Sky-Watcher WAVE 100i 完全活用ガイド|ストレインウェーブ赤道儀/経緯台モードの使い方・撮影設定・周辺機材
Sky-Watcher WAVE 100i 完全活用ガイド|ストレインウェーブ赤道儀/経緯台モードの使い方・撮影設定・周辺機材
Sky-Watcher WAVE 100i は、本体わずか 4.2〜4.3kg ながらカウンターウェイトなしで 10kg、5kg ウェイトを足せば 15kg まで搭載できるストレインウェーブ (ハーモニックドライブ) 採用の GoTo マウントです。1 台で赤道儀 (EQ) モードと経緯台 (Alt-Az) モードの両方が使え、副サドルを取り付ければ AZ モードで 2 鏡筒同時搭載まで可能。本記事では Sky-Watcher 公式マニュアル (2024-09-01 版) と SynScan Pro App 公式ページの一次情報のみを根拠に、開梱・三脚セットアップから EQ/AZ モード別の据付け、SynScan Pro App / ASIAIR / ASCOM 接続、極軸合わせ、撮影設定、ファームウェア更新、アクセサリ選定までを 1 本にまとめます。
① WAVE 100i とは何か|ストレインウェーブ採用の EQ/AZ デュアルモード GoTo マウント
WAVE 100i は Sky-Watcher が 2024 年に投入した小型ストレインウェーブ式 GoTo マウントです。ウォームギア+ウォームホイールを使う伝統的な赤道儀と違い、ハーモニックドライブ (歪み波歯車) によって本体を小さく軽くしながらも高い搭載能力を確保し、さらに赤道儀/経緯台の両方に対応します。
WAVE 100i 公式仕様一覧
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| マウントタイプ | Equatorial / Alt-Az Dual Mode (赤道儀/経緯台 両用) |
| 本体重量 | 4.2kg (マニュアル APPENDIX) / 4.3kg (Global 製品ページ表記) |
| 最大ペイロード | CW なし 10kg (22lb) / 5kg CW 装着時 15kg (33lb) |
| AZ モード副サドル許容 | 主サドル 15kg (33lb) / 副サドル 6kg (13lb) |
| 緯度範囲 | 0°〜90° |
| 極軸合わせ範囲 | 緯度方向 90° / 方位方向 20° |
| 寸法 | 235.5mm × 128.5mm × 171mm |
| モーター | Belt-Driven Stepper Motor with Harmonic Reducer (1.8°/step・256 microsteps) |
| ギア比 (両軸) | 300:1 |
| 電源 | DC12V〜16V (高い方を推奨) / >55W / バレル 2.0mm I.D ・5.5mm O.D ・中央プラス |
| 最大スルーレート | 7.5°/秒 |
| オートガイド速度 | 0.125X / 0.25X / 0.5X / 0.75X / 1X |
| サドル | デュアル D/V ハイブリッドサドル (43〜73mm dovetail bar 対応)・副サドル同梱 |
| 通信 | Wi-Fi / Bluetooth / USB |
| GOTO コントローラー | SynScan Pro App (標準) / SynScan ハンドコントローラー (オプション・別売) |
出典: Sky-Watcher WAVE100i Instruction Manual (2024-09-01) APPENDIX SPECIFICATIONS、Sky-Watcher Global 製品ページ Wave 100i、Sky-Watcher USA Wave 100i Pro Strainwave Mount
ストレインウェーブ (ハーモニックドライブ) という方式
Sky-Watcher の公式仕様によれば、WAVE 100i のモーターは「Belt-Driven Stepper Motor with Harmonic Reducer」、両軸とも 300:1 のギア比を持ちます。ハーモニック減速機を採用することで、ウォーム+ウォームホイール式に比べて小型軽量でありながら高い減速比とトルクを得る構造です。マニュアルの Part I §1.5 では「22lbs / 10kg 以下の鏡筒なら RA 軸のバランス取りは不要」と明記されており、これがストレインウェーブ式マウントの実運用上の特徴を端的に示しています。
出典: Sky-Watcher Global 製品ページ Wave 100i / Specifications、WAVE100i Instruction Manual Part I §1.5 Balancing the Payload
② 開梱と同梱品の確認
輸入扱いの製品のため、まず公式マニュアル冒頭の Packing List で内容物を確認してください。
| 同梱品 | 数量・備考 |
|---|---|
| WAVE100i マウント本体 | ×1 |
| サドル (主サドル) | ×1 (D/V ハイブリッド) |
| サドルカバー | ×1 (Saddle Cover) |
| 3mm 六角レンチ / 4mm 六角レンチ | 各 ×1 |
| ネジ M6 / M5 | 各 ×2 (副サドル取付用) |
| 電源ケーブル | ×1 |
| USB ケーブル | ×1 (USB-B、ASIAIR や PC との接続にも使用) |
マニュアル本体には記載がありますが、三脚・鏡筒・カウンターウェイト・SynScan ハンドコントローラー・AC アダプタは含まれません。三脚は別売の Sky-Watcher Wave Tripod (カーボン or スチール)、もしくは Wave 系と互換のあるピラー・三脚を別途用意します。
出典: WAVE100i Instruction Manual / WAVE100i Mount Packing List (p.3)、Sky-Watcher USA Wave 100i Pro 製品ページ「Not Included」
③ 三脚据付と本体取付け|EQ/AZ 共通の準備
マニュアル Part I 冒頭は、まず三脚と本体の固定について次のように指示しています。
- 赤道儀 (EQ) モードでセッティングする場合は、三脚の 1 脚を真北 (極軸方向 N) に向け、マウント本体の RA 軸をその脚と揃える。
- 経緯台 (AZ) モードでセッティングする場合は、特に方向の指定はなく、レベル合わせのみ実施する。
三脚への本体固定の細部は、組み合わせる三脚の取扱説明書に従います (Wave 系専用三脚キット・サードパーティ三脚いずれも基本は M12 中心ネジ+アジマス調整ノブ)。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I § Setup Tripod and Wave 100i (p.4)
緯度ノブの操作 (EQ ⇆ AZ 切替の要)
WAVE 100i は緯度ノブの 1 つで EQ/AZ のモードが事実上決まります。マニュアル §1.2 の手順は次の通りです。
- EQ モードで使う場合: 2 本の Latitude ロックノブを少し緩め、緯度調整ノブを回してマウントの緯度スケールの矢印を観測地の緯度に合わせる。終わったら 2 本のロックノブを締める。
- AZ モードで使う場合: 緯度調整ノブを止まるまで時計回りに回し (= 0°)、緯度ロックノブを締める。マウントは直立した姿勢になる。
緯度の操作可能範囲は時計回り 0° までと反時計回り 90° までで、Wave 100i は緯度 0°〜90° の全範囲に対応します。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.2 Adjusting Declination Axis Tilt (p.4)
④ 赤道儀 (EQ) モードのセットアップ手順
EQ-1: 鏡筒の搭載
マニュアル Part I §1.3 によれば、EQ モードでの鏡筒搭載は次の順序です。
- マウントの電源を ON にして SynScan Pro App またはハンドコントローラーに接続する。
- 下矢印キーでサドルの面が上を向き、ロックノブが上側に来る姿勢まで動かす (マニュアル Fig.4a)。
- サドルの 2 本の固定ノブを交互に緩め、鏡筒側 dovetail バーの幅より少し広い溝を作る。
- 鏡筒を水平に保持しながら dovetail バーをサドルに滑り込ませる (マニュアル Fig.4b の向き)。
- 2 本のロックノブを交互に均等に締める。
- 鏡筒の重心ができるだけ DEC 軸の真上に来るように位置決めする。
マニュアルは「サドルにしっかり固定されたと確認できるまでは決して鏡筒から手を離さないこと」を明記しています。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.3 Installing the Telescope for EQ Mode (p.5)
EQ-2: バランス取り (= ほぼ不要のケースが多い)
マニュアル §1.5 (Equatorial Mode) には次のように明記されています。
- RA 軸のバランスは重量級の鏡筒の場合のみ必要。22lbs / 10kg 以下の鏡筒では RA バランス取りは行わない。
- DEC 軸のバランスも重量級の場合のみ。鏡筒を dovetail 上で前後にスライドさせるか、鏡筒バンド側でずらして DEC 周りのバランスを取る。
- 大型鏡筒を載せるときは、合計 33lbs / 15kg を超えないこと、かつ鏡筒中心から RA 軸までの距離が 7-3/4" / 20cm を超えないこと。
これは「バランスが多少甘くてもストレインウェーブ式の保持力で耐えられる」というハーモニックドライブの特性に由来する仕様です。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.5 Balancing the Payload / Equatorial (EQ) Mode (p.7)
EQ-3: カウンターウェイト周りの取付け
5kg カウンターウェイトを装着する場合の手順 (マニュアル §1.5):
- カウンターウェイトバー (2) を所定の穴に時計回りにねじ込んで固定する。
- カウンターウェイト (4) をバーに通し、ロックネジ (3) で固定する。
- カウンターウェイトバー脱落防止ネジ (5) を取り付ける。
- 必要に応じてエクステンションロッド (オプション 0.7kg + 0.4kg) を追加する。
カウンターウェイト・カウンターウェイトロッド・エクステンションチューブ (1kg) はいずれも本体には同梱されないオプション扱いです。15kg ペイロードでの運用を予定するなら別途調達が必要です。
EQ-4: 極軸合わせ (Polar Alignment)
WAVE 100i は内蔵極軸望遠鏡を持たない設計です。マニュアル Part II ではポーラーアラインメントを次の 2 方式のみ提示しています。
| 方式 | 手順 (マニュアル §2.2 / §2.3 準拠) |
|---|---|
| 2 星アライメントベース (§2.2) | SynScan Pro App または SynScan ハンドコントローラーで 2 星アライメントを実施 → アプリ内のポーラーアラインメント機能を起動 → 緯度・方位ノブで誘導通りに修正 → 必要に応じて 2〜3 回繰り返す |
| 撮像ベース (§2.3) | SharpCap Pro / PHD2 などの撮像ベース polar align 機能を利用 (詳細はそれら各アプリのマニュアル参照) |
マニュアル §2.1 General Process には共通の前準備として「① Latitude ロックノブを少し緩める → ② Latitude 調整ノブで観測地緯度をセット → ③ RA 軸を北極星方向に向ける → ④ 上記いずれかの方式で polar align → ⑤ Latitude 調整ノブと Azimuth 調整ノブを最後に締め込む」と書かれています。
運用面では、暗い場所での北極星目視が難しい場合や正確性を高めたい撮影主体の用途では、撮像ベース (SharpCap Pro / PHD2) が現実的な選択肢になります。なお WAVE 100i は緯度方向 90°・方位方向 20° の範囲で極軸を調整できる仕様です。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part II §2.1 / §2.2 / §2.3 Polar Alignment、Sky-Watcher Global Wave 100i Specifications (極軸調整範囲)
⑤ 経緯台 (Alt-Az) モードのセットアップ手順
AZ-1: 緯度 0° セッティング
AZ モードは緯度調整ノブを時計回りに止まるまで回して 0°とし、緯度ロックノブを締めた状態でセッティングします (マニュアル Part I §1.2 (2))。マウントは Fig.3 のように直立した姿勢になります。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.2 (2) (p.4)
AZ-2: 鏡筒搭載とバランス
AZ モードでの鏡筒取付け手順 (マニュアル §1.4) は EQ モードと同様で、サドルを水平にしてから dovetail バーを差し込み均等に締める、というものです。
バランスについてはマニュアル §1.5 (Alt-Azimuth Mode) に重要な記述があります。
- AZ 軸 (水平方向の回転、EQ の RA 軸に相当): マウントの最大荷重 33lbs / 15kg までの鏡筒であればバランス取りは不要。副サドルには 13lbs / 6kg まで搭載可能。
- ALT 軸 (垂直方向の動き、EQ の DEC 軸に相当): 重量級鏡筒の場合のみ要バランス。鏡筒を水平にした状態で dovetail 上の位置または鏡筒バンド位置を調整して DEC 軸周りのバランスを取る。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.4 / §1.5 Alt-Azimuth (AZ) Mode (p.6 - p.8)
AZ-3: 副サドル (Second Saddle) の取付け
WAVE 100i には主サドルとは別に副サドルが同梱されており、AZ モード時にカウンターウェイトポート側に取り付けることで 2 鏡筒同時搭載が可能です。これは太陽観測・アウトリーチイベント・日食撮影など、ガイド鏡+撮影鏡や本機+ファインダー的な構成にも応用できる構造です。
取付け手順 (マニュアル §1.6):
- 副サドルをマウントの所定位置に当て、M5 皿頭ネジ 2 本 + M6 シリンダ頭ネジ 2 本を六角レンチでロックする。
- サドルにカバープレートを取付ける。
2 鏡筒の向きを揃える際は、3mm 六角レンチで主サドル側面の 2 本のネジを調整してロックします (マニュアル §Dual Saddle Adjustment / Fig.11)。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.6 Installation of the Second Saddle / Dual Saddle Adjustment (p.9)、Sky-Watcher USA Wave 100i 製品ページ Features (副サドルの用途)
⑥ SynScan Pro App との接続と初期設定
SynScan Pro App は WAVE 100i の推奨コントローラーです (マニュアル §4.1)。プラットフォーム別の接続方式は次の通り。
| プラットフォーム | 入手 | 接続方式 |
|---|---|---|
| Windows / Mac | www.skywatcher.com からダウンロード | USB / Wi-Fi / Bluetooth |
| Android | Google Play または www.skywatcher.com | USB (USB OTG ドングルが必要) / Wi-Fi / Bluetooth |
| iOS | App Store | Wi-Fi / Bluetooth (USB 非対応) |
iOS では USB 接続を選べない点に注意が必要です (Wi-Fi / Bluetooth のみ)。タブレットでも動作します。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.1 SynScan Pro App (p.13)、Sky-Watcher SynScan App 公式ページ
電源 ON 時の LED パターンの読み方
マニュアル §3.1 (Control Panel) に Power Switch の LED 動作が一覧化されています。接続が不安定な時はまずこの LED をチェックしてください。
| LED パターン | 意味 |
|---|---|
| 単発短点滅 (On 時間が短い) | Wireless module は接続待ち状態 |
| 2 回点滅 | Wireless 接続確立済み |
| 点灯 (Steady On) | 長時間アイドルで Wireless module が OFF になっている |
| 単発のゆっくり点滅 (On/Off 等間隔) | 電源電圧が低下 |
| 単発の速い点滅 | 電源電圧が極端に低下 — ただちに使用中止 |
| 3 回点滅 | ファームウェアアップデートが未完了 |
出典: WAVE100i Instruction Manual Part III §3.1 Control Panel / Power Switch LED (p.11)
Auto-Home (ホームポジション復帰)
SynScan Pro App のメニュー「Utility → Advanced → Auto Home」からホームポジションへ自動復帰できます。モードによって設定値が異なる点に注意してください。
-
EQ モード: Dec offset を
0に設定 → polar-home position (RA 軸が極を向き、DEC 0° の姿勢) へ戻る。 -
AZ モード: Dec offset を
-90に設定 → north-level position (北を向いて水平) へ戻る。
マニュアルは「Dec/Alt = -90°/270° の姿勢で Auto-Home を起動しないこと」を NOTICE として警告しています。この姿勢では誤動作する可能性があるため、明らかに別姿勢から実行してください。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.3 Auto-Home / NOTICE (p.13)
緯度スケール・水準器の照明
WAVE 100i は緯度スケールと水準器気泡 (バブルレベル) に赤色 LED 照明が組み込まれています。明るさは SynScan Pro App またはハンドコントローラーのPolar Scope Illuminator 設定から調整できます。暗順応中に眩しすぎる場合はここで光量を絞ってください。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.4 Illumination (p.13)
⑦ ASIAIR / ASCOM 等 第三者プラットフォーム連携
SynScan Pro App は ASCOM / Stellarium / SkySafari / StarSeek / SkyTrack 等の主要サードパーティアプリと連動できます。WAVE 100i の制御パネルにも下記 4 つのインターフェースが用意されているため、ASIAIR や PC ベースの撮影システムへ柔軟に組み込めます。
| ポート | 用途 (マニュアル §3.1 / §3.2) |
|---|---|
| PWR | 電源入力 (DC12〜16V / >55W、バレル 2.0/5.5mm 中央プラス) |
| USB | PC または Android デバイスとの通信 (Sky-Watcher USA 製品ページによれば USB-B ケーブル同梱で ASIAIR 直結にも使用可) |
| HAND CNTRL | SynScan ハンドコントローラー (オプション) などとの通信ポート |
| GUIDE | ST-4 規格のオートガイダー入力 (RA+/RA-/DEC+/DEC-/GND) |
ZWO 公式ブログでは ASIAIR と Sky-Watcher 系マウントの接続を 2 通り紹介しています。
- 方式 A — ハンドコントローラー経由 (SynScan モード): SynScan ハンドコントローラーに RJ-RS232 ケーブルを接続し、RS232-USB ケーブルで ASIAIR へ。アプリ側でマウントタイプ「SynScan」を選択。手動アライメントが必要。
- 方式 B — EQMOD ケーブル直結: 専用 EQMOD ケーブルで WAVE 100i のポートから ASIAIR へ直結 (ハンドコントローラー不要)。スターアライメントを省略してプレートソルブのみで運用できる。
WAVE 100i は USB / Wi-Fi / Bluetooth の 3 系統がそろっているため、ハンドコントローラーを購入しなくても SynScan Pro App + Wi-Fi だけで完結する構成や、ASIAIR + USB-B 直結の構成が現実的な選択肢になります。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part III §3.1 Control Panel / §3.2 Pinout of the Interfaces (p.11 - p.12)、Sky-Watcher SynScan App 公式ページ (third-party 連携)、ZWO 公式: How to Connect ASIAIR to Your SkyWatcher Mount、Sky-Watcher USA Wave 100i 製品ページ Connectivity
⑧ 撮影・オートガイドの設定
オートガイドの構成
WAVE 100i は ST-4 仕様の GUIDE ポートを装備しており、PHD2 等の標準的なオートガイドアプリから次の 5 段階の補正速度で制御できます。
| オートガイド速度 | 説明 (恒星時に対する倍率) |
|---|---|
| 0.125X | 最も低速 — 長焦点・繊細な補正向け |
| 0.25X / 0.5X / 0.75X | 標準的なガイド速度の選択肢 |
| 1X | 最大速度 — 大きなドリフトをすばやく取り戻したい時 |
PHD2 や SharpCap などストレインウェーブ式マウント向けのチューニング (Aggressiveness や Max RA/Dec Duration の最適値) は、各アプリの公式ドキュメント (例: openphdguiding.org の PHD2 User Guide) を参照して調整してください。本記事では Sky-Watcher 公式マニュアル外の数値推奨は行いません。
ガイド方式は ST-4 / パルスガイド どちらでも
マウントの GUIDE ポートに ST-4 ケーブルでカメラを接続する従来方式に加えて、USB / Wi-Fi 経由で SynScan Pro App や ASCOM ドライバ経由のパルスガイド (PHD2 から見ると「On Camera」ではなく「ASCOM Mount」「SynScan App」として接続) も使えます。ケーブル本数を減らしたい遠征構成では Wi-Fi + ASCOM 経由のガイドが現実的です。
出典: Sky-Watcher SynScan App 公式ページ (ASCOM 等 third-party 連携)、WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.1 / Part III §3.1 (USB / HAND CNTRL / GUIDE)
RA Power-off ブレーキ — 電源 OFF 後の鏡筒落下対策
Sky-Watcher USA の機能解説によれば、WAVE 100i はRA Power-off ブレーキ機能を備えています。これは電源が落ちた時にも RA 軸の姿勢が急変しないようロックする仕組みで、ストレインウェーブの大きな保持力と組み合わせることで撮影機材の落下リスクを低減します。とはいえ電源を切ったあとでも長時間放置せず、機材を取り外してから撤収するのが安全側の運用です。
出典: Sky-Watcher USA Wave 100i Pro Strainwave Mount / Features (RA power off braking function)
⑨ ファームウェアアップデート
WAVE 100i のモーターコントローラーは Sky-Watcher の MC030 系で、Wi-Fi モジュールを内蔵しています。公式のファームウェアアップデーター情報は次の通りです。
| 対象 | 名称・バージョン |
|---|---|
| モーターコントローラ本体 | MC030 Motor Controller Firmware — Wave 150i / 100i 向け Version 3.66 (Global ページ) |
| 更新ツール (Windows) | Motor Controller Firmware Loader — WiFi Version 1.88 |
| 更新ツール (Mac) | Mac 版 Version 1.84 |
| Wi-Fi モジュール更新ツール | Tools for upgrading on-board Wi-Fi module's firmware (64.109MB / 2025-12-15 公開) |
Sky-Watcher 公式は2025 年 12 月より前に製造された Wave 100i / Wave 150i の一部で Wi-Fi / Bluetooth 接続が不安定な個体があると注意喚起しています。該当する場合は上記の Wi-Fi モジュール更新ツールでファームを書き換えると解消するケースがあります。アップデート手順はツール付属のドキュメントに従ってください。本体電源 LED が「3 回点滅」していたらアップデート未完了の合図です (マニュアル §3.1)。
マニュアル本文 §4.5 にも「www.skywatcher.com を確認して最新ファームに更新すること」と明記されています。
出典: Sky-Watcher Motor Control Firmware ダウンロードページ、Sky-Watcher USA Firmware & Software ページ、WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.5 Firmware Update / Part III §3.1 Power Switch LED
⑩ アクセサリ・周辺機材の選び方
カウンターウェイトとロッド (オプション)
10kg を超える鏡筒を載せたい (例: 屈折大口径機・SCT・大型ニュートン式) 場合は、5kg カウンターウェイト・ロッド (0.7kg + 0.4kg)・必要に応じてエクステンションチューブ (1kg) を別途調達します。鏡筒中心から RA 軸までの距離は最大 7-3/4" / 20cm までというマニュアル制約があるため、極端に重い・大きい鏡筒は素直に WAVE 150i など上位機を検討した方が安全です。
三脚・ピラーエクステンション
Sky-Watcher 純正の Carbon Fiber Tripod + Extension Tube Kit (Sky-Watcher USA の構成例) は以下の仕様で、WAVE 100i / 150i 共用の純正構成として最も連動性が高い組み合わせです。
| パーツ | 主要仕様 |
|---|---|
| カーボンファイバー三脚 | 最大延長 747mm / 収納 500mm / 許容 20kg / 自重 2.4kg |
| エクステンションチューブ (純正) | 長さ 180mm / 半径 100mm / 重量 1.1kg |
遠征撮影で軽量化したい場合はカーボンファイバー、ベランダ・固定運用で安定性最優先ならスチール三脚という選び分けが一般的です。エクステンションチューブは鏡筒長が長くなる屈折・反射の DEC スイング時に三脚脚との干渉を避けるための高さ稼ぎ用パーツです。
出典: Sky-Watcher USA Wave 100i Pro with Carbon Fiber Tripod & Extension Tube Kit / Specifications
電源
WAVE 100i の電源仕様はDC 12V〜16V・55W 以上・バレル 2.0mm I.D / 5.5mm O.D ・中央プラスで、マニュアルは「非安定化 AC-DC アダプタは使用しないこと」を明記しています。一般的な 12V 5A 程度の安定化リチウムバッテリーや、遠征用ポータブル電源 (12V 出力に対応するもの) を選びます。電圧が低下すると LED がゆっくり単発点滅し、極端に低下すると速い単発点滅に切り替わるので、これがガイド開始前に出ていれば電源を交換してください。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part III §3.3 Power Supply Requirements / §3.1 Power Switch LED
SynScan ハンドコントローラー (オプション)
マニュアル §4.2 によればハンドコントローラーは本体に付属しないオプション扱いです。SynScan Pro App + Wi-Fi / Bluetooth で完結する場合は購入不要ですが、スマートフォンを使いたくない・冬季にスマホ操作が辛い・夜露で画面が反応しなくなる、といった事情があるならハンドコントローラーの追加を検討します。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.2 SynScan Hand Controller (p.13)
⑪ 関連商品
本記事で扱った Sky-Watcher WAVE 100i 本体の商品ページは以下です。在庫状況・最新価格・付属品の最終確認は商品ページ側で行ってください。
- Skywatcher WAVE 100i スカイウォッチャー マウント ストレインウェーブギア 赤道儀 経緯台両用 — 本記事のメイン商品。海外輸入扱い・取寄品。
WAVE 100i の運用に組み合わせる撮影機材 (CMOS カメラ、フィルター、ASIAIR、ガイド鏡など) のお選びについては、構成意図・予算・観測場所をお知らせいただければ公式 LINE で個別にご案内します。
⑫ 最安値ご案内・在庫確認|商品ページ・公式 LINE のご案内
本記事で扱った商品ページはこちら
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最終更新: 2026-06-28/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sky-Watcher 公式マニュアル (WAVE100i Instruction Manual 2024-09-01 版)・Sky-Watcher Global 製品ページ・Sky-Watcher USA 製品ページ・Sky-Watcher 公式 Motor Control Firmware ダウンロードページ・SynScan App 公式ページ・ZWO 公式ブログに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。なお WAVE 100i の保証は弊社独自の初期不良 60 日 + 3 年保証で対応しています。
⑬ よくある質問 (FAQ)
Q1. WAVE 100i は赤道儀と経緯台、どちらでも本当にそのまま使えますか?
はい。マウントタイプは Equatorial / Alt-Az Dual Mode で、緯度調整ノブを目的のモード位置 (EQ: 観測地緯度、AZ: 0° まで時計回りに止める) にセットして緯度ロックノブを締めるだけで切り替わります。SynScan Pro App の接続時にも EQ / AZ どちらで動かすかを選ぶ仕組みです。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.2 / APPENDIX SPECIFICATIONS
Q2. カウンターウェイト無しで本当に 10kg まで載せて大丈夫ですか?
マニュアル §1.5 にカウンターウェイトなし運用時の最大ペイロードが 10kg (22lb) と明記されており、22lb 以下では RA 軸のバランス取り自体が不要と書かれています。ハーモニックドライブの特性上、ある程度のアンバランスはマウントが保持する設計になっています。なお運用上は鏡筒を含めた重心位置が極端に偏らない範囲で使うのが安全です。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.5 Balancing the Payload / Equatorial (EQ) Mode、Sky-Watcher Global Wave 100i Specifications
Q3. 内蔵極軸望遠鏡が無いと聞きました。極軸合わせはどうすればいいですか?
公式マニュアルでは (a) SynScan Pro App / ハンドコントローラーの 2 星アライメントを起点とする polar align、(b) SharpCap Pro や PHD2 などの撮像ベース polar align、の 2 方式を案内しています。撮像主体の撮影では (b) のほうが精度を出しやすく、ASIAIR 系のプレートソルブ polar align も同じ原理 (撮像 + plate solve + 補正指示) で動作します。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part II §2.2 / §2.3 Polar Alignment
Q4. ASIAIR にはどう繋げばいいですか?
2 通りあります。(A) SynScan ハンドコントローラー + RJ-RS232 + RS232-USB で ASIAIR に繋ぎ、アプリ側で「SynScan」マウントを選択する方式。(B) EQMOD ケーブルで WAVE 100i 本体ポートから ASIAIR に直結する方式 (ハンドコントローラー不要)。USA 製品ページの「Connectivity」項にも USB-B ケーブル同梱で ASIAIR 接続に対応する旨が明記されています。
出典: ZWO 公式: How to Connect ASIAIR to Your SkyWatcher Mount、Sky-Watcher USA Wave 100i Connectivity
Q5. 電源は何 V・何 A 必要ですか?AC アダプタは付属していますか?
マニュアル §3.3 によればDC 12〜16V・55W 以上 (12V なら 5A 弱以上が目安)・バレル 2.0mm I.D / 5.5mm O.D / 中央プラス・非安定化 AC-DC アダプタは禁止です。AC アダプタは本体に付属しません (Sky-Watcher USA 製品ページにも「Not Included」と明記)。安定化された 12V 出力のリチウム電源 (天体撮影向けのものや、安定化回路を内蔵したポータブル電源) を別途用意してください。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part III §3.3 Power Supply Requirements、Sky-Watcher USA Wave 100i Pro Strainwave Mount / Not Included
Q6. Wi-Fi が時々切れる・Bluetooth が繋がりにくいのですが故障ですか?
Sky-Watcher 公式は2025 年 12 月より前に製造された Wave 100i / 150i の一部で Wi-Fi / Bluetooth 接続が不安定な個体があると注意喚起しており、専用のオンボード Wi-Fi モジュール更新ツール (2025-12-15 公開・64MB 規模) で改善するケースを案内しています。まずモーターコントローラ・Wi-Fi モジュールのファームを最新へ更新してください。それでも解消しない場合は購入店経由でメーカーへ相談する流れになります。
出典: Sky-Watcher Motor Control Firmware ダウンロードページ
Q7. iOS の SynScan Pro App で USB 接続ができません。
マニュアル §4.1 によれば、iOS 版 SynScan Pro App は Wi-Fi と Bluetooth 接続のみサポートしており、USB 接続には対応しません。iPhone / iPad ユーザーは Wi-Fi (マウントが SoftAP で自身の Wi-Fi をブロードキャストする) または Bluetooth で接続してください。Android では別途 USB OTG ドングルが必要、Windows / Mac はそのまま USB 可、という整理になります。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.1 SynScan Pro App
Q8. AZ モードで 2 鏡筒を載せたいのですが、副サドルの組付けに専用工具は要りますか?
同梱の 3mm / 4mm 六角レンチで済みます。副サドルは M5 皿頭 ×2 + M6 シリンダ頭 ×2 のネジで固定し、最後にカバープレートを取付けます。2 鏡筒の向きを揃える「Dual Saddle Adjustment」用ネジは主サドル側面の 2 本で、3mm 六角レンチで調整します。副サドル側の許容ペイロードは 6kg (13lb) なので、主鏡筒に対してガイド鏡や太陽観測用の補助鏡筒を載せる用途が想定されています。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part I §1.6 / Dual Saddle Adjustment / §1.5 Alt-Azimuth Mode
Q9. Auto-Home を実行する時に注意することはありますか?
SynScan Pro App の Utility → Advanced → Auto Home で実行できますが、(1) EQ モードでは Dec offset を 0、AZ モードでは Dec offset を -90 にセットすること、(2) Dec/Alt = -90°/270° の姿勢では Auto-Home を起動しないこと、の 2 点に注意してください。明確に別姿勢から実行すれば、EQ では polar-home (RA 軸が極を向き DEC 0°)、AZ では north-level position (北を向いて水平) に戻ります。
出典: WAVE100i Instruction Manual Part IV §4.3 Auto-Home / NOTICE
Q10. 海外輸入扱いとのことですが、保証はどうなりますか?
WAVE 100i は弊社独自の初期不良 60 日 + 3 年保証で対応しています。Sky-Watcher のグローバルな保証条件は地域代理店ごとに異なりますが、当店でご購入いただいた個体は当店ルートでサポートいたします。詳細な対応範囲・修理可否については、購入前でも公式 LINE またはメールでお気軽にお問い合わせください。
出典: WAVE100i Instruction Manual Warranty / Customer Support (region-dependent 旨の記載)
参考にした一次情報
- Sky-Watcher 公式 WAVE100i Mount Instruction Manual (2024-09-01) — Part I 〜 Part IV / APPENDIX SPECIFICATIONS (16 ページ)。本記事の技術情報の主たる根拠。
- Sky-Watcher Global 製品ページ Wave 100i — 寸法・重量・ギア比・通信仕様の補完情報。
- Sky-Watcher USA Wave 100i Pro Strainwave Mount — Features (RA Power-off ブレーキ・副サドル用途・USB-B 同梱) ・Not Included の根拠。
- Sky-Watcher SynScan App 公式ページ — ASCOM / Stellarium / SkySafari など third-party 連携の根拠。
- Sky-Watcher Motor Control Firmware ダウンロードページ — MC030 ファームバージョン・Loader バージョン・Wi-Fi 不安定個体の注意。
- ZWO 公式: How to Connect ASIAIR to Your SkyWatcher Mount — ASIAIR 接続 2 方式の根拠。
- Sky-Watcher USA Wave 100i Pro with Carbon Fiber Tripod & Extension Tube Kit — 三脚・エクステンションチューブの寸法の根拠。
- Sky-Watcher 公式マニュアルダウンロードページ (GOTO Mounts) — Manual PDF 直リンクの所在確認。
- Sky-Watcher USA Firmware & Software ページ — Motor Controller / Loader バージョン表記の追加根拠。
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最終更新: 2026-06-28/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sky-Watcher 公式マニュアル (WAVE100i Instruction Manual 2024-09-01 版)・Sky-Watcher Global 製品ページ・Sky-Watcher USA 製品ページ・Sky-Watcher 公式 Motor Control Firmware ダウンロードページ・SynScan App 公式ページ・ZWO 公式ブログに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。なお WAVE 100i の保証は弊社独自の初期不良 60 日 + 3 年保証で対応しています。