ToupTek G3M678C 完全ガイド|Sony IMX678 搭載 USB3.0 高感度 CMOS ガイド/惑星カメラの比較と選び方

ToupTek G3M678C 完全ガイド|Sony IMX678 搭載 USB3.0 高感度 CMOS ガイド/惑星カメラの比較と選び方

ToupTek G3M678C は、Sony IMX678(STARVIS 2 世代の裏面照射型 CMOS)を搭載したカラーのガイド/惑星デュアル用途カメラです。8.3 メガピクセル 4K(3840×2160)、2 µm 正方ピクセル、12 bit ADC、Read Noise 0.42–2.43 e-、Full Well 11.6 ke-、ダイナミックレンジ 74 dB、QE ピーク >83%、DDR3 バッファ 512 MB、USB 3.0 バスパワー、ST-4 オートガイド端子内蔵、70 g の軽量筐体。この記事は G3M678C を「ガイドカメラとして買うべきか/惑星撮影用として買うべきか」を判断できるよう、モノ版 G3M678M、下位の G3M662C、他社の QHY5III678C、Player One Uranus-C(IMX585)と一次情報のスペックだけで比較し、用途別に選定基準をまとめます。

① G3M678C の基本スペック一覧

まず ToupTek 公式マニュアル V1.0(Sept 2023)記載の実数値を一覧します。以降の比較・選定判断は、すべてこの表の値をベースにします。

項目 仕様
センサー Sony IMX678(カラー、裏面照射型 CMOS、STARVIS 2)
光学フォーマット Type 1/1.8(対角 8.86 mm、Sony 公式値)
推奨記録解像度 3840 × 2160(8.29 メガピクセル)
ピクセルサイズ 2.0 µm × 2.0 µm(正方)
撮像面 7.7 mm × 4.3 mm
ADC 12 bit ネイティブ(8 bit / 16 bit 出力切替)
Read Noise 0.42 – 2.43 e-(HCG 最小 0.42 e-、LCG 最大 2.55 e-)
Full Well Capacity 11.6 ke-(LCG モード時)
Dynamic Range 74 dB
QE Peak > 83%
SNR Max 41 dB
最高フレームレート(USB3.0) 3840×2160: 47 FPS(8bit)/23.4 FPS(16bit)
1920×1080: 71.4 FPS(8bit)/68.1 FPS(16bit)
シャッター Rolling shutter
露光時間 0.1 ms – 1000 s
ゲイン 1x – 150x(HCG / LCG 切替可)
バッファ DDR3 512 MB(4 Gb)
保護窓 IR-cut フィルター(カラー版標準)/AR 窓(モノ版標準)
分光範囲 380 – 690 nm(IR-cut 装着カラー版時)
インターフェース USB 3.0 / USB 2.0(Type-B)、ST-4 オートガイドポート内蔵
電源 USB 3.0 バスパワー(別電源不要)
マウント 外側 1.25 インチスリーブ/内側 C マウント(CS-mount リング別売)
バックフォーカス 17.5 mm(C アダプタ)/12.5 mm(CS アダプタ)
寸法・重量 直径 37 mm × 高さ 72.4 mm(Short type)/87.4 mm(Long type)、70 g
冷却 パッシブ冷却(無冷却モデル)
同梱品 カメラ本体、USB 3.0 A-B ケーブル 2 m(金メッキ)、ST-4 ガイドケーブル 2 m、1.25″ ノーズピース、ドライバ CD

出典: ToupTek G3M678C User Manual V1.0 (Sept 2023) §1・§2.1 Table 1・§2.3 Table 2・§2.6・§2.7・§3.1・§3.2 / §3.3ToupTek G3M Series Quick Start(Short/Long type 寸法・分光範囲)Sony IMX678-AAQR/AAQR1 Flyer Ver.1.0(対角 8.86 mm・推奨記録画素・STARVIS 2 の技術定義)

② Sony IMX678 センサーの何が特別なのか

H1|STARVIS 2 世代の裏面照射型センサー

要素:IMX678 は Sony の裏面照射型 CMOS ライン「STARVIS 2」に属するセンサーです。STARVIS 2 は初代 STARVIS 比で「同じピクセルサイズ・単一露光でダイナミックレンジ +8 dB 以上」「近赤外光の吸収率を上げる微細構造」を特徴とします。
天体撮影への恩恵:単純に暗所感度が上がるだけでなく、Ha 線(656 nm)や近赤外の惑星帯(850 nm 前後)での実効感度が高いこと。ToupTek 公式でも G3M678C は「exceptionally strong capability to capture infrared light (with a high QE value at 850nm)」と明記されており、赤外域の適性が主要な訴求点となっています。

出典: Sony IMX678-AAQR/AAQR1 Flyer Ver.1.0(STARVIS 2 の DR +8 dB/NIR 感度に関する脚注)ToupTek G3M678C User Manual §1(850nm での高 QE)

H2|ピクセル 2 µm・8.3 MP の意味

要素:1/1.8 インチという小さめの撮像面(7.7×4.3 mm)に 3840×2160=8.29 メガピクセルを詰めた、ピクセルピッチ 2.0 µm のセンサー。
惑星撮影目線:高解像度の惑星撮影では「シーイングでボケた像を細かいピクセルでオーバーサンプリングして、後段のスタックで解像度を回復する」戦略が有効です。焦点距離が長い鏡筒+バーローと組み合わせるとき、2 µm ピクセルは 3–5 µm クラスより有利に働きます。
ガイド撮影目線:ガイドスコープでは 2 µm ピクセルは「ガイド精度が過剰になる」ことがなく、むしろ短焦点のガイド鏡でも 1 ピクセルあたりの秒角が細かくなるため、副鏡追跡やハーモニックドライブ赤道儀のミクロなブレ検出に向きます。

出典: Sony IMX678 Flyer(対角・有効画素・単位セル)ToupTek G3M678C Manual §2.1(撮像面 7.7×4.3 mm)

H3|HCG / LCG デュアルゲインの実測値

要素:G3M678C は HCG(High Conversion Gain)/LCG(Low Conversion Gain)を切り替えできます。マニュアルの実測データは以下の通り。

モード Gain=100 時 Read Noise Gain=100 時 Full Well 最小 Read Noise(高ゲイン)
LCG 2.55 e- 11.7 ke- 0.77 e-(Gain 3162)
HCG 0.54 e- 2.6 ke- 0.36 e-(Gain 3162)

使い分け:明るい対象(月・太陽・惑星の全体像)は LCG で階調とハイライトを取り、暗部を掘りたい・淡い星をガイドしたい局面では HCG に切り替える。
ガイド運用:PHD2 でガイド星が暗い夜は HCG モード+中〜高ゲインで実質的な最小 Read Noise(0.36–0.42 e-)を引き出せます。

出典: ToupTek G3M678C User Manual §2.6・§2.8 Table 3(LCG)・Table 4(HCG)

③ ガイドカメラとしての適性

G1|ST-4 ポート内蔵の意味

要素:G3M678C は本体側面に ST-4 オートガイダー端子を搭載。ST-4 は RJ-12 6 極ケーブルで赤道儀のガイド入力に直結できる古典的な物理インターフェースで、パルスガイドとは経路が独立します。
実運用:USB パルスガイド経由でも動作しますが、ST-4 直結は「USB 通信の遅延やドロップアウトの影響を受けにくい」利点があり、長焦点鏡筒での 0.5–1 秒露光ガイドでは安定性で選ばれる構成です。
同梱ケーブル:G3M678C の箱にはあらかじめ 2 m の ST-4 ガイドケーブルが同梱されているため、別途購入は不要です。

出典: ToupTek G3M678C User Manual §3.1 Packing List・§3.3 Camera Outline and Interface Table 7

G2|PHD2 ネイティブ/ASCOM/WDM の三系統対応

要素:ToupTek Astro Equipment Driver をインストールすると、PHD2 は Native / ASCOM / WDM の三系統でカメラを認識できます。マニュアル §4.3.1 のサポート表に PHD Guiding は Native / ASCOM / WDM すべて対応と明記。
N.I.N.A. や SharpCap との同居:Quick Start FAQ Q4 に「他ソフト(ToupSky や N.I.N.A. 等)がカメラポートを占有していると PHD2 で接続できない」と明記されているため、ガイド運用中はメインカメラ制御ソフト側でカメラの占有を解放しておく必要があります。
PHD2 バージョン:PHD2 2.6.13 未満は個別に ToupTek ドライバの更新が必要と Quick Start FAQ に明記。最新版 PHD2 を使えばパッケージ同梱のドライバで動作します。

出典: ToupTek G3M678C User Manual §4.3.1・§4.3.3ToupTek G3M Quick Start FAQ Q1・Q4

G3|USB 3.0 バスパワー・別電源不要・70 g の軽量筐体

要素:G3M678C は USB 3.0 バスパワーのみで動作し、外部 12 V やモバイルバッテリーは不要(マニュアル §2.7)。筐体重量は 70 g、寸法は直径 37 mm × 高さ 72.4 mm(Short type)。
運用面:ガイドスコープ先端に取り付けた場合でも、鏡筒全体の重心バランスへの影響がほぼ無視できるレベル。ハーモニックドライブ赤道儀(AM3N / AM5N クラス)の遠征運用でも 12 V 電源配分を圧迫しません。
ケーブル本数:本機 → 撮影 PC/AstroStation まで USB 3.0 1 本+ST-4 → 赤道儀まで RJ-12 1 本の計 2 本で運用が閉じます。

出典: ToupTek G3M678C User Manual §2.1・§2.7・§3.2 Figure 5

G4|Long type × OAG 運用

要素:G3M678C には Short type(本体長 72.4 mm)と Long type(本体長 87.4 mm)の 2 バリエーションがあります。
Quick Start の推奨:Quick Start は「Long type は OAG(オフアクシスガイダー)と組み合わせやすく、フォーカス調整の余裕が大きい。特別な要件がなければ Long type が推奨」と明記。
逆にガイドスコープ運用なら:OAG ではなくガイドスコープ(30F5 のような短焦点鏡筒)にリレー式で装着する場合は、Short type +付属の 1.25 インチ延長筒でフォーカスが出ます。

出典: ToupTek G3M Quick Start「Structure and Size」/「Note」

④ 惑星/月/太陽撮影としての適性

P1|47 FPS @ 4K・DDR3 512 MB バッファ

要素:USB 3.0 接続時のフレームレートは、3840×2160 全画素で 47 FPS(8 bit)/23.4 FPS(16 bit)。1920×1080 に絞れば 71.4 FPS(8 bit)まで到達。
ラッキーイメージング的観点:惑星のスタッキングは「フレーム数 × 質の良いフレームだけを選別」する運用が主流で、47 FPS × 60 秒 = 約 2,820 フレームを 1 分間で確保できるのは、シーイングの一瞬の安定を拾うのに十分な体力。
DDR3 バッファ:512 MB の DDR3 が「フレーム転送を一時的にバッファリングし、USB 帯域の細かい詰まりで発生する画像データの取りこぼしやアンプグロー要因を抑える」役割を担うとマニュアル §2.4 が明記。

出典: ToupTek G3M678C User Manual §2.3 Table 2(USB 3.0/2.0 各解像度の FPS)・§2.4(DDR3 バッファ機能)

P2|Zero amp-glow と暗部の扱い

要素:ToupTek 公式は G3M678C を「zero amp-glow at the hardware level」と表現。長秒露光や高ゲインでも、センサー端からのアンプグロー(読み出し回路の発熱に由来する赤い光かぶり)が出ないことを訴求点にしています。
ガイド運用にも効く:PHD2 のガイド露光は 0.5–2 秒が標準ですが、無冷却カメラでもアンプグローが乗らないためガイド星検出のアルゴリズムが安定します。

出典: ToupTek G3M678M 公式ページ(zero amp-glow at the hardware level)ToupTek G3M678C User Manual §2.4(DDR3 バッファがアンプグロー低減に寄与)

P3|IR-cut と分光範囲 380–690 nm

要素:G3M678C のカラー版には IR-cut フィルターが標準装着され、実効分光範囲は 380–690 nm(Quick Start 明記)。
意味:カラー惑星撮影では IR 帯を落として色収差やパープルフリンジを抑えるのが基本で、この装着は理にかなっています。逆に「近赤外だけ通したい」場合はモノクロ版 G3M678M(分光範囲 380–1100 nm)を選ぶか、IR-cut を IR-pass に交換して撮影する構成になります(本記事では交換運用の詳細は扱いません)。
ガイド観点:ガイドカメラ用途では IR-cut があると星像の色収差が抑えられ、ガイド星検出の精度が上がる方向に働きます。

出典: ToupTek G3M Quick Start「Structure and Size」(カラー版 380–690 nm IR-cut/モノ版 380–1100 nm AR)

⑤ 類似機種との比較

C1|G3M678C vs G3M678M(同 IMX678 モノクロ版)

項目 G3M678C(カラー) G3M678M(モノクロ)
センサー IMX678 カラー版(Bayer あり) IMX678 モノクロ版(Bayer なし・100% 画素利用)
Read Noise 0.42 – 2.43 e- 0.5 – 2.55 e-
Full Well / DR 11.6 ke- / 74 dB 11.6 ke- / 74 dB
保護窓/分光範囲 IR-cut/380 – 690 nm AR 窓/380 – 1100 nm(NIR まで)
向く用途 1 台で完結する惑星/ガイド/月・太陽 フィルターホイール前提のナローバンド・LRGB・IR-pass 惑星

判断軸:フィルターホイールを持っていないなら G3M678C 一択。すでに FW(フィルターホイール)を持っていて Hα・IR-pass 890 nm 等で撮り込みたいなら G3M678M が候補になります。

出典: ToupTek G3M678M 公式ページ(Read noise 0.5-2.55 e-、分光範囲 380-1100 nm、100% 画素利用の記述)ToupTek G3M678C Manual §2.1(カラー版 Read noise・分光範囲)

C2|G3M678C vs QHY5III678C(他社の同 IMX678 モデル)

項目 ToupTek G3M678C QHY5III678C
USB USB 3.0 Type-B USB 3.2 Gen1 Type-C
Read Noise 0.42 – 2.43 e- 0.57 – 3.3 e-
Full Well 11.6 ke- 9 ke-
露光範囲 0.1 ms – 1000 s 11 µs – 900 s
全画素 FPS(8/16 bit) 47 / 23.4 FPS 43 / 22 FPS
バッファ DDR3 512 MB DDR3 512 MB
ST-4 ポート 内蔵 内蔵
重量 70 g 90 g
バックフォーカス 17.5 mm(C)/12.5 mm(CS) 17 mm(アダプタあり)/8 mm(なし)

判断軸:読み出しノイズと Full Well の実測値では G3M678C が優位(0.42 e- vs 0.57 e-、11.6 ke- vs 9 ke-)。USB コネクタ形状は QHY が Type-C で新しめ、G3M678C は Type-B で耐久性・入手性重視。重量 20 g 差はガイドスコープ運用ではほぼ体感できないレベルです。

出典: QHY5III678M/C 公式ページ(Read noise 0.57-3.3 e-、Full well 9 ke-、USB3.2 Type-C、Back focus 17 mm/8 mm、重量 90 g、露光 11µs-900s、22/43 FPS)ToupTek G3M678C Manual §2.1・§2.3

C3|G3M678C vs G3M662C(下位の IMX662 モデル)

項目 G3M678C(IMX678) G3M662C(IMX662)
解像度 3840×2160(8.3 MP) 1920×1080(2.1 MP)
光学フォーマット 1/1.8 インチ 1/2.8 インチ
ピクセルサイズ 2.0 µm 2.9 µm
Read Noise 0.42 – 2.43 e- 最小 0.46 e-
Full Well 11.6 ke- 39 ke-
QE Peak > 83% > 91%
向く用途 高解像度惑星+ガイド兼用 ガイド専用+低解像度惑星

判断軸:「ガイドカメラだけ欲しい」なら 2.1 MP の G3M662C で必要十分。ガイド専用としては Full Well 39 ke- と QE ピーク 91% の方が明暗差の大きい暗い星を掴むのに有利で、価格帯も下がる傾向。「1 台で高解像度惑星も撮りたい」なら G3M678C。

出典: ToupTek G3M662C 公式ページ(IMX662、2.9 µm、Read noise 最小 0.46 e-、Full well 39 ke-、QE >91%、1/2.8 インチ)ToupTek G3M678C Manual §2.1

C4|G3M678C vs Player One Uranus-C(IMX585)

項目 G3M678C(IMX678) Uranus-C(IMX585)
センサー Sony IMX678(STARVIS 2) Sony IMX585(STARVIS 2)
光学フォーマット/対角 1/1.8 インチ/8.86 mm 1/1.2 インチ/12.85 mm
ピクセルサイズ 2.0 µm 2.9 µm
Read Noise 0.42 – 2.43 e- 0.7 – 7.2 e-
Full Well 11.6 ke- 47 ke-
QE Peak > 83% ≈ 91%
重量/筐体径 70 g/直径 37 mm 160 g/直径 66 mm
バッファ DDR3 512 MB DDR3 256 MB

判断軸:ピクセル 2.9 µm × 1/1.2 インチの Uranus-C は「大きな視野・大きな Full Well」を活かして電視観望や短焦点 DSO 用途にも踏み込めます。一方 G3M678C は「小さくて軽い・低ノイズ」を活かして OAG や 30F5 級のガイドスコープに搭載しやすい設計。読み出しノイズの実数値は 0.42 e- vs 0.7 e- で G3M678C が有利、Full Well は 11.6 vs 47 ke- で Uranus-C が有利、と得意領域が異なります。

出典: Player One Uranus-C 公式ページ(IMX585、2.9 µm、Read noise 0.7-7.2 e-、Full well 47 ke-、QE ≈91%、重量 160 g、DDR3 256 MB)Sony IMX585-AAQJ1 Flyer(1/1.2 インチ、対角 12.84 mm、2.9 µm)

⑥ 用途別の選び方フロー

U1|「ガイド専用」で買うなら G3M678C は過剰か?

結論:ガイド専用で買うなら、下位の G3M662C(IMX662)または他社のミニガイドカメラ(1/3 インチ級)で必要十分な場面が多いです。G3M678C の 8.3 MP をガイドで使い切ることはなく、実際のガイド計算は 1920×1080 やそれ以下の ROI で行われます。
ただし例外:近赤外域まで含めて暗いガイド星を拾いたい・光害地でガイド星が見つからない状況が多い場合は、IMX678 の NIR 感度と HCG の 0.42 e- が生きるため、G3M678C を選ぶ価値があります。

出典: ToupTek G3M662C 公式ページ(下位モデル 2.1 MP 相当・ガイド用途表記)ToupTek G3M Quick Start「dual-function」

U2|「ガイド+惑星デュアル」なら G3M678C の適正領域

結論:ToupTek 公式が Quick Start で「G3M is dual-function」と明記している通り、G3M678C は 1 台でガイドと惑星を兼務する目的で最適化された設計。1 台で完結させたいユーザーには最有力候補。
実運用:惑星撮影ではメイン鏡筒+バーロー →G3M678C、DSO 撮影ではガイドスコープ+G3M678C という付け替え運用が可能。付属の 1.25 インチ延長筒とノーズピースで両運用に共通対応します。

出典: ToupTek G3M Quick Start「Product Introduction」(G3M is dual-function cameras that combine both guiding and planetary imaging functions)

U3|「惑星専用(高解像度)」なら G3M678C or Uranus-C?

結論:惑星のように「対象が小さく高焦点距離で撮る」ケースでは、ピクセルの細かさが解像力に直結するので G3M678C(2 µm)が有利。惑星像を大きく写したい場合、Uranus-C(2.9 µm)は同じ像倍率のためにより長い焦点距離/強いバーローが必要になります。
逆に月全体像・太陽全面:1 枚に収めたい月面パノラマや太陽全面は撮像面が広い Uranus-C(1/1.2 インチ)の方がモザイク回数を減らせます。

出典: Player One Uranus-C 公式ページ(1/1.2 インチ、2.9 µm)ToupTek G3M678C Manual §2.1(1/1.8 インチ、2 µm)

U4|フィルターホイールを持っているなら G3M678M も検討

結論:すでにフィルターホイール(FW)を運用している場合、モノクロ版 G3M678M(Bayer なし・分光範囲 380–1100 nm・AR 窓)は近赤外や狭帯域フィルターと組み合わせた本気の惑星撮影/太陽 Hα 撮影で優位に立ちます。
FW 未所有なら:FW 導入コストと LRGB 合成の手間を考えると、まずは G3M678C(カラー版・IR-cut 標準)から始めるのが現実的です。

出典: ToupTek G3M678M 公式ページ(分光範囲 380-1100 nm、AR 窓、100% 画素利用)

⑦ 導入時の設定と接続の要点

S1|Windows での初回セットアップ

手順:ToupTek 公式ダウンロードセンター(touptek-astro.com/downloads/)から「ToupTek Astro Equipment Driver」を入手 → ワンクリックインストール → USB 3.0 ケーブルで PC と接続。ToupSky、SharpCap、PHD2 のいずれかを起動するとカメラが自動認識されます。
Quick Start 記載の注意:SharpCap/N.I.N.A. のバージョン更新後、カメラが認識されなくなる「packet loss」現象が起こることがあり、その場合は Equipment Driver を再インストールで復旧すると明記。

出典: ToupTek G3M Quick Start「Connect to ToupSky / SharpCap / PHD2」・FAQ Q1ToupTek Astro Downloads

S2|PHD2 でガイドを開始する

手順:PHD2 側で「ToupTek Camera」を選択(複数台接続時は右側の二重矢印アイコンからガイドカメラを選択)→ プロファイルウィザードでガイド焦点距離を設定 → 露光時間 0.5–2 秒でスタート。
キャリブレーション失敗時の対処:Quick Start FAQ Q6 は「ガイドレートを 0.5X に設定」を推奨。Onstep 系赤道儀ではガイドレート設定の誤りが失敗要因になりやすいと明記。ハーモニックドライブ系の場合は 0.5X で安定するケースが多い。

出典: ToupTek G3M Quick Start「Connect to PHD2」・FAQ Q5・Q6

S3|フレームレートが上がらない時

手順:USB 3.0 ケーブルで直結しているのに指定 FPS が出ない場合、Quick Start FAQ Q3 は「PC の省電力設定を全 OFF」「ラップトップは電源接続」を推奨。USB ハブ経由の場合はハブの給電能力にも注意。
実際の上限:USB 2.0 ポート接続の場合、3840×2160 は 8-bit で 4.8 FPS、16-bit で 2.5 FPS まで落ちます(マニュアル §2.3 Table 2)。USB 3.0 での運用が前提です。

出典: ToupTek G3M Quick Start FAQ Q3ToupTek G3M678C Manual §2.3 Table 2

本記事で扱った ToupTek G3M678C の商品ページ、および比較対象として登場した機種は下記です。

出典: 天体ショップ(株式会社天文堂)商品ページ。株式会社天文堂は ToupTek Photonics の日本正規代理店です。

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最終更新: 2026-07-02/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ToupTek 公式マニュアル・Quick Start・Sony IMX678/IMX585 公式フライヤー・QHY 公式ページ・Player One 公式ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑪ よくあるご質問(FAQ)

Q1|G3M678C はガイドカメラとして単体で買う意味がありますか?

あります。ToupTek 公式が「Planetary / Guide デュアル」と明記している設計で、ST-4 端子内蔵・PHD2 ネイティブ対応・USB 3.0 バスパワー・70 g の軽量筐体はガイドカメラとしての要件を満たしています。ただし「ガイドしかしない」用途では、ピクセル数の少ない下位モデル(G3M662C など)で十分なケースも多いです。

Q2|HCG と LCG はどう使い分けますか?

マニュアル §2.8 の実測データによれば、LCG は Gain=100 で Full Well 11.7 ke- / Read Noise 2.55 e-、HCG は同 Gain で Full Well 2.6 ke- / Read Noise 0.54 e-。明るい対象(月・太陽・木星本体など)は LCG で階調を確保、暗い対象(土星の環外の細部、暗いガイド星、天王星本体)は HCG が有利です。

Q3|Long type と Short type、どちらを買えばよいですか?

Quick Start は「特別な要件がなければ Long type 推奨」としています。理由は「OAG(オフアクシスガイダー)と組み合わせやすく、フォーカス調整の余裕が大きい」ため。ただし、ガイドスコープ運用(30F5 等)や 1.25 インチスリーブ直挿しが前提なら Short type でもフォーカスは出ます。

Q4|PHD2 でカメラが認識されません。何を確認すべきですか?

Quick Start FAQ Q4 の切り分け手順は次の通り。(1) PHD2 のバージョンが 2.6.13 未満なら ToupTek Astro Equipment Driver を最新化。(2) ToupSky や N.I.N.A. などがカメラを掴んでいないか確認し、掴んでいたら切断。(3) それでも駄目なら Windows のデバイスマネージャで USB エラーの有無を確認し、USB ポート/USB-HUB を変更。

Q5|USB 2.0 でも使えますか?

物理的には接続可能ですが、実用速度は落ちます。マニュアル §2.3 Table 2 によれば USB 2.0 での 3840×2160 は 8-bit で 4.8 FPS、16-bit で 2.5 FPS まで低下。惑星のラッキーイメージングやガイドの数十 ms 級の応答性を得るには USB 3.0 での接続が前提です。

Q6|バックフォーカスは 12.5 mm と 17.5 mm、どちらの値を使えばいいですか?

マニュアル §2.1 記載のバックフォーカスは「C アダプタ使用時:17.5 mm」「CS アダプタ使用時:12.5 mm」。同梱の 1.25 インチ ノーズピースで運用する場合は 1.25 インチスリーブ内側の C マウント基準の 17.5 mm がベースになります。フィルターホイールや OAG を挟む設計時は、その光路長を足して合わせ込む必要があります。

Q7|保証はどうなりますか?

ToupTek 社の 2 年間の製品保証が付帯します(Quick Start After-sales Service Policy §1)。株式会社天文堂は ToupTek Photonics の日本正規代理店として、これに加えて弊社独自の初期不良 60 日+3 年保証をご提供しています。詳細は商品ページまたは公式 LINE でご確認ください。

⑫ 参考にした一次情報リスト

  1. ToupTek G3M678C User Manual V1.0(Sept 2023)— メーカー公式 PDF マニュアル
  2. ToupTek G3M Series Planetary/Guide Cameras Quick Start — メーカー公式 PDF
  3. Sony IMX678-AAQR/AAQR1 Flyer Ver.1.0 — センサーメーカー公式 PDF
  4. ToupTek G3M678M(モノクロ版)公式ページ
  5. Sony IMX585-AAQJ1 Flyer — センサーメーカー公式 PDF
  6. QHY5III678M/C 公式ページ
  7. Player One Uranus-C(IMX585)公式ページ
  8. ToupTek G3M662C 公式ページ
  9. Sony STARVIS 2 技術説明
  10. ToupTek ダウンロードセンター

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最終更新: 2026-07-02/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ToupTek 公式マニュアル・Quick Start・Sony IMX678/IMX585 公式フライヤー・QHY 公式ページ・Player One 公式ページに基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。