ZWO EOS-T2 Ⅱ|Canon EF レンズを ASI カメラで使うための比較・選び方完全ガイド

ZWO EOS-T2 Ⅱ|Canon EF レンズを ASI カメラで使うための比較・選び方完全ガイド

Canon EF マウントの一眼レフ用レンズを ZWO の ASI カメラに取り付けるには、Canon EF バヨネットを T2(M42×0.75)ねじに変換する専用アダプタが必要です。ZWO の EOS-T2 Ⅱ は、その用途に最も広く使われている 2 パーツ構成(本体+5mm T2 エクステンダー)のアダプタで、17.5mm バックフォーカスの冷却 CMOS 系(ASI2600 / ASI533 / ASI294 など)と、12.5mm バックフォーカスの惑星・ガイド系(ASI662 / ASI585 / ASI224 など)の両方に対応します。ただしフルフレーム機(ASI6200 / ASI2400)には非対応、EF レンズの電子絞りは開放固定になる、といった選び方の落とし穴があります。本記事では ZWO 公式仕様と Canon EF マウント規格を突き合わせて、購入前に確認すべき事項を整理します。

① EOS-T2 Ⅱ の基本仕様

ZWO 公式ページ(SRC-1)と正規販売店の記載(SRC-2)を突き合わせた、購入前に押さえるべき基本仕様は次の通りです。

項目 仕様
構成 EOS-T2 アダプタ本体 + 5mm T2 エクステンダー(2 パーツ)
レンズ側 Canon EF バヨネット(メス)
カメラ側 T2 = M42×0.75 ねじ(オス)
対応バックフォーカス 17.5mm(エクステンダーなし)/ 12.5mm(エクステンダー装着)
傾き(チルト)調整 なし("unadjustable" と ZWO 公式が明記)
2 インチフィルター IR-CUT フィルターをアダプタ内部に装着可能
対応レンズ Canon EF マウントのみ(EF-S も物理的には装着可、後述)
メーカー参考価格 $59.00 USD(ZWO 直販)
保証 ZWO 社の 2 年間製品保証

出典: ZWO Official Store — New EOS-T2 Adapter("EOS-T2 adapter and 5mm length T2-extender, suitable for all ASI cameras" "This new type is unadjustable" "support Canon EF lens" "2-year free warranty service")

② 初代(Ⅰ)と Ⅱ の違い|"adjustable" が消えて "latching" が改善

初代 ZWO EOS-T2(V.I / adjustable)と現行 EOS-T2 Ⅱ(V.II / unadjustable)は、外観こそ似ていますが設計思想が変わっています。

世代 初代 EOS-T2(V.I) EOS-T2 Ⅱ(現行 / V.II)
チルト調整 あり("adjustable") なし("unadjustable")
ラッチ機構 旧世代仕様 改良版(First Light Optics 商品ページに "improved latching mechanism" と明記)
エクステンダー同梱 別売り 5mm T2 エクステンダーが標準同梱(2 パーツ構成)
対応 ASI カメラ 当時の 17.5mm 系(ASI1600 等が中心) 17.5mm 系+12.5mm 系の両方に対応(フルフレームは除外)

出典: First Light Optics — ZWO EOS-T2 Adapter("improved 'latching' mechanism")/ZWO 公式 EOS-T2 Ⅱ ページ("This new type is unadjustable")

選び方の意味: 傾き調整(チルト補正)が必要な光学系(テレコン・大口径望遠鏡+レデューサー等で四隅の星像流れが出る構成)を組む場合、Ⅱ 単体では調整できません。別途 T2 チルター(ZWO New T2 Tilter 等)を挟むか、初代の在庫品を探す形になります。単焦点レンズ 1 本を素直に付けるだけなら、Ⅱ の方がロック感の改善分だけ扱いやすくなっています。

③ バックフォーカスの計算と機種別対応表

Canon EF マウントのフランジバック(マウント面からセンサー面までの光学的距離)は 44mm です(SRC-8)。ZWO の EOS-T2 Ⅱ は、この 44mm を ASI カメラのバックフォーカス(17.5mm または 12.5mm)に一致させる設計になっています。

計算式:

  • 17.5mm バックフォーカス機(例: ASI2600MC Pro): 44mm − 17.5mm = 26.5mm 相当 のスペースをアダプタが埋める → エクステンダーなしで OK
  • 12.5mm バックフォーカス機(例: ASI662MC): 44mm − 12.5mm = 31.5mm 相当のスペースが必要 → 5mm T2 エクステンダーを装着
ASI カメラ カテゴリ バックフォーカス EOS-T2 Ⅱ 構成
冷却 CMOS(ASI174 / ASI294 / ASI183 / ASI1600 / ASI533 / ASI2600) 17.5mm エクステンダーなしで直付け
惑星・ガイド系(ASI120 / ASI224 / ASI290 / ASI178 / ASI385 / ASI462) 12.5mm 5mm T2 エクステンダーを装着
フルフレーム冷却(ASI6200 / ASI2400) 17.5mm ZWO 公式が明示的に「非対応」と除外(詳細は §⑤)

出典: ZWO Official — EOS-T2 Ⅱ 対応表("Without T2-extender: 17.5mm backfocus … ASI174, ASI294, ASI183, ASI1600, ASI533, ASI2600 (except ASI6200 and ASI2400). With 5mm T2-extender: 12.5mm backfocus … ASI120, ASI224, ASI290, ASI178, ASI385, ASI462")/Wikipedia — Canon EF mount("Flange focal distance: 44 mm")

④ 対応 ASI カメラ一覧(バックフォーカス別)

ZWO 公式が EOS-T2 Ⅱ の対応カメラとして明記している機種を、天体撮影で選ばれやすいモデル順に整理します。

用途 対応モデル(ZWO 公式明記) エクステンダー
DSO(ディープスカイ)冷却 ASI2600MC Pro / ASI2600MM Pro / ASI533MC Pro / ASI533MM Pro / ASI294MC Pro / ASI294MM Pro / ASI183MC Pro / ASI183MM Pro / ASI1600MC Pro / ASI1600MM Pro / ASI174MM Cool / ASI174MC Cool なし
惑星・月・オートガイド ASI120MC-S / ASI120MM-S / ASI120MC Mini / ASI120MM Mini / ASI224MC / ASI290MC / ASI290MM / ASI178MC / ASI178MM / ASI385MC / ASI462MC / ASI462MM 5mm 装着

注意: ASI664MC / ASI678MC / ASI585MC / ASI715MC など、比較的新しい 12.5mm バックフォーカスの惑星系カメラは、ZWO 公式の対応表に個別列挙されていないだけで、バックフォーカス仕様が 12.5mm なら 5mm エクステンダー装着で光路長が合います。購入前に該当機種のマニュアルで backfocus 仕様を必ず確認してください。

出典: ZWO Official — EOS-T2 Ⅱ 製品ページ 対応リスト(ASI カメラの型番は公式列挙の直接引用)

⑤ フルフレーム機(ASI6200 / ASI2400)に使えない理由

Canon EF レンズ自体は 24×36mm のフルサイズセンサーをカバーするイメージサークル(フルフレーム対応)を持っています。にもかかわらず ZWO 公式は「ASI6200 / ASI2400 は EOS-T2 Ⅱ の対象外」と明記しています。

技術的な理由: ASI6200 / ASI2400 はフルフレームセンサーを収める本体設計のため、バックフォーカスや前面フランジ径が他の 17.5mm 系(ASI2600 等)と異なるためです。EOS-T2 Ⅱ は本体前面のねじ径・光路長を 17.5mm 系(ASI2600 世代)に合わせて設計されているため、フルフレーム機で使うと物理干渉やケラレが発生します。フルフレーム機で EF レンズを使う場合は、ZWO M54 系のアダプタチェーン+別途 EF-M54 変換で構築するのが一般的です。

出典: ZWO Official — EOS-T2 Ⅱ 対応除外リスト("except ASI6200 and ASI2400")/※フルフレーム機に別チェーンが必要である旨は ZWO 公式マニュアルには明記されていません(本記事は上記の対象外明記から導かれる一般解として記載)

⑥ Canon EF レンズの絞り問題|開放固定になる仕様

Canon EF マウントは 電子式ベイヨネットで、レンズ側とボディ側の 8 本の電気接点(SRC-8)を通じて絞り・AF・IS(手振れ補正)を制御します。EOS-T2 Ⅱ には電子接点が実装されていないため、レンズに電源が供給されず、AF・絞り・IS はすべて動作しません。

実際の挙動: Canon EF レンズは電源が来ない状態ではほとんどの機種で絞りが開放固定になります(ボディ非装着時に絞りが自動で戻る「電子絞り」設計のため)。天体撮影では「絞り開放は周辺コマ収差が目立つので F2.8 に絞りたい」というニーズが多く、この開放固定は実運用の大きな制約になります。

対策の選択肢:

  • 絞り機構付きの旧型 EF レンズを選ぶ — 一部の古い EF レンズ(EF 50mm F1.8 II 等の初期型)や、機械絞りを持つマウントアダプタ品には該当しない場合があります。ただし現行の USM / STM レンズは基本的に電子絞りです。
  • 絞り制御機能付きの EF-T マウントアダプタを別ブランドから調達 — Fotodiox / Metabones 等の「電子絞り操作機能付き」アダプタが存在します。ただし ZWO ASI カメラで使う場合は電源・制御ソフトの互換性を別途確認する必要があり、天体用途では動作報告が少ないため自己責任になります。
  • M42 マウント時代のオールドレンズを使う — 機械絞りのオールドレンズなら開放固定になりません。この場合は EOS-T2 Ⅱ ではなく M42-T2 変換(M42×1 と T2 の M42×0.75 はピッチが違うので専用品)を使います。
  • 絞り開放のまま撮影する — 星野撮影ならソフトフィルターで開放収差を目立たなくする、ソフトウェアで周辺減光を補正するという運用も現実解です。

出典: Wikipedia — Canon EF lens mount("all communication between camera and lens takes place through electronic contacts" "8 electrical pins")/※ EF レンズが電源非供給時に絞り開放固定になる挙動は Canon EF マウント規格上の一般的な知見であり、ZWO 公式マニュアルには明記されていません(本記事は Canon EF 規格の常識として記載)

⑦ 2 インチ IR-CUT フィルターの装着位置と光路の考え方

EOS-T2 Ⅱ は本体内部に 2 インチ(M48×0.75 対応)の IR-CUT フィルターをねじ込みで装着できます。この設計により、Canon EF レンズ→ アダプタ内蔵 IR-CUT フィルター →ASI カメラセンサーの光路がフィルター交換なしで組めます。

用途例:

  • ASI294MC Pro など非天体改造の CMOS カラーカメラは本体内蔵の IR-CUT フィルターがそのままで OK ですが、光害地で運用する場合はデュアルバンド系フィルターに差し替える運用があります。
  • ASI533MC Pro / ASI2600MC Pro など天体改造カメラでは IR-CUT が本体から省かれているため、可視光カラー撮影時は 2 インチ IR-CUT フィルターを別途挟む必要があります。EOS-T2 Ⅱ 内部に装着すれば、外径 2 インチのフィルタードロワーを別途組まなくて済みます。

注意: フィルターを装着すると光路長が数百 μm ずれる(フィルター屈折率の影響で見かけの後ろピン位置が変わる)ため、無限遠が出ない・ピント面が微妙にずれると感じたらフィルター有無で挙動を切り分けてください。

出典: ZWO Official — EOS-T2 Ⅱ("You can use 2″ IR-CUT filter with the adapter")/※フィルター屈折率による光路長のずれは光学一般の物理現象であり、ZWO マニュアルには明記されていません

⑧ 他ブランドとの比較|Baader / 汎用 T-Ring / 中華ノーブランド

Canon EF → T2 変換自体は他社も出していますが、ZWO EOS-T2 Ⅱ が広く選ばれるのは「バックフォーカス設計が ZWO ASI カメラに合わせて最適化されている」ためです。

製品 特長 注意点
ZWO EOS-T2 Ⅱ 17.5mm / 12.5mm 両バックフォーカスを 5mm エクステンダーで切り替え、2 インチ IR-CUT 内蔵可 フルフレーム機(6200 / 2400)は非対応・チルト調整なし
汎用 Canon EF → T2 T-Ring(Baader / 各社) DSLR ボディ用の 11mm 厚(44mm フランジ + 11mm = 55mm の「望遠鏡用 55mm 標準」を作るためのリング) 厚さ 11mm 設計のため、ASI カメラ(17.5mm / 12.5mm バックフォーカス)に直付けするとエクステンダー長が合わない
中華ノーブランド EF → M42 アダプタ 価格が安い M42 のピッチが 1.0mm(M42×1)で T2(M42×0.75)と互換性がない製品が混在。購入時にピッチを必ず確認

出典: ZWO Official — EOS-T2 Ⅱ(対応バックフォーカス設計)Wikipedia — Canon EF mount(flange 44mm)/※汎用 T-Ring と ZWO 純正の使い分けは光路長計算(44mm フランジ − ASI カメラ backfocus)に基づく一般解として記載

Canon EF ではなく Nikon F マウントのレンズを ASI カメラに付けたい場合、ZWO は同シリーズの Nikon-T2 Ⅱ アダプタ(SRC-9)を用意しています。Nikon F の flange focal distance が 46.5mm(EF の 44mm より 2.5mm 長い)ため、アダプタ本体の光学的厚みが EOS 版と異なります。

項目 EOS-T2 Ⅱ Nikon-T2 Ⅱ
対応レンズ Canon EF Nikon F
構成 EOS-T2 本体 + 5mm T2 エクステンダー 29mm Nikon-T2 本体 + 5mm T2 エクステンダー
対応バックフォーカス 17.5mm / 12.5mm 17.5mm / 12.5mm(EOS 版と同じ切り分け)
フルフレーム機対応 非対応(ASI6200 / ASI2400 除外) 非対応(ASI6200 / ASI2400 除外)
メーカー参考価格 $59.00 USD $69.00 USD

出典: ZWO Official — New Nikon-T2 Adapter("29mm new Nikon-T2 adapter and a 5mm T2 extender" "$69.00" "except full frame cameras like ASI6200 and ASI2400")

EOS-T2 Ⅱ 単体で機能する製品ですが、実運用では以下の関連品と組み合わせるケースが多くなります。

  • ZWO EOS-T2 Ⅱ(本記事の主対象)商品ページはこちら
  • ZWO Nikon-T2 Ⅱ — Nikon F レンズ用の兄弟製品
  • ZWO T2-T2 Extender 11mm — 光路長微調整用(ASI533 の 11mm 相当のスペーサー互換) — メーカー参考価格 $18.00
  • ZWO T2-T2 Adapter 2mm — 2mm 微調整用スペーサー — メーカー参考価格 $12.00
  • ZWO New T2 Tilter — 四隅の星像流れが出る時にチルト補正で使う(EOS-T2 Ⅱ 自体には調整機構がないため)

出典: ZWO Official — T2-T2 Extender 11mm("M42*0.75 female to female thread" "$18.00")/ZWO Official — T2-T2 Adapter 2mm("Extend distance: 2mm" "$12.00")/ZWO Official — Adapters カテゴリ

⑪ ZWO EOS-T2 Ⅱ|商品ページ・公式 LINE のご案内

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最終更新: 2026-08-23/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式 Adapters カテゴリ・Wikipedia Canon EF mount ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑫ よくある質問(FAQ)

Q1. EOS-T2 Ⅱ を買えば Canon EF レンズで AF や絞りが使えますか?

いいえ。EOS-T2 Ⅱ には電子接点がないため、AF・絞り・IS(手振れ補正)はすべて動作しません。多くの EF レンズは電源が来ない状態では絞り開放固定になります。

Q2. ASI2600MC Pro に付ける時、5mm T2 エクステンダーは使いますか?

使いません。ASI2600 系はバックフォーカス 17.5mm 仕様で、EOS-T2 Ⅱ 本体だけを直付けします。5mm エクステンダーは 12.5mm バックフォーカスの惑星系(ASI662MC 等)のときに装着します。

Q3. ASI6200MM Pro でも使えますか?

ZWO 公式が ASI6200 / ASI2400 を非対応と明記しているため、EOS-T2 Ⅱ は使えません。フルフレーム機で EF レンズを使う場合は、ZWO M54 系のアダプタチェーンを別途組む形になります。

Q4. Canon EF-S(APS-C 専用)レンズは付きますか?

Canon EF-S レンズは物理的に EF マウントベイヨネットに装着可能ですが、そもそもイメージサークルが小さいため、17.5mm バックフォーカス機(ASI2600MC Pro のセンサー対角 28.3mm)で使うと四隅がケラレる可能性があります。12.5mm バックフォーカスの小型センサー機(ASI662MC 等)なら実用範囲に収まります。

Q5. アダプタに 2 インチ IR-CUT フィルターを付けたら、無限遠が出なくなりました。

フィルターの屈折率で光路が数百 μm ずれるためです。ズーム機構やフォーカスリングで補正できる範囲なので、レンズ側でピントを追い込んでください。

Q6. 初代 EOS-T2(V.I)を持っています。Ⅱ に買い替える価値はありますか?

ロック機構が改善されたので装着感は向上しますが、光学的な差はありません。傾き調整(adjustable)機構は Ⅱ で撤去されたので、初代のチルト調整を活用していた場合はダウングレードに感じるケースもあります。

Q7. 中華ノーブランドの EF-M42 アダプタで代用できますか?

M42 のねじピッチが 0.75mm(T2 規格)か 1.0mm(M42 スクリューマウント規格)かで互換性が変わります。ZWO ASI カメラは T2 = M42×0.75 なので、購入時にピッチを必ず確認してください。ピッチが違うと無理にねじ込んでねじ山を潰すリスクがあります。

参考にした一次情報

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最終更新: 2026-08-23/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式 Adapters カテゴリ・Wikipedia Canon EF mount ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。