アスカー Askar FRA400C 鏡筒|比較・選び方ガイド【フルサイズ対応 Quintuplet Petzval APO】
アスカー Askar FRA400C 鏡筒|比較・選び方ガイド【フルサイズ対応 Quintuplet Petzval APO】
Askar FRA400C は、原型となった FRA400 のクインテュプレット(5枚玉)ペッツバール光学系をそのまま受け継ぎつつ、フォーカサーを金属ヘリコイド式に置き換え、内蔵アイリス絞りを追加した「カメラレンズ的に扱える」フルサイズ対応 APO 鏡筒です。焦点距離 400mm・F5.6・イメージサークル 44mm という設計はディープスカイ広域撮影の"ど真ん中"で、初めてフルサイズ機で天体写真を始める人からセカンド鏡筒として持ち歩きたい人まで幅広くフィットします。ただし FRA400 と FRA400C は「同じ光学系・別の鏡筒コンセプト」で、選び方を間違えると後悔しやすいモデルでもあります。本記事では、FRA400 との違い、Askar 内の他モデル(FRA500 / FRA600 / 65PHQ / 71F / FMA180 Pro など)との比較、センサー・架台・レデューサーの選び方まで、公式仕様と一次情報のみで整理します。
① Askar FRA400C とは(光学系と主要スペック)
FRA400C は Jiaxing Sharpstar Optical Instrument が展開する「Askar」ブランドの短焦点アストログラフです。焦点距離 400mm・口径 72mm・開放 F5.6 のクインテュプレット(5枚玉)ペッツバール光学系で、鏡筒内に ED ガラスを 2 枚含みます。フルサイズ機(35mm 判・36×24mm センサ)をカバーする 44mm イメージサークルを本体だけで平坦補正しており、外付けフラットナーやバックフォーカス調整の追加パーツを購入する必要がありません。
| 項目 | Askar FRA400C 仕様 |
|---|---|
| 口径 | 72mm |
| 焦点距離 | 400mm |
| 開放 F 値 | F5.6(アイリス絞りにより F22 まで絞り込み可能) |
| 光学設計 | ペッツバール型クインテュプレット(5 枚玉)・ED ガラス 2 枚使用 |
| イメージサークル | 44mm(フルサイズ 36×24mm を平坦にカバー) |
| アイリス絞り | F5.6-F22・17 枚羽根 |
| フォーカサ | シングルスピード ヘリコイド式(MXL タイミングベルト装着で電動化可) |
| 後端ねじ | M72×1 主ねじ/M54/M48×0.75(M48 側は 2 インチフィルター対応) |
| バックフォーカス | 50-60mm 対応・55mm 推奨 |
| 鏡筒長 | 370mm(フード収納時)/420mm(フード伸長時) |
| 重量 | OTA 2.68kg/ハンドル・アリガタ込 3.18kg |
| アリガタ | Vixen 規格プレート標準付属 |
出典: Agena Astro: Askar FRA400C 72mm f/5.6 Quintuplet Petzval Flat-Field Astrograph(Specifications 節)
出典: All-Star Telescope Canada: Askar FRA400C Quintuplet Petzval Flat-Field Astrograph(Specifications 節)
出典: Askar FRA400C User Manual(Specifications 節)
ポイントは「フルサイズ対応クインテュプレット」を鏡筒 1 本で完結させている点です。同焦点距離帯には Askar 71F(71mm F6.9 クワドラプレット)や FMA180 Pro(44mm F4.5 セクスタプレット)のような別コンセプトの選択肢もありますが、FRA400C はその中で「口径 72mm を確保しつつ 44mm イメージサークルをフラットに使える」バランス型の代表格です。
出典: High Point Scientific: Askar FRA400C Quintuplet APO Refractor(Product Overview 節)
② FRA400 と FRA400C の違い(同じ光学系・別の鏡筒コンセプト)
FRA400C の "C" は「クインテュプレット」ではなく、原型 FRA400 から派生した「コンパクト/カメラレンズ寄り」バージョンを示す型番です。光学系(5 枚玉ペッツバール・ED2 枚・44mm イメージサークル・400mm F5.6)は同一で、差分は接眼部まわりに集中しています。
| 項目 | FRA400(原型) | FRA400C |
|---|---|---|
| 光学系 | クインテュプレットペッツバール・ED2 枚・44mm イメージサークル | 同上(同一光学設計) |
| フォーカサ | 3 インチ R&P デュアルスピード(微動 1:10)+ 360°ローテータ内蔵 | ヘリコイド式シングルスピード+ MXL ベルトによる電動化オプション |
| アイリス絞り | なし(開放固定 F5.6) | 17 枚羽根・F5.6-F22 目盛付き |
| 後端主ねじ | M68×1 | M72×1(M54/M48 アダプタ付属) |
| 重量(アリガタ・鏡筒バンド込) | 約 3.2kg | 3.18kg(ハンドル・アリガタ込) |
| コンセプト | 本格アストログラフ(電動フォーカサ・冷却カメラでの本格運用向き) | "多機能カメラレンズ"寄り(昼景・視野観望・軽量遠征も想定) |
出典: Askar Official: FRA400(Specifications / Mechanical Features 節)
出典: Scopeviews: Askar FRA400 Review(Focuser / Mechanical 節)
出典: Agena Astro: Askar FRA400C(Focuser / Iris Diaphragm 節)
選び分けの目安はシンプルです。(1)フィルターホイール+オフアクシスガイダー+冷却 CMOS を長時間ぶら下げて自動 AF まで組みたい人は 3 インチ R&P の FRA400 が有利。(2)ミラーレスやフルサイズ一眼を付けて、遠征先で日中の風景も撮りたい/可変絞りで昼のスナップにも使いたい、という人は FRA400C。光学性能そのものに優劣はなく、あくまで「接眼部の運用スタイル」で選ぶモデルです。
③ Askar 鏡筒ラインナップ内の比較(FRA / PHQ / F / FMA / SQA)
Askar の広視野鏡筒は「口径×焦点距離×光学構成×フォーカサ規模」で綺麗にグレード分けされています。FRA400C が属する「400mm 前後・フルサイズ対応」帯を中心に、代表機種を横並びで比較します。
| モデル | 口径 / 焦点 | F 値 | 光学 | イメージサークル | 重量(目安) | 主な想定用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FRA400C | 72mm / 400mm | F5.6-F22 | 5 枚玉ペッツバール(ED2) | 44mm(フルサイズ) | 3.18kg | 広視野 DSO・遠征・カメラレンズ運用 |
| FRA400(原型) | 72mm / 400mm | F5.6 | 5 枚玉ペッツバール(ED2) | 44mm | 約 3.2kg | 本格 DSO 撮影・R&P 電動 AF |
| FRA500 | 90mm / 500mm | F5.6 | 5 枚玉ペッツバール(ED2) | 55mm | OTA 4.1kg/総 5.2kg | DSO 中焦点・大判センサ余裕運用 |
| FRA600 | 108mm / 600mm | F5.6 | 5 枚玉ペッツバール(ED2) | 66mm | 約 6.5kg | 中焦点広視野・中判 CMOS まで |
| 65PHQ | 65mm / 416mm | F6.4 | 5 枚玉ペッツバール(ED) | 44mm | - | 高補正・星像優先・眼視兼用 |
| 80PHQ | 80mm / 600mm 級 | F7.5 | ペッツバール(ED2) | フルサイズ級 | 3.9kg(448mm 長) | 中焦点 DSO・惑星輪郭・眼視 |
| 71F(旧 71EDPH) | 71mm / 490mm | F6.9 | 4 枚玉フラットフィールド(ED1) | 44mm | OTA 2.5kg | 入門〜中級 DSO・コスト重視 |
| FMA180 Pro | 44mm / 180mm | F4.5 | 6 枚玉セクスタプレット(ED2) | 44mm | 超軽量 | 超広域モザイク・ガイドスコープ |
| FMA230 | 50mm / 230mm(0.84× 込) | F4.6 | 3 枚玉+レデューサ/フラットナ | フルサイズ級 | 1,095g | 超軽量・トラベル・ポータブル |
出典: Sharpstar Optical: FRA500(Specifications 節)
出典: Agena Astro: Askar FRA600(Specifications 節)
出典: High Point Scientific: Askar 65PHQ(Product Overview / Specs 節)
出典: Agena Astro: Askar 80PHQ(Specifications 節)
出典: High Point Scientific: Askar 71F Flat-Field Refractor(Specifications 節)
出典: High Point Scientific: Askar FMA180 Pro Sextuplet Refractor(Product Overview 節)
出典: Sharpstar Optical: FMA230(Specifications 節)
この横並びから読める設計意図は次の通りです。
- 「FRA400C の上位に上がる」=焦点距離と口径を大きく取る:FRA500(90mm / 500mm)→ FRA600(108mm / 600mm)は、焦点を伸ばして中焦点 DSO や大型センサ(55mm・66mm イメージサークル)を余裕を持って使う方向。ただしそのぶん重くなり、鏡筒長も 450mm 級・500mm 級になります。
- 「FRA400C の下位に下がる」=焦点距離をさらに短くする:FMA180 Pro / FMA230 は超広域の"ガイドスコープ兼用サブ鏡筒"帯。フルサイズ対応の 44mm イメージサークルは維持しつつ、口径 44-50mm と割り切って超軽量化しています。
- 「同じ 400mm 前後で別の光学構成を選ぶ」:71F(71mm / 490mm F6.9 クワドラプレット)は補正枚数が 1 枚少ないぶんコスト重視、65PHQ(65mm / 416mm F6.4)は F 値を落として星像・眼視適性を高めた設計です。「速さ最優先」なら FRA400C、「星像最優先」なら PHQ という住み分けになります。
④ センサーサイズ別の相性(フルサイズ・APS-C・M43・1 インチ CMOS)
FRA400C は 44mm イメージサークルを本体だけで平坦補正するため、原理的には「フルサイズより小さいセンサ」は全て安全圏に入ります。ただし「小さいセンサに 400mm を組み合わせると実写野が急激に狭くなる」ため、対象天体との組み合わせで向き不向きが変わります。
| センサー | 対角 | FRA400C との相性 |
|---|---|---|
| フルサイズ(36×24mm) | 約 43.3mm | 44mm 補正圏内で本命の組み合わせ。北アメリカ星雲・カリフォルニア星雲などの大型 Hα 星雲を 1 枚に収めやすい。 |
| APS-C(23.5×15.6mm 級) | 約 28.2mm | 補正の中心に余裕。ミラーレス機や ZWO ASI2600MC/MM 相当と好相性。M31 全体もほぼ 1 枚に。 |
| M43/APS-Hより下 | 21mm 前後 | 補正は完璧だが実質画角が狭くなる。中型星雲・大きめ銀河向き。 |
| 1 インチ CMOS(ASI533 系) | 約 15.9mm | 星像はセンサ全域で極めてシャープになる反面、画角は狭い。小型銀河や惑星状星雲向け。 |
出典: Agena Astro: Askar FRA400C(44mm image circle / full-frame compatibility 節)
フルサイズ機で「1 枚の中に大型星雲を全部入れたい」ならこのクラスの中では FRA400C が一等地。APS-C / M43 中心で使うなら、より焦点距離が短い FMA180 Pro や FMA230 と組み合わせて画角を稼ぐ選択肢もあります。
⑤ 用途別のおすすめ(大型星雲・銀河・彗星・広域モザイク)
- 大型 Hα 星雲(北アメリカ星雲・カリフォルニア星雲・IC1396):フルサイズ+ FRA400C+ 0.7× レデューサ(280mm F3.9)で 1 枚におさまるサイズ感。狭帯域デュアルバンドフィルターとの相性も良好。
- M31 / M33 / さんかく座銀河 / くらげ星雲:フルサイズ/APS-C+ 開放 F5.6 で 1 フレーム構図。M31 はフルサイズなら余白を確保して収まる。
- 彗星(尾を長く残したい):短焦点+広イメージサークルの組み合わせが尾の追い込みに有利。フルサイズ機と組み合わせて 1 枚勝負が可能。
- 広域モザイク・天の川領域:焦点 400mm は「1 枚あたりの解像感」と「モザイクしやすさ」のバランスが良く、複数枚パノラマの入門にも向く。
- 小型銀河・惑星状星雲:FRA400C 単体では焦点が短めなので、より長焦点の FRA600 / 80PHQ / 107PHQ 系を検討する方が対象に対して合理的。
⑥ フラットナー/レデューサーの選び方
FRA400C は本体でフルサイズ 44mm を平坦補正するため、フラットナー(平坦化のみ)は原理的に不要です。「もっと明るく・もっと広く」撮りたい場合の選択肢は純正 0.7× フルフレームレデューサーで、以下のように焦点距離と F 値が変わります。
| 構成 | 焦点距離 | F 値 | イメージサークル | バックフォーカス |
|---|---|---|---|---|
| FRA400C 単体 | 400mm | F5.6(F22 まで絞可) | 44mm | 55mm 推奨(50-60mm 対応) |
| FRA400C + 0.7× フルフレームレデューサ | 280mm | F3.9 | 44mm | 55mm(M48×0.75 2 インチフィルタ対応) |
出典: Sharpstar Optical: F3.9 Full Frame Reducer for FRA400/FRA500(Specifications 節)
出典: Askar Official: FRA-Reducer(Product 節)
出典: High Point Scientific: Askar FRA400C 0.7x Full-Frame Reducer(Product Overview 節)
F5.6 → F3.9 の切り替えは露光時間換算で約 2 倍の明るさを稼げます。狭帯域フィルターを重ねる撮影では、この 1 段強のアドバンテージが仕上がりを大きく左右します。ただし F3.9 まで開くと星像への要求も厳しくなるため、ガイド精度と平坦補正の余裕を確保した上で使うのが前提です。
⑦ 架台との組み合わせ目安(AM3 / AM5 / HEQ5)
FRA400C の総重量は 3.18kg(ハンドル・アリガタ込)。カメラ+ガイダー+フィルターホイールを足しても 6kg 前後で収まる構成が一般的です。以下は代表的な赤道儀の搭載目安です。
| 架台 | 許容積載 | FRA400C との相性 |
|---|---|---|
| ZWO AM3 | ウェイトレス 8kg / ウェイト有 13kg | ウェイトレスでも十分余裕。遠征セットの主力構成。 |
| ZWO AM5 | ウェイトレス 13kg 級/ウェイト有 20kg 級 | FRA400C + FRA600 級のダブル運用にも耐える。長期常設も可能。 |
| HEQ5 / EQ5 系 | 約 13kg 前後 | 安定運用可能。既に HEQ5 を持っている人が FRA400C を追加する組み合わせは王道。 |
⑧ こんな人には向かない(別モデル推奨)
- 本格 AF フォーカサで完全自動運用したい → FRA400(3 インチ R&P デュアルスピード+ローテータ)または FRA500 / FRA600 が有利。FRA400C は電動化オプション(MXL ベルト)はあるものの、ヘリコイド式単速のため電動 AF の運用感は R&P に劣る。
- フルサイズを超える中判 CMOS を使いたい → 44mm イメージサークルでは足りないので FRA500(55mm)/FRA600(66mm)を検討。
- 惑星や小型銀河をアップで撮りたい → 400mm では焦点距離が足りない。長焦点の 80PHQ / 107PHQ / 130PHQ、または反射系(SCT・RC)が本命。
- 予算を最小限に抑えたい → 4 枚玉の 71F(旧 71EDPH)や FMA135 / FMA180 系がコスト重視の選択肢。星像は 5 枚玉ペッツバールに一歩譲るが、フルサイズ対応であることは同じ。
出典: High Point Scientific: Askar FRA500(Product Overview 節)
⑨ よくある質問(FAQ)
Q1. FRA400C の "C" はカーボン鏡筒の意味ですか?
公式仕様上「Carbon Fiber 鏡筒」との明記は確認できません。Askar は FRA400C を「FRA400 のリフレッシュ版・多機能カメラレンズ寄り」バージョンとして展開しており、差分の中心はフォーカサ形式(ヘリコイド化)とアイリス絞りの追加です。
出典: High Point Scientific: Askar FRA400C Quintuplet APO Refractor(Product Overview 節)
Q2. FRA400C だけでフルサイズを平坦にカバーできますか?
できます。イメージサークルは 44mm でフルサイズ(対角 43.3mm)を包含します。追加のフラットナーは不要で、バックフォーカスも 55mm 前後に合わせるだけで済みます。
出典: All-Star Telescope Canada: Askar FRA400C(Specifications 節)
Q3. 0.7× レデューサは FRA400C 専用ですか?
Askar の F3.9 フルフレームレデューサは FRA400/FRA500 用として設計されており、FRA400C との組み合わせでも 280mm F3.9・44mm イメージサークルを実現します。バックフォーカスは 55mm、後端は M48×0.75(2 インチフィルタ対応)です。
出典: Sharpstar Optical: F3.9 Full Frame Reducer for FRA400/FRA500(Specifications 節)
Q4. 眼視観望にも使えますか?
ペッツバール型 APO なので眼視でも高いコントラストが得られますが、焦点 400mm は月面・散開星団など低倍率対象向きです。惑星の拡大観察を主目的にする場合は焦点距離が長いモデル(80PHQ / 107PHQ 等)を検討してください。
Q5. 何個の ED ガラスを含みますか?
FRA400 / FRA400C ともに ED ガラスを 2 枚含む 5 枚玉ペッツバール構成です。ED2 枚により色収差を抑え、フルサイズ域まで色にじみの少ない星像を得られます。
出典: Askar Official: FRA400(Specifications 節)
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参考にした一次情報
- Askar Official: FRA400
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