ZWO ASI 678MC が動かない・認識しない・fps が出ない|困りごと切り分け完全版
ZWO ASI 678MC が動かない・認識しない・fps が出ない|困りごと切り分け完全版
ZWO ASI 678MC は Sony IMX678 (STARVIS 2) を搭載した非冷却のカラー CMOS 惑星カメラです。「PC で認識されない」「プレビューが真っ黒 / 真っ白」「公称 47.5 fps が出ない」「合焦しない」といった困りごとは、原因の 8 割が「USB 接続 → ドライバ → ADC/USB Traffic → 光学系」の 4 層のいずれかに集中します。本記事は ZWO 公式マニュアル(ASI678 Manual V1.0 / Quick Guide / ASI Cameras Software Manual Windows)を一次情報として、32 の原因を切り分けフロー順に整理しました。カメラ本体の故障を疑う前に、上から順に読んで一つずつ潰してください。
この記事の使い方
上から順に原因を読んでいけば、机上で解決できる項目は解決し、残った項目だけが「本当に本体を疑うべき症状」になります。切り分けの順序は経験ではなく、ZWO 公式 Quick Guide のトラブルシュート章と Software Manual の Instruction 章に沿っています。本文中の各原因の末尾には出典(ZWO 公式マニュアルの章節番号)を明記しています。
① USB 接続系(原因 1–5)
本機は USB 3.0 / USB 2.0 Type-B(1 ポート兼用)で PC と接続します。ここで詰まると「そもそも認識しない」「fps が出ない」の両方が同時に起きます。
原因 1|USB 2.0 ポートに接続していて速度が出ない
症状:解像度 3840×2160 で 47.5 fps どころか数 fps しか出ない。
原因:本機は USB 3.0 で公称 47.5 fps(10bit ADC・RAW8)だが、USB 2.0 に接続すると同条件で 5.2 fps しか出ない。
対処:青い挿し口(USB 3.0)に直接挿し直す。デバイスマネージャーで「USB 3.0 として認識」されているか確認する。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 Specifications / §6.4 ADC 最大 fps 表(USB3.0 3840×2160 12bit=23.7fps / 10bit=47.5fps、USB2.0 同条件で 2.61fps / 5.2fps)
原因 2|USB ハブや USB 延長ケーブルを経由している
症状:プレビュー画面が真っ黒/fps が 0 のまま/頻繁に切断される。
原因:USB ハブおよび USB 延長ケーブルは、高速画像転送の速度と安定性に影響するため公式に非推奨とされている。
対処:付属の USB ケーブルで PC 本体の USB 3.0 ポートに直挿しする。それで直れば周辺機器(ハブ・延長)が原因確定。
出典: ZWO ASI Cameras Software Manual Windows §1.1 Connect camera to USB port("we do not recommend using a USB extension cable or USB hub")
原因 3|Turbo USB(USB Traffic)が過大でフレームドロップしている
症状:fps が公称値の半分以下で頭打ち/プレビューが黒くなる/落ちる。
原因:Turbo USB(USB Traffic)値が高すぎると PC 側の USB ホスト性能を上回り、逆にドロップする。
対処:SharpCap や ASICap の Turbo USB スライダーを 80–90% に設定する。それでも駄目なら 70% 台まで下げて安定域を探す。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p5 Troubleshooting 3("Adjust Turbo USB, we recommend 80-90%. This value depends on your computer, higher means faster.")
原因 4|ノート PC の USB ポート省電力で切断される
症状:ノート PC で一定時間経つとカメラが切断される/連続撮影が続かない。
原因:ノート PC の USB ポート省電力機能が働くと、給電が細くなりカメラが切れる。
対処:「デバイスマネージャー > USB ルートハブ > プロパティ > 電源の管理」で「電力節約のためにコンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外す。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p6 Troubleshooting 5("disable power saving of USB port")
原因 5|「Error code 10」黄色警告が出る
症状:デバイスマネージャーにカメラは出るが型番横に黄色の「!」が付き Error code 10。
原因:ZWO USB 2.0 機に起きやすい既知症状。USB ポート個別の相性やファーム側の要因が絡む。
対処:別ポートや別 PC で動作確認 → 安定した PC で公式配布の FWTool でファームウェア更新(http://astronomy-imaging-camera.com/software/FWTool.zip)。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p6 Troubleshooting 6("try another USB Port or PC, then you can upgrade the firmware... The original firmware is more stable and faster.")
② ドライバ・ソフトウェア系(原因 6–10)
Windows で本機を使う場合、ネイティブドライバのインストールが「必須」です。SDK 単独では撮影ソフトからカメラが見えません。
原因 6|ネイティブ ASI Camera Driver 未インストール
症状:デバイスマネージャーに「不明なデバイス」で表示される/撮影ソフトのカメラ選択に本機が出ない。
原因:Windows でも ASI カメラはネイティブドライバの導入が必須。USB HID クラスの EFW/EAF と違いカメラ本体はプラグ&プレイでは動かない。
対処:ZWO 公式 Software Center から最新版(現行 V3.28、2026-05-25 リリース)を DL してインストール。導入成功後は「デバイスマネージャー > イメージングデバイス」下にカメラ型番が並ぶ。
出典: ZWO 公式 Camera Driver ページ("Windows users must install a native driver to use ASI cameras" / V3.28 / 2026-05-25)
原因 7|「不明なデバイス」が消えない(ウイルス対策ソフトが阻害)
症状:ドライバインストーラを走らせても「不明なデバイス」のまま。
原因:常駐のウイルス対策ソフトが署名検証や INF 展開をブロックしている場合がある。
対処:ウイルス対策ソフトを一時停止して再インストール。それでも駄目なら「不明なデバイス」を右クリック→「ドライバーの更新」で C:\Program Files (x86)\ZWO Design\ZWO_USB_Cameras_driver を指定する。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p7 Troubleshooting 7("close all anti-virus software and re-install the driver...")
原因 8|ASCOM 経由で使いたいのに ASCOM Platform が入っていない
症状:ASCOM 対応撮影ソフト(例:Sequence Generator Pro 等)でカメラを掴めない。
原因:ZWO ASCOM Driver は ASCOM Platform(別配布)を前提としており、Platform 未導入では動かない。
対処:先に ASCOM Platform 6.2 以上を導入 → 次に ZWO ASCOM Driver(現行 V6.5.36、2026-06-29 リリース)を導入。
出典: ZWO ASI Cameras Software Manual Windows §Instruction – ASCOM("you just need to install the ASCOM platform 6.2 or newer")/ZWO 公式 ASCOM Driver ページ(V6.5.36 / 2026-06-29)
原因 9|ASCOM Driver で必要な .NET Framework が入っていない
症状:ASCOM Driver 導入直後にエラー/撮影ソフトの Chooser にカメラが出るのに接続できない。
原因:ZWO ASCOM Driver は .NET Framework 3.5 と 4.7.2 の両方を要件としている。
対処:Windows の「オプション機能」から .NET Framework 3.5 を有効化し、必要なら 4.7.2(またはそれ以上)をインストールする。
出典: ZWO 公式 ASCOM Driver ページ(".Net Framework (3.5, 4.7.2)")
原因 10|ドライバが古くて新機能や高速モードに対応しない
症状:SharpCap / FireCapture 側でカメラは見えるが、10bit High Speed Mode 相当の高 fps が引き出せない。
原因:ドライバ・SDK は継続的に更新されており、旧版では新しい機能が呼び出せない。
対処:Camera Driver V3.28(またはそれ以降)に更新。旧版のアンインストールは不要で、新版インストーラが自動で置き換える。
出典: ZWO ASI Cameras Software Manual Windows §1.2 Driver Update("You don't need to uninstall the old driver when there is a new one.")/ZWO 公式 Camera Driver ページ(V3.28 / 2026-05-25)
③ フレームレート・帯域系(原因 11–15)
公称 47.5 fps は「10bit ADC・RAW8・USB 3.0・3840×2160 フル解像度」の条件で成立します。どれか 1 つ外れると fps は激減します。
原因 11|High Speed Mode(10bit ADC)を有効にしていない
症状:USB 3.0 接続なのにフル解像度で 23 fps 前後しか出ない。
原因:ADC を 12bit のまま使うと最大 23.7 fps(RAW16)。10bit の高速モードにすると 47.5 fps まで伸びる。
対処:撮影ソフトで High Speed Mode を ON、または ADC を 10bit に切り替える。惑星の連写では 10bit RAW8、DSO 相当の階調重視なら 12bit RAW16。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.4 ADC("You can image at a faster fps rate if you use 10bit ADC (high speed mode)")
原因 12|プレビューは 60 fps 出るのに録画で 20 fps 前後まで落ちる
症状:ライブビューでは高 fps なのに Record を押すと fps が半減する。
原因:本機は最大 400MB/s 級のデータレート。一般的な HDD の 40–50MB/s では書き込みが追い付かず、fps がストレージ律速になる。
対処:SSD(できれば NVMe)に保存先を変更する。またカラー機は RGB24 ではなく RAW(RAW8 / RAW16)で保存すると転送量が下がる。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p5 Troubleshooting 4("most ASI cameras are very fast and require up to 400M/s data transfer speed... exchange your HDD with one fast SSD...")
原因 13|露光時間が長すぎて 1/FPS を超えている
症状:Turbo USB も High Speed Mode も条件を満たしているのに fps が 1 前後まで落ちる。
原因:露光時間が実効 fps の物理上限を決める。露光 1 秒なら fps は最高でも 1。
対処:惑星ライブスタック向けなら露光 20ms 以下を目安に短縮。fps を上げたい場合は gain を上げて相殺する。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p5 Troubleshooting 3(4)("the exposure time affects FPS too. In general your exposure time needs to be shorter than 1/FPS rate.")
原因 14|ROI(領域指定)を使っておらずデータ量が多い
症状:惑星ディスク自体は小さいのにフル解像度で撮っていて fps が伸びない。
原因:本機はフル解像度 3840×2160 で 47.5 fps だが、たとえば 640×480 に切り取れば USB 3.0 で最大 215.4 fps まで伸びる。
対処:SharpCap / FireCapture / ASICap で ROI を惑星ディスクよりやや大きい正方形(例: 800×800)に設定する。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.4 ADC / 最大 fps 表(USB3.0 640×480 RAW8=215.4fps 等)
原因 15|USB 給電が不安定でカメラが再起動を繰り返す
症状:撮影中に「カメラが切断されました」が繰り返し表示される。
原因:本機は最大 1.875W と低消費だが、USB ポートの給電が細いと不安定化する。
対処:PC 本体背面(デスクトップ)または本体直挿しの USB 3.0 ポートに変える。ノート PC の場合は AC アダプター運用にする。バスパワーハブは避ける。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.3 Power consumption("max at 1.875W with USB power supply")
④ 露光・ゲイン・ADC 系(原因 16–19)
「明るすぎる/暗すぎる」の相談は多くがゲイン・露光・ADC ビット深度の組み合わせで解決します。
原因 16|プレビューが真っ白(露光過剰 / ゲイン過剰)
症状:fps は正常だがヒストグラムが右に張り付いて白飛びする。
原因:露光時間およびゲインが対象光量に対して大きすぎる。カメラ単体(レンズ・鏡筒なし)でプレビューすると光量そのものが強すぎて真っ白になる。
対処:露光時間を 1ms 単位から小さくし、gain を下げる。それでも真っ白なら鏡筒に取り付けているか確認する。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p4 Troubleshooting 1("The camera is over exposed, please reduce the exposure and/or gain.")
原因 17|gain=182 で「読出ノイズが増えた」と誤認
症状:ゲインを 180 台に上げたときにノイズが減ったり増えたりして挙動が読めない。
原因:本機は gain=182 で HCG (High Conversion Gain) mode が自動有効化される。この時点で読出ノイズは 1.0e 付近まで下がり、ダイナミックレンジは約 11bit を保つ。gain を 181/182 で跨いだ瞬間に挙動が変わるのは仕様。
対処:惑星の高速撮影で暗いディテールを浮かせたいときは gain=182 以上を選ぶ。gain=0 は低ノイズ低ゲイン、gain=182 は高ゲインでも低ノイズという 2 動作点として理解する。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §4 QE graph & Read noise("When you set gain at 182, the HCG mode will be automatically turned on. Readout noise in this case can be as low as 1.0e while the dynamic range can still get close to 11bit.")
原因 18|12bit vs 10bit を意識せずダイナミックレンジが落ちている
症状:ハイライトが飛びやすい/シャドー階調が潰れる。
原因:ADC を 10bit(High Speed Mode)にすると fps は稼げるが階調は 10bit に制限される。12bit ADC(RAW16)なら階調は保てるが fps は約半分(フル解像度 23.7 fps)。
対処:惑星の連写枚数重視なら 10bit RAW8、月面・恒星の高階調重視なら 12bit RAW16 で使い分ける。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.4 ADC(12bit / 10bit のデータレート差の表)
原因 19|Binning を使い分けていない
症状:暗い対象で SNR が低い/過剰にオーバーサンプリングになっている。
原因:本機は 2.0µm ピクセルで細かい代わりに 1 ピクセル当たりの受光量は少ない。
対処:本機はソフトウェア Bin 2/3/4 とハードウェア Bin 2/3/4 の両方に対応。高 fps 重視ならハードウェアビン、階調重視ならソフトウェアビンを選ぶ。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.5 Binning("software bin2, bin3 and bin4 mode and hardware bin2, bin3 and bin4 mode")
⑤ 光学・焦点・バックフォーカス系(原因 20–23)
本機は「非冷却の惑星カメラ」なので、冷却 DSO カメラの 55mm バックフォーカス前提のアダプターがそのままでは使えません。
原因 20|バックフォーカス 12.5mm のショートフランジで合焦しない
症状:フォーカサーを目一杯繰り出しても像が結像しない/逆に繰り込み側で合わない。
原因:本機のバックフォーカスは 12.5mm。冷却 DSO 機は 55mm 標準(DSLR 互換のため)で全く別系統。フラットナー・レデューサーは 55mm 前提のパーツが多い。
対処:惑星向けは「フォーカサー → 天頂プリズム or Barlow → 1.25 インチノーズピース → 本機」の順で、複雑なバックフォーカスチェーンを組まないのが基本。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 Specifications(Back focus length 12.5mm)/ZWO 公式 55mm バックフォーカス解説("55mm back focus standard, mainly to maintain compatibility with DSLR cameras")
原因 21|付属アダプター(1.25"/2"/M42×0.75)の組み合わせを間違えている
症状:付属アダプターを組んだが所望の光路長にならず光軸もズレる。
原因:本機は 1.25 インチ・2 インチ・M42×0.75 の 3 種アダプターを付属している。目的別に組み替える必要がある。
対処:接眼レンズ差替式(一般的な惑星撮影)は 1.25" ノーズピース。M42 直結で光路短縮したい場合は M42×0.75 メス側を活用。2" ホルダー付き鏡筒には 2" アダプター。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 Specifications / §7 How to use your camera(Adapters 1.25″/2″/M42*0.75)
原因 22|接眼レンズで合焦→カメラに置換したら再合焦していない
症状:目視で合焦していたのにカメラで見るとピンボケ。
原因:接眼レンズとカメラでは光路長が異なるためカメラ側で再合焦が必須。
対処:公式手順どおり「接眼レンズで目視合焦 → 接眼レンズを外してカメラに置換 → カメラでプレビューしながら再合焦」の順で行う。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p3 Connecting the camera to the telescope(Focus through the eyepiece → Replace the eyepiece with camera → Refocus so camera image is sharp)
原因 23|IR 保護窓のみで IR カットフィルターを入れていない
症状:惑星ディスクの縁が滲む/星像が甘い/色収差が目立つ。
原因:本機のプロテクトウィンドウは D21×1mm の IR 保護窓であり、これは主にセンサー保護目的。可視光と赤外の分離は本格的な IR/UV Cut フィルターの役割で、シリコンセンサーは赤外にも高感度のためフィルターなしでは像がぼやける。
対処:1.25 インチの UV/IR Cut フィルターを光路に追加する(ノーズピース側にねじ込む)。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 / §6.1(Protect window IR D21*1mm、保護目的の記述)
⑥ カラー・IR カット系(原因 24–26)
本機はカラー機。IMX678 センサー前面には RGB Bayer カラーフィルタが配列されています。
原因 24|Bayer 現像アルゴリズムを指定していない
症状:ライブビューが白黒っぽい/緑や紫のモアレが出る/色相が変。
原因:本機は Bayer 配列カラー機。撮影ソフト側で debayer(現像)を有効化しないとモノクロ相当で表示される。
対処:SharpCap の Color Space を RGB24 に切り替えるか、RAW 保存後に AutoStakkert! で Bayer パターンを指定して現像する。
出典: FRAMOS 社 Sony IMX678 データシート概要("Color filter configuration: RGB primary color mosaic")
原因 25|IR/UV Cut フィルター未装着による赤外滲み
症状:星像が膨らむ・赤外領域が明るく被る・色バランスが赤に寄る。
原因:本機の保護窓は IR カットを主目的とした分光フィルターではないため、屈折鏡筒でも赤外は素通しになる。
対処:1.25 インチ UV/IR Cut フィルターを光路上(ノーズピース根元)に入れる。惑星カラー撮影の定番構成。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 / §6.1 Protect window IR D21*1mm(保護窓としての位置づけ)
原因 26|カラーバランス(Red/Blue Scale)を触っていない
症状:プレビュー全体が緑カブリ/ホワイトバランスが不自然。
原因:Bayer 配列は G が R/B の 2 倍の画素数を持つため、初期の生画像は必ず緑寄りになる。撮影ソフト側で R と B のゲインを持ち上げる必要がある。
対処:SharpCap / ASICap 側の White Balance R / White Balance B を目視で調整するか、Auto WB を一度走らせて基準を作る。RAW 保存派は後処理で調整する。
出典: FRAMOS 社 Sony IMX678 データシート概要(RGB primary color mosaic:Bayer フィルタ構成に基づく色出しの一般的性質)
⑦ 温度・湿度・センサー汚れ系(原因 27–29)
本機は非冷却モデルなので TEC・アンチデュー ヒーターを持ちません。使用環境の管理がそのまま画質と寿命に効きます。
原因 27|使用温度範囲を外れた環境で使っている
症状:極端に暑い / 寒い環境で挙動不安定になる。
原因:公式の使用温度は -5°C ~ 50°C、使用湿度は 20% ~ 80%。範囲外での使用はカメラ損傷の可能性があると明記されている。
対処:厳冬期に -5°C を割る屋外遠征では、カメラを衣類やレンズヒーター(本体には巻かず光路に)で結露を避けつつ、外気に慣らしてから通電する。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §7 Notice for use(Working temperature -5°C ~ 50°C, Working humidity 20% ~ 80%)
原因 28|保管湿度を超えて内部に湿気が回っている
症状:長期保管後に通電すると窓ガラス内側が曇る/シミが浮く。
原因:保管湿度は 20% ~ 95% と幅は広いが、湿度が高い場所に長期放置すると内部に湿気が回る。
対処:ケース内に乾燥剤を同梱し、湿度計で管理する。腐食性の洗剤で拭かない(外装酸化被膜が痛む)。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §7 Notice for use(Storage temperature -20°C ~ 60°C, Storage humidity 20% ~ 95%)
原因 29|センサーまたは保護窓のダストの影が写り込む
症状:フラットフィールドを撮ると同じ位置に円形・不定形の暗い影が出る。
原因:本機は密閉されており、保護窓(IR D21×1mm)と各ネジ部からの侵入が主。
対処:公式手順どおり、まずブロワー(エアポンプ)で吹き飛ばす。落ちない場合のみ綿棒+99% 無水エタノールで軽く拭く。腐食性溶剤禁止。詳細は公式の別紙 How_to_clean_ASI_camera_and_redry_the_desiccant.pdf を参照。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §8 Cleaning("blown off with air pump. If it cannot be blown off, it is recommended to use cotton swabs and 99% anhydrous ethanol to gently wipe the sensor.")
⑧ 保証・DOA 系(原因 30–32)
ZWO の保証は世界共通ですが、本記事の販売元である弊社では追加で独自の初期不良対応と 3 年保証も付けています。切り分けの順序を間違えると、対応可能な窓口を逃す可能性があります。
原因 30|DOA(初期不良)30 日期限を超過している
症状:購入から 31 日以上経ってから初期不良と判明。
原因:ZWO の DOA 対応は「受領から 30 日以内に報告」が条件と明記されている。
対処:弊社経由の購入なら、公式 DOA 期限を過ぎていても弊社独自の初期不良 60 日 + 3 年保証で拾える可能性がある。まず購入元にご連絡ください。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §9 Warranty("detects a quality problem and contacts ZWO within 30 days after receipt of the Products")
原因 31|保証対象外事由に該当している
症状:ZWO に修理依頼したが対象外と回答された。
原因:公式が保証対象外と明記している事由は、期限切れ / 液体侵入・腐食 / 外力による破損(窓ガラス割れ・USB 端子破損等)/ 第三者による分解修理・誤ファーム書込 / 型番改造・保証書紛失 / 説明書非準拠のインストール / 天災 / 太陽を直接向けたなど不適切運用 / 有効な購入伝票なし / 中古品、の 10 項目。
対処:該当事由がある場合は ZWO 側の無償保証は使えないため、有償修理見積を取るか、購入元の追加保証条件を確認する。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §9 Warranty (3)(10 項目の保証対象外条件)
原因 32|RMA コード未取得で返送してしまい受付拒否
症状:ZWO に送ったが受け取ってもらえず戻ってきた。
原因:ZWO は RMA コードなしの返品は受け付けない。
対処:返送前に必ず ZWO サポート(https://support.astronomy-imaging-camera.com/)から RMA コードを取得する。弊社経由購入品は、まず弊社にご連絡いただければ RMA 取得の代行または独自対応いたします。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §10 Servicing("ZWO will not accept any products having no RMA code that have been returned privately without ZWO written confirmation.")
主要スペック早見表
本機の一次仕様(公式マニュアル §3 より)を表にまとめました。トラブル切り分け時、症状と数値仕様を突き合わせるための参照表としてお使いください。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| センサー | SONY IMX678AAQR1-C(STARVIS 2 世代、Bayer カラー) |
| フォーマット / 対角 | 1/1.8 型 / 8.86mm |
| 解像度 | 3840×2160(8.29 メガピクセル) |
| ピクセルサイズ | 2.0µm |
| センサー実寸 | 7.68mm × 4.32mm |
| 最大 fps(USB 3.0 フル解像度) | 10bit ADC で 47.5 fps / 12bit ADC で 23.7 fps |
| シャッター | ローリングシャッター |
| 露光範囲 | 32µs ~ 2000s |
| 読み出しノイズ | 0.6 ~ 2.7e(1e @ 8dB gain、gain=182 で HCG mode 有効時 1.0e) |
| 量子効率(QE ピーク) | 83% |
| フルウェル | 11.27ke |
| ADC | 12bit / 10bit(10bit で高速モード) |
| USB インターフェース | USB 3.0 / USB 2.0 Type-B |
| 付属アダプター | 1.25" / 2" / M42×0.75 |
| プロテクトウィンドウ | IR D21×1mm |
| 外径 / 質量 | 62mm / 126g |
| バックフォーカス | 12.5mm |
| 消費電力 | 最大 1.875W(USB 給電) |
| 対応 OS | Windows / Linux / Mac OSX |
| 使用温度 / 湿度 | -5°C ~ 50°C / 20% ~ 80% |
| 保管温度 / 湿度 | -20°C ~ 60°C / 20% ~ 95% |
| ZWO 社の製品保証 | 2 年間 |
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 Camera technical specifications / §4 / §6.3 / §6.4 / §7 / §9
解像度別・ADC 別 最大 fps 表
「公称 47.5 fps が出ない」時に、条件別の理論値を対比できるようマニュアル §6.4 の表を再掲します。
| 解像度 | USB 3.0 / 12bit RAW16 | USB 3.0 / 10bit RAW8 | USB 2.0 / 12bit RAW16 | USB 2.0 / 10bit RAW8 |
|---|---|---|---|---|
| 3840×2160(フル) | 23.7 fps | 47.5 fps | 2.61 fps | 5.2 fps |
| 1920×1080 | 94.9 fps | 102 fps | 10.4 fps | 20.9 fps |
| 1280×720 | 149.1 fps | 149.3 fps | 23.5 fps | 47 fps |
| 640×480 | 215.4 fps | 215.4 fps | 70.5 fps | 141.4 fps |
| 320×240 | 387.6 fps | 387.6 fps | 280.5 fps | 387.6 fps |
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.4 Analog to Digital Converter (ADC)(Below are the maximum speeds of ASI678 running at different ADC modes.)
関連商品
本記事で扱った ZWO ASI 678MC の商品ページ、およびトラブルシュートで併用が推奨されるアクセサリーの案内です。在庫状況や最新価格は各商品ページをご確認ください。
- ZWO ASI 678MC(本記事の Pillar 商品) — 非冷却カラー CMOS 惑星カメラ本体。
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- ASIAIR シリーズが第三者カメラを認識しない時の切り分け(本サイト内・troubleshoot カテゴリ)
- ASI カメラのドライバ・ASCOM・SDK の使い分け(本サイト内・beginner カテゴリ)
⑨ 迷ったら|商品ページ・公式 LINE のご案内
本記事で扱った商品ページはこちら
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最終更新: 2026-08-11/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル・公式 Software Center・FRAMOS 社 Sony IMX678 データシート概要に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。
⑩ よくある質問(FAQ)
Q1. ASI 678MC は冷却モデルですか?
いいえ、非冷却モデルです。TEC 冷却は搭載しておらず、消費電力は最大 1.875W(USB 給電)で動作します。長時間露光の DSO 撮影より、月・惑星・太陽(減光要)を高フレームレートで撮る用途向けです。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.3 Power consumption
Q2. 47.5 fps はどんな条件で出ますか?
解像度 3840×2160、10bit ADC(High Speed Mode)、RAW8、USB 3.0 接続の 4 条件を全て満たしたときに出ます。12bit ADC / RAW16 に切り替えるとフル解像度では 23.7 fps になります。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §6.4 ADC 最大 fps 表
Q3. アンプグローは本当にゼロですか?
公式マニュアル §5 に「zero amp glow, no matter how long the exposure and how high the gain value is. Since it is implemented directly at the hardware level, it does not require software control.」と明記されています。ハードウェア実装で、露光時間・ゲイン値によらずアンプグローは出ません。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §5 No amp glow
Q4. gain 182 で急にノイズが変わるのはなぜですか?
gain=182 で HCG (High Conversion Gain) mode が自動的に有効になる仕様です。この時点で読み出しノイズは 1.0e まで下がり、ダイナミックレンジは約 11bit を保ちます。gain=181 と 182 の間で挙動が変わったように見えるのは HCG mode 切替が原因です。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §4 QE graph & Read noise
Q5. Mac / Linux でも使えますか?
公式マニュアル §3 の Supported OS 欄に「Windows, Linux & Mac OSX」と明記されています。Mac / Linux 用のドライバと ASIStudio (macOS 10.12 以降 / Ubuntu 16.04 以降)は ZWO 公式 Software Center から入手できます。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 Specifications/ZWO 公式 Software Center
Q6. ASIAIR で使えますか?
ASIAIR は主に ZWO 製カメラを含む対応カメラで動作します。詳細な最新の対応表と接続方法は ZWO 公式および ASIAIR マニュアル(ASIAIR User Manual)でご確認ください。運用前に組み合わせの可否と挙動を必ずご自身の環境で確認することをお勧めします。
出典: ZWO 公式 ASIAIR User Manual(対応機器一覧の参照先)
Q7. ZWO の保証は何年ですか?
ZWO 社の製品保証は 2 年間です。DOA(Dead on Arrival)は受領後 30 日以内、輸送破損の申請は受領後 3 日以内という期限があります。弊社経由でご購入の場合、弊社独自の初期不良 60 日 + 3 年保証も併せて適用されます。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §9 Warranty
Q8. 保護窓の IR ガラスがあれば IR カットフィルターは不要ですか?
いいえ、別途 UV/IR Cut フィルターの追加を推奨します。マニュアル §3 / §6.1 に記載の「Protect window IR D21×1mm」は主にセンサー保護目的のプロテクトウィンドウであり、可視域と赤外を分離する本格的な分光カットは、通常 1.25 インチ以上の専用 UV/IR Cut フィルターの役割です。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §3 / §6.1
Q9. センサーを綿棒で拭いても大丈夫ですか?
公式手順は「まずエアポンプ(ブロワー)で吹き飛ばす」→「落ちない場合のみ綿棒+99% 無水エタノールで軽く拭く」の順です。腐食性の溶剤や強く擦る動作は禁止です。
出典: ZWO ASI678 Manual V1.0 §8 Cleaning / §7 Notice for use
Q10. ファームウェアは更新すべきですか?
不具合が出ていないなら基本的に更新は不要です。「Error code 10」黄色警告のような USB 2.0 機の既知症状が出た場合のみ、安定した PC で公式配布の FWTool を使って更新します(http://astronomy-imaging-camera.com/software/FWTool.zip)。誤ファーム書込は保証対象外事由に該当します。
出典: ZWO ASI Camera Quick Guide p6 Troubleshooting 6/ASI678 Manual V1.0 §9 Warranty (3)-(4)
参考にした一次情報
- ZWO 公式 ASI678 Manual V1.0(Aug 2022) — 仕様、ADC、HCG、保証、清掃、注意事項の全項目根拠
- ZWO 公式 ASI Camera Quick Guide — Windows トラブルシュート 7 項目の一次根拠
- ZWO 公式 ASI Cameras Software Manual Windows Platform (Rev 1.3) — ドライバ / ASCOM / DirectShow / SDK / USB Traffic
- ZWO 公式 ASI678MC 製品ページ — 保証年数・仕様確認
- ZWO 公式 Camera Driver ページ — Windows ネイティブドライバ最新版・要件
- ZWO 公式 ASCOM Driver ページ — ASCOM Platform / .NET Framework 要件
- ZWO 公式 Software Center — ASIStudio 各アプリの位置づけ
- ZWO 公式 55mm バックフォーカス解説 — 55mm 標準の位置づけ
- FRAMOS 社 Sony IMX678 データシート概要 — IMX678 の一次仕様(Sony 正規流通元)
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最終更新: 2026-08-11/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO 公式マニュアル・公式 Software Center・FRAMOS 社 Sony IMX678 データシート概要に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。