中秋の名月・十五夜の月を撮る|望遠鏡とカメラでの月撮影の仕方【2026年9月25日版】

中秋の名月・十五夜の月を撮る|望遠鏡とカメラでの月撮影の仕方【2026年9月25日版】

2026年の中秋の名月(十五夜)は9月25日(金)です。当日の月は旧暦8月15日の月であり、天文学的な満月の瞬間は2日ずれて9月27日01時49分(日本時間)に訪れます。本稿では、この特別な一夜に「見ただけで感動する月写真」を残すために、月の視直径・焦点距離の設計、スマホ/一眼/惑星カメラの3スタイル、Looney 11 露出ルール、ZWO ASI662MC を用いたラッキーイメージング、AutoStakkert! と RegiStax による処理ワークフローまでを、公式マニュアル・国立天文台情報・センサーメーカーの一次情報に基づいて解説します。

① 2026年の中秋の名月はいつ?何時に空を見上げるか

中秋の名月は「旧暦8月15日の夜の月」を指す名称です。国立天文台の公式トピックスによれば、2026年は9月11日12時27分(JST)が新月であり、この日を含む9月11日が旧暦8月1日となるため、旧暦8月15日は9月25日(金)にあたります。出典: 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」(旧暦の朔日規則の解説より)

ただし「中秋の名月=満月」とは限りません。天文学的な満月(望)の瞬間は2026年9月27日 01時49分(JST)で、名月と満月に2日のズレがあります。ズレは頻繁に起きますが、2日ズレるのは2017年以来で、次は2043年です。出典: 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」(望の時刻および過去・次回のズレ情報)

撮影の現実問題としては「9月25日の夜に十五夜として撮る」「9月27日未明のより真円に近い満月を狙う」の両方が有効です。特に処理耐性の高い月クレーター写真は満月直前の欠け際(ターミネーター)に強い陰影が出るため、9月25日の月の方がむしろ立体感が得られます。2026年は日本独自の十三夜も10月23日(金)にあり、「三月見(さんつきみ)」として続けて撮れる年になっています。出典: 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」(十三夜の日付を含む補足)

② 月撮影の基礎|月の視直径と焦点距離の関係

月は思っている以上に「小さい」被写体です。Wikipedia の月項目に基づく数値は次の通りです。出典: Wikipedia — Moon(Angular diameter / Apogee-Perigee / Apparent magnitude / Albedo の項)

項目
視直径 29.3〜34.1 arcmin(≒ 1760〜2046 arcsec、平均約31 arcmin)
平均距離 384,399 km(近点 362,600 km/遠点 405,400 km)
満月の見かけ等級 −12.74
Bond albedo(反射率) 0.136(アスファルトに近い暗さ)

撮影の設計に使う「像の大きさ」は、プレートスケールの式で計算できます。焦点距離 f [mm] のとき、センサー上の1 arcsec あたりの長さは 1 / (206.265 / f) = f / 206.265 [μm] です。月の視直径 1860 arcsec は、センサー上で f × 1860 / 206.265 ≒ f × 9.0 μm となります。出典: 一般的なプレートスケールの式(Wikipedia — Plate scale)および Wikipedia — Moon の視直径

これを踏まえた焦点距離ごとの月像の目安が下表です。出典: 上記プレートスケール式より算出。センサー実寸は ZWO ASI662 Manual Rev1.1 §3(5.568×3.132mm)およびフルサイズ(36×24mm)、APS-C(23.5×15.6mm)、フォーサーズ(17.3×13.0mm)の公称寸法

焦点距離 月像の直径(センサー上) フルサイズ(36mm 短辺24mm) ASI662MC 短辺 3.132mm
200mm 約1.8mm かなり小さい 小さい(余白多)
500mm 約4.5mm 小〜中 ちょうど収まる
1000mm 約9.0mm 中サイズ はみ出す(部分撮影)
2000mm 約18mm 画面いっぱい近く 大クレーター拡大

要点は「フルサイズ/APS-C の一眼で月全景を大きく写したいなら概ね1000〜2000mm、ASI662MC のような 1/2.8″ 小型センサーで全景を狙うなら340mm前後、細部拡大を狙うなら1000〜2000mm+Barlowが目安」ということです。出典: 上記表計算値(Wikipedia — Plate scale 式+ ZWO ASI662 Manual §3 センサー実寸に基づく)

③ 撮影スタイル 3 種|スマホ・一眼・望遠鏡+惑星カメラ

月撮影のスタイルは大きく3つに分かれます。それぞれ得られる画像の到達点が異なります。

スタイルA|スマホ + 望遠鏡アイピース(コリメート/afocal 撮影)

方式:望遠鏡のアイピースにスマホカメラを密着させて撮る古典的方法。
特徴:望遠鏡本体さえあれば、専用アダプタ(アイピースにクランプするタイプ)でスマホを固定して撮影できる。手持ちも可能だが手ブレが激しい。
到達点:SNS 用のクレーター写真としては十分。ただし撮って出しの解像感は望遠鏡本体の光学性能に強く依存する。

出典: AstroBackyard — Moon Photography Guide(アイピースアダプタとスマホの併用に関する解説)

スタイルB|デジタル一眼/ミラーレス + 望遠レンズ

方式:200mm以上の望遠レンズを装着したカメラを三脚に載せて撮る。
特徴:Looney 11 ルール(後述)で露出さえ決まれば、非追尾三脚でも1枚撮りが成立する(月は1/250秒程度で止まるため)。
到達点:月全景を色深く1枚で表現できる。トリミング前提で400mm相当以上を推奨。

出典: AstroBackyard — Moon Photography Guide(DSLR/ミラーレスによる月撮影の設定・機材要件)

スタイルC|望遠鏡 + 惑星/月用CMOSカメラ(ラッキーイメージング)

方式:望遠鏡の直焦点に ZWO ASI662MC などの高速CMOSカメラを取り付け、SharpCap で SER 動画を数千フレーム録画し、AutoStakkert! と RegiStax で処理する。
特徴:大気の乱れ(シーイング)が刻々と変わることを利用し、瞬間的にシャープに写った上位1〜10%のフレームだけを合成する「ラッキーイメージング」で、大口径望遠鏡の分解能に迫れる。
到達点:月のクレーター内部の微細な地形、光条、リマ(谷)といった写真集レベルの細部まで到達可能。

出典: Wikipedia — Lucky imaging(100ms 以下の短時間露光、上位1〜10%抽出、Fried 1978 の理論的基礎)

④ 一眼カメラで撮る|Looney 11 ルールと機材

デジタル一眼/ミラーレスで月を撮る場合、「Looney 11 ルール」を出発点にすると迷いません。Wikipedia の解説によれば、これは「露出計を使わずに月の露出を推定する方法」で、次の式で表されます。出典: Wikipedia — Looney 11 rule(定義および ISO と露光時間の対応、Sunny 16 との比較)

絞り f/11・シャッター速度 = 1/ISO 秒(例:ISO100 → 1/100秒、ISO200 → 1/200秒、ISO400 → 1/400秒)

これは Sunny 16 ルール(f/16、SS=1/ISO)に対し「1段明るい」露出です。月面のアルベド(Bond albedo 0.136)は地表より暗いため、より多くの光を集める設定になっています。出典: Wikipedia — Looney 11 rule(Sunny 16 との比較で1段開ける根拠)と Wikipedia — Moon(albedo 0.136)

実撮影では、絞りを開くごとにシャッター速度を等価に短くします(1段開けたら1/2)。以下はスタート地点として使える設定表です。出典: Wikipedia — Looney 11 rule(ISO と対応 SS の例、および等価露出の原則)+ AstroBackyard — Moon Photography Guide(ISO 800 以下・1/250 以上・マニュアルフォーカスの推奨)

ISO f/11 での SS f/8 での SS 備考
ISO 100 1/100 or 1/125 1/200 or 1/250 最も低ノイズ。ミラーショックに注意
ISO 200 1/200 or 1/250 1/400 or 1/500 実撮影の定番
ISO 400 1/400 or 1/500 1/800 or 1/1000 シーイングを止める意図で有効
ISO 800 1/800 or 1/1000 1/1600 or 1/2000 AstroBackyard は ISO 800 を上限として推奨

DSLR/ミラーレスの機材リスト

AstroBackyard のガイドが示す最小機材は次の通りです。出典: AstroBackyard — Moon Photography Guide(機材リスト・ISO 上限・マニュアルフォーカスの手順)

  • DSLR または ミラーレスカメラ本体
  • 200mm 以上の望遠レンズ(プライム or ズーム)
  • ボールヘッド付きの頑丈な三脚
  • リモートシャッターケーブル(またはセルフタイマー2秒)
  • マニュアルフォーカス(ライブビュー拡大表示で微調整)

⑤ 望遠鏡で撮る|必要機材と組み合わせ計算

「もう一段先」の月写真を目指すなら望遠鏡が必要です。月撮影に必要な典型構成は次の 5 点です。

要素 推奨 補足
鏡筒(口径/焦点距離) 100〜200mm 口径、500〜2000mm 焦点距離 大口径ほど分解能が上がるが、シーイング(大気乱れ)に律速される
架台 経緯台または赤道儀(自動追尾推奨) 月は約15秒角/秒の速さで動く。動画撮影中も画面から外れないよう追尾が望ましい
Barlow レンズ 2×〜3× 焦点距離を延長し、月クレーターを拡大する
カメラ 高速 CMOS 惑星カメラ(例: ZWO ASI662MC) 1/250 秒程度で動画的に撮り、ラッキーイメージングで処理する
PC + キャプチャソフト Windows PC + SharpCap または FireCapture SER 形式で数千フレームを保存

Barlow の効き方(焦点距離倍率)

Celestron の公式解説によれば、Barlow レンズは焦点距離を数学的にそのまま倍にします。倍率式は「望遠鏡焦点距離 ÷ アイピース焦点距離 × Barlow 倍率」で、2× なら 2 倍、3× なら 3 倍。ただし実効 F 値も同じ比率で暗くなるため、月のように明るい被写体では 2×〜3× が実用的です。出典: Celestron — All About Barlow Lenses(Peter Barlow 由来、焦点距離延長原理、2×〜5× の一般倍率)

初心者向け鏡筒の一例(Celestron NexStar 130SLT)

入門用オートゴート望遠鏡の代表例として Celestron NexStar 130SLT の公式仕様を挙げます。出典: Celestron — NexStar 130SLT Computerized Telescope(口径・焦点距離・F 値・架台・電源の全公式仕様)

項目
光学設計 ニュートン反射(放物面主鏡)
口径 130mm (5.12")
焦点距離 650mm (26")
F 値 f/5
架台 コンピューター制御アルタジマス(片持ちフォークアーム)
電源 12VDC / 単三×8(別売)
付属アイピース 25mm(26倍)/9mm(72倍)

焦点距離 650mm では 2× Barlow で 1300mm 相当となり、ASI662MC センサー上で月像は約 12mm。センサー短辺(3.132mm)を超えるため部分撮影(クレーター拡大)が中心になります。全景を1枚で狙う場合は Barlow を外して 650mm 直焦点、あるいはミラーレス機で撮影する運用が現実的です。

⑥ ZWO ASI662MC で月を撮る|公式仕様と組み合わせ設計

本記事の主役カメラは ZWO ASI662MC(カラー版)です。2022 年発売、Sony IMX662 センサー搭載の惑星/月/太陽用 CMOS カメラで、ASI462MC の後継として位置づけられています。出典: ZWO ASI662 Manual Rev1.1 §1(2022 年発売、IMX662 搭載、ASI462MC の後継との公式記述)

ZWO ASI662MC 公式仕様(Manual Rev1.1 §3 より)

項目
センサー SONY IMX662AAQR-C(ローリングシャッター CMOS)
フォーマット 1/2.8" 対角 6.45mm
解像度 2.07 MP(1920×1080)
ピクセルサイズ 2.9μm
センサー実寸 5.568mm × 3.132mm
最大 FPS 107.6(1920×1080, 10bit ADC, USB 3.0)
露出範囲 32μs 〜 2000 秒
読み出しノイズ 0.8 〜 6.9 e-(HCG モードは gain 252 で自動 ON、0.8e- 到達)
QE ピーク 91%
フルウェル 38.2 ke-
ADC 12bit(RAW16)/ 10bit(RAW8 高速モード)
USB USB 3.0 / 2.0 Type-B、内蔵 256MB DDR3 キャッシュ、ST4 ガイドポート
保護窓 AR コート D21×1mm
バックフォーカス 12.5mm
アダプタ 1.25" / 2" / M42×0.75
寸法/重量 直径 62mm / 126g
消費電力 最大 1.36W(USB 給電)
対応 OS Windows / Linux / Mac OSX
動作温度/湿度 -5°C 〜 +50°C / 20% 〜 80%

出典: ZWO ASI662 Manual Rev1.1 §3 Camera technical specifications, §4 QE graph & Read noise, §6.3 Power consumption, §6.4 ADC, §7 Notice for use(PDF、Sep 2022、pdftotext で全項目抽出済)および ZWO 公式製品ページ ASI662MM/MC

IMX662 センサー技術(STARVIS 2)

ASI662MC が採用する Sony IMX662-AAQR(カラー)/ IMX662-AAMR(モノ)は、Sony の STARVIS 2 BSI(裏面照射)技術を用いた 1/2.8" CMOS です。STARVIS 2 は前世代 STARVIS 比で、同一画素サイズでの単一露光ダイナミックレンジが AD 12bit 換算で +8dB 以上向上しています。出典: Sony IMX662-AAMR Flyer Ver.1.0 (2023)(1936×1120 総画素、有効 2.12M、2.9μm、90 fps All-pixel scan、triple power supply 3.3V/1.1V/1.8V、STARVIS 2 の +8dB DR 記述)

ASI662MC × 焦点距離別のフィット感

ASI662MC の短辺 3.132mm に月像(f × 9.0μm)を収める条件は、f ≒ 348mm 以下。以下は代表的な鏡筒との組み合わせ例です。

鏡筒例 焦点距離 ASI662MC での月像 用途
短焦点広角鏡筒 〜300mm 全景が余裕で収まる 十五夜の全景ワンショット
Celestron 130SLT 直焦点 650mm 短辺で 2 枚モザイクが必要 半月モザイク〜クレーター群
130SLT + 2× Barlow 1300mm 相当 拡大クレーター コペルニクス/ティコ/プラトー等
C8/C11 等 SCT + 2× Barlow 4000〜5600mm 相当 超拡大(部分) 単クレーター写真集レベル

⑦ 撮影当日の手順|SharpCap で SER ムービーを撮る

惑星カメラで月を撮る際は「静止画1枚」ではなく「動画(数千フレーム)」を撮るのが定石です。以下は SharpCap を使う場合の標準的な流れです。出典: Wikipedia — Lucky imaging(露光100ms 以下・多数フレーム撮影・上位選抜のフロー)および ZWO ASI662 Manual §6.4(10bit 高速モードの FPS 表)

手順1. 望遠鏡のセットアップと極軸/初期アライメント

赤道儀の場合は極軸合わせ、経緯台の場合はワンスターアライメントで月を導入。ASI662MC は 12.5mm のバックフォーカスなので、多くの鏡筒でそのまま合焦域に入る(合わない場合は 1.25" ノーズピースの延長筒を検討)。出典: ZWO ASI662 Manual §3(バックフォーカス 12.5mm)

手順2. ピント合わせ

月の縁(リム)や欠け際(ターミネーター)でピントを追い込む。ライブ画像を高倍率にズームし、フォーカサーを微動させながらクレーターのエッジが最もシャープに見える位置を確定する。バーティノフマスク(回折像を利用したピント補助具)を使うと客観的に合わせやすい。出典: 月撮影の一般的なフォーカス手法(AstroBackyard — Moon Photography Guide のマニュアルフォーカス指示より)

手順3. 露出と gain の設定

ASI662MC は露出 32μs 〜 2000s、gain 0〜約 300 の範囲で調整できる。月のように明るい被写体では通常 露出 1〜10ms、gain 100〜200 の範囲に収まる。SharpCap のヒストグラムでピーク右端が飽和しない位置(およそ70〜80%)に来るよう調整する。出典: ZWO ASI662 Manual §3(露出範囲 32μs〜2000s、HCG mode 自動 ON gain)

手順4. SER 形式で動画録画

SER は天体動画の事実上の標準フォーマット。1920×1080 なら 10bit USB 3.0 で最大 107.6 fps、1280×720 なら 157.3 fps、640×480 なら 227.4 fps、320×240 なら 409 fps まで到達可能。月は明るいので短露光でも十分な信号量が得られ、高 fps が活きる。出典: ZWO ASI662 Manual §6.4 Analog to Digital Converter(10bit 高速モードの解像度別 FPS 表)

手順5. 撮影量の目安

1 ショット = 2〜5 分の SER 動画(数千〜1 万数千フレーム)を目安に、モザイク撮影する部位分(月全景なら数〜十数枚)撮っておく。1 ショットあたりの容量は数 GB になるため、SSD 保存を推奨。

⑧ 大気シーイングとラッキーイメージング

月惑星撮影の分解能は、望遠鏡の口径ではなく 大気シーイング(astronomical seeing)で決まります。シーイングは地球大気の乱流によって恒星像が劣化する現象で、ブレ・またたき・歪みとして観測されます。出典: Wikipedia — Astronomical seeing(定義および Fried parameter r₀、seeing 1.0 arcsec の平均値)

シーイングの目安

  • 1.0 arcsec: 平均的な良好サイトの典型値
  • 0.4 arcsec 未満: 優良観測地(マウナケア等の高地)
  • Fried parameter r₀ = 10〜20cm(可視光の良好サイト)

出典: Wikipedia — Astronomical seeing(r₀ の典型値・優良サイトのシーイング値)

望遠鏡の口径が Fried parameter よりも小さい場合、望遠鏡の分解能は回折限界で決まります。逆に大きい場合、大気シーイングが分解能の上限になります。一般的な日本の平地では 20cm 級口径から先はシーイングが支配的です。出典: Wikipedia — Astronomical seeing(口径と r₀ の大小比較による回折限界/大気限界の切り分け)

ラッキーイメージングの原理

大気の乱れは時間的にも空間的にもランダムに変動しています。短時間露光(100ms 以下)で連射すると、瞬間的に大気が「たまたま」静かになったフレームがランダムに得られます。これらをスタックすれば、平均露光では得られないシャープさに到達できます。出典: Wikipedia — Lucky imaging(100ms 以下の短露光・上位1〜10%の抽出・Fried 1978 の理論的基礎・2.5m 口径で5倍分解能改善)

ASI662MC の露出 32μs スタート+最大 107.6 fps という仕様は、まさにこのラッキーイメージング用途に最適化されています。

⑨ 画像処理|AutoStakkert! → RegiStax ワークフロー

撮影した SER 動画は、月惑星画像用の 2 大定番ソフトを直列で使います。

ステップ 1: AutoStakkert! でスタック

AutoStakkert! は Emil Kraaikamp が開発した、Sun/Moon/Planets の自動整列・自動スタックソフト。数千フレームの SER 動画を読み込ませ、品質指標で上位フレームを自動選抜し、多点アライメント(AP:Alignment Points)してスタックします。出典: Wikipedia — Lucky imaging(Strehl 比等の品質指標による上位フレーム選抜フロー)および AutoStakkert! 公式(https://www.autostakkert.com/

ステップ 2: RegiStax でウェーブレット処理

RegiStax は Cor Berrevoets(オランダ)が 2002 年に初版を公開したフリーウェア。現行 6.1.08(2011 年 5 月)、Windows 用(Linux は Wine 経由)。特徴はウェーブレット処理による多段シャープニングで、AutoStakkert! でスタック済みの月画像の細部を段階的に持ち上げます。出典: Wikipedia — Registax(Cor Berrevoets 開発、2002 年初版、v6.1.08 が現行、フリーウェア、Windows、ウェーブレット処理)

ステップ 3: 仕上げ(トーンカーブ・アンシャープマスク)

好みに応じて Photoshop / Affinity Photo / GIMP でトーンカーブを微調整。過剰なシャープニングはリンギングを生むので、RegiStax のウェーブレット段階で追い込むほうが自然に仕上がります。

推奨ワークフロー(1 ショット分)

  1. SharpCap で SER 録画(2〜5 分、数千〜1 万フレーム)
  2. AutoStakkert! で品質分析 → 上位 25〜50% を自動選抜(月は惑星と違い被写体が広いのでやや多めに選ぶ)
  3. AutoStakkert! で AP を多点配置(月全体で数十〜数百)してスタック
  4. 出力 TIFF を RegiStax に読み込み、ウェーブレット層 1〜3 を弱めに、層 4〜6 を控えめに立てて全体をシャープ化
  5. ヒストグラム/レベル補正で明部の飽和と暗部のノイズを整える
  6. モザイク撮影した場合は Microsoft ICE / PS Photomerge 等でパノラマ結合

本記事の中心機材である ZWO ASI662MC は、天体ショップで販売中です。月・惑星・太陽の撮影用に開発された Sony IMX662 センサー搭載カラー CMOS で、上記の全公式仕様は Manual Rev1.1(Sep 2022)に基づいています。

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最終更新: 2026-07-27/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO ASI662 公式マニュアル(Rev1.1, Sep 2022)・Sony IMX662-AAMR 公式フライヤー・Celestron 公式製品ページ・国立天文台トピックス・Wikipedia 各項目に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

FAQ

Q1. 2026 年の中秋の名月と満月はどちらが「本物」ですか?

どちらも「本物」です。中秋の名月は旧暦8月15日という暦上の定義で 9月25日(金)。天文学的な満月(望:太陽と月が地心から見て正反対の位置になる瞬間)は 9月27日 01:49 JST。両者は同一の現象を別の物差しで指しています。写真表現として真円感を優先するなら 27 日未明、伝統行事として撮るなら 25 日夜です。出典: 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」

Q2. 三脚なしで月を撮れますか?

望遠レンズを使う場合は難しいです。AstroBackyard のガイドは「頑丈な三脚とリモートレリーズ」を必須機材として挙げています。1/250 秒以上のシャッター速度でも、望遠レンズの微振動は月像を確実にブラすため、三脚固定+セルフタイマー2秒(またはリモートレリーズ)を推奨します。出典: AstroBackyard — Moon Photography Guide

Q3. ASI662MC で月全景を1枚で写せますか?

ASI662MC の短辺は 3.132mm、月像は焦点距離 f に対し約 f×9μm。3.132mm ÷ 9μm ≒ 348mm 以下の焦点距離であれば全景が収まります。300mm 級のガイド鏡や小口径屈折鏡筒に組み合わせれば全景ワンショットが可能です。出典: ZWO ASI662 Manual §3(センサー実寸)+ Wikipedia — Plate scale

Q4. スマホだけで撮ってもきれいに写りますか?

望遠鏡アイピースに afocal で密着させれば、SNS 用として十分きれいなクレーター写真が撮れます。ただし専用アダプタなしの手持ちは手ブレが大きく、成功率が下がります。BBC Sky at Night 誌等の解説にある通り、アイピースクランプ式アダプタの使用が実用上ほぼ必須です。出典: AstroBackyard — Moon Photography Guide(スマホ + アイピースアダプタでのアフォーカル撮影の解説)

Q5. 動画スタックしないとダメですか?1枚撮りではダメですか?

用途次第です。月全景・トリミング前提・SNS 掲載であれば、Looney 11 ルールに従った 1 枚撮りでも十分見応えのある写真になります。一方、クレーターの微細地形まで表現したいなら、大気シーイングを乗り越えるためにラッキーイメージングが必要で、動画→スタック→ウェーブレットのワークフローが実質必須です。出典: Wikipedia — Lucky imaging(口径分解能に迫るための短露光多数枚選抜のプロセス)

Q6. ASI662MC の保証はどうなっていますか?

ZWO 公式マニュアル §9 に定められた ZWO 社の 2 年間のプロダクト保証が原則となります。加えて、当店(天体ショップ)でご購入いただいた場合、弊社独自の初期不良 60 日+3 年保証にてサポートいたします。詳しくは公式 LINE またはメール(support@tenbundo.com)までお問い合わせください。出典: ZWO ASI662 Manual §9 Warranty(ZWO 公式 2 年保証の記述)

Q7. Registax は Mac でも動きますか?

公式は Windows のみサポートです(Linux は Wine 経由で動く例あり、と Wikipedia に記載)。Mac 環境で使用する場合は Parallels Desktop 等の仮想 Windows か、Boot Camp(Intel Mac のみ)が現実解になります。近年 Cor Berrevoets 氏が開発中の後継 waveSharp は Windows と Linux をネイティブ対応するとされています。出典: Wikipedia — Registax(Platform: Windows / Linux via Wine、waveSharp の記述)

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最終更新: 2026-07-27/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は ZWO ASI662 公式マニュアル(Rev1.1, Sep 2022)・Sony IMX662-AAMR 公式フライヤー・Celestron 公式製品ページ・国立天文台トピックス・Wikipedia 各項目に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。