています。他社品はしばしば厚みが異なるため、Canon EF の 44mm 到達点がずれます。他社品を使う場合は必ず全長を実測し、スペーサー・エクステンダーで EOS-T2 Ⅱ と同等の全長にしてから使ってください。

Q8. 保証は何年ですか?

ZWO 公式製品ページには「2-year free warranty service」(2 年間の無償保証)と記載されています。当店でご購入の場合は弊社独自の初期不良 60 日+3 年保証もあわせてご案内しております。

Q9. Sigma / Tamron の EF マウントレンズは動きますか?

物理装着は EF 準拠であれば可能で、Canon 純正と同じく「絞り込み固定」の手順で運用します。装着感の個体差やロックピンとのクリアランス相性は EF 互換レンズ側の設計に依存します。

Q10. EF-S レンズをフルサイズ相当のセンサーに付けると何が起きますか?

EF-S は APS-C 相当のイメージサークルしか持たないため、フルサイズ相当センサーでは四隅がケラれる(黒くなる)ことが一般的です。ただし本アダプター対応の 17.5mm 群には ASI6200/ASI2400 が含まれないため、実質的に大型センサー機と組み合わせるケースは限定的です。

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最終更新: 2026-08-23/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・Canon EF マウント / T-mount / Flange focal distance の各規格文献に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。