ZWO F-HLDR 2 インチフィルターホルダー|対応ドロワー 4 種の互換性と選び方(Gen1/Gen2 の見分け方も解説)
ZWO F-HLDR 2 インチフィルターホルダー|対応ドロワー 4 種の互換性と選び方(Gen1/Gen2 の見分け方も解説)
ZWO の F-HLDR は、ZWO 純正フィルタードロワー(M42 Gen2 / M54 Gen2 / EOS / Nikon)に差し込む「予備の 2 インチフィルターホルダー」です。フィルターを事前にホルダーへねじ込んでおけば、暗所でもドロワーを引き抜いてホルダーごとカチッと差し替えるだけでフィルター交換が完結します。ただし本製品は「Gen 2 汎用」で、2022 年 12 月より前の旧世代ドロワーには物理的に入りません。本記事では対応ドロワーの一覧表・バックフォーカス寸法・必要個数の考え方・1.25" フィルターを使う裏技までを、ZWO 公式仕様のみを根拠に整理します。
① F-HLDR とは何か|ドロワー式運用の「フィルター側」を担当する部品
ZWO のフィルタードロワーは、望遠鏡とカメラの間に挟む薄い箱状のパーツで、側面から ホルダー(引き出し) を抜き差ししてフィルターを交換する構造になっています。ドロワー本体(筐体)にはホルダーが 1 個だけ同梱されており、フィルターを複数枚使い分けたい場合は、フィルターの本数と同じだけホルダーを追加して、各ホルダーにフィルターをあらかじめねじ込んでおくのが標準的な運用です。この「追加ホルダー」の役割を担うのが本記事のテーマ、F-HLDR です。
F-HLDR 側面の M48 × 0.75 メスねじに、2 インチマウント(外径 50.8 mm)のフィルターをそのままねじ込みます。ドロワー本体には ダブル強磁石 が仕込まれており、ホルダーを差し込むと磁力で位置が決まり、側面の ロックねじ で張力を微調整して隙間を排除する仕様です。この機構により、暗所で手袋をしたままでも、ドロワーを引き抜いてホルダーを差し替えるだけで数秒でフィルター交換が完了します。
出典: Astronomics「ZWO Extra 2" Filter Holder (Generation 2)」 Threading/Filter Specifications、ZWO 公式「New 2" Filter Drawer」 Features(ダブル強磁石/ロックねじ)
② Gen 1 と Gen 2 の互換性|買う前に必ず確認する 1 点
本製品はメーカーが「Gen 2 汎用(universal)」と呼ぶタイプで、2022 年 12 月初旬以降に発売された「v2」ドロワーにのみ適合します。First Light Optics(ZWO 公式代理店)の商品説明では「v2 M42 と M54 のフィルタードロワーに対応(2022 年 12 月以降のもの)。『II』表記があるかを必ず確認してください」と明記されています。
それ以前に販売されていた初代(Gen 1)の M42/M54 ドロワーには、機械寸法(メカ形状)が違うため、この Gen 2 の F-HLDR は物理的に差し込めません。ZWO 公式は「Gen 1 と Gen 2 は機能的には同等で、機械筐体仕様だけが変更されている」としており、この違いだけで互換性が失われている点に注意が必要です。
手元のドロワーが Gen 1 か Gen 2 かを見分ける最も確実な方法は、製品型番の末尾に「II」または「-II」が入っているかを見ることです(例: FD-M42-II / FD-M54-II)。EOS 用(FD-EOS)と Nikon 用(FD-Nikon)は世代分岐がなく、全世代が Gen 2 の F-HLDR に対応します。
出典: First Light Optics「ZWO Spare/Extra 2" Filter Holder」 商品説明("v2 M42 and M54 filter drawers available from early December 2022 onwards. Please check you have the 'II' version.")、Astronomics 同 Gen 2 ページ("not compatible with first-generation M42/M48 or M54 filter drawers")
③ 対応 4 ドロワー完全表|どの筐体に差し込めるか
F-HLDR(Gen 2 汎用)が適合するドロワーは以下の 4 機種です。数字は ZWO 公式仕様に基づき、モデル型番の分岐を整理しています。
| ドロワー型番 | 主用途 | 世代 | F-HLDR 適合 |
|---|---|---|---|
| FD-M42-II | M42 系ネジで組む汎用イメージング(多くの ASI 冷却機・鏡筒側 M48/M42) | Gen 2 | ◯ 適合 |
| FD-M54-II | M54 系(フルサイズセンサー機: ASI2600MC Duo / ASI6200 / ASI2400 シリーズ 等) | Gen 2 | ◯ 適合 |
| FD-EOS | Canon EOS レンズ + ASI 冷却カメラ(バックフォーカス 17.5 mm クラス) | 分岐なし(Gen 2 互換) | ◯ 適合 |
| FD-Nikon | Nikon F レンズ + ASI 冷却カメラ(バックフォーカス 17.5 mm クラス) | 分岐なし(Gen 2 互換) | ◯ 適合 |
| FD-M42(Gen 1 / 旧型) | 2022 年 11 月以前の旧型 | Gen 1 | × 適合不可 |
| FD-M54(Gen 1 / 旧型) | 2022 年 11 月以前の旧型 | Gen 1 | × 適合不可 |
出典: First Light Optics「ZWO Spare/Extra 2" Filter Holder」 Compatibility、Astronomics 同 Gen 2 ページ Compatibility、ZWO 公式「New 2" Filter Drawer」(M54 のフルサイズセンサー機対応記述)、ZWO 公式「New Filter Drawer for Nikon/Canon Lens」(17.5 mm バックフォーカス)
④ バックフォーカスと接続ネジ早見表|光路長を組む前に確認する
ドロワーを光路に組み込むと、その厚みだけ確実にバックフォーカスを消費します。F-HLDR そのものはドロワーの内側に収まるためバックフォーカスには寄与しませんが、選ぶドロワー側の厚みは光学設計に直結します。以下は各ドロワーの実測厚みと両側ねじの一覧です。
| ドロワー | 外径 × 厚み | カメラ側ねじ | 望遠鏡(レンズ)側ねじ/マウント | 同梱アダプター |
|---|---|---|---|---|
| FD-M42-II | 70 × 21 mm | M42 × 0.75 オス | M48 × 0.75 メス | M48-M42F アダプター |
| FD-M54-II | 70 × 20 mm | M54 × 0.75 オス | M54 × 0.75 メス | M54-M48F-2mm(AM54-M48-2) |
| FD-EOS | 70 × 26.5 mm | M42 × 0.75 オス | Canon EOS バヨネット メス | —(レンズ直結) |
| FD-Nikon | 70 × 29 mm | M42 × 0.75 オス | Nikon F バヨネット メス | —(レンズ直結) |
視覚的に把握するために、4 種の厚みだけを棒グラフに並べたのが次の図 2 です。
いずれのドロワーも フィルター側ねじは M48 × 0.75 メス で統一されており、F-HLDR のフィルター取り付けねじも M48 × 0.75 なので、対応 4 機種の間で F-HLDR は完全に共通で使い回せます。EOS/Nikon レンズ用の 2 機種は ASI 冷却カメラの バックフォーカス 17.5 mm(ASI GT シリーズを除く)に合わせて設計されている点も、レンズ + カメラ運用者は必ず確認しましょう。
出典: ZWO 公式「New 2" Filter Drawer」 Specifications(M42/M54 の厚み・ねじ)、ZWO 公式「New Filter Drawer for Nikon/Canon Lens」(FD-Nikon 29 mm・17.5 mm バックフォーカス)、365Astronomy「ZWO 2" Filter Drawer for Canon EOS Lenses」(FD-EOS 26.5 mm・EOS バヨネット)、OPT Telescopes「ZWO 2" Filter Drawer M54」(AM54-M48-2 同梱)
⑤ F-HLDR は何個買えば足りるか|フィルター運用スタイル別の目安
ドロワー本体を新品で買うと、ホルダーは 1 個だけ同梱されています。よって「ドロワー式運用でストレスなくフィルターを切り替える」ために必要な F-HLDR の個数は、常用するフィルター本数 − 1 が下限です。参考として、代表的な運用スタイルごとの目安を並べます(数値は F-HLDR の必要個数を筆者計算した参考値で、公式仕様ではありません)。
| 運用スタイル | 常用フィルター(例) | F-HLDR 追加数(参考) |
|---|---|---|
| OSC(ワンショットカラー)+ 光害地でデュアルバンド 1 枚だけ | IR カット / デュアルバンド | 1〜2 個 |
| OSC + 目的別に IR カット・デュアルバンド・素通し UV/IR カットを切替 | IR カット / デュアルバンド / L-eNhance 相当 | 2〜3 個 |
| モノクロ + LRGB + ナローバンド(Ha/OIII/SII) | L・R・G・B・Ha・OIII・SII | 6〜7 個(要はフィルターごとに 1 個) |
モノクロ運用でフィルター本数が 5 枚を超える場合は、そもそも 電動フィルターホイール(EFW) のほうが自動化との相性が良いため、ドロワー式との併用可否を検討してください。ドロワー式の主な強みは「機械的にシンプル」「バックフォーカス消費が小さい」「電源やケーブルが不要」の 3 点で、暗所での手動運用や、EFW の重量を鏡筒に載せたくない構成に向きます。
出典: First Light Optics「ZWO Spare/Extra 2" Filter Holder」 商品説明(ドロワー本体同梱がホルダー 1 個・追加は F-HLDR で購入する運用)、OPT Telescopes「ZWO 2" Filter Drawer M54」(磁石+ロックねじで脱着・張力調整が可能)
⑥ 1.25" フィルターを F-HLDR に載せる方法|T2-1.25" アダプター併用
F-HLDR のフィルターねじは M48 × 0.75(2 インチ規格)です。手持ちに 1.25" フィルターしかない場合でも、ZWO 純正「T2-1.25" フィルターアダプター」を組み合わせれば、そのまま F-HLDR に載せられます。このアダプターは「外側 M42 × 0.75 オス/内側 M28.5 × 0.6 メス」で、厚みはわずか 3 mm です。1.25" フィルター(M28.5 メスねじ規格)をこのアダプターにねじ込み、アダプターごと F-HLDR に取り付ける流れになります。
ただし 1.25" フィルターは有効径が小さいため、大きなセンサー機(フルサイズ・APS-C の大判)ではケラレ(周辺光量落ち)が発生しやすい という光学的制約があります。1.25" 併用は「小型センサー機(例: ASI533/183/294/1600 クラス)で、手持ち資産の 1.25" フィルターを活かしたい場合」の暫定運用と考えるのが安全です。
出典: ZWO 公式「T2-1.25" Filter adapter」 技術パラメータ(外側 M42×0.75 オス/内側 M28.5×0.6 メス/厚み 3 mm)、Astronomics「ZWO Extra 2" Filter Holder (Generation 2)」(F-HLDR は M48×0.75 で 2 インチマウントフィルター用)
⑦ 関連商品
F-HLDR は「ドロワー本体を持っている」ことが前提の予備部品です。まだドロワー本体をお持ちでない場合は、上表 §③ の 4 機種のうち、お使いのカメラのマウントに合うドロワー型番を先に選定してください。ドロワーの選び方に迷ったら、公式 LINE で構成(カメラ機種・鏡筒側ネジ・レンズ使用の有無)をご相談いただければ最適な 1 機種をご案内できます。
- ZWO F-HLDR フィルターホルダー — 2 インチマウントフィルター用の予備ホルダー(M42-II / M54-II / EOS / Nikon の 4 ドロワーに共通で使えます)
⑧ 商品ページ・公式 LINE のご案内
本記事で扱った商品ページはこちら
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最終更新: 2026-08-24/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式代理店の商品説明に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。保証は弊社独自の初期不良60日+3年保証を適用します。
⑨ よくある質問(FAQ)
Q1. Gen 1(旧型)ドロワー用の F-HLDR はもう買えないのですか?
ZWO 公式ラインナップでは、現行の F-HLDR は 2022 年 12 月以降の Gen 2 ドロワー(M42-II / M54-II)と、EOS/Nikon 用ドロワーに対応する「汎用(universal)」タイプに一本化されています。旧型(Gen 1)ドロワーには物理的に入らないため、Gen 1 ドロワーユーザーで追加ホルダーが必要な場合は、公式代理店の在庫や、旧型互換の中古市場を確認する必要があります。
出典: First Light Optics 商品説明
Q2. F-HLDR 単体でフィルターを交換するとバックフォーカスは変わりますか?
変わりません。F-HLDR はドロワー本体(M42=21 mm / M54=20 mm / EOS=26.5 mm / Nikon=29 mm)の内側に収まる引き出しに過ぎず、ホルダーを差し替えてもドロワー全体の全長(=バックフォーカス消費量)は変わりません。バックフォーカス設計はドロワー本体の厚みだけを考慮すれば十分です。
出典: ZWO 公式「New 2" Filter Drawer」/ZWO 公式「Filter Drawer for Nikon/Canon Lens」
Q3. サードパーティの 2 インチフィルター(例: Astronomik、Baader、Optolong)は載りますか?
F-HLDR のフィルターねじは業界標準の M48 × 0.75(2 インチマウント)です。フィルター側が M48 × 0.75 オスねじ規格に準拠していれば、メーカーを問わず取り付けられます。ただしフィルターセルが厚すぎる場合や、フランジ形状が特殊な場合は物理干渉が起きる可能性があるため、初回は必ず光路に組む前に単体で嵌合を確認してください。
出典: Astronomics「ZWO Extra 2" Filter Holder (Generation 2)」(M48x0.75 threads for 2-inch mounted astronomy filters)
Q4. 電動フィルターホイール(EFW)と迷っています。判断基準は?
「モノクロ機で 5 枚以上のフィルターを頻繁に切り替え、自動化したい」場合は EFW が有利です。ドロワー式(F-HLDR + FD-*)の強みは、①バックフォーカス消費が 20〜29 mm と小さい、②電源・ケーブル不要、③重量が軽い、④暗所で手動運用しやすい、の 4 点です。OSC 機や、フィルター 1〜3 枚の運用ではドロワー式の合理性が高いです。EFW との比較で迷う場合は、公式 LINE でカメラ機種と常用フィルター本数を教えていただければ最適構成をご提案します。
Q5. F-HLDR にフィルターを付けたまま長期保管しても大丈夫ですか?
F-HLDR は 2 インチマウントフィルターを M48 × 0.75 メスねじで機械的に保持する構造で、ドロワー本体側のダブル強磁石とロックねじによる張力調整で微小な隙間まで排除される設計です。防塵性の観点からも、フィルターをねじ込んだ状態でホルダーごと専用ケース(例: ZWO 純正のフィルターケース)に格納する運用は理にかなっています。ただし磁石を長期間強い金属面(磁化しやすいスチール工具など)に近づけないよう保管してください。
出典: ZWO 公式「New 2" Filter Drawer」 Features(ダブル強磁石・ロックねじ・光漏れ防止設計)
⑩ 参考にした一次情報(本文で実際に読み込んで引用したソース)
- ZWO 公式:New 2″ Filter Drawer(FD-M42-II / FD-M54-II 仕様表)
- ZWO ASTRO USA:New 2″ Filter Drawer 商品説明(同上・別リージョン)
- ZWO 公式:New Filter Drawer for Nikon/Canon Lens(FD-EOS / FD-Nikon)
- ZWO 公式:T2-1.25″ Filter adapter(1.25" フィルター併用アダプター)
- First Light Optics(ZWO 公式代理店):ZWO Spare/Extra 2″ Filter Holder(F-HLDR 商品説明・v2 対応表記)
- Astronomics(ZWO 公式代理店):ZWO Extra 2″ Filter Holder Generation 2(Gen 1 非互換の明記)
- OPT Telescopes(ZWO 公式代理店):ZWO 2″ Mounted Filter Drawer M54(AM54-M48-2 同梱)
- 365Astronomy(ZWO 公式代理店):ZWO 2″ Filter Drawer for Canon EOS Lenses(FD-EOS 26.5 mm)
本記事で扱った商品ページはこちら
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最終更新: 2026-08-24/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式製品ページ・ZWO 公式代理店の商品説明に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。保証は弊社独自の初期不良60日+3年保証を適用します。