Askar 50P 鏡筒|比較・選び方完全ガイド【4 枚玉 Petzval APO 190mm f/3.8】

Askar 50P 鏡筒|比較・選び方完全ガイド【4 枚玉 Petzval APO 190mm f/3.8】

Askar 50P は、口径 50mm・焦点距離 190mm・f/3.8 の 4 枚玉ペッツバール APO 屈折望遠鏡です。フラットナー・レデューサーを追加せずに APS-C / 1 インチセンサーで平坦視野を得られる「持ち出し前提」の広視野撮影鏡筒として位置付けられており、Askar のラインナップの中でも最小級(重量 1.4kg・全長 147mm)に入ります。本記事では 50P のメーカー公式スペックを起点に、同社 FMA135 / FMA180 Pro / SQA55 / 65PHQ / 71F・および競合の William Optics RedCat 51 との比較を、公式一次情報のみに絞って整理します。

① 50P の設計コンセプト:190mm f/3.8・4 枚玉 Petzval・持ち出し前提

Askar 50P は、Sharpstar(Jiaxing Sharpstar Optical Instrument)の Askar ブランドが「小さいセンサー用の広視野アストログラフ」として設計した鏡筒です。メーカー公式ページは「口径 50mm / 焦点距離 190mm / f/3.8」「4 枚玉ペッツバール APO(SD ガラス 1 枚)」「APS-C 対応・1 インチセンサーに最適化」「フード伸縮式・全長 147〜182mm」「重量 1.4kg(鏡筒バンド+アリガタ含む)」と、全ての基本スペックを一枚のページに明記しています。

出典: Sharpstar 公式「50P」製品ページ §Specifications(Aperture 50mm / Focal length 190mm / Focal ratio f/3.8 / Optical design: Quadruplet petzval APO including one piece of SD glass / Weight 1.4kg / Total length 147mm(retracted) 182mm(extended))

② 光学仕様一覧

メーカー公式ページに記載された主要スペックを、可搬性・光学・後端 I/F・付属品の 4 項目に整理します。

項目 仕様
口径 50mm
焦点距離 190mm
口径比 f/3.8
光学設計 4 枚玉ペッツバール APO(SD ガラス 1 枚含む)
対応センサー APS-C フォーマット対応、1 インチセンサー最適化
全長(フード収納時) 147mm
全長(フード伸長時) 182mm
重量 1.4kg(鏡筒バンド+アリガタ含む)
後端接続 M48 アダプタ(M48×0.75 フィルタネジ内蔵)
バックフォーカス 50–65mm レンジ/推奨 55mm
アリガタプレート 160mm ビクセン規格プレート付属
標準付属品 50P 鏡筒本体、取扱説明書

出典: Sharpstar 公式「50P」§SpecificationsStarizona「Askar 50P」商品ページ SpecificationsAll-Star Telescope「Askar 50P Quadruplet Astrograph」Specifications(160mm Vixen dovetail plate)

③ 4 枚玉ペッツバール(Petzval)とは何か

ペッツバール型光学系は、対物側の 2 枚のダブレット(またはトリプレット)とその後方の 2 枚(またはそれ以上)の補正群を組み合わせ、対物レンズと像面補正を一体の鏡筒内で完結させる屈折望遠鏡の設計方式です。従来の 2 枚玉/3 枚玉 APO 屈折では、撮影時に別売のフィールドフラットナー(またはレデューサー)を焦点距離とバックフォーカスに合わせて追加購入・調整する必要がありました。Petzval 設計では鏡筒後方に補正レンズがあらかじめ組み込まれているため、カメラを推奨バックフォーカスで接続すれば、平坦な撮影視野をそのまま得られるのが最大の運用メリットです。

Askar 50P はこの「4 枚玉 Petzval」構成に SD(Super-low Dispersion)ガラス 1 枚を組み込んで色収差を抑えており、焦点距離 190mm・口径比 f/3.8 という短焦点・明るい光学系でありながらフラットナーレスで運用できる、というのが公式ページの主張です。

出典: Sharpstar 公式「50P」§Optical design(Quadruplet petzval APO including one piece of SD glass)(Petzval 光学系の一般的性質は光学設計上の慣用であり、本記事はメーカー公式ページの表現に沿って解説)

④ センサー適合:APS-C / 1 インチ / IMX533・585・294 の考え方

50P 公式ページは対応センサーを 「APS-C format(optimized for 1-inch sensors)」と明記しており、フルフレーム対応を謳っていません。同社のフルフレーム対応機(後述の SQA55 / 65PHQ / 71F・いずれもイメージサークル 44mm 公称)とは、狙う撮影対象と組み合わせ得る CMOS カメラの範囲が明確に異なります。

Askar 50P と組み合わせる CMOS カメラを選ぶ際は、Sony 系センサーの外形寸法から次の順で検討すると、公式スペックの範囲内に収まります(センサーの外形寸法自体は Sony 公表値および CMOS カメラ各社の公表値に基づく一般情報)。

センサーフォーマット 代表的センサー 50P との適合
1 インチ相当 Sony IMX533(正方形 1"×1")/IMX585(1/1.2") 公式最適化フォーマット。中心部の性能を最大限使える。
4/3 型 Sony IMX294(Micro Four Thirds 相当) APS-C 未満のため公式対応範囲。周辺像は撮影後にご自身で確認するのが安全。
APS-C Sony IMX571 系(対角約 28mm) 公式対応上限。周辺の像質・周辺光量は 1 インチセンサーより不利側になる。
フルフレーム Sony IMX455 系(対角約 43mm) 50P では公式に対応謳われず。フルフレームで撮りたい場合は SQA55 / 71F / 65PHQ の方が用途に合う。

出典: Sharpstar 公式「50P」§Image format(APS-C format, optimized for 1-inch sensors)/フルフレーム対応の SQA55・65PHQ・71F の 44mm イメージサークルは各公式ページ参照(SQA55 / 71F / 65PHQ

⑤ Askar 兄弟機との比較(FMA135 / FMA180 Pro / 50P / SQA55 / 65PHQ / 71F)

Askar のイメージング系鏡筒は、口径帯とイメージサークル・センサー対応の組み合わせで役割分担が明確です。50P を挟む前後の代表機を、メーカー公式ページ記載値で並べます。

モデル 口径 焦点距離 口径比 光学構成 イメージサークル 対応上限 重量
FMA135 30mm 135mm f/4.5 6 枚玉 APO(ED 1 枚) (公式明記なし) APS-C クラス(1.25" IF) 280g
FMA180 Pro 40mm 180mm f/4.5 6 枚玉エアスペース APO(ED 2 枚) 44mm フルフレーム 0.8kg
50P 50mm 190mm f/3.8 4 枚玉 Petzval APO(SD 1 枚) APS-C 対応・1" 最適化 APS-C 1.4kg
SQA55 55mm 264mm f/4.8 5 枚玉 Petzval APO(SD 1・ED 1) 44mm フルフレーム (公式明記なし)
65PHQ 65mm 416mm f/6.4 5 枚玉 Petzval APO(ED 2 枚) 44mm フルフレーム (公式明記なし)
71F 71mm 490mm f/6.9 4 枚玉エアスペース APO(ED 1 枚) 44mm フルフレーム 鏡筒 2.5kg/総 3kg

出典: Sharpstar 公式 FMA135 §SpecificationsSharpstar 公式 FMA180 Pro §SpecificationsSharpstar 公式 50P §SpecificationsStarizona SQA55 商品ページ SpecificationsAskar 65PHQ Amazon 掲載仕様Sharpstar 公式 71F §Specifications(SQA55 / 65PHQ の総重量は公式ページに明記なし)

兄弟機と 50P のキャラクター違い

50P と近い焦点距離(180〜190mm)を持つのは FMA180 Pro ですが、両者は次の 3 点で用途が分かれます。

  • センサー対応上限: FMA180 Pro は 44mm イメージサークルでフルフレーム対応、50P は APS-C 上限。フルフレーム機を持っていて 180〜190mm 帯を担わせたい場合は FMA180 Pro が選択肢に入る(SRC-4)。
  • 口径比の明るさ: 50P は f/3.8、FMA180 Pro は f/4.5。同露光時間で光子を集める量は 50P の方が有利(f 値は「口径 / 焦点距離」で決まる幾何量)。
  • 光学構成の思想: FMA180 Pro は「6 枚玉エアスペース APO」(SRC-4)、50P は「4 枚玉ペッツバール」(SRC-1)。Petzval は「別途フラットナーが要らない」を強調する設計思想。

逆に、より焦点距離が短い FMA135(135mm)は完全な超広視野・ガイド鏡兼用途、SQA55(264mm)以上は星雲全景〜中〜小型対象の詳細撮影用途と、階段状に用途がずれます。

⑥ 競合他社との比較:William Optics RedCat 51

同じ「小型・軽量・Petzval・フラットナーレス」の広視野アストログラフというコンセプトで市場競合するのが William Optics RedCat 51 です。両機を公式・販売店掲載スペックで並べます。

項目 Askar 50P William Optics RedCat 51
口径 50mm 51mm
焦点距離 190mm 250mm
口径比 f/3.8 f/4.9
光学構成 4 枚玉 Petzval APO(SD 1 枚) 4 枚玉 3 群 Petzval(FPL53 + FPL51 合成蛍石)
対応センサー APS-C(1 インチ最適化) 初期版 43mm イメージサークル/III 世代 45mm
重量 1.4kg 1.47kg
フラットナー 不要(Petzval 一体) 不要(Petzval 一体)

出典: Sharpstar 公式 50P §SpecificationsAgena Astro 掲載「William Optics RedCat 51」Specifications(focal length 250mm / f/4.9 / weight 1.47kg / FPL53+FPL51)

同じコンセプトの中でも、50P は「f/3.8 と明るさ寄り・焦点距離短め・APS-C 上限」、RedCat 51 は「口径ほぼ同一で焦点距離やや長め・イメージサークル大きめ」というキャラクターの違いがあります。露光効率(f 値の明るさ)を最優先するなら 50P、より長めの焦点距離とやや大きな対応センサーを取るなら RedCat 51、という選び方が公式スペックからは順当です。

⑦ 純正 50P AF Kit と電子フォーカサー

50P はヘリコイド式のマニュアルフォーカスを採用しているため、電子オートフォーカスを使いたい場合は別売の「50P AF Kit」を追加します。純正 AF Kit は Sharpstar 側で「50P 専用に設計」「ブランド制限なくほぼ全ての電子フォーカサーと組み合わせ可能」と説明されており、同社の兄弟機 SQA55 用 AF Kit ページでは ZWO EAF Pro および ToupTek 電子フォーカサーとの互換性が明記されています。

純正 50P AF Kit 同梱内容

  • MXL タイミングベルト 4 本(長さ違い)
  • MXL 同期プーリー 2 個(径違い)
  • アダプタブラケット 1 個
  • L 字中空プレート 2 枚
  • 六角レンチ 3 種
  • M4×12mm ネジ 2 本/M4×10mm ネジ 4 本/M3×10mm ネジ 2 本
  • ※ 50P 本体・電子フォーカサー本体は AF Kit に含まれません

出典: All-Star Telescope「Askar 50P AF Kit」商品説明(Kit contents 一覧)Sharpstar 公式「SQA55 AF Kit」§Compatibility(compatible with most electronic focusers, including ZWO EAF Pro and Touptek electronic focusers)

ZWO EAF(旧型 USB Type-B シャフト 5mm)、ZWO EAFN・EAF Pro(新型 USB Type-C シャフト 4mm)のいずれも取り付け可能な物理サイズのプーリーが同梱されており、ASIAIR 系で運用する場合も既存の EAF を流用して 50P を電子フォーカス化できます。ケーブル長・ASIAIR への USB ポート要件については、既存のオートフォーカス解説記事「Askar FMA180 Pro + 旧 ZWO EAF を ASIAIR Plus で動かす」を併せて参考にしてください。

⑧ 架台とバランス:軽量赤道儀で運用するときの目安

50P は鏡筒バンドとアリガタを含んで 1.4kgSRC-1)、フード伸長時でも全長 182mm(SRC-1)と非常にコンパクトなので、小型自動追尾赤道儀・ハーモニックドライブ赤道儀のペイロード余裕内で運用しやすい鏡筒です。CMOS カメラ・ガイド機材・電子フォーカサー・ケーブル類・ドブテール上下を合わせた総重量が、使う赤道儀の撮影ペイロード上限(各架台メーカーの仕様書記載値)に収まるかを、必ず購入前に確認するのがおすすめです。

出典: Sharpstar 公式「50P」§Weight(1.4kg including tube ring and dovetail plate)(架台ペイロード上限は各架台メーカーの公式仕様に依存するため個別確認)

⑨ Askar 50P を選ぶ人/向かない人

50P が向くケース

  • 撮影対象が広い星野・大型星雲(アンドロメダ銀河・北アメリカ星雲・カリフォルニア星雲など、190mm 相当の画角で 1 枚に収まるサイズ)
  • CMOS カメラが Sony IMX533(正方形 1 インチ)や IMX585(1/1.2 インチ)中心で、フルフレームは今のところ想定していない
  • 遠征・出張撮影を前提に、鏡筒とカメラの総重量を極力抑えたい
  • f/3.8 の明るさで、限られた撮影時間内の露光効率を最優先したい
  • フラットナー/レデューサーの追加購入・組付調整をしたくない(Petzval 一体構成の恩恵)

50P が向かないケース

  • フルフレーム CMOS カメラ(IMX455 系など)でイメージサークル全域を使いたい → SQA55 / 65PHQ / 71F の方が公式仕様上適合
  • 焦点距離を 400mm 以上取って、小〜中型対象(惑星状星雲・小型銀河)を詳細に撮りたい → 65PHQ / 71F など
  • 惑星の高倍率撮影を主目的にしたい → 焦点距離不足。惑星向けは長焦点鏡(SCT・マクストフ等)が候補
  • 視覚観望をメインに使いたい → 50P は公式に「astrograph(撮影用)」として設計されており、撮影用が第一義

本記事で扱った Askar 50P は、天体ショップの下記商品ページから詳細をご確認いただけます。

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最終更新: 2026-08-13/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sharpstar Optical(Askar ブランド)公式サイト・William Optics 販売店掲載仕様の一次情報に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。

⑫ よくあるご質問(FAQ)

Q1. 50P はフルフレーム CMOS カメラで使えますか?

公式ページでの対応上限は APS-C フォーマットで、1 インチセンサーに最適化されています。フルフレームでの周辺像は公式に保証されていないため、フルフレームで撮りたい場合は同じ Askar のフルフレーム対応機(SQA55 / 65PHQ / 71F。いずれもイメージサークル 44mm 公称)を検討する方が用途に合います。

出典: Sharpstar 公式「50P」§Image format(APS-C format, optimized for 1-inch sensors)

Q2. 50P にフラットナーやレデューサーを追加する必要はありますか?

4 枚玉 Petzval APO 一体設計のため、公式仕様上は追加のフラットナー・レデューサーは想定されていません。カメラ側で M48 アダプタ/M48×0.75 フィルタネジ経由でセンサー面までのバックフォーカスを 50〜65mm(推奨 55mm)に合わせて接続します。

出典: Sharpstar 公式「50P」§Rear-end connection(M48 adapter with M48×0.75 filter thread / Support 50-65mm range / Recommended 55mm)

Q3. 50P に手持ちの ZWO EAF(旧型)を取り付けられますか?

純正 50P AF Kit はブランド制限なくほぼ全ての電子フォーカサーに対応する設計です。MXL タイミングベルト 4 本・プーリー 2 個・アダプタブラケット・L 字プレート・各種ネジがセットされており、旧型 ZWO EAF(シャフト 5mm)・新型 ZWO EAFN / EAF Pro(シャフト 4mm)のいずれのシャフト径にも取付可能なプーリーが含まれます。

出典: All-Star Telescope「Askar 50P AF Kit」商品説明(Kit contents / brand-agnostic compatibility)Sharpstar 公式「SQA55 AF Kit」§Compatibility(ZWO EAF Pro / Touptek 対応)

Q4. 50P に付属する三脚アリガタは何規格ですか?

Amazon 販売店掲載仕様では「160mm ビクセン規格ドブテールプレート」と記載されています。Askar の標準的なドブテール寸法であり、ビクセン互換のクランプが付いた赤道儀・経緯台に取り付けられます。

出典: All-Star Telescope「Askar 50P Quadruplet Astrograph」Specifications(160mm Vixen dovetail plate)

Q5. FMA180 Pro と 50P、焦点距離がほぼ同じですが何が違いますか?

焦点距離は近い(180mm vs 190mm)ですが、口径比・イメージサークル・光学構成が異なります。FMA180 Pro は「40mm・f/4.5・6 枚玉エアスペース APO(ED 2 枚)・イメージサークル 44mm・重量 0.8kg」(Sharpstar 公式 FMA180 Pro §Specifications)で、フルフレームまで対応。50P は「50mm・f/3.8・4 枚玉 Petzval APO(SD 1 枚)・APS-C 上限・重量 1.4kg」(Sharpstar 公式 50P §Specifications)で、口径比の明るさとペッツバール一体構成が特徴です。フルフレームで運用したいなら FMA180 Pro、露光効率と口径面積を取るなら 50P、という選び分けになります。

Q6. 50P は視覚観望に使えますか?

公式には「astrograph(撮影用)」として設計されているモデルで、後端は M48×0.75 の撮影用スレッドが基本 I/F です。天頂ミラーとアイピースの併用は物理的には可能ですが、視覚観望を主目的にする場合は焦点距離の長い屈折機(71F・65PHQ など)の方が倍率設計の自由度があります。

出典: Sharpstar 公式「50P」§Rear-end thread(M48 adapter with M48×0.75 filter thread)

Q7. 保証はどうなっていますか?

天体ショップでご購入いただいた Askar 50P には、弊社独自の「初期不良 60 日+3 年保証」が付きます。保証範囲・修理対応の詳細については、ご購入前に公式 LINE またはメールでお気軽にお問い合わせください。

⑬ 参考にした一次情報

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最終更新: 2026-08-13/執筆: 天体ショップ スタッフ/記事内のすべての技術情報は Sharpstar Optical(Askar ブランド)公式サイト・William Optics 販売店掲載仕様の一次情報に基づいて記載しています。弊社内部統計や実績数値は記載していません。一次情報で裏取りできない項目は削除してあります。