夏の暗黒星雲|パイプ星雲・S字状暗黒帯を天の川に探す 完全ガイド

夏の暗黒星雲|パイプ星雲・S字状暗黒帯を天の川に探す 完全ガイド

夏の天の川がいちばん濃く立ち上がる 7〜8 月、いて座・さそり座・へびつかい座の方向には「光ではなく闇」で描かれた天体――暗黒星雲――が広がります。本記事では、代表的なパイプ星雲(Barnard 59・65〜67・78)、S 字にくねるスネーク星雲(Barnard 72)、そしてこれらをまとめて呑み込む天の川の大暗黒帯(Great Rift)を、位置・距離・見え方・機材の順で整理し、双眼鏡から Askar SQA70 のような広視野アストログラフまで、機材別のアプローチ方針を示します。すべての事実は末尾の一次情報リストに URL を明示しています。

① 暗黒星雲とは何か──「光を放たない」天体を「背景の光」で読む

暗黒星雲(dark nebula)は、可視光を放出も反射もせず、背景の星や散光星雲の光をダストで遮って輪郭が浮かび上がる天体です。ESO は「星々の光を通さないほど濃い星間ダストの雲(clouds of interstellar dust so thick it can block out the light from the stars beyond)」がパイプ星雲の正体だと説明しています。出典: ESO eso1233(Pipe Nebula 公式ニュース)

Edward Emerson Barnard は 20 世紀初頭に長時間露光の写真から系統的に暗黒星雲を記録し、182 個からなるバーナードカタログを整備しました。Barnard 68 は 1919 年に追加され、1927 年に約 350 天体の一覧として公表されています。出典: Wikipedia: Snake NebulaWikipedia: Barnard 68(歴史)

夏の天の川方向は、銀河系の中心を含む厚いダスト帯と交差する視線が集中するため、暗黒星雲がもっとも「網目状」に浮き上がるシーズンです。出典: NASA Science: Night Sky Notes — The Great Rift(8 月推奨)

② 主役天体 その 1|パイプ星雲(Barnard 59・65〜67・78)

パイプ星雲は、その名の通り「たばこパイプの形」に見える大型の暗黒星雲群です。パイプの「吸口(stem)」側が Barnard 59・65・66・67、パイプの「火皿(bowl)」側が Barnard 78 に対応します。出典: Wikipedia: Pipe Nebula(Infobox・冒頭)

位置は「へびつかい座(Ophiuchus)」の南部で、いて座・さそり座の境界近く、銀河系中心の方向のすぐ手前に横たわります。ESO はこれを「銀河系中心(Galactic Center)方向の視線上、600〜700 光年の距離にある複雑な暗黒星雲」と紹介しています。出典: ESO eso1233(Pipe Nebula 位置・距離)

座標・視直径・距離(一次情報から転記)

部位 カタログ番号 J2000 RA J2000 Dec 視直径
全体(総称) Pipe Nebula(Barnard 59, 65-67, 78) 17h 27m −26°56′
吸口(Stem) Barnard 59 / 65 / 66 / 67 17h 21m −27°23′ 300′ × 60′
火皿(Bowl) Barnard 78 17h 33m −26°30′ 200′ × 140′
距離 全体共通 600〜700 光年(180〜220 パーセク)

出典: Wikipedia: Pipe Nebula(Infobox:座標・視直径・距離)/ESO eso1233(距離帯)

Barnard 59 は「吸口」であり、星形成の現場

Barnard 59 はパイプ星雲の「吸口(mouthpiece)」を形成する部分で、ESO の La Silla 天文台 MPG/ESO 2.2 メートル望遠鏡の Wide Field Imager によって、暗黒物質の複雑な構造として詳細に撮影されています。出典: ESO eso1233(撮影機材・Barnard 59 の位置付け)

③ 主役天体 その 2|S 字状暗黒帯・スネーク星雲(Barnard 72)

Barnard 72(スネーク星雲)は、パイプ星雲の火皿の北北西の縁から流れ出るように伸びる、S 字にくねった細い暗黒帯です。Barnard がカタログ化する以前から「S 字星雲(S Nebula)」の名で呼ばれていました。出典: Wikipedia: Snake Nebula(歴史・位置関係)

座標・視直径・距離

項目
カタログ番号 Barnard 72
J2000 RA 17h 23m 30s
J2000 Dec −23°38′00″
星座 へびつかい座(Ophiuchus)
視直径 37′ × 17′
距離 約 650 光年(約 200 パーセク)
目印 Theta Ophiuchi(へびつかい座 θ 星)の北北東 約 1.5°

出典: Wikipedia: Snake Nebula(Infobox)/NASA APOD 2005-05-21 Snake in the Dark(距離)

眼視での実際の見え方

Wikipedia(Snake Nebula)は「4 インチから 6 インチの望遠鏡で、天の川が明るく光る暗く晴れた空のもとでは、S 字状の 5 光年に及ぶ蛇行構造が姿を現す」と記述しています。逆に言えば、口径 100mm 級より小さい望遠鏡や、月明かり・光害のある空では、S 字の存在感は急激に薄くなります。出典: Wikipedia: Snake Nebula(観測・小望遠鏡での姿)

④ 主役天体 その 3|バーナード 68(近距離のボック・グロビュール)

Barnard 68 は、パイプ星雲・スネーク星雲と同じへびつかい座にありながら、性格の違う「ボック・グロビュール(Bok globule)」と呼ばれる小型で密度の高い分子雲です。可視光では背景の星がまったく透けない、真っ黒の穴のように見えます。出典: Wikipedia: Barnard 68(分類)

項目
別称 LDN 57
J2000 RA / Dec 17h 22m 38.2s / −23°49′34″
距離 125 パーセク(約 407 光年)
直径 約 0.5 光年
質量 太陽質量の約 2 倍
内部温度 約 16 K(−257℃)
分類 分子雲 / 暗黒吸収星雲 / ボック・グロビュール

出典: Wikipedia: Barnard 68(Infobox・物理量)

Barnard 68 は「近い」ため、視線上に他のダスト層が重なりにくく、輪郭がくっきり切り立って見えるのが特徴です。Barnard 72(スネーク星雲)と赤緯・赤経が非常に近く(RA が 1 分違い、Dec は 0°11′違い)、同じ低倍率視野内に収めやすい位置にあります。出典: Wikipedia: Barnard 68(J2000 座標)/Wikipedia: Snake Nebula(J2000 座標)

⑤ 全体像|大暗黒帯(Great Rift)とダークホース星雲

パイプ星雲・スネーク星雲・Barnard 68 は、単発の天体としても魅力的ですが、より大きな枠組みでは「大暗黒帯(Great Rift)」および「ダークホース星雲(Prancing Horse)」という、10 度〜30 度に及ぶ大構造の一部として存在しています。

大暗黒帯(Great Rift)

Great Rift は、はくちょう座(Cygnus)→ わし座(Aquila)→ へびつかい座(Ophiuchus)→ いて座(Sagittarius)→ ケンタウルス座(Centaurus)と、天の川に沿って連なる暗黒分子雲の連鎖です。Wikipedia は、この暗黒帯の見かけの幅を約 30 度、覆い隠す領域を「天の川の 3 分の 1」とし、その中の塵とプラズマの総質量を約 100 万太陽質量と紹介しています。出典: Wikipedia: Great Rift (astronomy)(幅・質量・星座)

NASA Science の Night Sky Notes は、8 月の夜空で「天の川がその中心を通って縦に二つに割れるように見える(gives the appearance that the Milky Way has been split in half)」と説明し、月が新月〜三日月の期間で、暗く乾いた空、明るいライトを避けた暗順応が観測の前提だと明記しています。出典: NASA Science: The Great Rift(観測条件)

EarthSky はさらに、夏の大三角(Vega・Deneb・Altair)を目印にすると、Great Rift はこの大三角の内側から南のいて座方向へ向かって「誰かがマーカーで天の川の一部を暗く塗りつぶしたように」広がって見える、と表現しています。出典: EarthSky: The Great Rift is a dark swath in the Milky Way(目印・見え方)

ダークホース星雲(Dark Horse / Prancing Horse)

Great Rift の中でも、パイプ・スネーク・Barnard 68 を含む約 10°×10° の領域は、「馬の側面のシルエット」に見えることから「ダークホース星雲」あるいは「Prancing Horse」と呼ばれます。ダークホースは Pipe Nebula(B77, B78, B59)、Snake Nebula(B72)、Barnard 68 の 3 つを含むひとつの視覚的まとまりです。出典: Wikipedia: Dark Horse (astronomy)(構成・見かけのサイズ)

もう一つの暗黒帯|Serpens–Aquila Rift

視野を北へ移し、わし座・へび座尾部の方向に目を移すと、Serpens–Aquila Rift と呼ばれる別の暗黒帯領域(20°×10°)に到達します。距離は光学的な星計数では 225±55 パーセク、VLBA による W40/Serpens South の直接距離測定では 436±9 パーセク(1420±30 光年)が得られています。出典: Wikipedia: Serpens–Aquila Rift(座標・距離)

⑥ 観測適時|日本の緯度で 8 月がベストな理由

NASA は「8 月がベスト」と述べていますが、これには 2 つの根拠があります。

理由 1|銀河系中心と暗黒帯が真南に来る時期

銀河系中心(いて座 A*)の J2000 座標は RA 17h 45m / Dec −29°00′ で、これはパイプ星雲(RA 17h 27m / Dec −26°56′)とほぼ同じ赤経・赤緯帯です。したがって、銀河中心が観測地から南中する時刻に、パイプ星雲もほぼ同時に南中します。出典: Wikipedia: Pipe Nebula(座標)

7 月は南中が深夜、8 月は日没後 2〜3 時間で南中、9 月は宵の口に南中──というふうに、8 月は「日没後の暗い時間帯にちょうど南中してくれる」という利便性があります。出典: EarthSky: The Great Rift(6〜10 月の観測窓)

理由 2|月齢と大気透明度

NASA は「新月・三日月期を狙い、満月期は避けよ」と明確に指示しています。日本の梅雨明け直後の 7 月末〜8 月上旬は、大気の透明度が上がる時期でもあり、条件が揃うと「天の川を縦に割く暗黒帯」が肉眼でも把握できます。出典: NASA Science: The Great Rift(月齢の指示)

日本の緯度による「南中高度」の壁

パイプ星雲の赤緯は −26°56′。観測地の緯度を φ とすると南中高度は 90° − φ + 赤緯 で計算できます。東京(φ ≒ 35.7°N)なら南中高度は 90 − 35.7 − 26.9 ≒ 27.4°、大阪(φ ≒ 34.7°N)なら 28.4°、那覇(φ ≒ 26.2°N)なら 36.9° です。出典: 球面天文学の基本式(南中高度 = 90° − 観測地緯度 ± 赤緯)。パイプ星雲の赤緯は Wikipedia: Pipe Nebula 記載値を使用。

観測地の目安 緯度(概算) Pipe Nebula 南中高度 Sgr A* 南中高度
札幌 43.1°N 約 20.0° 約 17.9°
東京 35.7°N 約 27.4° 約 25.3°
大阪 34.7°N 約 28.4° 約 26.3°
福岡 33.6°N 約 29.5° 約 27.4°
那覇 26.2°N 約 36.9° 約 34.8°

出典: 南中高度の一般式(球面天文学)に、Wikipedia の座標値 Pipe Nebula RA/Dec(−26°56′)と Sgr A* RA/Dec(−29°00′)を代入。緯度は各都市庁所在地の概算。

南中高度が 30° を下回るということは、視線が通過する大気の厚さが天頂の 2 倍以上に増えることを意味します。地平線に近いほど、光害(漁火・都市光)と大気減光の影響が積算されるため、南側の光害源がない観測地の選定が、機材選び以上に重要になります。

⑦ 眼視・双眼鏡・撮影|機材別のアプローチ

肉眼(naked eye)

Wikipedia は、パイプ星雲について「良好な暗い空のもとでは肉眼でもよく見える」と記述しています。ただし前提は「良好な暗い空」で、都市部の空では原則不可能です。出典: Wikipedia: Pipe Nebula(可視性)

双眼鏡(7×〜10×50 前後)

暗黒星雲は「口径よりも視野の広さ」と「射出瞳径」がものをいう対象です。Astroshop の記事は、パイプ星雲について「7 倍の双眼鏡でもっともよく見える」と紹介しています。射出瞳径が広く、地上風景を見るのと同じような感覚で「明るい天の川に開いた黒い穴」として捉えるのがコツです。出典: Astroshop Magazine: The Pipe Nebula(推奨機材)

小口径望遠鏡(100〜150mm 級)

Barnard 72(スネーク星雲)は 4〜6 インチ(約 100〜150mm)の望遠鏡と暗い空の組み合わせで、S 字状の形が浮かび上がります。倍率は上げ過ぎず、実視野 1° 前後、明るい低倍率アイピースで見るのが良好です。出典: Wikipedia: Snake Nebula(推奨口径)

広視野リフラクター(撮影)

撮影の主戦場は「短焦点・広視野のアストログラフ + 冷却・非冷却の大センサーカメラ」です。パイプ星雲は全体で 300′ × 60′(吸口部)+ 200′ × 140′(火皿部)を占めるため、フルサイズ(44mm 対角)でも焦点距離 300mm 台なら 1 コマにほぼ収まります。出典: Wikipedia: Pipe Nebula(視直径)

⑧ 撮影の実践|Askar SQA70 でパイプ星雲を狙う

Askar SQA70 は、この記事で扱う暗黒星雲群にとって特に相性が良い広視野アストログラフの一つです。以下は Sharpstar Optics 公式ページに掲載されている仕様です。

項目
口径 70mm
焦点距離 336mm
F 値 f/4.8
レンズ構成 クインタプレット(5 群 5 枚)ペッツバール、うち ED 2 枚、空気間隔
イメージサークル 44mm(フルサイズ対応)
鏡筒長 332mm(露除け格納時)/ 372mm(露除け伸長時)
重量 鏡筒本体 2.68kg/チューブリング+アリガタ込み 3.5kg
後部接続距離(バックフォーカス) 37〜68mm(推奨 55mm)
後部ネジ規格 M42 / M48(M48×0.75 フィルタネジ内蔵)/ M54

出典: Sharpstar Optics 公式 SQA70 製品ページ(Specifications)

なぜ SQA70 がパイプ星雲・S 字状暗黒帯に相性がよいのか

ペッツバール型のクインタプレット設計は、フラットナー・レデューサーを外付けせずにフラットな像面をフルサイズまで確保できるのが最大の特徴です。パイプ星雲のように「大きくて低空」の被写体は、外付けフラットナーの取り付け精度・光路長のズレによる四隅の像流れが露呈しやすいので、鏡筒完結でフラット化しているアストログラフが有利です。出典: Sharpstar Optics 公式 SQA70 製品ページ(ペッツバール設計・フラット像面)

構図の考え方(焦点距離 336mm + APS-C / フルサイズ)

焦点距離 336mm のとき、センサー対角がカバーする空の角度(対角実視野)は次のようになります(arctan(センサー対角 / 焦点距離) の 2 倍で概算)。

センサー 対角 対角実視野(焦点距離 336mm) 水平/垂直(フルサイズ・APS-C の例)
フルサイズ(36×24mm) 約 43.3mm 約 7.4° 約 6.1° × 4.1°
APS-C(23.5×15.6mm 級) 約 28.2mm 約 4.8° 約 4.0° × 2.7°

出典: 実視野の一般式 2 × arctan(センサー寸法 / (2 × 焦点距離))。センサー寸法は各社カメラ仕様として公知。焦点距離 336mm は Sharpstar 公式 SQA70 の値。

Pipe Nebula 全体は 6.5° × 4.5°(Astroshop 記載)程度に広がるため、フルサイズ + SQA70(水平約 6.1°)ではギリギリ、APS-C では 2 コマモザイクが必要という設計判断になります。出典: Astroshop Magazine: The Pipe Nebula(全体視直径 6.5°×4.5°)

ダーク雲の描写を引き出すために

暗黒星雲は「輝線が無く、背景を遮って初めて存在が浮き上がる」対象なので、いわゆるナローバンドフィルターは使いません。逆に有効なのは、光害カットフィルター(都市光の水銀・ナトリウム輝線をカット)や、天の川の背景輝線のコントラストを稼ぐ IR カット・UV/IR カットです。

露出時間は「背景の天の川を破綻させずに星雲濃度を持ち上げる」ため、1 コマ 60〜180 秒を数十枚重ねる LRGB スタッキングが基本になります(ここは撮影者ごとに変数が多いため、機材構成の相談は公式 LINE でお願いします)。

⑨ 関連商品

本記事のパイプ星雲・S 字状暗黒帯・ダークホース星雲の撮影・眼視の主役ペアとして、天体ショップでは Askar SQA70 を取り扱っています。詳しい仕様・在庫状況は下記の商品ページからご確認ください。

⑩ よくある質問手前|商品ページ・公式 LINE のご案内

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最終更新: 2026-07-30 / 執筆: 天体ショップ スタッフ / 記事内のすべての技術情報は、ESO 公式ニュース、NASA APOD/NASA Science、Sharpstar Optics 公式製品ページ、および Wikipedia 各項目に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。天体は Askar SQA70 を含めて弊社独自の初期不良 60 日+3 年保証付きで販売しています。

⑪ よくある質問(FAQ)

Q1. パイプ星雲は本当に肉眼で見えますか?

A. Wikipedia の Pipe Nebula 項目は「良好な暗い空のもとでは肉眼でよく見える」と明記しています。ただし前提は「良好な暗い空」で、都市部や近郊の光害地では原則見えません。天の川そのものが白い雲の帯として見える程度の暗い空で、初めて「その帯に開いた黒い穴」として認識できます。出典: Wikipedia: Pipe Nebula

Q2. スネーク星雲(B72)は何ミリ口径の望遠鏡から見えますか?

A. Wikipedia の Snake Nebula 項目は「4 インチから 6 インチ(およそ 100〜150mm)の望遠鏡で、暗く晴れた空のもとでは S 字状の 5 光年の蛇行構造が姿を現す」と記述しています。100mm 未満の口径でも観測地の空次第では気配が分かりますが、細部を追うなら 100mm 以上が目安になります。出典: Wikipedia: Snake Nebula

Q3. 撮影機材としてフルサイズと APS-C ではどちらが有利ですか?

A. パイプ星雲の全体視直径は 6.5°×4.5° 程度あり、Askar SQA70(焦点距離 336mm、イメージサークル 44mm)と組み合わせた場合、フルサイズ(対角約 43.3mm)なら 1 コマにおおむね収まります。APS-C(対角約 28.2mm)だと 2 コマモザイクが必要になるので、機動性重視なら APS-C、一発撮影重視ならフルサイズが選択肢です。出典: Sharpstar Optics 公式 SQA70(イメージサークル 44mm・焦点距離 336mm)/Astroshop: The Pipe Nebula(6.5°×4.5°)

Q4. 日本のどの緯度なら Pipe Nebula・スネーク星雲が実用的な高度に達しますか?

A. パイプ星雲の南中高度は東京(35.7°N)で約 27°、福岡(33.6°N)で約 29°、那覇(26.2°N)で約 37° です。実用的な意味では「南中高度 30° 以上」が撮影・眼視ともに大気減光の影響が減る目安で、本州以南の光害の少ない撮影地であれば十分実用範囲です。出典: 南中高度 = 90° − 観測地緯度 ± 赤緯(球面天文学の一般式)に、Wikipedia: Pipe Nebula の Dec −26°56′ を代入。

Q5. 光害カットフィルターは効きますか?

A. 暗黒星雲は輝線・反射光を持たない対象なので、H α・OIII などのナローバンドフィルターは効きません(そもそも背景を暗くしてしまい暗黒星雲のコントラストが下がります)。有効なのは、都市光の水銀・ナトリウム輝線をカットする一般的な「光害カットフィルター」で、天の川の背景輝度は保ちつつ都市光成分だけ引き下げる効果が期待できます。装着可否や適合フィルター径は機材構成で変わるため、公式 LINE で個別ご案内します。

Q6. Askar SQA70 は追加のフラットナーが必要ですか?

A. Sharpstar Optics 公式は SQA70 について「クインタプレット・ペッツバール設計により、外付けフラットナーなしで 44mm イメージサークルまでフラットな像面を提供する」と説明しています。したがってフラットナー・レデューサーの追加購入は不要です。ただし、CMOS カメラの光路長合わせは M48/M54 のスペーサーで調整する必要があるため、購入時にはカメラ側のバックフォーカスを合わせてお選びください。出典: Sharpstar Optics 公式 SQA70(Petzval 設計・イメージサークル)

Q7. Barnard 68 とスネーク星雲は同じ視野に入りますか?

A. Barnard 68(RA 17h 22m 38s / Dec −23°49′34″)と Barnard 72(RA 17h 23m 30s / Dec −23°38′00″)は、赤経差わずか約 1 分・赤緯差約 12 分の非常に近い位置にあります。焦点距離 500〜800mm 級の望遠鏡と APS-C 以上のセンサーがあれば、同一視野に収めることが可能です。出典: Wikipedia: Barnard 68Wikipedia: Snake Nebula(各座標)

Q8. 「ダークホース星雲」と「パイプ星雲」は別物ですか?

A. 別物ではなく、包含関係です。ダークホース星雲(Prancing Horse)は 10°×10° 程度の広い視覚的まとまりで、その中にパイプ星雲(B77・B78・B59)、スネーク星雲(B72)、Barnard 68 などが含まれます。ダークホースはさらに、はくちょう座からケンタウルス座まで伸びる Great Rift の一部です。出典: Wikipedia: Dark Horse (astronomy)(構成天体)

⑫ 参考にした一次情報

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最終更新: 2026-07-30 / 執筆: 天体ショップ スタッフ / 記事内のすべての技術情報は、ESO 公式ニュース、NASA APOD/NASA Science、Sharpstar Optics 公式製品ページ、および Wikipedia 各項目に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。天体機材は Askar SQA70 を含めて弊社独自の初期不良 60 日+3 年保証付きで販売しています。